指定校求人とは?手続き・3倍ルール・学校訪問のコツまで完全ガイド

指定校求人は、高卒採用で最も応募獲得につながりやすい方法です。公開求人との違い、具体的な手続き、3倍ルールの実態、そして学校訪問で先生に選ばれるためのコツを解説します。

1. 指定校求人と公開求人の違い

高卒採用の求人には「指定校求人」と「公開求人」の2種類があります。どちらもハローワークを通じて出しますが、届き先・応募者・先生の扱い方がまったく異なります。

項目指定校求人公開求人
届け先企業が指定した特定の高校のみ全国の高校(WEB公開)
配布方法企業が指定校へ持参 or 郵送高卒就職情報WEB提供サービスに掲載
申込書の設定「求人情報を公開しない」を選択「事業所名を含む求人情報を公開する」を選択
応募者指定校の生徒のみどの高校の生徒でも可
先生の優先度最も高い持参 > 郵送 > WEB の順で下がる
競合の多さ少ない(限定された企業のみ)多い(全国の企業と競合)

先生が求人票を見る順番

進路指導の先生は、以下の順番で求人票を確認し、生徒に紹介する傾向があります。

  1. 1. 指定校求人 — 自校を指定して届いた求人。最優先で生徒に紹介
  2. 2. 公開求人(持参) — 企業が学校訪問で直接持ってきた求人
  3. 3. 公開求人(郵送) — 郵送で届いた求人
  4. 4. 公開求人(WEB掲載のみ) — 最も優先度が低い

指定校求人は「御社がうちの学校の生徒をぜひ採りたい」という明確な意思表示です。先生にとって、その意思は信頼に直結します。

出典: 高卒採用Lab(ジンジブ)「指定校求人と公開求人ってどう違うの?」、秋田採用サポートナビ「先生のホンネも!高卒採用の公開求人と指定校求人の違いを徹底解説」、福島採用.com「指定校求人と公開求人の違いとは?」、ハローワーク名古屋中 学卒部門「求人公開の方法」

2. 指定校求人の手続き(6ステップ)

指定校求人の手続きは、通常の高卒求人の流れに「推薦依頼校」の設定が加わる形です。以下の6ステップで進めます。

STEP 1

求人申込書の「公開希望」欄で「公開しない」を選択

求人申込書(高卒)の「公開希望」欄で「求人情報を公開しない」にチェックします。これにより、求人票は高卒就職情報WEB提供サービスに掲載されず、指定した高校にのみ届きます。

STEP 2

「推薦依頼校」欄で「推薦依頼校のみ応募可能」と申し出る

ハローワーク窓口で、応募を推薦依頼校の生徒に限定する旨を伝えます。

STEP 3

「推薦依頼高校一覧」を作成・添付

ハローワークが提供する様式に、指定する高校名と推薦依頼人数を記入します。

記入する内容:

  • • 推薦依頼する高校名(正式名称)
  • • 各校への推薦依頼人数
  • • 求人条件にかかる特記事項欄に「推薦依頼総数●校●人(貴校 人)」と記入
STEP 4

管轄ハローワークに提出・受理印をもらう

6月1日以降に管轄のハローワークに求人申込書と推薦依頼高校一覧を提出します。ハローワークが内容を確認し、受理印を押して求人票が発行されます。

STEP 5

受理済み求人票を推薦依頼校の数だけコピー

受理印が押された求人票を、推薦依頼する高校の数だけコピーします。各校への推薦依頼人数を補足事項欄に記入しておきます。

STEP 6

7月1日以降、指定校を訪問して求人票を手渡す

7月1日の求人公開解禁後、できるだけ早く指定校を訪問して求人票を直接手渡します。7月1日〜12日に最優先校を訪問するのが理想的です。

郵送も制度上は可能ですが、指定校求人の効果を最大化するには持参が圧倒的に有利です(詳しくは「6. 学校訪問の進め方」で解説)。

ハローワークによって様式が異なる場合がある

推薦依頼高校一覧の様式や必要書類は、管轄のハローワークによって異なる場合があります。事前に管轄のハローワークに問い合わせて、必要書類を確認しておくことをおすすめします。

出典: 東京ハローワーク「新規高等学校卒業者の求人申込み手続きについて」、三重労働局「高卒求人手続きの流れ」、高卒採用Lab(ジンジブ)「ハローワークを通じた高卒求人・採用の流れ」、ハリケンナビ「高卒採用 求人申し込みのステップをプロが一から解説」

