富山県の高卒求人倍率推移【2017〜2026年】
石川・福井・新潟との比較分析
富山県の高卒求人倍率は、2021年のコロナ禍での一時的な落ち込みを除き、一貫して上昇を続けています。2023年以降は急激な上昇を見せ、2026年には3.39倍(1999年の統計開始以来最高)に達しました。この背景には、医薬品・化学産業を中心とする製造業の旺盛な採用需要と、少子化による就職希望者数の減少という2つの構造的な要因があります。
1. 求人倍率推移(2017〜2026年)
富山県 新規高卒求人倍率の推移(各年7月末現在・富山労働局)
| 年度(3月卒) | 求人数 | 就職希望者数 | 求人倍率 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| 2017(H29) | 3,012人 | 1,892人 | 1.59倍 | +0.10 |
| 2018(H30) | 3,298人 | 1,845人 | 1.79倍 | +0.20 |
| 2019(H31) | 3,615人 | 1,801人 | 2.01倍 | +0.22 |
| 2020(R2) | 3,580人 | 1,762人 | 2.03倍 | +0.02 |
| 2021(R3) | 2,650人 | 1,710人 | 1.55倍 | -0.48 |
| 2022(R4) | 2,980人 | 1,685人 | 1.77倍 | +0.22 |
| 2023(R5) | 3,890人 | 1,620人 | 2.40倍 | +0.63 |
| 2024(R6) | 4,580人 | 1,580人 | 2.90倍 | +0.50 |
| 2025(R7) | 5,050人 | 1,560人 | 3.24倍 | +0.34 |
| 2026(R8) | 5,253人 | 1,548人 | 3.39倍 | +0.15 |
出典:富山労働局「新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況」(各年7月末現在)
2. 隣接県・全国平均との比較
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 富山県 | 3.39倍(過去最高) | 化学(医薬品)・生産用機械・金属製品 | 北陸トップ水準・統計開始以来最高 |
| 石川県 | 約2.5〜3.0倍 | 機械・繊維・食品 | 北陸3県で2位水準 |
| 福井県 | 約2.5〜3.0倍 | 繊維・眼鏡・化学 | 県内就職率が高い |
| 新潟県 | 約2.0〜2.5倍 | 金属加工・食品・機械 | 製造業中心・日本海側最大規模 |
| 全国平均 | 約2.78倍 | — | — |
つまり:富山県の高卒求人倍率3.39倍は全国平均2.78倍の約1.2倍。企業にとっては1人の高校生を3社以上で奪い合う売り手市場です。
3. 求人倍率が高い理由3つ
1. 医薬品・化学産業の旺盛な採用需要
富山県の製造品出荷額は3兆6,518億円で、特に化学(医薬品)が全体の21.4%を占めています。「くすりの富山」として知られる医薬品産業を中心に、生産用機械(12.5%)・金属製品(11.0%)など多様な製造業が高卒人材を求めています。産業別就職では製造業が989人(全体の61%)を占め、圧倒的な求人源となっています。
2. 少子化による就職希望者数の減少
2017年に1,892人いた就職希望者数は、2026年には1,548人に減少(約18%減)。富山県の人口は約98.6万人で、2024年には76年ぶりに100万人を割り込みました。高校生人口の減少と大学進学率の上昇が重なり、就職市場に出てくる高校生が年々減っています。
3. 県内就職率94.7%が生む県内企業間の激しい競争
富山県の高卒県内就職率は94.7%(全国2位・7年連続)と極めて高く、全国平均82.0%を大きく上回ります。県外からの人材流入が限定的なため、限られた1,548人の就職希望者を県内企業同士で取り合う構造が、求人倍率を押し上げています。
4. 2030年予測シミュレーション
現状のトレンドが続いた場合、2030年の富山県高卒求人倍率は4.0〜4.5倍に達する可能性があります。
| 年度 | 求人数(予測) | 希望者数(予測) | 倍率(予測) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2027(R9) | 約5,400人 | 約1,500人 | 約3.6倍 | 現状維持シナリオ |
| 2028(R10) | 約5,500人 | 約1,450人 | 約3.8倍 | 少子化加速シナリオ |
| 2030(R12) | 約5,700人 | 約1,350人 | 約4.0〜4.5倍 | 人口76万人時代・医薬品需要継続 |
採用戦略への示唆:富山県の人口は2050年に約76万人まで減少すると推計されています。2030年に向けて採用環境はさらに厳しくなる見通しです。今から採用ブランディング・学校との関係構築・インターンシップなど長期的な採用基盤を構築することが企業の競争力につながります。
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データ出典:
- 富山労働局「新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況」(各年7月末現在)
- 厚生労働省「職業安定業務統計」
- 富山県公式:新規高卒者就職状況



