やりたい・できる・必要 — 3つの輪
ここまでの自己分析で見つけた「好き」「得意」「大事にしたいこと」を、ひとつにまとめて方向性を見つけましょう。3つの輪で整理すると、頭の中がスッキリします。

なぜこれが大事?
これまでのメソッドで「好き」「得意」「価値観」がわかってきました。でもバラバラのままだと仕事選びに使いにくい。3つの輪で整理することで、「自分が進むべき方向」が見えてきます。

バラバラの自己分析を「ひとつの地図」にできる
モチベーショングラフで「好き」を見つけ、強み発見で「得意」を知り、価値観ランキングで「大事なもの」を決めた。でもそれぞれがバラバラだと「で、どうすればいいの?」になりがちです。3つの輪で整理すると、自分だけのキャリア地図になります。

3つのうち1つだけだと、どこかで苦しくなる
「やりたいこと」だけで選ぶと、生活が苦しくなるかもしれない。「できること」だけで選ぶと、やりがいを感じられないかもしれない。「求められていること」だけで選ぶと、自分を見失うかもしれない。3つのバランスを見ることが大事です。

「完璧な答え」じゃなくていい。方向性がわかればいい
3つが全部重なる夢の仕事を見つけることがゴールではありません。「だいたいこっちの方向」がわかるだけで十分。そして実際に動いてみて——職場見学、バイト、インターン——体験の中で軌道修正すればOKです。
やってみよう
スマホのメモ帳でOK。3つのリストを書き出すだけです。これまでの自己分析の結果を使いましょう。5分で終わります。

「やりたい(Will)」を書き出す
モチベーショングラフや自分史で見つけた「好きの正体」を書きます。「チームで何かを作り上げること」「自分で工夫できること」「深く調べること」「人と話すこと」——抽象的でOK。仕事の名前じゃなく「どういうことをしたいか」を。
「できる(Can)」を書き出す
強み発見や友達に聞いた結果を書きます。「教えるのがうまい」「整理が得意」「冷静」「人を和ませる」——自分の強みリスト。ここに「資格」や「スキル」も入れてOK。今は少なくても、これから増やせます。
「求められている(Must)」を書き出す
業界ガイドで見た「人手が足りない業界」「これから伸びる仕事」を書きます。製造業、建設業、IT、医療・福祉——求人倍率が高い業界は、あなたを必要としている業界です。地元で働きたいなら、地元で求人が多い業界を書きましょう。
3つのリストを眺めて、重なるところを探す
完全に重なる必要はありません。「チームで動くのが好き(Will)」×「人をまとめるのが得意(Can)」×「建設業は人手不足(Must)」——部分的でも重なりが見えたら、それがあなたの「方向性」です。
重ならなくても、近い方向を見つける
3つが全部重なる人のほうが珍しいです。2つ重なればラッキー。1つしかなくても、それを起点に残りを探せます。「Canから入って、やりながらWillを見つける」という順番もアリ。完璧を目指さなくてOK。
やってみるとこうなる

バスケ部のPさん(高2・女子)
Will:みんなで何かを作り上げること、人に教えること。Can:説明がわかりやすい、段取りが良い。Must:製造業が人手不足、地元に工場が多い。——「製造業でチームをまとめながら後輩を育てる仕事」が浮かんだ。
3つを並べたら「生産管理」や「品質管理のリーダー」という具体的な仕事のイメージが見えた。バスケとは全然関係ないけど、自分の「好き」と「得意」が活きる場所だった。

プログラミング好きのQくん(高1・男子)
Will:一人で没頭すること、問題を解くこと。Can:論理的に考えるのが得意、コードが書ける。Must:IT業界が79万人不足。——3つが全部IT業界を指していた。
こういうきれいに重なるケースもある。ただし「IT業界のどの仕事か」はまだわからない。プログラマー、テスター、ヘルプデスク——業界ガイドで「1日の流れ」を読んで、もっと具体的にイメージを膨らませたい。

バイト先のRさん(高3・女子)
Will:まだよくわからない。Can:人を安心させる力、聞く力。Must:医療・福祉が人手不足。——Willが空欄でも、CanとMustの2つが重なった。
「やりたいことがまだわからない」でも大丈夫。CanとMustの重なりから「とりあえずここから始めてみよう」ができる。やりながら「あ、これかも」とWillが見つかることは多い。
気づきのポイント
「やりたいこと」が空欄でも焦らなくていい。「できること」と「求められていること」の2つだけで十分スタートできます。やりたいことは、やっているうちに見つかることが多いです。
この3つの輪は一度きりじゃない。半年後、1年後にやり直すと結果が変わるかもしれません。それは成長した証拠。「今の自分はこう」を記録しておくことに意味があります。
3つ全部が重なる「完璧な仕事」は存在しないかもしれません。でもそれでいい。70%合っていれば十分。残りの30%は、入ってから自分で作っていくものです。
これがキャリア選びにどう繋がる?
3つの輪で方向性が見えたら、次は実際の仕事をのぞいてみる番です。 「方向性」を「具体的な仕事のイメージ」に変えましょう。
業界ガイド一覧では、製造業・建設業・IT・医療福祉・美容・小売の6つの業界を、 「1日の流れ」「身につくスキル」「キャリアステップ」「この仕事のリアル」まで詳しく紹介しています。
自分の3つの輪を頭に置きながら読んでみてください。 「この業界の、この仕事なら、自分のWillとCanが活きるかも」——そういう読み方ができるようになっているはずです。
そして、気になる業界が見つかったら——ゆめマガで実際の企業を見てみてください。 求人票には載っていない「職場の空気」「働く人の声」が、あなたの最終判断を助けてくれます。

このメソッドについて:Will / Can / Must(3つの輪)
ここでやったのは「Will / Can / Must」と呼ばれるキャリア設計のフレームワークです。やりたいこと(Will)、できること(Can)、世の中に求められていること(Must)の3つの観点で自分を整理する方法で、リクルート社が提唱したキャリアフレームワークとして日本で広く知られています。
企業の新入社員研修やキャリア面談でも頻繁に使われており、「自分は何がしたいか」だけでなく「何ができるか」「何が求められているか」の3軸で考えることで、現実的かつ納得感のあるキャリア選択ができるとされています。
この記事のデータ出典
リクルートマネジメントソリューションズ「Will-Can-Mustフレームワーク」
経済産業省「未来人材ビジョン」2022年(IT人材79万人不足予測)
厚生労働省「一般職業紹介状況」(業種別有効求人倍率)
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」令和2年3月卒





