介護・看護という仕事
人の暮らしを支える人
「おじいちゃん、おばあちゃんのお世話をする仕事」。そんなイメージだけで終わらせるにはもったいない仕事がここにある。無資格・高卒から始められて、資格を取るたびにキャリアが広がっていく。人生の最期まで寄り添える、数少ない仕事を見てみよう。


この仕事って何?
介護・看護の仕事は、病気や障がい、加齢によって日常生活に支援が必要な人をサポートする仕事です。「きつい」というイメージが先行しがちですが、資格制度がしっかりしていて、キャリアアップの道がはっきり見えるのも大きな特徴です。
生活そのものを支える仕事
食事、入浴、着替え、移動——日常生活のあらゆる場面で支援を行います。「その人らしい生活」を守るために、一人ひとりに合わせたケアを考えます。
介護と看護、2つの入り口
介護職員は日常生活の支援が中心。看護助手は病院で看護師のサポートを行います。どちらも高卒・無資格で始められるポジションがあります。
資格を取るたびにステップアップ
初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネジャーと、段階的に資格を取ることでキャリアも給料も上がっていきます。働きながら取れる資格ばかりです。
こんな人に向いてる
介護・看護の仕事は、特別な能力よりも「人に関わりたい」という気持ちが原動力になります。こんなタイプの人が活躍しています。
- 人の世話をするのが苦にならない。むしろ好き。
- おじいちゃん・おばあちゃんと話すのが好き
- 困っている人を見ると「なんとかしたい」と思う
- 体を動かす仕事がしたい(デスクワークより動き回りたい)
- チームで協力して働くのが好き
- 「ありがとう」と言われるとうれしくなるタイプ
実際に覗いてみよう!

高卒で、なれるの?
なれます。介護職は高卒・無資格でも始められる数少ない専門職です。特別養護老人ホーム、デイサービス、訪問介護など、活躍の場はたくさんあります。人手不足が深刻な業界なので、求人も豊富です。
厚生労働省の調査によると、医療・福祉業界の高卒初任給は196,900円です。介護職は無資格でも始められますが、介護福祉士の資格を取ると手当がつき、月収が数万円上がるケースが一般的です。処遇改善加算の制度もあり、国をあげて待遇改善が進んでいます。
介護業界の有効求人倍率は3.84倍(厚生労働省 令和5年度)。つまり、1人の求職者に対して約4件の求人があるということ。「選ばれる側」ではなく「選ぶ側」になれる業界です。就職先に困ることはまずありません。
一方で、医療・福祉業界の高卒3年以内離職率は49.2%と高い水準にあります。体力的な負担、夜勤、人間関係——離職の理由はさまざまですが、職場選びを慎重にすることでかなり防げます。「入りやすい」業界だからこそ、入る前にしっかり見極めることが大切です。
196,900円
高卒初任給(医療・福祉)
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査
3.84倍
有効求人倍率(介護関連)
厚生労働省 令和5年度
49.2%
医療・福祉 3年以内離職率
厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況
なるためのルート
高卒→介護施設に就職(無資格OK)
特別養護老人ホーム、デイサービス、グループホームなどに就職。無資格・未経験でも採用してくれる施設が多いです。入社後に研修を受けながら仕事を覚えます。
初任者研修→実務者研修→介護福祉士
働きながら段階的に資格を取得。初任者研修(約130時間)→実務者研修(約450時間)→実務経験3年+介護福祉士国家試験。資格手当で収入もアップ。
看護助手として病院に就職→准看護師
病院で看護師のサポート業務から始める道。准看護師養成所(2年間)に通えば、准看護師の資格も取れます。看護の世界に入る入り口のひとつ。
ある1日の流れ
デイサービス(日帰り介護施設)で働く介護職員の1日を紹介します。利用者さんが朝来て夕方帰るまでの間、食事・入浴・レクリエーションなどを一緒に過ごします。
出勤・準備
施設の清掃、利用者さんの部屋の準備、今日の予定を確認します。
送迎・お出迎え
送迎車で利用者さんを迎えに行きます。車の中でも体調を確認しながらコミュニケーション。
健康チェック
体温・血圧を測定。体調の変化がないか観察します。看護師と情報共有。
入浴介助
利用者さんの入浴をサポート。安全に配慮しながら、リラックスしてもらえるよう声かけします。
昼食準備・食事介助
食事の配膳、必要な方の食事介助。食べる量や様子を記録します。
スタッフ昼休み
交代で昼食。午後のレクリエーションの準備をすることも。
レクリエーション
体操、ゲーム、歌、工作など。利用者さんが楽しめるプログラムを一緒に行います。
おやつ・自由時間
お茶とおやつの時間。利用者さんとおしゃべりしたり、一緒にテレビを見たり。
送迎・お見送り
利用者さんをご自宅まで送ります。ご家族に今日の様子を伝えます。
