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職種ガイド

整備士という仕事

機械を直し、安全を守る人

車やバイクが動くのは、整備士がいるから。エンジンの調子を音で聞き分け、不具合を見つけ、部品を交換し、安全に走れる状態に戻す。お客さんの命を預かる仕事だからこそ、「ちゃんと直した」という確信が必要になる。高卒から始められて、技術で食べていける仕事。

整備士の仕事イラスト
考え中の高校生

この仕事って何?

自動車整備士は、車の点検・修理・整備を行うプロフェッショナルです。オイル交換やタイヤ交換などの日常的なメンテナンスから、エンジンやブレーキの故障修理まで、車が安全に走るための全てを担います。

POINT 01

安全を守る責任ある仕事

整備不良の車が走れば事故につながります。整備士は点検・修理を通じて、ドライバーと周りの人の命を守る仕事です。「ちゃんと直せたか」を自分の手で確認する責任感が求められます。

POINT 02

自動車整備士は国家資格

国土交通省が管轄する国家資格です。3級、2級、1級とランクがあり、2級整備士を持っていれば一人前として認められます。高卒でも実務経験を積めば受験資格が得られます。

POINT 03

人手不足で需要が高い

日本自動車整備振興会連合会によると、自動車整備士の不足は深刻化しています。高齢化による引退と若手の減少が重なり、整備士の需要は今後も高い状態が続くと見られています。

こんな人に向いてる

整備士は「車好き」だけでなく、几帳面さや集中力を持つ人に向いています。こんなタイプの人はこの仕事で力を発揮できるかもしれません。

  • 車やバイクが好き。エンジンの音を聴くとワクワクする
  • 機械いじりが好き。分解して組み立てるのが楽しい
  • 手を動かすのが好き。デスクワークよりも体を使う仕事が合う
  • 几帳面で、作業を丁寧にやり遂げるタイプ
  • 「なぜ動かないのか」を考えるのが好き。原因を突き止めるのにやりがいを感じる
  • チームで協力して作業するのが苦にならない

実際に覗いてみよう!

虫眼鏡を持つ高校生

高卒で、なれるの?

ANSWER

なれます。高卒で自動車整備工場やディーラーに就職し、実務経験を積みながら資格取得を目指せます。工科高校の自動車科からなら、在学中に3級整備士の受験資格が得られる場合もあります。2級整備士は実務経験3年で受験可能です。

POINT 01

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、製造業の高卒初任給は約196,400円です。自動車整備業もこの水準が目安になります。2級整備士を取得すると資格手当がつくことが多く、検査員やフロントに昇格すればさらに収入が伸びます。

POINT 02

自動車整備士の不足は深刻です。日本自動車整備振興会連合会の調査によると、整備士の有効求人倍率は高水準が続いており、若手の整備士は引く手あまたの状態です。つまり、資格を持っていれば就職先に困ることはほぼありません。

POINT 03

自動車整備士は国家資格です。国土交通省が管轄し、3級・2級・1級の区分があります。高卒で整備工場に就職した場合、1年の実務経験で3級、3年の実務経験で2級の受験資格を得られます。専門学校(2年)を卒業すれば、卒業時に2級の受験資格が得られます。

なるためのルート

工科高校の自動車科→整備工場・ディーラー

高校時代から自動車の基礎を学び、卒業後すぐに整備工場やディーラーに就職。在学中に3級整備士の受験資格を得られる場合もあり、最短ルートのひとつです。

高卒→ディーラー整備(社内研修あり)

カーディーラーに就職し、社内研修を受けながら整備の実務を学びます。メーカーごとの専門研修が充実しているのがディーラーの強み。実務経験を積んで3級、2級と段階的に取得を目指します。

自動車整備専門学校(2年)→2級整備士

2年間の専門学校で体系的に学び、卒業時に2級整備士の受験資格を得られます。学費はかかりますが、即戦力として就職できるのがメリット。就職率が非常に高い学校も多いです。

