クリエイターという仕事
ゼロから何かを生み出す人
動画、写真、イラスト、デザイン——「何もないところから何かを生み出す」のがクリエイターの仕事。YouTubeやSNSの普及で、クリエイティブな仕事の需要は爆発的に増えている。大事なのは学歴じゃない。「何を作れるか」がすべて。ポートフォリオが命の世界だ。


この仕事って何?
クリエイターは、映像・写真・イラスト・文章・音楽など、コンテンツを企画して制作する仕事です。「アーティスト」と似ているようで違うのは、クリエイターは「依頼された目的を達成するために作る」プロフェッショナルだという点です。
「作る」で課題を解決する仕事
企業のPR動画、商品の撮影、SNS用のコンテンツ、Webサイトのイラスト——クライアントの「こういう人に伝えたい」「こういう印象を持ってほしい」という課題を、制作物で解決するのがクリエイターです。
動画・映像の需要が急成長中
YouTubeやTikTok、企業のプロモーション動画など、映像コンテンツの需要は右肩上がり。経済産業省の調査でも動画配信市場は急成長が報告されています。動画編集ができる人材は今、どの業界でも求められています。
ポートフォリオがすべて
クリエイターの世界では「どこの学校を出たか」より「何を作ったか」で評価されます。自分の作品をまとめたポートフォリオが履歴書であり名刺。SNSに作品を投稿して仕事につながるケースも増えています。
こんな人に向いてる
クリエイターの仕事に特別な才能は必要ありません。大切なのは「作ること」への情熱と、完成するまでやり抜く根気強さです。こんなタイプの人はクリエイターとして活躍できるかもしれません。
- 何かを作るのが好き。動画、絵、写真、文章——ジャンルは問わない
- YouTubeやTikTok、SNSの動画をよく見る。「自分でも作ってみたい」と思ったことがある
- アイデアが浮かびやすい。日常の中で「これ、こうしたら面白くない?」と思うことが多い
- こだわりが強い。「ここの色、もうちょっとこうしたい」と細部にこだわれるタイプ
- 流行に敏感で、新しいものが好き
- 一つのことに集中して取り組める
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高卒で、なれるの?
なれます。高卒でクリエイター職に就く道はあります。映像制作会社のアシスタント、SNS運用の動画担当、写真スタジオのスタッフなど、制作現場で経験を積みながらスキルを磨いていく方法が王道です。独学でポートフォリオを作り、フリーランスとして活動を始める人もいます。
厚生労働省の調査によると、情報通信業(IT・Web・映像業界を含む)の高卒初任給は188,300円です。映像制作会社やデザイン事務所の場合、最初はアシスタントとして働きながら技術を身につけていきます。スキルが上がればフリーランスとして独立し、収入を大きく伸ばす人もいます。
動画市場は急成長を続けています。経済産業省によるとコンテンツ産業の市場規模は拡大基調にあり、特に動画配信分野の成長率が顕著です。YouTubeやTikTokだけでなく、企業の採用動画、商品PR動画、教育動画など、あらゆる業界で映像クリエイターの需要が高まっています。
ただし、情報通信業の高卒3年以内離職率は36.1%です(厚生労働省)。最初の数年は雑用やアシスタント業務が中心で、「思っていた仕事と違う」と感じる人も少なくありません。下積み期間を耐えられるかどうかが、クリエイターとして生き残れるかの分かれ道です。
188,300円
高卒初任給(情報通信業)
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査
36.1%
情報通信業 3年以内離職率
厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況
79万人
2030年のIT人材不足(推計)
経済産業省 IT人材需給に関する調査
なるためのルート
独学+ポートフォリオ→制作会社に就職
YouTubeやUdemyで動画編集・デザインを独学し、自分の作品をポートフォリオにまとめて制作会社に応募。SNSに作品を投稿してスカウトされるケースもあります。独学の場合、自分で学び続ける強い意志が必要です。
高卒→映像制作会社のアシスタント
撮影現場の準備、機材の管理、素材の整理などから始めて、先輩のもとで実務スキルを身につけます。現場で覚えることが多いので、吸収力と体力がある若いうちに入るのが有利。未経験OKの求人も一定数あります。
SNS運用・動画編集からスタート
企業のSNSアカウントの動画コンテンツ制作担当として入社。撮影から編集、投稿、効果測定まで一人で回すことが多く、幅広いスキルが短期間で身につきます。SNS好きな人にとっては最高の入り口。
ある1日の流れ
映像制作会社のアシスタント1年目の1日を紹介します。撮影がある日とない日で動きが変わりますが、ここでは撮影日のスケジュールを紹介します。
出社・撮影準備
機材のチェック、バッテリーの充電確認、撮影に使う小道具やセットの準備をします。忘れ物は厳禁。
撮影現場へ移動
機材を車に積み込んで現場へ。移動中にその日の撮影スケジュールと段取りを再確認します。
撮影補助
照明のセッティング、マイクの準備、カメラアングルの確認。ディレクターの指示を受けながら撮影を支えます。
昼休み
現場でお弁当を食べることが多いです。午後の撮影に備えて段取りを確認します。
撮影(午後の部)
インタビュー撮影やBロール(差し込み映像)の撮影。自分もカメラを回させてもらえることが増えてくる時期です。
