1. 高卒採用の「ゲートキーパー」は先生
大卒採用では、学生本人がリクナビやマイナビで企業を検索し、自分の意思で応募先を選びます。しかし高卒採用は根本的に構造が違います。
高卒採用の構造
- ・企業がハローワークに求人票を提出 → 高校に届く
- ・進路指導の先生が求人票を読み、生徒に合う企業を選んで紹介する
- ・生徒は先生に紹介された企業の中から応募先を決める
- ・企業が生徒に直接アプローチすることは禁止されている
高卒就職の80%以上は学校斡旋です。先生が「この会社を生徒に紹介しよう」と思わなければ、御社の求人票は高校生の目に触れることすらありません。
愛知県だけで38,700件の高卒求人が出されています(愛知労働局、令和7年3月卒)。先生のもとには膨大な数の求人票が届きます。その中から、先生は生徒一人ひとりに合う企業を選び出します。先生に知られていない企業は、存在しないのと同じです。
問い
御社の求人票は、先生の「推薦リスト」に入っていますか?入っていないとしたら、なぜか。それを構造的に解き明かすのが、この記事の目的です。
2. 先生はどう企業を選んでいるか — 「親のような目線」
先生は企業を「採用のパートナー」としてではなく、「18歳の生徒を送り出す親のような目線」で見ています。企業の知名度や規模よりも、「この会社なら生徒を安心して送り出せるか」が判断基準です。
先生が確認している項目
| 項目 | 先生の判断 |
|---|---|
| 離職率・定着実績 | 過去に送った生徒が辞めていないか。辞めていれば「もう紹介できない」 |
| 研修・育成体制 | 18歳を育ててもらえるか。「研修なし」は大きなマイナス |
| 給与・休日 | 生徒が安定した生活を送れるか。年間休日104日未満は敬遠される |
| 仕事内容のわかりやすさ | 「どの生徒に合うか」を判断できるか。抽象的な記載では紹介できない |
| 企業との信頼関係 | 担当者と会ったことがあるか。実績があるか。知らない企業は推薦しにくい |
| 資格取得支援 | 成長意欲のある生徒の紹介先として重要。「絶対に書いてほしい」という声も |
出典: ジンジブ「高卒採用Lab」/ アクシスグループ(先生インタビュー)/ プレシキSCHOOL
ここで気づくことがあります。先生の判断基準は「求人票に何が書いてあるか」だけではありません。「この企業を知っているか」「信頼できるか」「過去に生徒を送って問題がなかったか」という、求人票の外にある情報が大きく影響しています。
3. 「推薦されない企業」の5つの共通パターン
先生に推薦されない企業には、共通するパターンがあります。自社が当てはまっていないか、確認してください。
パターン① — WEB掲載だけで待っている
高卒求人票をハローワークに出し、「高卒就職情報WEB提供サービス」に掲載しただけで待っている企業は、先生にとって最も優先度が低い存在です。
| 優先度 | 求人票の届き方 |
|---|---|
| 1 | 指定校求人(自校を指名) |
| 2 | 公開求人(企業が学校に直接持参) |
| 3 | 公開求人(郵送) |
| 4 | 公開求人(WEB掲載のみ) |
出典: 秋田採用サポートナビ(先生インタビュー)
「WEBに求人票を掲載しているだけでは、自然に検索してもらえるわけではなく、応募を得るためのPR活動は必須」(秋田採用サポートナビ)。先生は膨大な求人票の中から生徒に合う企業を探しています。わざわざWEBで知らない企業を検索する余裕はありません。
パターン② — 学校訪問をしていない
求人票の郵送と学校訪問では、結果が15倍違います。
郵送のみ
約1%
職場見学につながる率
学校訪問
約15%
職場見学につながる率
出典: ジンジブ「高卒採用Lab」
先生にとって、会ったことがある企業と会ったことがない企業では、推薦のしやすさがまったく違います。「この会社の担当者は誠実だった」「どんな生徒を求めているか直接聞いた」— そうした情報は、求人票の文字からは読み取れません。
パターン③ — 過去に送った生徒が辞めている
高卒就職者の3年以内離職率は37.9%(厚生労働省、令和4年3月卒)。約4割が3年以内に辞めています。
先生にとって、自分が推薦した生徒が辞めることは非常に重い出来事です。「あの会社に送ったのは間違いだったのか」という思いが残り、翌年以降その企業を推薦することに慎重になります。逆に、送った生徒が定着して活躍していれば、「また来年もお願いしたい」と安心して推薦できます。
