山梨県の高卒求人倍率推移【4.03倍・過去最高】
長野・静岡・神奈川・東京との比較分析
4.03倍。これは4社に1社しか採用できない計算です。2018年3月卒の2.11倍から上昇が続き、コロナ禍の一時的な落ち込み(2021年3月卒 2.18倍)を経て急回復しています。このページでは推移データと隣接県との比較から、「今後さらに厳しくなるのか」「だから今何をすべきか」を読み取ってください。
山梨県の高卒求人倍率は4.03倍(令和8年3月卒・3月末の確定値)に達し、1994年3月卒以降で過去最高を記録しました。求人数3,114人に対し求職者数はわずか773人です(山梨労働局)。ファナック・東京エレクトロンなど世界的な精密機器・半導体関連メーカーが集積する山梨県では、製造業が求人全体の38.0%を占め、企業の採用意欲は旺盛です。一方、15-19歳人口は1990年の65,121人から2025年推計で35,514人へと半分近くまで減っており、構造的な人手不足が倍率を押し上げています。
1. 求人倍率推移(2018〜2026年3月卒)
山梨県 新規高卒求人倍率の推移(山梨労働局・各年3月末の確定値)
| 年度 | 求人数 | 求職者数 | 求人倍率 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| 2018年3月卒(H30) | 2,671人 | 1,267人 | 2.11倍 | +0.15 |
| 2019年3月卒(H31) | 2,810人 | 1,206人 | 2.33倍 | +0.22 |
| 2020年3月卒(R2) | 3,059人 | 1,184人 | 2.58倍 | +0.25 |
| 2021年3月卒(R3) | 2,189人 | 1,004人 | 2.18倍 | -0.40 |
| 2022年3月卒(R4) | 2,489人 | 963人 | 2.58倍 | +0.40 |
| 2023年3月卒(R5) | 2,940人 | 954人 | 3.08倍 | +0.50 |
| 2024年3月卒(R6) | 3,179人 | 856人 | 3.71倍 | +0.63 |
| 2025年3月卒(R7) | 3,145人 | 803人 | 3.92倍 | +0.21 |
| 2026年3月卒(R8) | 3,114人 | 773人 | 4.03倍 | +0.11 |
2018年3月卒(H30)
2019年3月卒(H31)
2020年3月卒(R2)
2021年3月卒(R3)
2022年3月卒(R4)
2023年3月卒(R5)
2024年3月卒(R6)
2025年3月卒(R7)
2026年3月卒(R8)
出典:山梨労働局「令和8年3月新規高等学校卒業者の就職内定状況(令和8年3月末現在)」の「新規高等学校卒業者の求人・求職・就職の状況(各年次3月末日現在)」。求人数は県内企業からの求人、求職者数は学校・ハローワーク扱いの人数。
2. 隣接県・全国平均との比較
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 山梨県 | 3.23倍 | 精密機器・ロボット・電子部品 | 山梨労働局の集計では4.03倍(1994年以降最高)。製造業従業者割合全国1位 |
| 長野県 | 3.12倍 | 精密機器・電子部品・食品 | 精密機器集積地。山梨と産業構造が類似 |
| 静岡県 | 3.68倍 | 輸送機器・楽器・化学 | 自動車関連産業が牽引 |
| 神奈川県 | 4.66倍 | 自動車・電機・サービス | 首都圏の大企業が集中 |
| 東京都 | 16.12倍 | サービス・IT・建設 | 全国最高。サービス業中心 |
| 全国平均 | 4.12倍 | — | 山梨県は全国平均を下回る |
山梨県
長野県
静岡県
神奈川県
東京都
全国平均
※ 令和8年3月卒・3月末現在。各都道府県を同じ基準で比べるため、厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」の都道府県別の値(求職者に自己開拓等を含む)を載せています。山梨労働局の集計(4.03倍)とは求職者の数え方が異なります。
注目ポイント:同じ基準で比べると、山梨県(3.23倍)は全国平均(4.12倍)を下回りますが、令和7年3月卒の求人事業所816社のうち99人以下の中小企業が609社(74.6%)を占めています。中小製造業が主体の山梨県では、大手との人材争奪がより激しく、体感的な採用難度は数値以上です。
3. 求人倍率が過去最高を記録した3つの背景
1. 世界的メーカーの集積が求人需要を牽引
山梨県にはファナック(従業員約4,800人・忍野村)、東京エレクトロンTS(約2,100人・韮崎市)、シチズンファインデバイス(富士河口湖町)など、産業用ロボット・半導体製造装置・精密部品の世界的メーカーが集積しています。製造品出荷額2兆5,302億円のうち生産用機械が31.3%を占め、高卒求人の38.0%(1,169人・令和7年11月末)が製造業です。これらの企業が技術系人材を継続的に求めることで、求人数が高水準を維持しています。
2. 少子化による就職希望者の構造的減少
山梨県の15-19歳人口は1990年の65,121人をピークに減少の一途をたどり、2025年推計では35,514人と半分近くまで減っています。令和8年3月の高校卒業者6,912人のうち就職を希望したのは773人(約11%)にとどまり、大学進学率の上昇も相まって就職市場に供給される人材が年々減っています。求人数3,114人に対して求職者773人という需給ギャップは、この人口動態が根本原因です。
3. 県内就職率86.0%がもたらす閉じた競争構造
山梨県は東京都に隣接しながら、高卒の県内就職率は86.0%(令和7年3月卒・学校基本調査)と高い水準を保っています。中央本線・中央自動車道で首都圏とつながるものの、製造業の現場は県内の工場に集中しているため、地元就職の志向が根強く残ります。この「県内完結型」の就職構造が、県内企業同士の採用競争をさらに激化させています。
4. 15〜19歳人口の将来推計
国立社会保障・人口問題研究所の推計(令和5年推計)では、山梨県の15〜19歳人口は2025年の35,514人から2030年に31,704人(-10.7%)、2040年に24,067人(-32.2%)まで減少する見通しです。就職を希望する高校生の数も減る方向にあり、求人が大きく減らない限り、採用の難しさは続く構造です。
| 年 | 15-19歳人口 | 2025年比 |
|---|---|---|
| 2025年(推計) | 35,514人 | — |
| 2030年(推計) | 31,704人 | -10.7% |
| 2035年(推計) | 28,200人 | -20.6% |
| 2040年(推計) | 24,067人 | -32.2% |
2025年(推計)
2030年(推計)
2035年(推計)
2040年(推計)
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」
採用戦略への示唆:山梨県の総人口は2025年の約80万人から2050年には611,586人と、現在の約3/4まで減少すると見込まれています(社人研 令和5年推計)。2040年には15-19歳人口が24,067人と、2025年からさらに約1万1千人減少する見通しです。ファナック・東京エレクトロンなど大手メーカーとの人材争奪が激しくなる中、中小企業は今から学校との関係構築・職場見学の充実・採用ブランディングに投資しておくことが、5年後・10年後の採用力を左右します。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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