島根県の高卒社員 早期離職防止ガイド
辞めたら島根に戻らない。だから「辞めさせない」が最優先の経営課題
せっかく採用した高校生が半年で辞めた。学校に顔向けできない。また一から採用活動をやり直さなければならない——この経験がある方、あるいは今まさにその不安を抱えている方のための記事です。
高卒就職者の3年以内離職率は37.9%(厚生労働省、令和4年3月卒データ)。3人に1人以上が3年以内に辞めています。しかし島根県では、この数字以上に深刻な問題があります。
島根県で辞めた若者は、広島・大阪・東京に流出します。県内の転職先が限られるため、「辞める=県外に出る」のです。そして一度出てしまうと、島根に戻ってくる確率は極めて低い。つまり島根県では「離職=人材の永久喪失」です。求人倍率3.27倍の中で新たに1人採用するのがどれだけ大変か、あなたは身をもって知っているはずです。
だからこそ、「辞めさせない仕組み」を作ることは、「採用する」こと以上に重要な経営課題です。この記事では、入社1日目から1年目まで、時期ごとに何をすべきかを具体的に解説します。
1. 高卒社員はなぜ辞めるのか——3つの本当の理由
対策を打つ前に、なぜ辞めるのかを正確に理解してください。「根性がない」「今の若者は…」で片付けると、同じ失敗を繰り返します。
理由1:職場に居場所がない
離職理由で最も多いのは「職場の人間関係」です。18歳が親世代の上司や先輩だけの環境に放り込まれると、話しかけていいのかもわからず、孤立します。
島根県の中小企業では高卒の同期入社がゼロということが珍しくありません。話し相手がいない。相談できる人がいない。「自分はここにいていいのか」という不安が膨らみ、ある日突然「辞めます」と言い出す。
対策の方向:「一人にしない」体制を作る。年齢の近い先輩をメンターとして配置し、毎日声をかける。
理由2:「思っていたのと違う」
求人票の情報だけで入社を決めた結果、現実とのギャップに苦しむケースです。「残業は少ないと書いてあったのに毎日2時間」「きれいな工場だと思ったら別の現場だった」。
これは企業側の責任です。求人票に嘘を書いた、職場見学でいい部分だけ見せた、入社前に仕事の大変な面を伝えなかった——入社前の情報提供の質が、入社後のギャップを決めます。
対策の方向:採用段階で仕事の良い面も大変な面も正直に見せる。職場見学では「普段の姿」を見せる。
理由3:「この先が見えない」
SNSで県外に出た友人や大学に行った友人の生活を見て、「自分はこのままでいいのか」と感じ始めます。特に入社半年〜1年目で、仕事にも慣れてマンネリ化し始めた頃が危険です。
「この会社にいても将来が見えない」「3年後に自分がどうなっているか想像できない」——キャリアパスが不透明な会社から、若者は離れていきます。
対策の方向:「2年目はこうなる、3年目はこう、5年後はこう」を具体的に示す。資格取得、昇進、給与の上昇カーブを見せる。
2. 入社1年目の「危険マップ」——いつ、何をすべきか
離職リスクは時期によって大きく変わります。「気づいたら辞めていた」のではなく「この時期は危ないから、このフォローをする」と先手を打つのが定着率向上の鍵です。
以下のチェックリストを人事担当者と上司で共有してください。
| 時期 | 危険度 | 本人の心の中 | あなたがやるべきこと |
|---|---|---|---|
| 内定〜入社前 | 中 | 期待と不安が混在。「本当にこの会社でいいのか」 | 内定者懇親会を開く / 職場を複数回見せる / 先輩社員と会わせる / 定期的に連絡する |
| 入社〜2週間 | 高 | 環境が激変。「覚えることが多すぎる」「誰に聞けばいいかわからない」 | メンター(年齢近い先輩)を紹介 / 毎朝「困ってることある?」と声をかける / 最初の2週間のスケジュールを紙で渡す |
| 1ヶ月(GW前後) | 最高 | 五月病。「やっぱり合わない」「辞めたい」。GWで友人の話を聞いて比較が始まる | メンターとの面談を週1で継続 / 小さな成功を見つけて褒める / 保護者に「順調です」と報告する / GW明け初日は特に注意して声をかける |