早期離職は、その年の採用が失敗するだけでなく、翌年以降の推薦パイプラインが閉じることを意味します。
パターン④ — 「採用実績がないから訪問しない」の悪循環
「うちはこれまで高卒採用をしたことがないから、学校訪問しても相手にされないのでは」。この考えが、最も多い機会損失の原因です。
実績がない → 訪問しない → 先生に知られない → 推薦されない → 応募が来ない → 実績ができない → やっぱり訪問しない…。この悪循環は、誰かが最初の一歩を踏み出さない限り永遠に回り続けます。
先生は新規の企業訪問を歓迎しています。実績がないことは問題ではありません。「初めてですが、生徒を大切に育てたい」と誠実に伝えれば、先生は聞いてくれます。
パターン⑤ — 訪問のタイミングが遅い
高卒採用のスケジュールは非常にタイトです。9月5日に応募開始、9月16日に選考開始。多くの生徒は9月末までに就職先を決めます。
求人票が公開される7月1日〜12日が最も重要な時期です。この期間に訪問しなければ、先生の中で「今年の推薦先候補」がすでに固まってしまいます。7月後半〜8月に訪問しても、主要な企業に先を越されている可能性が高いのです。
4. 「選ばれる企業」がやっていること
先生に推薦される企業には、共通する行動パターンがあります。特別な予算や知名度が必要なわけではありません。
7月1日〜12日に最優先校を訪問する
求人票を受け取ったら即日〜12日以内にターゲット校を訪問。就職希望者が多い高校ほど早く動く必要があります。進路指導部長 or 進路指導主事にアポを取り、求人票を直接手渡す。この「最初の接点」が全ての起点です。
「どんな生徒に来てほしいか」を具体的に伝える
先生は「この企業にはどんな生徒が合うか」を知りたがっています。「元気な人」「やる気のある人」ではなく、「機械に興味がある生徒」「コツコツ作業が得意な生徒」と具体的に伝えることで、先生は「あの生徒に合うかもしれない」とマッチングを始められます。
職場見学を積極的に受け入れる
学校訪問で先生と信頼関係を作ったら、次は職場見学の受け入れです。生徒が実際の職場を見ることで「ここで働きたい」というイメージが固まります。入社前と入社後のギャップが減り、定着率の向上にも直結します(ジンジブ調べ:入社後のイメージが「良い意味で変わった」定着者48.6%、離職者23.0%)。
OB/OGの活躍を先生に報告する
過去に採用した生徒が元気に働いている。資格を取った。リーダーになった。そうした情報を先生に伝えることで、「あの会社に送ってよかった」という確信が生まれます。翌年の推薦に直結する、最も強い信頼の材料です。
入社後の育成体制を整える
採用して終わりではありません。高卒1年以内の離職率は17.9%(厚生労働省)。メンター制度、段階的なOJT、資格取得支援など、18歳が安心して成長できる環境を用意すること。それが「離職を出さない → 翌年も推薦がもらえる」という循環を生みます。
選ばれる企業の共通点
特別な企業ではありません。「毎年誠実に続けることで、『安心して生徒を紹介できる会社』という評価が積み重なっていく」(匠ベース)。知名度ではなく、継続と誠実さが信頼を作ります。
5. 学校訪問が初めてでも始められる — 具体的なステップ
「学校訪問なんてやったことがない」。それでも問題ありません。以下のステップで始められます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4〜5月 | ターゲット校のリストアップ。自社の業種に関連する学科がある高校を調べる |
| 5月中旬 | ハローワーク主催の「学卒求人申込説明会」に参加 |
| 6月1日 | ハローワークに求人申込書を提出 |
| 7月1日〜12日 | 求人票を受け取り、最優先校を即訪問。この期間が最重要 |
| 7月中旬〜8月 | 職場見学の受け入れ |
| 9月5日 | 応募書類の提出開始 |
アポイントの取り方
- ・電話先: 高校の代表番号 → 「進路指導部長」または「進路指導主事」に繋いでもらう
- ・電話の時間帯: 全日制なら10時〜11時頃が最適
- ・伝える内容: 会社名、事業内容、「求人票をお持ちしてご挨拶に伺いたい」
持参するもの
- ・受理済みの求人票
- ・会社パンフレット(あれば)
- ・名刺
- ・採用動画(約1分程度、あればなお良い)
先生に伝えるべきこと
- ・自社の事業内容と強み(3つに絞る)
