島根県の地域別・業種別求人統計|高卒採用市場の全体像を把握する
東部vs西部の求人格差と5エリアの産業特性分析
島根県の高卒採用市場は、東西に長い地理的特性を反映して地域間の求人格差が顕著です。東部地域(松江・出雲・安来・雲南)の求人数1,882件に対し、西部地域(浜田・益田・江津・大田)は736件と約2.6倍の開きがあります。産業構造も、医療・福祉が従業者数で最多(18.5%)という全国でも珍しい構成を持ちます。本記事では、島根県の高卒採用市場を地域別・産業別に分解し、エリアごとの採用戦略を解説します。
1. 産業別従業者数・構成比一覧
島根県の産業構造は、医療・福祉と卸売業・小売業がそれぞれ約18%を占め、製造業(15.4%)がこれに続く構成です。全国的には製造業や卸売小売業が上位を占める県が多い中、医療・福祉が最多従業者数というのは島根県の高齢化率の高さを反映した特徴的な構造といえます。
| 産業 | 従業者数 | 構成比 | 高卒採用との関連 |
|---|---|---|---|
| 医療・福祉 | 54,355人 | 18.5% | 高齢化率全国上位。介護人材の慢性的不足 |
| 卸売業・小売業 | 54,034人 | 18.4% | サービス職種への高卒需要あり |
| 製造業 | 45,245人 | 15.4% | 鋳造・特殊鋼・食品加工が中心 |
| 建設業 | — | 事業所数10.5% | 求人715件(前年比13.0%増) |
| 宿泊業・飲食サービス業 | — | 事業所数9.9% | 求人82件(前年比13.7%減) |
出典:島根県統計情報(経済センサス)
【データ解説】島根県の産業構造の特徴
島根県は医療・福祉が従業者数で最多という特徴的な産業構造を持っています。高齢化率が全国でもトップクラスであることが背景にあり、介護・福祉分野での高卒人材需要は今後も拡大が見込まれます。一方、製造業は銑鉄鋳物生産量全国3位の鋳造産業を核に、安来市・出雲市を中心とした企業集積があります。建設業は求人数715件と前年比13.0%増で、インフラ維持・更新需要が高卒採用を後押ししています。
2. 東部vs西部 地域別求人動向
島根県は東西約230kmに及ぶ細長い県土を持ち、経済圏も東部(松江・出雲圏)と西部(浜田・益田圏)で大きく異なります。高卒求人においても、この東西格差は顕著に表れています。
| 地域 | 求人数 | 前年比 | 主要都市 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 東部地域 | 1,882件 | +8.0% | 松江市・出雲市・安来市・雲南市 | 県全体の約72%を占める |
| 西部地域 | 736件 | +10.5% | 浜田市・益田市・江津市・大田市 | 伸び率は東部を上回る |
出典:山陰中央新報
産業別求人数の動向(2021年度7月末)
| 産業 | 求人数 | 前年比 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 建設業 | 715件 | +13.0% | インフラ維持・更新需要が増加 |
| 製造業 | 696件 | +25.4% | 鋳造・食品・電子部品等 |
| 宿泊・飲食サービス | 82件 | -13.7% | コロナ影響で減少 |
出典:山陰中央新報(2021年度7月末時点)
【データ解説】東西格差の背景
東部地域が求人の約72%を占める背景には、県庁所在地・松江市と商工業都市・出雲市への企業集積があります。松江市にはソフト産業(IT企業)44社が立地し、出雲市には製造業62社が集積。一方、西部地域は企業数こそ少ないものの、求人の伸び率+10.5%は東部の+8.0%を上回っており、人材獲得への危機感から積極的な採用活動を展開している企業が増えています。
3. 市町村別の企業集積と産業特性
島根県内の企業立地は、製造業とソフト産業(IT)で明確な棲み分けがあります。出雲市は製造業62社で圧倒的に多く、松江市はソフト産業44社が集積するIT都市としての顔を持ちます。
| 市町村 | 製造業 | ソフト産業 | 産業特性 |
|---|---|---|---|
| 出雲市 | 62社 | 15社 | 製造業の中心地。食品・電子・機械が集積 |
| 松江市 | 36社 | 44社 | 県都。Ruby City MATSUEとしてIT産業を推進 |
| 雲南市 | 24社 | 3社 | 製造業中心。中山間地域の拠点 |