| 3ヶ月 | 高 | 試用期間の区切り。「自分は成長しているのか」「仕事がつまらない」 | 本採用決定を伝えて安心させる / 3ヶ月間の成長を具体的にフィードバック / 次の3ヶ月の目標を一緒に決める |
| 6ヶ月 | 中 | SNSで県外の友人と比較。「あっちの方が楽しそう」「自分は正しい選択をしたのか」 | 昇給シミュレーションを提示(島根の生活コストの低さも添えて) / 資格取得の提案 / キャリアパス面談 |
| 1年 | 中 | マンネリ化。「このままでいいのか」「他の仕事も見てみたい」 | 新しい業務や役割を与える / 後輩指導役を任せる / 1年間の成果を振り返る場を作る / 2年目の目標を設定 |
期待と不安が混在。「本当にこの会社でいいのか」
- •内定者懇親会を開く
- •職場を複数回見せる
- •先輩社員と会わせる
- •定期的に連絡する
環境が激変。「覚えることが多すぎる」「誰に聞けばいいかわからない」
- •メンター(年齢近い先輩)を紹介
- •毎朝「困ってることある?」と声をかける
- •最初の2週間のスケジュールを紙で渡す
五月病。「やっぱり合わない」「辞めたい」。GWで友人の話を聞いて比較が始まる
- •メンターとの面談を週1で継続
- •小さな成功を見つけて褒める
- •保護者に「順調です」と報告する
- •GW明け初日は特に注意して声をかける
試用期間の区切り。「自分は成長しているのか」「仕事がつまらない」
- •本採用決定を伝えて安心させる
- •3ヶ月間の成長を具体的にフィードバック
- •次の3ヶ月の目標を一緒に決める
SNSで県外の友人と比較。「あっちの方が楽しそう」「自分は正しい選択をしたのか」
- •昇給シミュレーションを提示(島根の生活コストの低さも添えて)
- •資格取得の提案
- •キャリアパス面談
マンネリ化。「このままでいいのか」「他の仕事も見てみたい」
- •新しい業務や役割を与える
- •後輩指導役を任せる
- •1年間の成果を振り返る場を作る
- •2年目の目標を設定
入社後1ヶ月が全てを決める
離職データが示す通り、1年目の離職の中で最も多いのは入社直後〜GW前後です。この1ヶ月を乗り越えた社員は、3ヶ月、半年、1年と続く確率が格段に上がります。経営者として、この1ヶ月だけは何を差し置いても新人のフォローを最優先にしてください。
3. 具体的な定着施策——島根県の中小企業でもできること
メンター制度——「一人にしない」ための仕組み
離職理由1位の「人間関係」に直接対応する最も効果的な施策です。島根県の中小企業では同期がゼロのケースが多いからこそ、メンターの効果は大きい。
- •誰をメンターにするか:入社3〜5年目の先輩が理想。年齢が近いほど話しやすい
- •何をするか:週1回15分の面談。業務の話ではなく「困ってることはない?」「体調はどう?」
- •メンターへのケア:メンター役にも負担がかかる。上司がメンターをフォローする体制を
キャリアパスの見える化——「3年後の自分」を見せる
「この会社にいても将来が見えない」が離職の引き金になります。逆に言えば、見えれば辞めない。
- •1年目→3年目→5年目→10年目の役職・スキル・年収モデルを紙に書いて渡す
- •資格取得のロードマップを示す(費用は会社負担)
- •高卒入社でリーダーや管理職になった先輩がいれば、その人の話を聞かせる
- •半年ごとに「できるようになったこと」を一緒に振り返る
保護者との連携——18歳の後ろには親がいる
高卒社員は18歳です。「辞めたい」と最初に相談するのは上司ではなく親。親の反応が離職の可否を左右します。親を味方にできれば、離職の防波堤になります。
- •入社1ヶ月で保護者に「順調に頑張っています」と報告する(手紙が最も効果的)
- •3ヶ月目で「こんなことができるようになりました」を写真付きで送る
- •島根県のコミュニティでは、保護者の「あの会社は良い」という口コミが次の採用にも繋がる
