島根県の高卒求人倍率推移【2017〜2025年】
広島・鳥取・山口との比較分析
島根県の高卒求人倍率は、2021年のコロナ禍による一時的な落ち込みを経て回復基調が続き、令和7年3月卒では3.27倍(6月30日時点推計)に到達しました。これは2012年以降で最高の水準です。求人数2,695件に対し就職希望者はわずか825人で、前年から約10%減少。鋳造業(銑鉄鋳物生産量全国3位)や建設業を中心に旺盛な採用需要が続く一方、若年人口の流出と少子化の加速が就職希望者の減少を加速させています。
1. 求人倍率推移(2017〜2025年)
島根県 新規高卒求人倍率の推移(各年6〜7月時点・島根労働局推計)
| 年度(3月卒) | 求人数 | 就職希望者数 | 求人倍率 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| 2017(H29) | 2,310件 | 1,180人 | 1.96倍 | — |
| 2018(H30) | 2,480件 | 1,120人 | 2.21倍 | +0.25 |
| 2019(H31) | 2,620件 | 1,080人 | 2.43倍 | +0.22 |
| 2020(R2) | 2,550件 | 1,050人 | 2.43倍 | 0.00 |
| 2021(R3) | 2,100件 | 1,010人 | 2.08倍 | -0.35 |
| 2022(R4) | 2,350件 | 980人 | 2.40倍 | +0.32 |
| 2023(R5) | 2,580件 | 940人 | 2.74倍 | +0.34 |
| 2024(R6) | 2,720件 | 910人 | 2.99倍 | +0.25 |
| 2025(R7) | 2,695件 | 825人 | 3.27倍 | +0.31 |
出典:日経新聞・島根労働局推計(各年6〜7月時点)
2. 中国地方・全国平均との比較
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 島根県 | 3.27倍 | 鋳造・建設・製造・医療福祉 | 2012年以降最高水準 |
| 鳥取県 | 約2.5〜3.0倍 | 電子部品・食品加工・農業 | 山陰地方のパートナー県 |
| 広島県 | 約3.5〜4.0倍 | 自動車・造船・機械・鉄鋼 | 中国地方最大の経済圏 |
| 山口県 | 約3.0〜3.5倍 | 化学・石油・セメント | 瀬戸内工業地域の一角 |
| 全国平均 | 約3.70倍 | — | — |
注目ポイント:島根県の3.27倍は全国平均3.70倍を下回るものの、県内完結型の採用市場において1人の高校生を3社以上が取り合う売り手市場です。広島県への人材流出が続く中、県内企業同士の競争は年々激化しています。
3. 求人倍率が上昇し続ける3つの構造的要因
1. 鋳造・建設・製造業の根強い採用需要
島根県は銑鉄鋳物生産量が全国3位(145千t)、生産金額は全国4位(375億円)を誇る鋳造業の一大拠点です。安来市を中心とした特殊鋼・鋳造産業と、県全域に広がる建設業(求人715件・前年比13.0%増)が高卒人材への旺盛な需要を生み出しています。製造業の求人も696件(前年比25.4%増)と大幅に増加しており、ものづくり人材の獲得競争が激しくなっています。
2. 就職希望者数の急速な減少
就職希望者数は825人で前年から約10%減少しました。島根県の15〜19歳人口は2000年の43,466人から2020年には28,720人へと20年間で34%減少しています。大学進学率の上昇と県外流出の加速が相まって、高卒就職市場への供給が細り続けています。
3. 高校卒業後の県外流出という構造問題
島根県では高校卒業後に半数以上が県外へ流出するとされています。背景には、進学希望者約2,700人/年に対して県内大学定員が約1,600人しかないという進学環境のミスマッチがあります。進学のために県外へ出た若者の多くはそのまま県外で就職するため、県内の労働力不足に拍車がかかっています。
4. 2030年予測シミュレーション
現状のトレンドが続いた場合、2030年の島根県高卒求人倍率は4.0〜4.5倍に達する可能性があります。
| 年度 | 求人数(予測) | 希望者数(予測) | 倍率(予測) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2027(R9) | 約2,700件 | 約760人 | 約3.6倍 | 現状維持シナリオ |
| 2028(R10) | 約2,700件 | 約710人 | 約3.8倍 | 少子化加速シナリオ |
| 2030(R12) | 約2,700件 | 約620人 | 約4.0〜4.5倍 | 人口60万人割れ・鋳造業需要継続 |
※ 予測値は過去のトレンドに基づく推計であり、確定値ではありません。
採用戦略への示唆:島根県の人口は2020年の約67万人からさらに減少が続き、2030年には60万人を割り込む見通しです。就職希望者が年間600人台まで減少すれば、求人倍率は4倍を超え「応募ゼロ」の企業が続出する可能性があります。今から学校との関係構築・インターンシップの充実・採用ブランディングに投資することが、将来の採用力を左右します。
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