島根県 小売・サービス業の
高卒採用ガイド
離職率64.7%——「採っても辞める」悪循環を断ち切る
正直に書きます。宿泊業・飲食サービス業の高卒就職者の3年以内離職率は64.7%(厚生労働省、令和4年3月卒データ)。3人採用して、3年後に残っているのは1人。全業種で最も高い数字です。
この現実を隠して「素晴らしい仕事です」と言っても意味がありません。先生も保護者もこの数字を知っています。だからこそ小売・サービス業への就職を勧めることに慎重になるのです。
しかし、島根県の小売・サービス業は従業者54,034人を抱え、出雲大社605万人・石見銀山(世界遺産)・玉造温泉の観光需要を支える基幹産業です。この業界が人を採れなくなったら、島根県の観光と地域経済が回らなくなる。
この記事では、離職率64.7%という現実を前提にした上で、「それでも人を採る」「そして今度は辞めない仕組みを作る」ための具体策を解説します。採用と定着は分けて考えません。定着しない採用は、穴の空いたバケツに水を注ぐのと同じだからです。
1. 高校生と先生がこの業界を避ける3つの理由
敵を知らなければ戦えません。まず、高校生・保護者・先生がこの業界を敬遠する理由を正確に理解してください。
理由1:「バイトの延長でしょ」
高校生にとって小売・サービス業は「バイトでやってる仕事」です。コンビニ、ファミレス、スーパー——バイトとして経験している分、「正社員になっても同じ仕事では?」と思われています。保護者も同じです。「正社員ならもっと安定した仕事に就いてほしい」。この「バイトの延長」イメージを壊さない限り、応募は増えません。
理由2:「休みがない・シフトが不規則」
製造業は土日休み。建設業も現場が休む日がある。でも小売・サービス業は土日祝が稼ぎ時。友達と休みが合わない、正月もGWも働く。18歳にとってこれは相当なデメリットです。嘘をついて採用しても、現実を知った瞬間に辞めます。
理由3:「将来が見えない」
製造業なら「技能検定→班長→工場長」。建設業なら「施工管理技士→現場代理人→独立」。資格と昇進の道筋が見える。小売・サービス業は「スタッフ→リーダー→…?」。先が見えない仕事に、保護者は子どもを送り出したくありません。
つまり、やるべきことは3つ
1.「バイトとは違う」を証明する。2. シフトの現実を正直に伝えた上で、その中での働きやすさを示す。3. 5年後・10年後のキャリアを具体的に描く。この3つに答えられなければ、どれだけ学校訪問しても応募は来ません。
2. 「バイトと何が違うの?」——この質問に即答できるか
先生にも保護者にも、この質問を必ずされます。「正社員は責任がある」「やりがいがある」では答えになりません。数字で差を見せてください。
| 比較項目 | アルバイト | 正社員(自社の場合) |
|---|---|---|
| 月収 | 時給×勤務時間(手取り10〜12万円程度) | 基本給○万円+各種手当=月額○万円(※自社の数字を入れる) |
| 賞与 | なし | 年2回、○ヶ月分(※前年実績) |
| 社会保険 | なし or 条件付き | 健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険 完備 |
| 退職金 | なし | あり(勤続○年以上) |
| 有給休暇 | 法定のみ(取りづらい) | 初年度○日、取得率○% |
| 昇給 | なし or 時給10〜30円UP | 年1回、平均○円/月(※前年実績) |
| キャリア | 時給が上がるだけ | スタッフ→リーダー→副店長→店長→本部 |
| 住宅支援 | なし | 社宅○円/月 or 家賃補助○円(※あれば) |
この表を自社の数字で埋めて、学校訪問に持参してください
「正社員(自社の場合)」の列に具体的な数字が入っていなければ意味がありません。基本給、賞与の実績、退職金の有無、家賃補助——自社の本当の数字を入れてください。書けない項目がある場合、それは「制度がない」ということです。制度を作ることが先かもしれません。
3. シフトと休日——嘘をつかず、工夫で答える