3. 「3倍ルール」とは

指定校求人には「3倍ルール」と呼ばれる慣習があります。これは募集人数の3倍までの高校を指定できるという暗黙のルールです。

募集人数指定校の上限(3倍)具体例
1名3校近隣の工業高校3校に絞って指定
2名6校工業高校3校 + 商業高校3校
5名15校地域の主要校を幅広くカバー

3倍ルールの注意点

  • 法的拘束力はない — 法律や省令で定められたルールではなく、業界の慣習です
  • 超えても違反にはならない — ただし、高校側から「本当にうちの生徒を採りたいのか?」と不信感を持たれる可能性があります
  • 地域差がある — この慣習が根強く残っている地域と、そうでない地域があります。求人を出す地域のハローワークに確認するのが確実です

3倍ルールが存在する理由

指定校求人は「御社の生徒をぜひ」という特別な意思表示です。指定校が多すぎると、「どこでもいいから人がほしいだけでは?」という印象を与えかねません。3倍ルールは、この「特別感」を維持するための慣習です。指定校求人の倍率が低く、高校が公開求人よりも優先的に推薦するのは、この特別感があるからこそです。

出典: ATTEME(アッテミー)「指定校求人の3倍ルールとは?」、福島採用.com「指定校求人と公開求人の違いとは?メリット・デメリットも解説」

4. 指定校求人のメリット・デメリット

企業側のメリット

先生からの推薦優先度が最も高い

先生は指定校求人を最優先で生徒に紹介します。公開求人(WEB掲載のみ)と比べて、生徒の目に触れる確率が圧倒的に高くなります。

校内選考で適切な生徒を推薦してもらえる

学校が校内選考を行い、企業の求める人材像に合った生徒を推薦してくれます。ミスマッチの減少につながります。

競合企業が少ない

公開求人では全国の企業と競合しますが、指定校求人では同じ学校を指定している限られた企業との競合に絞られます。

安定した採用パイプラインを構築できる

毎年同じ学校を指定し続けることで、学校との信頼関係が深まり、継続的な採用チャネルになります。

企業側のデメリット

出会いの幅が限定される

指定校以外の生徒との出会いの機会を失います。広く人材を探したい場合は、公開求人との使い分けが必要です。

3倍ルールによる学校数の制約

募集人数×3校までという慣習があり、大量に指定校を設けることは好まれません。ターゲット校の選定が重要になります。

応募が来る保証がない

指定校に希望する生徒がいなければ、応募はゼロです。特に募集職種と学科のミスマッチがあると、推薦が出にくくなります。

信頼関係がないと推薦してもらえない

先生は知らない企業の指定校求人を安易には推薦しません。採用実績や学校訪問の積み重ねが前提になります。

学校側のメリット

  • • 「この学校の生徒を採りたい」という明確な意思 → 安心して推薦できる
  • • 公開求人より倍率が低く内定しやすい → 進路指導の実績になる
  • • 校内選考の主導権がある → 生徒と企業のマッチングをコントロールできる

出典: 高卒採用Lab(ジンジブ)「指定校求人と公開求人ってどう違うの?」、福島採用.com「指定校求人と公開求人の違いとは?」、秋田採用サポートナビ「先生のホンネも!高卒採用の公開求人と指定校求人の違いを徹底解説」

5. 公開求人との併用はできる?

指定校求人と公開求人の併用は制度上は可能です。しかし、実務上は注意が必要です。

同時併用が非推奨な理由

  • • 先生が「うちの学校を指定してくれた」と思っていたのに、同じ求人がWEB公開されていると信頼が低下する
  • • 「指定校にしてくれたけど、結局どこでもいいのでは?」と特別感がなくなる
  • • 翌年以降の推薦に影響する可能性がある

推奨される運用:段階的切り替え

1

まず指定校求人として出す

2

指定校から十分な応募が集まらなかった場合 → 公開求人に切り替え

3

これは多くの企業が行う一般的な方法です

段階的切り替えであれば、指定校求人の「特別感」を維持しつつ、採用の間口を広げることができます。切り替える場合は、指定校の先生に事前に伝えておくとさらに信頼関係を損なわずに済みます。

出典: ATTEME(アッテミー)「高卒就職にある、独自の文化やルール」、秋田採用サポートナビ「先生のホンネも!高卒採用の公開求人と指定校求人の違いを徹底解説」

6. 学校訪問の進め方

指定校求人の効果を最大化するには、学校訪問が不可欠です。求人票の郵送のみの場合と学校訪問では、成果に大きな差があります。

学校訪問の効果(データ)

