デザイナーという仕事
見た目と使いやすさをつくる人
ポスター、Webサイト、アプリの画面、商品パッケージ——普段何気なく目にしている「デザイン」は、全部誰かが考えて作ったもの。デザイナーは「見た目をきれいにする人」だと思われがちだけど、本当の仕事は「伝わるようにする」こと。高卒からでもなれる道がある。


この仕事って何?
デザイナーは、情報を「見やすく・わかりやすく・使いやすく」整えるプロです。ただ絵を描くだけの仕事ではありません。「誰に」「何を」「どう伝えるか」を考えて、形にしていく仕事です。
「伝える」を形にする仕事
チラシやWebサイト、アプリの画面など、情報をわかりやすく・魅力的に見せるのがデザイナーの役割です。色の選び方、文字の大きさ、写真の配置——全てに「なぜそうしたか」という理由があります。
Webデザインとグラフィックデザイン
Webデザイナーはホームページやアプリの画面を作ります。グラフィックデザイナーはポスター、チラシ、名刺、パッケージなどの紙媒体が中心。どちらも「見た人がどう感じるか」を考えて作ります。
パソコン1台で始められる
デザインツール(Figma、Photoshop、Illustratorなど)とパソコンがあれば、今日からでも練習を始められます。独学で力をつけてプロになった人も多い世界です。
こんな人に向いてる
デザインの仕事には、特別な才能よりも「好き」の気持ちと地道な練習が大切です。こんなタイプの人はデザイナーに向いているかもしれません。
- 絵を描いたり、ものを作ったりするのが好き
- おしゃれやファッションに興味がある
- WebサイトやSNSのデザインを「ここ、こうしたらいいのに」と思ったことがある
- 細かいところに気がつく(色の違い、文字の間隔など)
- 「伝わる」「わかりやすい」にこだわりがある
- 新しいものやトレンドに敏感
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高卒で、なれるの?
なれます。高卒からWebデザイナーやグラフィックデザイナーになる道はあります。この世界では学歴よりも「何を作れるか」——つまりポートフォリオ(作品集)が全てです。未経験でもWeb制作会社に入社して、働きながらスキルを身につける人もたくさんいます。
厚生労働省の調査によると、情報通信業(IT・Web業界)の高卒初任給は188,300円です。デザイン専門の初任給データはありませんが、Web制作会社やデザイン事務所の場合、この水準が目安になります。経験を積んでスキルが上がれば、年収400万円以上も十分に狙えます。
デザイナーの世界では「学歴」ではなく「ポートフォリオ」で評価されます。つまり、自分が作った作品を見せて「この人に頼みたい」と思ってもらえるかどうか。Webサイト、バナー、ロゴ——なんでもいいので、とにかく作って見せられるものを増やすことが大切です。
IT業界全体で人手不足が続いており、未経験者を育てる企業も増えています。経済産業省の調査では、2030年にIT人材が最大約79万人不足すると推計されています。Webデザインの需要は今後も伸びていく分野です。
188,300円
高卒初任給(情報通信業)
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査
79万人
2030年のIT人材不足(推計)
経済産業省 IT人材需給に関する調査
36.1%
情報通信業 3年以内離職率
厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況
なるためのルート
独学でポートフォリオを作って就職
YouTube、Udemy、書籍で基礎を学び、自分の作品を作る。ポートフォリオサイトを持って就活に臨む。費用を抑えられるが、自分で学び続ける強い意志が必要。
Web制作会社に入社して実務で学ぶ
未経験OKの求人に応募し、アシスタントから始める。先輩に教わりながら実案件で力をつける。給料をもらいながら学べるのが最大のメリット。
デザイン系専門学校で学んでから就職
1〜2年間、デザインの基礎からしっかり学ぶ。就職支援がある学校も多い。学費はかかるが、体系的に学べてポートフォリオも在学中に作れる。
ある1日の流れ
Web制作会社で働くデザイナー新人の1日を紹介します。クライアントの要望を聞いて、デザインを作って、フィードバックをもらって修正する——この繰り返しが基本です。
出社・メールチェック
クライアントからの連絡やチーム内の共有事項を確認。今日のタスクを整理します。
朝ミーティング
チームで進捗を共有。先輩デザイナーからフィードバックをもらう時間でもあります。
デザイン作業
Figmaでバナーやランディングページのデザインを制作。写真の配置、色選び、フォント選びなど。
昼休み
デザイン系のWebサイトやSNSを見て、トレンドをチェックする人も多いです。
クライアントとの打ち合わせ
