若者流出と U ターン採用
香川県の構造に向き合う — 20 代転出超過 2,214 人・県内大学進学率 17%
香川県の 20 代転出超過は年間2,214 人(2023 年・住民基本台帳人口移動報告)。社会増減全体の約 80% を占めます。さらに、香川県の大学進学者のうち県内大学進学率は約 17%(文部科学省 学校基本調査)。残り 83% は県外大学へ進学し、そのまま県外で就職するケースが多数です。
この構造は、地元中小企業にとって「採用市場の構造的縮小」を意味します。「県外に出た 83% を呼び戻す」のは難しい。むしろ「県内に残る 17% をどう採るか」+「U ターン採用の入口を作る」の両輪が現実解です。
構造を直視する
「若者を呼び戻す」幻想を捨てる
香川県の若者は、大学進学のタイミングで関西圏・首都圏に出ます。香川大学・四国学院大学などの定員規模では、県内の進学希望者を吸収しきれません。一度県外に出た若者の大半は、そのまま県外で就職を決めます。
この流れを個別企業の採用活動で逆転させることはできません。中小企業ができることは 2 つに絞られます。
中小ができる 2 つの打ち手
- •(1) 高校卒業時の就職組を確実に押さえる — 17% の県内大学進学者ではなく、その手前で就職する高校生こそが採用の主軸。県外に出る前の最後の接点
- •(2) U ターン採用の入口を作る — 第二新卒・既卒・転職市場で、東京圏移住支援補助金や帰省時会社説明会などの仕掛けで戻ってきたい人を拾う
U ターン採用の具体的入口
県外に出た若者をいつ・どう拾うか
1. 帰省時の会社説明会(盆・正月)
県外に出た香川出身者が一斉に戻る時期に、UI ターン向けの会社説明会を開催。実家にいる間に「地元の選択肢」を見せる。新卒採用とは別枠で第二新卒・既卒も受け入れる体制を作る。
2. 東京圏移住支援補助金の積極活用
2 人以上世帯 100 万円・単身 60 万円・18 歳未満の子 1 人につき 100 万円加算。対象条件は「東京 23 区に直近 10 年で通算 5 年以上在住」「転入前に連続 1 年以上 23 区在住」など。求人票に「補助金対象事業所」と明記して、東京で働く香川出身者の目に留まる仕掛けを作る。
3. ワークサポートかがわとの連携
高松市サンポート 2-1 マリタイムプラザ高松 2 階のワークサポートかがわは UI ターン支援の総合窓口。地元中小企業として登録すれば、UI ターン希望者とのマッチング機会が得られます。
4. SNS で「地元」を見えるように発信
東京で働く香川出身者は、Instagram・X・LinkedIn で地元情報を断片的に追っています。地元中小企業の SNS が「地元に残った先輩の充実した働き方」を発信していれば、選択肢として記憶されます。
5. 地元高校時代の先生ネットワークを使う
香川は学校と企業の関係が密接。地元高校の先生に「うちで働きたい OB・OG がいたら紹介してください」と継続的に伝えておくと、進路変更・U ターン希望の卒業生の情報が回ってきます。
高校卒業時の就職組を逃さない
U ターンよりも確実な採用機会
U ターン採用は重要ですが、確率と再現性で言えば高校卒業時の就職組の方が圧倒的に勝負しやすいのが現実です。県外に出た 83% を呼び戻すコストと、地元高校から 1 人採るコストでは、後者が桁違いに低い。
高校卒業時の就職組を逃さないために:
- •学校訪問を年 4 回定例化(4 月・7 月・10 月・3 月)。先生との信頼関係なしには応募は来ません
- •「地元に残る価値」を保護者にも訴求。実家から通える・親も安心・地元の人脈が活きる、を明示
- •地域コミュニティへの参加。地元の祭り・町内会・商工会で「あの会社」として認知される
- •定着率を上げる仕組み。採った 1 人が辞めると、次の応募が来なくなる連鎖を防ぐ
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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