| 安来市 | 17社 | 3社 | 日立金属(現プロテリアル)の城下町。特殊鋼・鋳造 |
| 浜田市 | 15社 | 4社 | 西部地域の中核。水産加工・建設 |
| 益田市 | 13社 | 2社 | 県西端。医療・福祉・建設が主要産業 |
| 江津市 | 13社 | 2社 | 瓦・窯業が伝統産業 |
| 大田市 | 9社 | 3社 | 石見銀山の観光と製造業 |
出典:しまねスタイル(島根県産業振興課)
【実践ヒント】エリア別採用のポイント
- 松江・安来エリア:IT企業と鋳造・特殊鋼メーカーが共存。工業系の高校生は製造業とITの両方から求められるため、早期の学校訪問が重要です。
- 出雲エリア:製造業62社が集積し、県内最大の高卒採用激戦区。職場見学やインターンシップの充実度で差がつきます。
- 浜田・益田・江津エリア:企業数は少ないが競合も少ない。「地元で働ける」「転勤なし」を訴求ポイントに、地域密着型の採用活動が有効です。
4. 5エリアの産業特性と採用環境
島根県の採用環境を把握するために、県内を5つのエリアに分けてそれぞれの産業特性を整理します。自社の所在エリアの特徴を理解し、採用戦略に活かしてください。
| エリア | 主要都市 | 主要産業 | 採用環境 |
|---|---|---|---|
| 松江エリア | 松江市 | IT・ソフトウェア・サービス・公務 | 県都。ソフト産業44社が集積するIT都市。高卒のIT人材需要が増加傾向。 |
| 出雲エリア | 出雲市 | 製造業(食品・電子・機械)・サービス | 製造業62社集積。県内最大の採用激戦区。出雲大社関連の観光業も。 |
| 安来・雲南エリア | 安来市・雲南市 | 特殊鋼・鋳造・機械加工 | 鋳造業の集積地。高度な技術者を求める求人が多い。 |
| 大田エリア | 大田市 | 製造業・観光・農林業 | 石見銀山の観光資源。製造業9社と中規模の企業集積。 |
| 浜田・益田エリア | 浜田市・益田市・江津市 | 水産加工・建設・医療福祉 | 西部地域の中核。建設・医療福祉での高卒需要が大きい。 |
【トレンド分析】島根県の有効求人倍率1.40倍の意味
島根県の有効求人倍率(一般)は2025年12月時点で1.40倍(全国平均1.19倍)と高水準です。高卒市場の3.27倍と合わせて考えると、島根県は年齢層を問わず慢性的な人手不足にあるといえます。特に建設業と製造業は一般求人・高卒求人ともに増加傾向であり、業界全体での人材獲得競争が続いています。
5. よくある質問
Q. 島根県の高卒求人倍率は何倍ですか?
A. 令和7年3月卒・6月30日時点推計で3.27倍(2012年以降最高)です。求人数2,695件に対し就職希望者数は825人です。
Q. 島根県で最も従業者が多い産業は?
A. 経済センサスによると、医療・福祉が54,355人(18.5%)で最多。卸売業・小売業54,034人(18.4%)、製造業45,245人(15.4%)が続きます。
Q. 島根県の東部と西部の求人格差はどのくらいですか?
A. 東部地域1,882件に対し西部地域736件と約2.6倍の差があります。ただし西部の求人伸び率(+10.5%)は東部(+8.0%)を上回っています。
Q. 島根県で製造業が最も集積している都市は?
A. 出雲市が製造業62社で最多です。次いで松江市36社、雲南市24社、安来市17社の順です。
Q. 島根県のIT企業はどこに多いですか?
A. 松江市にソフト産業44社が集積しています。「Ruby City MATSUE」としてプログラミング言語Rubyの開発者を輩出した都市として知られ、IT人材の育成・採用に注力しています。
6. まとめ
島根県の高卒採用市場は、以下の3つのポイントに集約されます。
- 東西格差が顕著:東部1,882件vs西部736件。企業数・求人数ともに東部(松江・出雲)に集中。西部は競合が少ない分、採用チャンスがある。
- 医療・福祉が最大の雇用産業:従業者54,355人(18.5%)。高齢化率の高さを反映し、介護・福祉分野の高卒需要は今後も拡大見込み。
- 鋳造・建設・製造業が高卒求人を牽引:建設業715件(+13.0%)、製造業696件(+25.4%)と求人は増加傾向。鋳造業(銑鉄鋳物全国3位)は島根県の強み。
自社の産業・エリアにおける採用ポジションを客観的に把握し、地域特性に合わせたアプローチで採用活動に臨むことが重要です。
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