キャリア探索ガイド
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自己分析、やる意味あるの?

「やりたいことがわからない」は普通です。高校3年生の約3割が同じ悩みを抱えています(マイナビ「2025年 高校生の進路意識と進路選択に関するアンケート調査」)。でも「わからないまま」就職した先輩たちに、何が起きたか知っていますか。

考え中の高校生

こう思ってない?

就活の話になると、心のどこかでこう思っていませんか。

「先生が合う会社を紹介してくれるでしょ」

そう思いますよね。実際に先生は一生懸命サポートしてくれます。でも、先生にも限界があります。その話は少し後で。

「求人票見ればわかるでしょ」

求人票には給料や勤務時間は書いてあります。でも「その仕事が自分に合うかどうか」は、求人票には書いてありません。

「考えてもやりたいことなんて出てこないし」

それ、みんな同じです。やりたいことが最初からわかっている人はほとんどいません。でも、知っておいてほしいことがあります。

10人中4人が、3年で辞めている

これは脅しではありません。「知っておけば防げること」がある、という話です。

高卒の3年以内離職率は37.9%

令和4年3月に卒業して就職した高校生のうち、37.9%が3年以内に辞めています。10人いたら約4人。大卒の33.8%よりも高い数字です(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」令和4年3月卒業者)。

8人に1人は半年持たずに辞めている

さらに深刻なのは「超早期離職」です。高卒就職者の11.8%、つまり8人に1人が半年も経たないうちに辞めています。入ってすぐ「違う」と感じてしまったということです(リクルートワークス研究所「超早期離職問題」全国就業実態パネル調査2020)。

4人に1人が「この会社、誰にも勧めたくない」

高卒で就職して1年経った人に「友達や家族にこの会社を勧めたいか」を聞いたところ、24.1%が最低評価の0点をつけました。4人に1人が、入社1年で「ここはやめておけ」と思っている状態です(リクルートワークス研究所「高校生の就職とキャリアに関する調査」2020年)。

この数字を見て不安になった人へ。これは「高卒で就職すると失敗する」という話ではありません。準備する方法がある、という話です。その方法のひとつが「自分を知ること」です。

なんで「思ったのと違う」ってなるの?

辞めた人たちは、なぜ「違う」と感じたのか。原因は大きく2つあります。

1

仕事のことを知らなかった

高卒で3年以内に辞めた人に「入社後にギャップを感じたこと」を聞いたところ、1位は「業務内容」でした。実際の仕事の中身を知らないまま入ってしまった人が多いのです(ジンジブ「高卒早期離職に関するアンケート調査」2021年)。

そして55.4%の高卒就職者が、1社だけ調べて、1社だけ受けて、1社に内定しています。比較する機会がほとんどないまま決めているのです(リクルートワークス研究所「高校生の就職とキャリアに関する調査」2020年)。

2

自分のことを知らなかった

初めて勤めた会社を辞めた15〜34歳の若者に理由を聞くと、「仕事が自分に合わない」が21.7%で上位に入っています。約5人に1人が「この仕事、自分には合ってなかった」と感じて辞めているのです(厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」)。

仕事の情報が足りないだけでなく、「自分がどんな仕事に向いているか」をわかっていなかったことも、ミスマッチの大きな原因です。

「先生に任せておけば大丈夫」って本当?

先生は本当に一生懸命です。でも、先生にもどうにもならないことがあります。

約90%の学校が「進路指導の時間が足りない」

全国の高校を対象にした調査で、約90%の学校が「教師の負担が多く進路指導の時間が不足している」と答えています。先生は授業に、部活に、生活指導に忙しい。一人ひとりにじっくり向き合う時間が、構造的に足りていないのです(労働政策研究・研修機構「高等学校の進路指導とキャリアガイダンスの方法に関する調査結果」平成29年)。

約80%の学校が「生徒の適性を掴むのが難しい」

さらに、約80%の学校が「適性そのものが何であるか捉えにくい」と感じています。先生にとっても「あなたにはこの仕事が向いてるよ」と言い切ることは、とても難しいことなのです(労働政策研究・研修機構「高等学校の進路指導とキャリアガイダンスの方法に関する調査結果」平成29年)。

これは先生が悪いということではありません。先生を頼ること自体はとても大事です。ただ、自分で自分のことを言葉にできるようになっておくと、先生もアドバイスしやすくなります。「自分はこういうことが好きで、こういうのは苦手です」と伝えられたら、先生はその情報をもとに、あなたに合う求人を一緒に探してくれます。

で、自己分析って何をするの?