「土日祝は休めます」と嘘を書いて採用しても、入社後にギャップで辞めるだけです。小売・サービス業が土日祝に忙しいのは事実であり、それを隠す必要はありません。
大事なのは、「その中でどう働きやすくしているか」を具体的に伝えること。
年間休日数を明記する
「年間休日105日(月8〜9日、シフト制)」。数字が書いてあるだけで印象が変わる。「シフト制」の一言だけでは不安を与える
シフト確定のタイミングを伝える
「翌月のシフトは前月15日までに確定」。予定が立てられるかどうかは生活の質に直結する。直前にシフトが変わる職場は若手が真っ先に辞める理由になる
連休の取得実績を示す
「夏季・年末年始に各5日間の連休取得実績あり」「希望休は月2日まで申請可能」。友達と遊べる休みがあることは18歳にとって大きな意味を持つ
繁忙期と閑散期を正直に説明する
出雲大社周辺は10月(神在月)が最繁忙期。玉造温泉はGWと夏休みがピーク。繁忙期は忙しいが、閑散期は有給を取りやすい——このメリハリを正直に伝えることが信頼につながる
「平日休みだから病院や役所に行ける」「混んでいない時期に旅行に行ける」——平日休みのメリットを高校生に伝えるのも有効です。ただし、それは嘘のない休日情報を開示した上での話です。
4. 「5年後の自分」を見せる——キャリアパスの設計
製造業は「5年で技能検定2級」、建設業は「5年で施工管理技士」、医療福祉は「3年で介護福祉士」。どの業種も資格という明確なマイルストーンがあります。小売・サービス業はここが弱い。
だからこそ、自社独自のキャリアパスを設計して見せる必要があります。資格がなくても、ポジションと年収で示せばいい。
| 入社からの年数 | ポジション | 身につくスキル | 取得可能な資格(任意) |
|---|---|---|---|
| 1年目 | スタッフ | 接客の基本、商品知識、レジ・在庫管理 | サービス接遇検定3級 / リテールマーケティング検定3級 |
| 2〜3年目 | フロアリーダー / シフトリーダー | 後輩指導、売場づくり、クレーム対応 | サービス接遇検定2級 / 食品衛生責任者 |
| 4〜5年目 | 副店長 / チーフ | 売上管理、人員配置、発注業務、本部との連携 | リテールマーケティング検定2級 / 衛生管理者 |
| 6年目〜 | 店長 / エリアマネージャー | 店舗経営、PL管理、採用、マーケティング | 独立開業も視野に |
この表に各ポジションの年収目安を入れられるなら入れてください。「店長になれば年収○万円」は、保護者の不安を最も効果的に払拭する情報です。
島根県の観光業で働く意味——「出雲大社を支えている」
出雲大社の参道の土産物店、玉造温泉の旅館、松江城の観光案内——島根県の観光資源は全国的に知られていますが、それを現場で支えているのはサービス業の従業員です。「日本の文化遺産を世界中のお客様にお見せする仕事」。この誇りは、「バイトの延長」というイメージを覆す力を持っています。ただし、これを語るのは待遇とキャリアパスを示した後です。誇りだけでは飯は食えません。
5. どの学校を訪問すべきか
小売・サービス業は商業高校が最も直接的な供給源ですが、普通科の就職希望者も有力な候補です。製造業・建設業と同じ工業高校を奪い合うのではなく、商業高校と普通科に集中するのが現実的な戦略です。
| あなたの業態 | 訪問すべき学校 | 知っておくべきこと |
|---|---|---|
| 小売(スーパー・ドラッグストア・専門店) | 松江商業 / 出雲商業 / 浜田商業 | 簿記・販売の基礎を学んだ生徒が多い。レジ・在庫管理・売場づくりの即戦力候補 |
| 宿泊(旅館・ホテル) | 松江商業 / 出雲商業 / 普通科(松江・出雲エリア) | 接客スキルを持つ商業高校生に加え、普通科の「人と接する仕事がしたい」層もターゲット |
| 飲食(レストラン・カフェ) | 出雲農林(食品科学科)/ 各地の普通科 | 食品科学科は調理の基礎を学んでいる。普通科からも飲食志望者は一定数いる |
