東京都で高卒就職者が少ない理由と、今後の見通し
進学率6割・就職1割という、全国でも特殊な市場を読み解く
東京都の高卒採用市場は、全国でも最も特殊な構造を持っています。都内総生産は約120兆円、従業者数約959万人という日本最大の経済圏でありながら、高校卒業者のうち就職を選ぶのはわずか約1割。大学進学率が約6割と全国トップで、就職市場に出てくる高校生が極端に少ないのです。
この「分母の小ささ」が、全国平均(4.10倍・厚労省)を大きく上回る売り手市場の正体です。本記事では、東京都の進路構造と経済規模、地方からの人材流入の実態を整理し、企業が取るべき打ち手を解説します。
東京都の高校卒業者の進路
就職を選ぶのは約1割。これが市場の起点
| 進路 | 割合(概数) | 備考 |
|---|---|---|
| 大学進学 | 約6割 | 全国トップ水準 |
| 専門学校等 | 約2割 | 美容・調理・IT系など |
| 就職 | 約1割 | 年間およそ4,000人規模・全国最低水準の一つ |
| その他 | 約1割 | 浪人・未定等 |
全国トップ水準
美容・調理・IT系など
年間およそ4,000人規模・全国最低水準の一つ
浪人・未定等
出典: 東京都教育委員会 / 文部科学省「学校基本調査」に基づく概数
日本最大の経済圏が生む求人量
求人は最多、就職希望者は最少という需給ギャップ
| 指標 | 東京都 | 備考 |
|---|---|---|
| 都内総生産 | 約120兆円 | 日本GDPの約2割 |
| 従業者数 | 約959万人 | 全国最多 |
| 民営事業所数 | 628,239 | 全国最多 |
| 第3次産業比率 | 88.64% | サービス経済が圧倒的 |
| 情報通信業 有業者 | 約104.9万人 | IT企業の東京一極集中 |
| 高卒就職者数 | 約4,028人/年 | 求人に対して圧倒的に少ない |
日本GDPの約2割
全国最多
全国最多
サービス経済が圧倒的
IT企業の東京一極集中
求人に対して圧倒的に少ない
出典: 東京都統計 / 総務省「経済センサス」
地方からの流入と、今後の見通し
流入があっても需給は埋まらない
東京は、地方から最も多くの高卒就職者が集まる受け皿です。北関東・東北などからの上京就職者が東京の産業を支えています。しかし、求人数の多さに対しては流入を加味しても足りません。家賃をはじめとする生活コストの高さが上京のハードルになっているためです。
就職希望者が大きく増える材料は乏しい
東京は人口流入があるため高校生数の減少は緩やかですが、大学進学率が高止まりする限り、就職市場に出てくる高校生が大きく増えることは見込みにくい構造です。つまり、企業にとっての採用環境は今後も厳しいままと考えて準備するのが現実的です。「今から動いた企業だけが採れる」状況が続きます。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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