「自己分析」と聞くと難しそうに感じるかもしれません。でも、やることはシンプルです。

「やりたいことを見つける魔法」ではない

自己分析をすれば「やりたいこと」がパッと見つかる——そういうものではありません。自己分析は、「自分がどういう人間か」を知ることです。

知るのは3つだけ

1

何に心が動くか — どんなとき楽しいと感じるか、何をしていると時間を忘れるか

2

何が自然にできるか — 頑張ってないのに人より上手くできること、よく褒められること

3

仕事に何を求めるか — お金か、人間関係か、成長か、安定か

この3つを知ると、何が変わるか

求人票を見たときに「この仕事は自分に合いそうかどうか」が判断できるようになります。職場見学で何を見ればいいかがわかります。面接で「なぜこの会社を選んだか」を自分の言葉で話せるようになります。

心理学では、高校生の時期は「自分って何だろう?」と悩むのが正常な発達段階とされています(エリクソンのライフサイクル理論)。やりたいことがわからないのは異常ではなく、今まさに自分を形づくっている途中だということです。だからこそ、この時期に自分を知ろうとする行動に意味があります。

先輩たちは何を後悔してる?

実際に高卒で就職した先輩たちの声を聞いてみましょう。

「自分に向いた仕事をもっと知りたかった」

高卒で就職した社会人472名に「進路指導で学びたかった内容」を聞いたところ、上位に挙がったのは「自分に向いた仕事の理解」でした。働き始めてから「もっと自分のことを考えておけばよかった」と感じている人が多いのです(ジンジブ「高卒早期離職に関するアンケート調査」2021年)。

複数の会社を見た人は、仕事を続けている

職場見学で2社以上を見て比較した人と、あまり見なかった人では、仕事を続けている割合に明確な差があります。仕事を続けている人の45.8%が2社以上の職場見学に参加していたのに対し、3年以内に辞めた人で2社以上見ていたのは31%でした(ジンジブ「高卒早期離職に関するアンケート調査」2021年)。

自分を知って、複数の選択肢を比較して、納得して選ぶ。この流れが揃うと、入った後に「思ってたのと違う」と感じるリスクが減ります。

ピンときたものから、ひとつだけやってみて

自己分析には6つの方法があります。全部やる必要はありません。タイトルを見て「これ気になる」と思ったものをひとつ開いてみてください。

もっとじっくり「自分を知る」ってどういうことか知りたい人は、「自分を知るとは」のページも読んでみてください。好きと得意の違い、考えてもわからないことをやってみて発見する方法を解説しています。

案内する高校生

ここまで読んでくれたこと自体が、もう一歩目です

全部を一度にやらなくていいです。今日ひとつだけ、ピンときたものを開いてみてください。5分あればできるものもあります。

やりたいことがわからないのは、まだ自分に出会ってないだけです。自分のことを知ったら、見える景色が変わります。求人票の読み方も、職場見学で感じることも、面接で話す言葉も、全部変わります。

この記事のデータ出典

厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(令和7年10月24日公表)

リクルートワークス研究所「超早期離職問題」(全国就業実態パネル調査2020に基づく分析)

リクルートワークス研究所「高校生の就職とキャリアに関する調査」(2020年)

厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」

株式会社ジンジブ「高卒早期離職に関するアンケート調査」(2021年12月)

労働政策研究・研修機構(JILPT)「高等学校の進路指導とキャリアガイダンスの方法に関する調査結果」(平成29年)

マイナビ「2025年 高校生の進路意識と進路選択に関するアンケート調査」

エリクソンのライフサイクル理論(発達心理学)

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