デザイン案を見せてフィードバックをもらいます。「もう少し明るく」「文字を大きく」など、要望を聞き取ります。
デザイン修正
フィードバックをもとに修正作業。「なぜその修正が必要か」を考えながら手を動かします。
コーディング補助
HTML/CSSの基本を使って、自分のデザインをWebページとして組み立てる作業を手伝います。
日報・振り返り
今日やったことと明日のタスクを整理。先輩からのアドバイスをメモして帰宅。
退社
納期前は残業になることもありますが、普段は定時で上がれる会社も増えています。
※ 会社の規模やプロジェクトの状況により異なります。フリーランスの場合は自分でスケジュールを組みます。
身につくスキル
デザイナーとして働く中で、自然と身についていくスキルを紹介します。最初から全部できる必要はありません。仕事をしながら一つずつ覚えていきます。
- デザインツールの操作(Figma / Photoshop / Illustrator)——業界標準のツール。最初はFigmaから始める人が多いです
- HTML / CSSの基礎——自分のデザインをWebページにする力。コーディングができるデザイナーは重宝されます
- 色彩感覚・レイアウトの知識——色の組み合わせ方、余白の取り方、文字の並べ方。感覚ではなく理論で学べます
- コミュニケーション力——クライアントの「こうしたい」を聞き出し、形にする力。デザインの半分はヒアリングです
- ポートフォリオの構築・更新——自分の作品を整理して見せる力。デザイナーの「履歴書」そのものです
キャリアステップ
デザイナーのキャリアは段階的に広がっていきます。最初はアシスタントとして基本を覚え、一人前のデザイナーになり、やがてチームを率いるポジションや独立の道も。スキルが資産になる職種なので、経験を積むほど選択肢が増えていきます。
アシスタントデザイナー
先輩の指示のもと、バナーやパーツのデザインを担当。ツールの操作やデザインの基本ルールを実務で学びます。
年収250〜300万円
デザイナー(一人前)
1つの案件を最初から最後まで任されるように。クライアントとのやり取りも自分で行います。デザインの幅が一気に広がる時期。
年収350〜450万円
シニアデザイナー / アートディレクター
プロジェクト全体のデザインの方向性を決める立場。後輩の育成や品質管理も担います。
年収450〜600万円
フリーランス / クリエイティブディレクター
独立して自分で案件を受ける道も、会社で経営層に近い立場になる道も。スキルと実績がそのままキャリアの幅になります。
年収500〜800万円以上
この仕事のリアル
情報通信業の高卒3年以内離職率は36.1%(厚生労働省 令和3年3月新規高卒就職者の離職状況)
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
デザイナーの仕事で一番大変なのは、クライアントの修正指示です。「もっと派手に」「なんか違う」——抽象的なフィードバックに何度も対応することになります。自分が良いと思ったデザインがひっくり返ることもあります。
また、納期に追われるプレッシャーも避けられません。複数の案件を同時に抱えることもあり、スケジュール管理が求められます。「好きなことだけやっていられる」わけではないのが現実です。
それでも、多くのデザイナーが続けている理由は「自分が作ったものが世の中に出る」という喜びがあるから。街で自分がデザインしたポスターを見かけたり、自分が作ったWebサイトに「使いやすい」と言ってもらえたり。その瞬間がこの仕事の最大の原動力です。
デザイン会社を選ぶときのチェックポイント
未経験者への研修制度があるか(OJTだけでなく、体系的に教えてもらえる環境か)
先輩デザイナーの作品を見せてもらえるか(その会社のデザインレベルが自分の将来の基準になる)
制作実績にどんなジャンルがあるか(Web・紙・動画など幅広い方がスキルの幅も広がる)
残業時間と働き方(納期前以外は定時で帰れるか、リモートワークはあるか)
先輩たちの「やっててよかった」
デザイナーとして働く中で感じるやりがいを紹介します。
自分がデザインしたWebサイトやポスターが世の中に出て、多くの人の目に触れる。「これ作ったの自分だ」という誇り。
「かっこいい」「わかりやすい」とクライアントや周囲に褒められる瞬間。目に見える形で評価されるのがデザインの仕事。
スキルが上がるほど表現の幅が広がる。去年の自分にはできなかったデザインが今はできるようになっている、と感じる成長実感。
パソコン1台でどこでも働ける。フリーランスになれば場所も時間も自分で選べる自由度の高さ。
この仕事がある業界
デザイナーが活躍できる業界を見てみよう。
この記事のデータ出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
経済産業省「IT人材需給に関する調査(2019年)」
文部科学省「学校基本調査」


