教師・講師という仕事
教えることで人を育てる人
「わかった!」——その瞬間の表情を見るのが好きな人がいる。勉強を教える、スポーツを教える、仕事のやり方を教える。「教える」にはいろんな形がある。学校の先生になるには大学が必要だけど、「教える仕事」は高卒でもできる。


この仕事って何?
教師・講師は、知識や技術を人に伝え、その人の成長を支える仕事です。学校の教員だけが「教える仕事」ではありません。学習塾、スポーツクラブ、企業研修、職業訓練——「教える」が求められる場所はたくさんあります。
「わかった」を生み出す仕事
知識をただ伝えるだけではなく、相手が「わかった」「できるようになった」と実感できるまで支える。一人ひとりのペースや理解度に合わせて、伝え方を変えていくのがプロの講師です。
学校の先生だけじゃない「教える仕事」
学習塾の講師、スポーツインストラクター、パソコン教室の先生、企業の研修担当——「教える」を仕事にできる場所は学校以外にもたくさんあります。高卒で始められるものも多いです。
人の成長に立ち会える
教える仕事の最大の特徴は、目の前の人が成長していく過程を見届けられること。テストの点が上がった、できなかった技ができるようになった——その変化を一緒に喜べるのは「教える仕事」ならではです。
こんな人に向いてる
教える仕事は「勉強が得意な人」よりも「相手の立場に立てる人」に向いています。こんなタイプの人は講師として力を発揮できるかもしれません。
- 人に何かを教えるのが好き。友達に勉強を教えた経験がある
- 面倒見がいいと言われる
- 子どもが好き、または人と接するのが好き
- 忍耐力がある。相手がわかるまで何度でも説明できる
- 「どう伝えたらわかりやすいか」を考えるのが好き
- 人の成長を見ると自分も嬉しくなるタイプ
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高卒で、なれるの?
なれます。高卒で「教える仕事」に就くことはできます。学校教員になるには大学卒業と教員免許が必要ですが、学習塾の講師やスポーツインストラクター、企業の研修担当は高卒でも始められます。将来的に通信制大学で教員免許を取得する道もあります。
厚生労働省の調査によると、医療・福祉業界(教育系サービスを含む)の高卒初任給は196,900円です。学習塾業界の場合、授業のコマ数や教室の規模によって収入が変わりますが、正社員で入社すれば安定した収入を得ながらスキルを磨くことができます。
学習塾業界は経済産業省の特定サービス産業動態統計調査によると、年間売上高が約4,800億円規模の市場です。少子化が進む一方で、一人あたりの教育費は増加傾向にあり、個別指導や専門特化型の塾の需要は堅調です。「教える力」がある人材は常に求められています。
高卒でスタートしても、将来的に通信制大学で教員免許を取得する道も開かれています。文部科学省によると、通信課程で教員免許を取得できる大学は全国に複数あり、働きながら学ぶことが可能です。塾講師としての実践経験は、教員になった後も大きな強みになります。
196,900円
高卒初任給(医療・福祉系)
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査
4,800億円
学習塾業界の市場規模
経済産業省 特定サービス産業動態統計調査
49.2%
教育・学習支援 3年以内離職率
厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況
なるためのルート
高卒→学習塾(アルバイト→正社員)
大手学習塾チェーンや地域密着型の個別指導塾で、まずはアルバイト講師からスタート。教え方を学びながら正社員登用を目指します。塾業界は実力主義の面が強く、生徒からの評判が良ければ早くチャンスをもらえます。
スポーツクラブのインストラクター
フィットネスクラブやスイミングスクール、体操教室などで指導者として働きます。自分が得意なスポーツを活かせるうえ、子どもから大人まで幅広い年齢層を教える経験が積めます。資格取得支援がある施設も多いです。
企業の研修担当 / 職業訓練指導
企業内で新入社員研修やスキルアップ研修を担当する仕事。接客業や製造業の現場で経験を積んだ後に異動するケースが多いです。「現場を知っている人」が教えるからこそ説得力があります。
将来的に通信制大学で教員免許を取得
働きながら通信制大学に通い、教員免許を取得する道もあります。塾講師としての実践経験を持つ教員は、授業力が高いと評価されることが多いです。時間はかかりますが、学校教員になる夢を諦めなくていい道です。
ある1日の流れ
学習塾の講師1年目の1日を紹介します。午前中は教材準備や事務作業、午後から夜にかけて授業が中心です。塾講師ならではの生活リズムがあります。
出勤・教材準備
今日の授業で使うプリントの準備、前回の授業の振り返りノートを確認します。生徒一人ひとりの理解度に合わせた準備が大事。
教材研究・テスト作成
新しい単元の教え方を研究したり、確認テストを作成したりする時間。「どう教えたらわかりやすいか」を考えます。
授業準備・教室清掃
教室の準備、ホワイトボードのチェック、パソコンやプロジェクターのセッティングを行います。
小学生の授業(1コマ目)