| 観光案内・ガイド | 各地の普通科(特に出雲・松江エリア) | 地元の歴史や文化に興味がある生徒。語学力があればインバウンド対応もできる人材に |
| 事務・経理 | 松江商業 / 出雲商業 / 情報科学高校 | 簿記・情報処理の資格を持つ生徒。バックオフィスの即戦力 |
学校訪問で必ず持参するもの
前述の「バイトとの比較表」と「キャリアパス表」を自社の数字で埋めたものを必ず持参してください。先生が一番知りたいのは「この会社に教え子を送ったら、バイトとは違う人生を歩めるのか」です。学校訪問の具体的な進め方は学校訪問マニュアルで詳しく解説しています。
6. 辞めさせない仕組み——採用と定着はセット
離職率64.7%の業界で採用だけに力を入れても意味がありません。「辞めない仕組み」を先に作り、その仕組みが機能している状態で採用する。この順番が正しいです。
定着の詳細は早期離職防止ガイドで解説していますが、小売・サービス業に特に重要なポイントを3つ挙げます。
入社1か月間の「特別期間」を設ける
高卒新入社員の最初の1か月は、仕事を覚えることより「職場に居場所がある」と感じてもらうことが優先です。先輩がつきっきりで教える、毎日5分の振り返り面談をする、困ったことを聞ける空気を作る。最初の1か月を乗り越えた子は、3か月、半年と続く確率が格段に上がります。
クレーム対応を一人にさせない
小売・サービス業で若手が辞める理由の上位に「お客様からのクレーム対応」があります。18歳がいきなり怒っている大人に対応するのは精神的に非常に厳しい。「クレームは必ず先輩か店長が対応する」というルールを明文化し、新人に周知してください。「助けてもらえる」という安心感が定着の土台になります。
「できるようになったこと」を本人に気づかせる
接客業は「できて当たり前」と思われがちで、成長を実感しにくい仕事です。月に一度、上司が「先月と比べてこう成長した」と具体的にフィードバックしてください。「レジの対応速度が上がった」「お客様からお褒めの言葉をいただいた」——小さな成功体験の積み重ねが、仕事への意味づけになります。
よくある質問
Q. 離職率が高い業界でも、先生は生徒を推薦してくれますか?
A. 先生が見ているのは「業界の離職率」ではなく「その会社の離職率」です。「うちの会社の過去3年の高卒社員の定着状況はこうです」と具体的に示せれば、業界全体の数字に惑わされずに推薦してくれます。逆に、自社の定着状況を説明できないなら、まず定着率の改善が先です。
Q. 製造業や建設業と同じ高校を訪問しても勝てないのでは?
A. 工業高校ではその通りです。だからこそ小売・サービス業は商業高校と普通科に集中すべきです。商業高校の生徒は製造業にはほとんど行きません。同じ高校でも学科が違えば競合しないのです。
Q. 繁忙期(出雲大社の神在月・GW等)の人員確保はどうすればいいですか?
A. 正社員の採用だけで繁忙期を乗り切るのは現実的ではありません。正社員は通年の基盤を支え、繁忙期はパート・アルバイトで補完する体制が現実的です。正社員には「繁忙期は忙しいが、閑散期に連休が取れる」というメリハリを正直に伝えてください。
Q. 小売・サービス業の高卒採用で使える補助金はありますか?
A. 島根県の「採用ブランディング支援補助金」(上限75万円・補助率1/2)でPR動画や採用サイトを制作できます。「インターンシップ支援補助金」(上限50万円)で高校生に接客体験をしてもらう場を作ることも有効です。詳しくは補助金ガイドをご確認ください。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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データ出典:
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(宿泊業・飲食サービス業 64.7%)
- 経済センサス-活動調査 島根県分(従業者数54,034人)
- 島根県観光動態調査 令和5年(延べ観光客数3,019万人、消費額1,143億円)