ある1日の流れ

カーディーラーの整備士1年目の1日を紹介します。先輩の指導のもと、基本的な点検・整備作業を担当します。

8:30

出勤・朝礼

作業着に着替えて朝礼。今日の入庫予定と作業内容を確認します。

9:00

点検作業

定期点検の車を受け入れ。ブレーキ、タイヤ、オイル、ライトなどを項目ごとにチェックします。

10:00

オイル交換・タイヤ交換

基本的な作業を先輩に見てもらいながら行います。正確さとスピードの両立が求められます。

12:00

昼休み

工場の休憩室で昼食。車の雑誌を読んだり、先輩と車の話をしたりする時間です。

13:00

車検整備

車検に通すための整備作業。法定基準を満たしているか一つひとつ確認します。不具合があれば部品交換を行います。

15:00

故障修理の補助

先輩整備士の故障診断を横で見ながら学びます。「なぜこの音がするのか」を考える力がここで鍛えられます。

16:30

洗車・納車準備

整備が終わった車を洗車してきれいにします。お客さんに返す前の最後の仕上げです。

17:00

片付け・日報作成

工具の片付け、作業場の清掃、日報の記入。使った工具は元の場所に正確に戻します。

17:30

退勤

繁忙期(車検シーズンの3月・9月)は残業になることもありますが、通常は定時で帰れます。

※ カーディーラーの例です。民間整備工場や専門ショップでは1日の流れが異なります。

身につくスキル

整備士の仕事を通じて身につくスキルを紹介します。機械の知識だけでなく、診断力や正確さなど、あらゆる仕事に活きる力が身につきます。

  • 機械の知識――エンジン、ブレーキ、電装系など、車の構造を体系的に理解する力。新しい車種が出ても応用が利きます
  • 工具の使い方――レンチ、トルクレンチ、リフト、診断機など、プロの道具を正確に使いこなす技術
  • 故障診断力――「どこが悪いのか」を音、振動、データから推理する力。経験を積むほど精度が上がります
  • 資格(自動車整備士 3級・2級・1級)――国家資格を段階的に取得。2級があれば一人前として認められます
  • 正確性・安全意識――ボルト1本の締め忘れが事故につながる世界。「確実にやり切る」習慣が自然と身につきます

キャリアステップ

整備士のキャリアは資格取得と連動して段階的に広がります。見習いから3級、2級と資格を取得し、検査員やフロント、工場長へとステップアップ。独立して自分の工場を持つ道もあります。技術は裏切らない――それが整備士の世界です。

STEP 01入社1〜2年目

見習い整備士

先輩の指導のもと、点検やオイル交換などの基本作業を担当。車の構造を実務で覚えていきます。1年の実務経験で3級整備士の受験資格を得られます。

年収250〜300万円

STEP 022〜4年目

3級整備士

基本的な整備作業を一人で行えるようになります。より高度な作業にも挑戦しながら、2級取得を目指す時期です。

年収280〜340万円

STEP 034〜8年目

2級整備士

一人前の整備士として認められるレベル。ほぼ全ての整備作業を任されます。後輩の指導や難しい修理にも対応。資格手当で収入も上がります。

年収340〜420万円

STEP 048〜15年目

自動車検査員 / フロント

車検の合否判定を行う検査員や、お客さんの窓口となるフロント業務に進む道。技術と信頼の両方が求められるポジションです。

年収400〜500万円

STEP 0515年目〜

工場長 / 独立開業

工場全体の運営管理を担うか、自分の整備工場を開業するか。経営力と技術力の両方を活かすステージです。

年収450〜700万円以上

この仕事のリアル

製造業の高卒3年以内離職率は約29%――他業種と比べると低めだが、繁忙期の厳しさや体力面で辞める人もいる(厚生労働省 令和3年3月卒業者)

厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」

油汚れと体力仕事は覚悟が必要です。手や作業着は毎日油まみれになります。重い部品を持ち上げたり、狭い場所に体をねじ込んだりする作業もあります。夏は暑く、冬は寒い工場環境で働くことになります。

車検シーズン(3月・9月)は特に忙しくなります。入庫が集中するため残業が増え、1台1台を丁寧に見たくても時間に追われることがあります。繁忙期の体力的・精神的な負担は避けられません。

技術の進歩への対応も求められます。電気自動車(EV)やハイブリッド車、自動運転技術の普及で、整備士に求められる知識は変わり続けています。新しい技術を常に学び続ける姿勢が必要です。

それでも整備士を続ける人が多いのは、「自分の手で直した車が走っている」という確かな手応えがあるから。お客さんから「ありがとう、調子よくなった」と言ってもらえる瞬間、技術で食べていける安心感――それがこの仕事を支えています。

整備工場・ディーラーを選ぶときのチェックポイント

資格取得支援があるか(受験費用の補助、勉強時間の確保、社内研修の有無)

扱う車種の幅(ディーラーはメーカー特化、民間工場は幅広い車種を経験できる)

最新設備が導入されているか(診断機、リフトなどの設備環境を見学時に確認)

先輩整備士が丁寧に教えてくれる環境か(見学時にスタッフの雰囲気をよく見る)

繁忙期以外の残業時間はどれくらいか(働き方改革に取り組んでいる会社かどうか)

先輩たちの「やっててよかった」

整備士として働く中で感じるやりがいを紹介します。

不具合のあった車が自分の手で直って動く瞬間の達成感。エンジンがかかった時の音を聴くと、「やった」と思えます。

技術で食べていける安心感。整備士の資格と経験があれば、全国どこでも仕事がある。手に職をつける強さを実感できます。

車好きにとっては天職。毎日さまざまな車に触れて、最新の技術にも関われる。「好き」が仕事になる喜びがあります。

お客さんからの「ありがとう、調子よくなった」。安全を守っているという誇りと、感謝の言葉が直接もらえる仕事です。

この仕事がある業界

整備士が活躍できる業界を見てみよう。

この記事のデータ出典

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」

厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」

国土交通省「自動車整備士制度」

一般社団法人日本自動車整備振興会連合会「自動車整備士の現状と課題」

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