富山県の高校生数・卒業生数推移と2030年予測|少子化時代の高卒採用戦略
富山県教育委員会・文部科学省データに基づく最新分析
富山県は「くすりの富山」として知られる医薬品産業をはじめ、多様な製造業が集積する「ものづくり県」です。しかし、2024年に76年ぶりに人口100万人を割り込み、少子化の波は確実に押し寄せています。令和7年3月卒の就職者は1,422人、県内就職率94.7%(全国2位・7年連続)という「県内完結型」の市場構造の中、限られた高卒人材の争奪戦が激化しています。本記事では、最新の卒業者数・就職者数の推移を分析し、2030年に向けた採用戦略を解説します。
1. 富山県の卒業者数・就職者数の推移
富山県の高校卒業者数は、全国的な少子化傾向の影響を受けて減少が続いています。2024年には県人口が76年ぶりに100万人を割り込み、人口減少の深刻さが顕在化しました。
卒業者数・就職者数の推移(2020年〜2025年)
富山県の令和7年3月卒業者数は7,776人、そのうち就職希望者は1,424人、実際の就職者は1,422人(就職率99.9%)です。
| 年度 | 卒業者数(人) | 就職者数(人) | 就職率 |
|---|---|---|---|
| 令和2年 (2020) | 約8,500 | 約1,600 | — |
| 令和3年 (2021) | 約8,350 | 約1,570 | — |
| 令和4年 (2022) | 約8,200 | 約1,540 | — |
| 令和5年 (2023) | 約8,050 | 約1,500 | — |
| 令和6年 (2024) | 約7,900 | 約1,460 | — |
| 令和7年 (2025) | 7,776 | 1,422 | 99.9% |
※ 2020〜2024年の値は推計。2025年(令和7年3月卒)は富山県公式確定値。
富山県の特徴
富山県は人口約98.6万人(2025年推計)で、2024年に76年ぶりに100万人を割り込みました。将来推計では2050年に約76万人まで減少する見通しです。製造業を中心とした雇用吸収力は高いものの、人口規模の小ささから就職希望者数の絶対数が限られており、採用競争は年々激化しています。
2. 学科別就職状況と県内就職率
富山県の高卒就職市場では、学科別の就職状況に大きな特徴があります。工業科を筆頭に、専門学科の就職率はいずれも100%という驚異的な数字です。
学科別就職者数と就職率(令和7年3月卒)
| 学科 | 就職者数(人) | 就職率 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 工業科 | 665 | 100% | 最多・製造業への就職が中心 |
| 普通科 | 379 | 99.2% | 多様な業種へ就職 |
| 商業科 | 170 | 100% | 事務・サービス業中心 |
| 農業科 | 61 | 100% | 農業・食品加工等 |
| 水産科 | 30 | 100% | 水産加工・関連産業 |
| 合計 | 1,422 | 99.9% | 卒業者7,776人のうち就職希望1,424人 |
出典:富山県「令和7年3月新規高等学校卒業者の就職状況」確定値
県内就職率の高さ
県内就職率94.7%(全国2位・7年連続)
全国平均82.0%を大幅に上回る県内定着率
3. 少子化が高卒採用に与える影響
富山県は2024年に76年ぶりに人口100万人を割り込み、少子高齢化の影響が特に深刻です。高卒採用市場にはすでに確実な影響が出ています。具体的に3つの観点から解説します。
影響1:求人倍率の上昇が続く
就職希望者数(分母)が減少する一方、製造業を中心とした求人数(分子)は高水準を維持しています。富山県の高卒求人倍率はすでに3.39倍(1999年の統計開始以来最高)に達しており、1人の高校生を3社以上が奪い合う状況です。少子化が進めばこの倍率はさらに上昇します。
影響2:工業科卒業生の争奪戦
富山県の工業科就職者は665人(就職率100%)で、製造業にとって最も重要な人材供給源です。しかし、少子化に伴い工業高校の定員も見直しが進んでおり、即戦力となる工業科卒業生の確保競争はますます激しくなります。
影響3:大手企業の高卒採用枠拡大
大学新卒の採用が困難になる中、YKKグループをはじめとする大手企業が高卒採用枠を拡大する動きが見られます。ブランド力と待遇で優位に立つ大手との競合が増え、中小企業にとっては「応募すら来ない」リスクが高まります。
富山県の現状
求人倍率3.39倍 — すでに激戦
人口100万人割れ — 「選ばれる企業」しか採用できない時代へ
4. 2030年に向けた企業の対策
国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」によると、富山県の人口は2050年に約76万人まで減少する見通しです。企業が今から取り組むべき対策を5つ提案します。
※ 以下の2030年予測値は、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」に基づく推計であり、確定値ではありません。
| 項目 | 2025年 | 2030年(推計) | 増減率(推計) |
|---|---|---|---|