「手取り額」と「島根の生活コスト」を教える
初任給の手取り額を見て「少ない」とショックを受ける若手は多いです。額面と手取りの違い、社会保険の意味を入社時に丁寧に説明してください。
加えて、島根県の生活コストの低さを具体的に伝えてください。家賃3〜5万円は東京の1/3以下。車があれば生活は成り立つ。「手取り16万円」は東京の「手取り25万円」と同じ生活水準であることを、数字で示しましょう。
4. それでも辞めてしまったとき——学校への報告が次の採用を決める
どれだけ手を尽くしても、辞める人はいます。そのとき最も重要なのは学校への報告です。ここでの対応が、来年以降の採用を左右します。
絶対にやってはいけないこと
報告しないこと。先生は辞めた事実を知ります。島根県の小さなコミュニティでは、いずれ必ず伝わります。報告しなかった場合、先生は「隠した」と受け取り、二度と生徒を推薦してくれなくなります。辞めた事実よりも「報告しなかったこと」の方が信頼を傷つけます。
正しい報告の仕方
- •タイミング:退職が決まったら、できるだけ早く先生に電話する
- •伝える内容:「○○さんが退職されました。原因は△△だと認識しています。今後は□□という改善を行います」
- •自社の責任を認める:「本人に問題があった」とは言わない。たとえそう思っても、先生にとって教え子を否定されることほど不快なことはない
- •改善策を必ず伝える:「同じことが起きないよう、○○の体制を整えました」。先生はこの言葉を聞きたい
- •次の採用をお願いするのは後:報告の場で「来年も推薦してください」は絶対に言わない。改善を実行してから、改めて訪問する
誠実な報告が信頼を守る——場合によっては深める
「辞めたのに報告に来る会社」は、先生にとって珍しい存在です。多くの企業は気まずさから報告を避けます。だからこそ、正直に報告し改善策を伝える企業は「この会社は誠実だ」と先生の記憶に残ります。離職が起きても、対応次第で信頼を失わずに済む。場合によっては以前より深い信頼を得られることすらあります。
よくある質問
Q. 高卒社員が「辞めたい」と言い出したらどうすればいいですか?
A. まず「話を聞く」ことです。「なぜ辞めたいのか」を責めずに聞いてください。理由が人間関係なら配置転換やメンター変更、労働条件なら改善可能か検討、仕事のミスマッチなら業務の変更。すぐに引き留めようとせず、本人の声に真剣に耳を傾けることが第一歩です。
Q. メンター制度を導入したいが、社員が少なくてメンターになれる人がいません。
A. 入社3〜5年目の先輩がいない場合は、社長や上司がその役割を担ってください。重要なのは「年齢が近い」ことではなく「定期的に声をかけて、話を聞いてくれる人がいる」ことです。週1回15分の面談を続けるだけでも効果があります。
Q. 島根県の生活コストの低さをどう伝えればいいですか?
A. 「手取り16万円でも、家賃3万円のアパートに住んで車を持てる。東京で同じ生活をするには手取り25万円必要」——このような具体的な比較を、数字で見せてください。初任給の手取り額と生活費のシミュレーションを入社時の研修で提示するのが効果的です。
Q. 離職率を下げるために最も効果的な施策は何ですか?
A. 入社後1ヶ月間の「一人にしない」体制が最も効果的です。メンター配置、毎日の声かけ、週1の面談。この1ヶ月を乗り越えた社員はその後も続く確率が高い。5つの施策を全部やるのが理想ですが、まず1ヶ月間のフォローだけでも始めてください。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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データ出典:
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(令和4年3月卒・3年以内離職率37.9%)
- 島根労働局「高校新卒者の求人・求職・内定状況」