- ・具体的にどんな生徒に来てほしいか(先生がマッチングできるように)
- ・入社後の育成体制(メンター制度、資格支援等)
- ・OB/OGがいれば、その活躍状況
- ・職場見学の受入れが可能であること
訪問人数と組み合わせ
訪問は最大2名が適切です。おすすめの組み合わせは「社長(または人事責任者)+ 高卒入社の若手社員」。先生にとって、実際に高校から入社して活躍している社員の姿は、何よりの信頼材料です。
6. 先生との関係は「1回の訪問」では終わらない
学校訪問は「1回行けば終わり」ではありません。先生との信頼関係は、継続的な接点の積み重ねで築かれます。
「選ばれる循環」の構造
この循環が回り始めれば、毎年安定して高卒人材を採用できるようになります。しかし、循環を回すには「先生との接点を年に1回の訪問だけに頼らない」ことが重要です。
訪問以外の接点を持つ方法
紙媒体(就活情報誌)で学校に届く
企業の紹介ページが毎月学校に届けば、年に1回の訪問だけでは伝えきれない「企業の日常」「社員の声」「職場の空気」を先生と生徒に届け続けることができます。先生の机に物理的に届き、先生の手を経由して生徒に渡る — 広告ではなく「情報」としての信頼性があります。
動画で職場の雰囲気を見せる
文字では伝わらない職場の空気、先輩社員の表情、仕事の現場。1分程度の採用動画があれば、学校訪問時に先生に見せることも、生徒に見てもらうこともできます。入社前後のギャップを減らし、定着率の向上にもつながります。
採用専用のWebサイトで「調べたい人」に応える
先生や保護者は、気になった企業をネットで調べます。コーポレートサイトだけでは「採用情報」が見つからないことも多い。採用に特化したWebサイトがあれば、「調べたら情報が出てきた」→「ちゃんとした会社だ」という安心感を与えられます。
生徒が家に持ち帰れるもの
高卒採用では保護者の意向も大きく影響します。求人票は保護者の手元には届きません。しかし、生徒が教室で受け取った情報誌を持ち帰れば、保護者の目にも触れます。「知らない会社」を「見たことがある会社」に変える。それだけで保護者の不安が軽減されます。
「先生に選ばれる」の本質
先生に選ばれるために必要なのは、特別な能力でも大きな予算でもありません。「先生と接点を持ち、信頼を積み重ね、送った生徒を大切にする」。この当たり前のことを、継続してやり続ける企業が選ばれます。そしてその継続を支える手段として、学校訪問だけでなく、紙媒体・動画・Webを組み合わせることが有効です。
7. よくある質問
Q. 採用実績がゼロでも学校訪問して大丈夫ですか?
大丈夫です。先生は新しい企業の訪問を歓迎しています。「初めて高卒採用に取り組みます」と正直に伝え、自社の事業内容、どんな生徒に合いそうか、育成体制について説明すれば、先生は真剣に聞いてくれます。大切なのは実績ではなく、誠実さです。
Q. 学校訪問は毎年必要ですか?
はい。先生は毎年の訪問で企業の情報を更新しています。1年だけ訪問して翌年来なければ、「もう採用する気がないのかもしれない」と判断されます。「毎年誠実に続けることで、安心して生徒を紹介できる会社という評価が積み重なる」(匠ベース)。継続が信頼の土台です。
Q. 先生が重視するのは給与ですか?研修ですか?
どちらも重要ですが、先生が最も気にするのは「この会社に送った生徒が幸せに働けるか」という総合的な判断です。給与・休日が安定していること、研修や育成体制があること、離職率が低いこと。これらが揃って初めて「安心して推薦できる」となります。一つだけ突出しても、他が欠けていれば推薦に至りません。
Q. 求人票の改善だけで先生に選ばれるようになりますか?
求人票の改善は必要条件ですが、十分条件ではありません。先生は求人票の内容だけでなく、「この企業を知っているか」「直接会ったことがあるか」「送った生徒が定着しているか」で判断します。求人票の改善と学校訪問は、セットで取り組んでください。求人票の書き方については「高卒求人票の書き方」で詳しく解説しています。
Q. 応募が来ない原因は先生の問題だけですか?
いいえ。先生との関係は重要な要素の一つですが、高卒採用で応募が来ない原因は複合的です。求人票の書き方、届け方、企業の認知度、保護者への情報到達など、複数の壁が絡み合っています。全体像については「高卒採用で応募が来ない?4つの壁と突破法」をご覧ください。
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