記録・片付け
介護記録の入力、施設の清掃、明日の準備。チームで情報共有して退勤。
退勤
デイサービスは日勤中心なので、夜勤がないのが特徴です。
※ デイサービスの例です。入所施設(特養・老健等)は夜勤シフトがあり、1日の流れが異なります。
身につくスキル
介護の仕事を通じて身につくスキルは、どんな仕事にも活きる「人間力」です。介護業界を離れたとしても、一生使えるスキルばかりです。
- コミュニケーション力——高齢者・家族・医療職との対話。相手に合わせた話し方が自然と身につきます
- 観察力——「いつもと違う」に気づく力。表情、食欲、動き方の変化を見逃さない目が養われます
- 体力とボディメカニクス——移乗介助など身体を使う技術。正しい方法を学べば腰を痛めずにできます
- 記録力・報告力——介護記録の書き方、チームへの報告・連絡・相談。正確に伝える力が身につきます
- 資格取得(介護福祉士・ケアマネジャー等)——働きながら国家資格を取得。キャリアと収入の幅を広げます
キャリアステップ
介護の仕事は「資格を取るたびにキャリアが広がる」のが最大の特徴です。無資格スタートでも、国家資格を取得すればリーダー、ケアマネジャー、施設長まで目指せます。介護福祉士は国に認められた専門職。キャリアの天井がありません。
介護職員(無資格 / 初任者研修修了)
先輩の指導のもと、食事・入浴・排泄の介助を学びます。初任者研修(約130時間)は働きながら取得できます。
年収250〜300万円
介護福祉士(国家資格)
実務経験3年+実務者研修を修了すると受験資格を得られます。合格率は約80%。資格手当で月1〜3万円アップ。
年収320〜380万円
リーダー / ユニットリーダー
後輩の指導、シフト管理、ケアプランの調整を担当。チームをまとめる立場になります。
年収350〜420万円
ケアマネジャー(介護支援専門員)
介護福祉士として5年以上の実務経験で受験資格を取得。ケアプラン(介護計画)を作成する専門職。デスクワーク中心に。
年収380〜450万円
施設長 / 管理者
施設全体の運営・経営に関わるポジション。人材育成、予算管理、地域との連携など。介護の現場を知っているからこそできるマネジメント。
年収450〜600万円
この仕事のリアル
医療・福祉の高卒3年以内離職率は49.2%——約2人に1人が3年以内に辞めている(厚生労働省 令和3年3月卒業者)
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
体力的な負担は避けて通れません。入浴介助、移乗介助(ベッドから車いすへの移動など)は身体を使う仕事です。正しい技術を学ばないと腰を痛めるリスクがあります。ただし、近年はリフトなどの福祉機器の導入が進み、身体的負担を減らす取り組みが広がっています。
精神的な負担もあります。利用者さんの状態が悪化したり、お看取りを経験したりすることもあります。感情をコントロールしながら仕事を続ける力が求められます。ただ、だからこそチームケアが大切にされていて、一人で抱え込まない体制を作っている施設が増えています。
夜勤がある施設もあります。特別養護老人ホームや病院では夜勤シフトがあります。夜勤手当で収入は上がりますが、生活リズムが不規則になるのは事実です。デイサービスや訪問介護なら日勤のみの働き方も選べます。
それでもこの仕事を続ける人が多いのは、「ありがとう」が毎日聞こえる仕事だから。利用者さんの笑顔、ご家族からの感謝——人の人生に直接寄り添える仕事は、そう多くありません。
介護の職場を選ぶときのチェックポイント
新人研修の内容と期間(いきなり現場に放り出されないか。OJTだけでなく座学研修があるか)
夜勤の体制(1人夜勤か複数人体制か。夜勤の頻度と手当の金額)
離職率と定着率を聞いてみる(情報を隠す施設は避けた方がいい)
資格取得支援制度があるか(受験費用の補助、研修日の勤務扱いなど)
実際に見学して、職員の表情と利用者さんへの接し方を見る(現場の雰囲気は見学でわかる)
先輩たちの「やっててよかった」
介護の現場で働く人たちが感じている「やりがい」を紹介します。
「ありがとう」が毎日聞こえる。利用者さんから直接感謝される仕事は、他にはなかなかありません。
人の人生に寄り添える。その人の生活、歴史、家族のことを知って、最期まで一緒にいられる仕事。
資格を取るたびにキャリアが広がる。無資格から国家資格を取得し、施設長まで上がった人もいます。
「人手不足」が逆にチャンス。求人が多く、転職もしやすい。全国どこでも働ける安定感があります。
介護労働安定センターの調査では、働いている人の36.4%が「利用者の生活改善につながる」ことにやりがいを感じています。
(介護労働安定センター 令和5年度介護労働実態調査)
この仕事がある業界
介護・看護が活躍できる業界を見てみよう。
この記事のデータ出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年度)」
介護労働安定センター「令和5年度 介護労働実態調査」