小学生向けの授業。算数や国語を中心に、楽しみながら理解できるよう工夫します。褒めて伸ばすのが基本。
中学生の授業(2コマ目)
中学生向けの授業。定期テスト対策や受験対策が中心。生徒のやる気を引き出すのも講師の大事な仕事です。
休憩
次の授業までの準備をしつつ、軽い食事を取ります。
高校生の授業(3コマ目)
高校生向けの授業。大学受験対策など、より専門的な指導が求められます。
生徒対応・質問受付
授業後に残って質問する生徒の対応。「ここがわからない」に丁寧に答えます。この時間が一番信頼関係を築ける。
保護者連絡・報告書作成
生徒の学習状況を保護者に報告。面談の日程調整や、成績の推移をまとめます。
退勤
塾講師は夜型の勤務が多いのが特徴。朝はゆっくりできるのがメリットです。
※ 学習塾(個別指導型)の例です。スポーツインストラクターや企業研修担当では勤務時間帯が大きく異なります。
身につくスキル
教える仕事を通じて身につくスキルを紹介します。これらの力は「教える」以外の仕事にも幅広く活きます。
- わかりやすく伝える力——難しいことを相手のレベルに合わせて説明する力。プレゼンや営業にも通じるスキルです
- 忍耐力・粘り強さ——生徒が理解するまで、角度を変えて何度も伝える。諦めずに向き合い続ける力が身につきます
- 観察力——「この生徒は今日元気がないな」「ここでつまずいているな」と気づく力。人の変化を見逃さない目が養われます
- 教材作成スキル——わかりやすいプリント、テスト、資料を作る力。情報を整理して伝わる形にする技術はどこでも使えます
- コミュニケーション力——生徒、保護者、同僚——さまざまな立場の人と信頼関係を築く力。教える仕事の土台です
キャリアステップ
教える仕事のキャリアは、「現場で教え続ける」道と「マネジメントに進む」道の両方があります。講師としての実力を高めてカリスマ講師になる人もいれば、教室運営や経営に進む人もいます。教える力はどんな業界でも求められるため、キャリアの選択肢は思った以上に広いです。
講師(見習い〜一人前)
先輩講師のサポートを受けながら授業を担当。教え方のコツ、生徒との接し方を実践で学びます。最初はうまくいかなくて当たり前。
年収250〜300万円
教室長 / 主任講師
教室全体の運営を任されるポジション。講師のシフト管理、生徒募集、保護者対応、売上管理など、教える以外の仕事も増えます。
年収320〜420万円
エリアマネージャー / カリキュラム開発
複数教室を統括するマネージャー、または教材やカリキュラムの開発に携わるポジション。教育の「仕組みづくり」に関わります。
年収400〜550万円
本部スタッフ / 独立開業
塾本部で経営や人材育成に関わる道、自分の塾を開業する道、あるいは教員免許を取得して学校教員に転身する道もあります。
年収500〜700万円以上
この仕事のリアル
教育・学習支援業の高卒3年以内離職率は49.2%——約2人に1人が3年以内に辞めている(厚生労働省 令和3年3月卒業者)
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
塾講師の仕事で一番つらいのは、生徒の成績がなかなか上がらないときです。一生懸命教えても、テストの点数に反映されないことがある。「自分の教え方が悪いのではないか」と自信を失う瞬間は誰にでもあります。でも、すぐに結果が出なくても、半年後、1年後に「あのとき教えてもらったことがわかった」と言ってもらえることもあります。
また、塾講師は夕方から夜の勤務が中心です。退勤が22時を過ぎることも珍しくありません。友人と生活リズムが合わなくなることもあります。講習期間中(夏期・冬期)は特に忙しく、朝から夜まで授業が入ることもあります。
それでも多くの講師が続けている理由は、「わかった!」の瞬間に立ち会えるから。目の前の生徒が「できなかったこと」を「できるようになる」瞬間、志望校に合格して泣いて喜ぶ姿——その瞬間がこの仕事を続ける原動力になっています。
塾・教育系の会社を選ぶときのチェックポイント
研修制度があるか(いきなり授業を任せるのではなく、模擬授業やロープレで練習させてもらえるか)
正社員登用の実績があるか(アルバイトからスタートする場合、正社員になれた人がどれくらいいるか)
生徒一人あたりの担当数は適切か(一人で大人数を見る環境だと、質の高い指導が難しくなる)
保護者対応のサポート体制があるか(クレーム対応を一人で抱え込まない仕組みがあるか)
先輩たちの「やっててよかった」
教える仕事で感じるやりがいを紹介します。
生徒の「わかった!」の瞬間。目の前で理解の光がつく表情を見られるのは、教える仕事だけの特権です。
成長を長期間にわたって見届けられる。入塾したときは勉強嫌いだった生徒が、半年後に「先生のおかげで勉強が好きになった」と言ってくれる。
教えることで自分も学べる。「どう説明したらわかりやすいか」を考え続けることで、自分の理解も深まっていきます。
卒業した生徒が「先生のおかげです」と報告に来てくれる瞬間。何年後かに成長した姿を見せてもらえるのが最高のご褒美。
この仕事がある業界
教師・講師が活躍できる業界を見てみよう。
この記事のデータ出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」
文部科学省「学校基本調査」


