山梨県の高卒求人倍率推移【3.92倍・過去最高】
長野・静岡・神奈川・東京との比較分析
山梨県の高卒求人倍率は3.92倍(確定値)に達し、1994年の統計開始以降で過去最高を記録しました。求人数3,074人に対し求職者数はわずか780人。ファナック・東京エレクトロンなど世界的な精密機器・半導体関連メーカーが集積する山梨県では、製造業が求人全体の38.0%を占め、企業の採用意欲は旺盛です。一方、15-19歳人口は1990年の65,121人から2025年推計で33,669人へとほぼ半減しており、構造的な人手不足が倍率を押し上げています。
1. 求人倍率推移(2018〜2025年)
山梨県 新規高卒求人倍率の推移(山梨労働局)
| 年度 | 求人数 | 求職者数 | 求人倍率 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| 2018(H30) | 約2,100人 | 約1,050人 | 2.00倍 | — |
| 2019(R1) | 約2,350人 | 約1,020人 | 2.30倍 | +0.30 |
| 2020(R2) | 約2,300人 | 約980人 | 2.35倍 | +0.05 |
| 2021(R3) | 約1,700人 | 約950人 | 1.79倍 | -0.56 |
| 2022(R4) | 約2,000人 | 約920人 | 2.17倍 | +0.38 |
| 2023(R5) | 約2,500人 | 約890人 | 2.81倍 | +0.64 |
| 2024(R6) | 約2,800人 | 約840人 | 3.33倍 | +0.52 |
| 2025(R7)11月末 | 3,074人 | 780人 | 3.94倍 | +0.61 |
| 2025(R7)確定 | 3,074人 | 784人 | 3.92倍 | — |
出典:山梨労働局「新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況」、厚生労働省「令和7年3月高校新卒者の求人・求職・内定状況」
2. 隣接県・全国平均との比較
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 山梨県 | 3.92倍(過去最高) | 精密機器・ロボット・電子部品 | 1994年以降最高。製造業従業者割合全国1位 |
| 長野県 | 約3.5〜4.0倍 | 精密機器・電子部品・食品 | 精密機器集積地。山梨と産業構造が類似 |
| 静岡県 | 約3.5〜4.0倍 | 輸送機器・楽器・化学 | 自動車関連産業が牽引 |
| 神奈川県 | 約4.0〜4.5倍 | 自動車・電機・サービス | 首都圏の大企業が集中 |
| 東京都 | 約7.0〜8.0倍 | サービス・IT・建設 | 全国最高水準。サービス業中心 |
| 全国平均 | 4.10倍 | — | 山梨県は全国平均をやや下回る |
注目ポイント:山梨県の3.92倍は全国平均4.10倍をわずかに下回りますが、県内の求人事業所816社のうち99人以下の中小企業が609社(74.6%)を占めています。中小製造業が主体の山梨県では、大手との人材争奪がより激しく、体感的な採用難度は数値以上です。
3. 求人倍率が過去最高を記録した3つの背景
1. 世界的メーカーの集積が求人需要を牽引
山梨県にはファナック(従業員6,181人・忍野村)、東京エレクトロンTS(2,099人・韮崎市)、シチズンファインデバイス(968人・富士河口湖町)など、産業用ロボット・半導体製造装置・精密部品の世界的メーカーが集積しています。製造品出荷額2兆5,302億円のうち生産用機械が31.3%を占め、高卒求人の38.0%(1,169人)が製造業です。これらの企業が技術系人材を継続的に求めることで、求人数が高水準を維持しています。
2. 少子化による就職希望者の構造的減少
山梨県の15-19歳人口は1990年の65,121人をピークに減少の一途をたどり、2025年推計では33,669人とほぼ半減しています。高校の就職希望者は770人(全体の16.2%)にとどまり、大学進学率の上昇も相まって就職市場に供給される人材が年々減っています。求人数3,074人に対して求職者780人という需給ギャップは、この人口動態が根本原因です。
3. 県内就職率87〜88%がもたらす閉じた競争構造
山梨県は東京都に隣接しながら、高卒の県内就職率は87〜88%と高い水準を保っています。中央本線・中央自動車道で首都圏とつながるものの、製造業の現場は県内の工場に集中しているため、地元就職の志向が根強く残ります。この「県内完結型」の就職構造が、県内企業同士の採用競争をさらに激化させています。
4. 2030年予測シミュレーション
山梨県の15-19歳人口は2030年推計で29,704人(2025年推計比-11.8%)まで減少する見通しです。現在のトレンドが続いた場合、高卒求人倍率は4.5〜5.0倍に達する可能性があります。
| 年度 | 15-19歳人口(推計) | 求職者数(予測) | 倍率(予測) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2025(R7) | 33,669人 | 780人 | 3.92倍 | 実績値(確定) |
| 2027(R9) | 約31,500人 | 約720人 | 約4.2倍 | 少子化加速シナリオ |
| 2030(R12) | 29,704人 | 約650人 | 約4.5〜5.0倍 | 15-19歳人口▲11.8% |
| 2040(R22) | 23,914人 | 約500人 | 約5.5〜6.0倍 | 15-19歳人口▲29.0% |
※ 2027年以降は国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口に基づく推計値。求職者数・倍率は現在の就職希望率が継続した場合のシミュレーションです。
採用戦略への示唆:山梨県の総人口は2025年の約80万人から2050年には現在の約3/4まで減少すると見込まれています。特に2040年には15-19歳人口が23,914人と現在からさらに約1万人減少する見通しです。ファナック・東京エレクトロンなど大手メーカーとの人材争奪が激しくなる中、中小企業は今から学校との関係構築・職場見学の充実・採用ブランディングに投資しておくことが、5年後・10年後の採用力を左右します。
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