求人票を郵送のみ

約1%

職場見学獲得率

学校訪問(持参)

約15%

職場見学獲得率

学校訪問で職場見学率が約15倍に

スケジュール

時期活動内容
4月〜5月ターゲット校のリストアップ・情報収集
5月中旬〜下旬ハローワーク「学卒求人申込説明会」に参加
6月1日ハローワークに求人申込書を提出
7月1日〜12日求人票受取。最優先校を即訪問
7月12日以降その他の指定校を訪問
7月〜8月職場見学の受入れ
9月5日応募書類提出開始
9月16日選考開始

アポイントの取り方

  • 連絡先: 進路指導部長 or 進路指導主事に電話
  • 電話の時間帯: 全日制は10時〜11時頃が比較的つながりやすい
  • 伝える内容: 会社名、業務内容、「求人票を持参してご挨拶に伺いたい」旨

訪問の準備

訪問人数・人選

最大2名。推奨の組み合わせ:

  • • 社長 + 人事担当者
  • • 人事部長 + 高卒入社の若手社員

※ 高卒入社の若手社員がいると、先生にとって「生徒の将来像」がイメージしやすくなります

持参するもの

  • • 受理済み求人票
  • • 会社パンフレット
  • • 名刺
  • • 採用動画(約1分程度)があればなお良い

先生に伝えるべきこと

自社の強み3つ — 明確に言語化しておく。先生がそのまま生徒に伝えられるレベルで

求める人材像 — 「こういう生徒に合いそうです」と先生がイメージできる具体性が必要

OB・OGの活躍状況 — その学校の卒業生が在籍していれば、先生にとって最も信頼できる情報

職場見学の受入れ可否と日程 — その場で調整できると先生の負担が減る

出典: 高卒採用Lab(ジンジブ)「7月求人解禁!学校訪問におけるコツとポイント」、ハリケンナビ「高校訪問とは?目的やコツについて解説」、ATTEME(アッテミー)「発行された求人票のコピーを高校に郵送・持参する」

7. 成功パターンと失敗パターン

成功する企業の共通点

1. 量より質でターゲット校を絞る

3倍ルールの範囲内で、自社の業種・職種に合った学科を持つ高校を厳選しています。建設業なら土木・建築科、製造業なら機械科・電気科がある工業高校を優先的に指定します。

2. 7月を待たず4〜6月から動く

4月からターゲット校をリストアップし、5月のハローワーク説明会で最新情報を収集。6月1日に即座に申込を行い、7月1日には最優先校を訪問できる状態を作っています。

3. 継続採用の意思を明確に伝える

「今年だけでなく、来年以降もぜひ御校から採用したい」と伝えることで、先生は安心して生徒を推薦できます。

4. OB・OGの活躍情報を定期的に共有する

採用した生徒がどのように成長しているか、資格を取得したか、昇進したかを学校に報告しています。先生にとって、これが最も安心できる材料です。

5. 職場見学を積極的に受け入れる

職場見学は生徒が応募を決める重要な機会です。若手社員(できれば同じ学校の先輩)を案内役にすると、生徒が「自分もここで働ける」とイメージしやすくなります。

6. 入社後の育成体制を整え、離職を防ぐ

高卒就職者の3年以内離職率は全国平均37.9%です(厚生労働省、令和4年3月卒業者)。早期離職は翌年以降の推薦に直結して悪影響を与えます。メンター制度や段階的な研修プログラムで定着率を高めましょう。

よくある失敗パターン

WEB公開のみで学校訪問をしない

「WEBに載せれば先生が見てくれる」は大きな誤解です。WEB掲載のみの求人を生徒に紹介することは大変まれとの声があります。

3倍ルールを超えて指定校を出す

「特別に選んでくれた」という印象が薄れ、先生からの不信感につながります。

関係構築なしにいきなり指定校求人を出す

制度上は初めての学校でも指定できますが、先生が企業を知らなければ推薦にはつながりません。

学校訪問の時期が遅い

7月後半〜8月では、すでに主要企業の訪問が終わっています。先生の印象に残る「7月1日〜12日」に訪問できるかが勝負です。

指定校と公開求人を同時に出す

指定校求人の「特別感」が台無しになり、先生との信頼関係を損ないます。

入社後のフォローを怠る

早期離職は「あの企業に送った生徒が辞めた」として先生の記憶に残り、翌年以降の推薦に直結して悪影響を及ぼします。

求人票の仕事内容が抽象的

「製造業務全般」のような記載では、先生がどの生徒に勧めてよいか判断できません。「自動車部品の溶接・組立。入社後3ヶ月は先輩がマンツーマンで指導」のように具体的に書きましょう。