撤収・帰社
機材の片付け、現場の原状復帰。帰社後、撮影素材の取り込みとバックアップを行います。
素材整理・編集作業
撮影素材にラベルを付けて整理。簡単なカット編集やテロップ入れなど、先輩の指示のもとで編集作業を行います。
レビュー・振り返り
先輩ディレクターと今日の撮影素材を確認。「ここはこう撮った方がいい」などのフィードバックをもらいます。
退社
納品前は遅くなることもありますが、撮影がない日はデスクワーク中心で比較的早く帰れます。
※ 映像制作会社(撮影日)の例です。編集専門の会社やSNS運用担当の場合はデスクワーク中心で、勤務スタイルが異なります。
身につくスキル
クリエイターとして働く中で身につくスキルを紹介します。技術的なスキルだけでなく、発想力やコミュニケーション力も磨かれていきます。
- 制作ツールの操作(Premiere Pro / After Effects / Illustrator / Photoshop)——映像・デザイン業界の標準ツール。使いこなせればどこでも働けます
- 企画力——「何を」「誰に」「どう伝えるか」を考えてコンテンツを設計する力。クライアントの課題をクリエイティブで解決する根幹のスキル
- 撮影・編集技術——カメラワーク、照明、音声、カット編集、カラーグレーディング。現場で覚えていく実践的な技術です
- 発想力・引き出し——面白い企画や新しい表現を生み出す力。日頃からいろんなコンテンツを見て、インプットを増やすことが大切
- コミュニケーション力——クライアントの要望を聞き出し、チームで制作を進める力。クリエイターは一人で完結する仕事ではありません
キャリアステップ
クリエイターのキャリアは、技術を磨く段階からスタートし、やがて企画やディレクションを担うポジションに進んでいきます。「ずっと手を動かしていたい」人は専門職として、「チームで大きな作品を作りたい」人はマネジメントへ。フリーランスとして独立する道も、この業界では珍しくありません。
アシスタント / ジュニアクリエイター
撮影の準備、素材の整理、簡単な編集作業から始めます。先輩の仕事を間近で見て技術を盗む時期。地味な作業が多いですが、ここが土台です。
年収230〜300万円
制作担当 / クリエイター
一つの制作物を最初から最後まで任されるようになります。撮影・編集・仕上げまで自分の力でやり切る経験を積む時期。
年収320〜420万円
ディレクター
プロジェクト全体の方向性を決め、チームを率いるポジション。クライアントとの折衝、スケジュール管理、品質管理を担います。
年収420〜600万円
プロデューサー / フリーランス
案件全体の予算管理・営業・チーム編成を統括するプロデューサーの道、または自分のスキルと人脈を活かしてフリーランスとして独立する道。実力次第で収入に上限はありません。
年収500〜1,000万円以上
この仕事のリアル
情報通信業の高卒3年以内離職率は36.1%(厚生労働省 令和3年3月新規高卒就職者の離職状況)
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
クリエイターの仕事で最初にぶつかる壁は、「最初は雑用が多い」ことです。機材の運搬、ケーブルの巻き取り、素材のラベル付け——「クリエイティブな仕事がしたい」と思って入ったのに、地味な作業ばかりの日々が続きます。でも、この下積みで覚えた段取り力や現場感覚は、後のキャリアで確実に活きてきます。
締切のプレッシャーもこの仕事の宿命です。「明日までに仕上げてほしい」と言われることもあります。クリエイティブな仕事は「もっと良くしたい」という気持ちに終わりがないため、品質と納期のバランスに悩むことは日常です。
それでも多くのクリエイターが続けている理由は、自分の作品が世の中に出る喜びがあるから。自分が作った動画がYouTubeで何万回も再生されたり、デザインした広告が街中に掲出されたり。「これ、自分が作ったんだ」と言えるものが増えていく——その積み重ねが、この仕事を続ける最大の原動力です。
制作会社を選ぶときのチェックポイント
先輩の作品を見せてもらえるか(その会社のクオリティが自分の将来の基準になる)
アシスタントから制作に関わらせてもらえるスピード感はあるか(何年も雑用だけでは成長できない)
どんなジャンルの制作物があるか(CM、Web動画、SNS、イベント映像——幅広い方がスキルが伸びる)
制作機材やソフトウェアが最新のものか(古い環境で覚えたスキルは転職時に通用しないことがある)
先輩たちの「やっててよかった」
クリエイターとして働く中で感じるやりがいを紹介します。
自分の作品が世の中に出る喜び。YouTubeの再生回数、SNSのシェア数——自分が作ったものに反応がある瞬間は何物にも代えがたい。
表現で人の心を動かせる。「この動画を見て泣いた」「この写真を見て行きたくなった」——作品を通じて人の行動を変えられる仕事。
スキルアップが目に見える。半年前には作れなかったクオリティの作品が今は作れる。成長が作品という形で残るのがクリエイターの特権。
好きなことを仕事にしている実感。もちろん楽しいことばかりではないけれど、「作ること」が好きな人にとって、毎日ものづくりに向き合えるのは最高の環境。
この仕事がある業界
クリエイターが活躍できる業界を見てみよう。
この記事のデータ出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
経済産業省「IT人材需給に関する調査(2019年)」
経済産業省「コンテンツの世界市場・国内市場の概観」
文部科学省「学校基本調査」