| 県人口 | 約98.6万人 | 約92万人 | ▼約6.7% |
| 卒業者数 | 7,776人 | 約7,000人 | ▼約10.0% |
| 就職者数 | 1,422人 | 約1,250人 | ▼約12.1% |
※ 2030年の値は国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」等に基づく推計値です。実際の値は経済状況や政策変更により変動する可能性があります。
工業高校・商業高校との早期パイプライン構築
求人票を送るだけでなく、インターンシップ・出前授業・工場見学を通じて高校1・2年生から関係を構築。富山県は工業科就職者が665人(就職率100%)と最大の人材供給源であり、工業高校への早期アプローチが最優先です。
職場見学・インターンシップの質の向上
高校生に「ここで働きたい」と思わせる体験設計が重要。先輩社員との座談会、実際の作業体験、食堂・休憩室の紹介など、待遇面だけでなく「職場の雰囲気」を伝える工夫をしましょう。
SNS・動画を活用した企業ブランディング
Instagram・TikTokでの職場紹介、YouTube での社員インタビュー動画など、求人票では伝わらない魅力を発信。高校生はスマホで情報収集する世代です。
定着率向上による口コミ効果
高卒入社の先輩が長く活躍していれば、後輩の高校生への最大のPRになります。メンター制度・キャリアパス明示・資格取得支援など、定着率向上が最強の採用施策です。
多様な人材チャネルの開拓
高卒新卒だけに頼らず、第二新卒・女性・外国人材など採用チャネルを多角化。少子化が進む中、採用ポートフォリオの分散がリスクヘッジになります。
5. エリア別の高校分布と採用市場の特徴
富山県内の高校は、地域ごとに産業構造と連動した特徴を持っています。自社の所在エリアや採用ターゲットエリアの高校分布を把握しておくことが重要です。
| エリア | 主要産業 | 採用の特徴 |
|---|---|---|
| 富山市エリア | 医薬品・化学・IT・サービス | 県都で企業数・高校数ともに最多。医薬品メーカーが集積し競争が激しい。 |
| 高岡・射水エリア | アルミ加工・銅器・化学・機械 | 伝統産業と製造業が融合。工業高校からの就職者が多い。 |
| 砺波・南砺エリア | 機械・金属加工・木工・農業 | 地元志向が特に強い。中小製造業の採用チャンスが比較的大きい。 |
| 黒部・魚津・滑川エリア | ファスナー(YKK)・電子部品・水産 | YKKグループとの競合あり。大手にない魅力で差別化が必要。 |
| 氷見・小矢部エリア | 水産加工・繊維・農業 | 地元密着型企業が中心。高校生の県外流出防止が課題。 |
エリア選定のポイント
- ✔富山市エリア:競争が最も激しいが、高校数も多い。医薬品以外の業種はチャンスあり。
- ✔高岡・射水エリア:ものづくり企業が多く、工業高校との連携が鍵。
- ✔黒部・魚津エリア:YKK系との差別化が必要だが、地元密着企業は有利なポジション。
6. よくある質問
Q. 富山県の高校卒業者数は現在何人ですか?
A. 令和7年3月卒業者数は7,776人で、就職希望者1,424人のうち1,422人が就職(就職率99.9%)しています。県内就職率は94.7%(全国2位・7年連続)です。
Q. 富山県の高卒就職者数と県内就職率は?
A. 就職者数は1,422人、県内就職率は94.7%(全国2位・7年連続、全国平均82.0%)です。工業科665人(100%)、普通科379人(99.2%)、商業科170人(100%)が主な就職者です。
Q. 2030年に向けて富山県の高卒採用市場はどう変わりますか?
A. 人口は2050年に約76万人まで減少すると推計されています。2024年に100万人を割り込んでおり、就職希望者数の減少は確実です。早期からの対策が重要です。
Q. 少子化時代に中小企業が高卒採用で勝つには?
A. 工業高校・商業高校との早期パイプライン構築、職場見学の充実、SNSを活用した企業ブランディング、定着率向上が有効です。
Q. 富山県の学科別就職状況はどうなっていますか?
A. 工業科665人(就職率100%)が最多。商業科170人(100%)、農業科61人(100%)、水産科30人(100%)と専門学科はいずれも100%です。
7. まとめ|富山県の高卒採用市場を勝ち抜くために
富山県は医薬品・化学・金属加工など高付加価値製造業が集積する「ものづくり県」ですが、人口100万人割れという深刻な少子化が進行しています。就職者数1,422人、県内就職率94.7%(全国2位)という「県内完結型」の市場構造は、県内企業同士の競争激化を意味します。
- データに基づく中長期計画:「今年は運が悪かった」ではなく、構造的な減少を前提とした採用計画を立てる。
- 学校との関係構築が最重要:工業高校・商業高校への早期訪問、インターンシップの充実で「選ばれる企業」になる。
- 定着率向上が最大の採用施策:先輩社員の活躍が最強のPR。辞めない組織を作ることが、次の採用につながる。
2030年に向けて採用市場は確実に厳しくなります。今から準備を始めた企業だけが、少子化時代を勝ち抜くことができます。
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