初めての学校に指定校求人を出したい場合

制度上は初めての学校でも指定校に設定できます。しかし、先生が企業を知らない状態では推薦につながりにくいのが現実です。初めての学校には、まず公開求人で求人票を持参して学校訪問を行い、関係を構築したうえで、翌年から指定校求人に切り替えるのが現実的な方法です。

出典: 高卒採用Lab(ジンジブ)「7月求人解禁!学校訪問におけるコツとポイント」、秋田採用サポートナビ「先生のホンネも!高卒採用の公開求人と指定校求人の違いを徹底解説」、厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」

8. よくある質問

Q1. 指定校求人は何校まで出せますか?

A. 慣習として「募集人数の3倍」までとされています(3倍ルール)。たとえば採用予定2名なら6校が上限の目安です。法的な上限はありませんが、超えると高校側から不信感を持たれる可能性があります。地域によって慣習の強さが異なるため、管轄のハローワークに確認することをおすすめします。

Q2. 初めての高校でも指定校求人を出せますか?

A. 制度上は可能です。しかし、先生が企業を知らない状態では推薦につながりにくいのが現実です。初めての学校には、まず公開求人で求人票を持参して学校訪問を行い、関係を構築してから翌年に指定校求人に切り替える方法が効果的です。

Q3. 指定校求人と公開求人を同時に出せますか?

A. 制度上は可能ですが、非推奨です。指定校の先生が「同じ求人がWEB公開されている」と知ると、信頼が低下する恐れがあります。まず指定校求人で出し、応募が集まらなければ公開求人に切り替える「段階的運用」が一般的です。

Q4. 指定校求人を出したのに応募が来ません。なぜですか?

A. 主な原因は以下の3つです。①先生との関係構築が不十分(知らない企業の求人は推薦しにくい)、②求人票の仕事内容が抽象的で先生がどの生徒に勧めてよいかわからない、③指定校の学科と求める人材のミスマッチ(普通科に製造職の求人を出しても応募は少ない)。学校訪問で先生と直接話し、改善点を聞くことが第一歩です。

Q5. 学校訪問のアポイントはどう取ればよいですか?

A. 進路指導部長(または進路指導主事)宛てに電話をします。全日制高校なら10時〜11時頃が比較的つながりやすい時間帯です。会社名、業務内容、「求人票を持参してご挨拶に伺いたい」旨を伝えます。7月1日以降にアポを取りますが、6月中に事前連絡しておくとスムーズです。

Q6. 推薦依頼高校一覧の様式はどこで入手できますか?

A. 管轄のハローワークで入手できます。様式はハローワークによって異なる場合があるため、事前に管轄のハローワークに問い合わせて必要書類を確認してください。一部のハローワーク(東京・岩手等)ではWebサイトからExcel形式でダウンロードすることも可能です。

データ出典

  • • 高卒採用Lab(株式会社ジンジブ)「指定校求人と公開求人ってどう違うの?」「7月求人解禁!学校訪問におけるコツとポイント」「ハローワークを通じた高卒求人・採用の流れ」
  • • ATTEME(株式会社アッテミー)「指定校求人の3倍ルールとは?」「高卒就職にある、独自の文化やルール」
  • • 秋田採用サポートナビ「先生のホンネも!高卒採用の公開求人と指定校求人の違いを徹底解説」
  • • 福島採用.com「指定校求人と公開求人の違いとは?メリット・デメリットも解説」
  • • 日本の人事部「高卒採用とは|指定校求人のルールを解説」
  • • ハローワーク名古屋中 学卒部門「求人公開の方法」
  • • 東京ハローワーク「新規高等学校卒業者の求人申込み手続きについて」
  • • 三重労働局「高卒求人手続きの流れ」
  • • ハリケンナビ「高卒採用 求人申し込みのステップをプロが一から解説」「高校訪問とは?目的やコツについて解説」
  • • 厚生労働省「令和7年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考期日等」
  • • 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」— 高卒3年以内離職率 37.9%

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