電気工事士という仕事
電気を通して、暮らしを灯す人
家の照明、エアコン、コンセント。当たり前にある「電気」を届けているのが電気工事士。国家資格を持ち、建物の電気設備を設計・施工・メンテナンスする専門職。高校在学中に資格が取れて、一生食べていけるスキルが身につく。


この仕事って何?
電気工事士とは、建物の電気設備を安全に使えるようにする専門家です。配線工事から照明設置、コンセント増設、エアコン取付、さらには太陽光パネルやEV充電器の設置まで。電気のない生活は成り立たないから、この仕事がなくなることはありません。
屋内配線工事 — 建物の「血管」をつくる
新築やリフォームの際に、壁の中に電線を通し、スイッチやコンセントを設置する仕事です。図面を読んで、安全に配線するのが基本。
設備工事 — 照明・空調・動力を動かす
オフィスや工場の照明器具、エアコン、モーターなどの電気設備を設置・接続する仕事です。建物の「快適さ」を作ります。
保守・点検 — 電気の安全を守る
既存の建物の電気設備が安全に動いているか定期的に点検し、不具合があれば修理する仕事です。ビルメンテナンスでも活躍します。
こんな人に向いてる
- 手先が器用で、細かい作業が苦にならない人
- 「仕組み」に興味がある人。配線図や回路図にワクワクする人
- 体を動かすのが好きな人。現場仕事は体力も使う
- 資格を取ってスキルアップしたい人
- 安定した仕事に就きたい人。電気は絶対になくならない
実際に覗いてみよう!

高卒で、なれるの?
なれます。電気工事士は高卒からの王道ルートの一つです。
第二種電気工事士は 年齢・学歴不問 で受験できる国家資格。高校在学中に取得する人も多く、工業高校の電気科では授業の一環として取り組みます。
建設業の高卒初任給は 182,700円。ただし電気工事会社は資格手当がつくことが多く、第二種で月3,000〜5,000円、第一種で月5,000〜10,000円の上乗せが一般的です。
第二種電気工事士の技能試験合格率は 72.0%。しっかり練習すれば高校生でも十分に合格できるレベルです。
12万人/年
第二種電気工事士の受験者数
人気国家資格
182,700円
建設業の高卒初任給
令和6年
72.0%
技能試験合格率
令和7年上期
なるためのルート
工業高校(電気科)→ 電気工事会社
最も直結するルート。在学中に第二種電気工事士を取得し、即戦力として採用される。学校推薦枠が多い。
普通科 → 電気工事会社(未経験歓迎)
入社後に資格取得を支援する企業も多い。人手不足のため、やる気があれば普通科からでも歓迎される。
工業高校 → 電気設備メーカー・ビルメンテナンス
電気の知識を活かして、メーカーの技術職やビル管理の仕事に就くルートもある。
ある1日の流れ
住宅の電気工事を手がける会社の新人、ある1日を紹介します。
会社に出社・準備
工具や材料をトラックに積み込む。今日の現場と作業内容を確認
現場到着・朝礼
現場監督と安全確認。他の職人さんとの作業順序を打ち合わせ
配線工事
図面を見ながら壁の中に電線を通す。天井裏に入ることも。先輩の指示を受けながら作業
休憩
現場での休憩。先輩から配線のコツを教えてもらえる時間でもある
スイッチ・コンセント取付
ボックスの取付、配線の接続、器具の固定。正確さが求められる作業
昼休憩
コンビニ弁当や仕出し弁当。現場の人たちと一緒に食べる
午後の作業
分電盤の設置や照明器具の取付。通電テストで正しく動くか確認する
片付け・帰社
工具と材料を片付け、現場を掃除。会社に戻って日報を書いて退社
※ 現場により作業時間は異なります。繁忙期は残業もあります
身につくスキル
電気工事士として働くと、こんな力が身につきます。「手に職」の代表格。資格と技術があれば、どこでも働けます。
- 電気配線技術 — 建物の電気を安全に配線する技術。一度身につければ一生モノ
- 図面読解力 — 電気の配線図・回路図を読み、施工する力。設計にも関われるようになる
- 安全管理 — 感電や火災を防ぐ知識と習慣。命を守る最重要スキル
- 問題解決力 — 漏電や故障の原因を突き止める力。経験を積むほど鋭くなる
- 資格 — 第二種・第一種電気工事士、電気主任技術者(電験三種)、消防設備士など。キャリアの武器
- コミュニケーション — 他の職人さんとの連携が現場では不可欠。チームで建物をつくる
キャリアステップ
電気工事士のキャリアは「資格」と「経験」の両輪で伸びていきます。第二種からスタートし、第一種、さらに電験三種へとステップアップすることで、できる仕事の範囲と収入が大きく広がります。
独立開業も現実的な選択肢。一人親方として独立する人も多く、腕次第で大きく稼げる世界です。
先輩について現場で基本を覚える
工具の使い方、配線の基本、安全ルールを学ぶ。第二種電気工事士を取得。
月収18〜22万円
一人で作業を任される
住宅1軒の配線を任されるように。第一種電気工事士の取得で大規模工事にも対応可能に。
月収23〜28万円
現場のリーダー・職長
複数の職人をまとめて現場を回す。施工管理技士の資格取得でさらにキャリアアップ。
月収28〜38万円
独立 or 管理職
独立して自分の会社を持つか、会社の幹部として経営に関わる。電験三種があれば電気主任技術者として高収入も。
月収35〜60万円以上
この仕事のリアル
建設業の高卒3年以内離職率は 43.2%。全産業平均を上回っており、決して低くはありません。ただし、電気工事は専門技術が身につく分、技術者として定着する人も多い職種です。
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」令和3年3月卒
電気工事の現場は 体力が必要です。天井裏や床下での作業、重い材料の運搬、夏は暑く冬は寒い屋外作業もあります。
また、感電のリスクがゼロではありません。安全教育を受け、ルールを守ることが絶対条件です。「ちょっとくらい大丈夫」は命に関わります。
一方で、太陽光発電やEV充電設備など、脱炭素の流れで新しい需要が増えています。これからの時代、電気工事士の仕事はむしろ増えていく見通しです。
会社を選ぶときの見極めポイント
入社後の資格取得支援制度があるか(受験費用・講習費用の負担)
現場の種類(住宅メイン?ビル・工場メイン?)で働き方が大きく変わる
繁忙期の残業時間と休日の取り方を確認する
先輩の年齢層と、教育体制がしっかりしているかどうか
先輩たちの「やっててよかった」
「自分が配線した電気が、ちゃんと灯った」。そのシンプルな手応えが、この仕事の最大のやりがい。
自分が工事した家に明かりが灯る瞬間。「ちゃんと動いた」という安心感と達成感がある。
国家資格を持っている安心感。転職しても、独立しても、技術があれば食べていける。
AIに奪われにくい仕事。現場で手を動かす仕事は、機械では代替できない。
この仕事がある業界
電気工事士が活躍できる業界を見てみよう。
この記事のデータ出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
一般財団法人 電気技術者試験センター「第二種電気工事士試験 試験結果」
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」






