東京都の高卒求人倍率の読み方
なぜ全国トップの売り手市場なのか — 公的データから構造を読み解く
全国の高卒求人倍率は4.10倍(令和7年3月末・厚生労働省)で過去最高を更新しました。求人数は約49万9千人、求職者数は約12万1千人です。そして東京都は、この全国平均を大きく上回る全国トップ水準にあります。
東京の倍率がなぜこれほど高いのか。答えは「求人は全国最多なのに、就職希望者が極端に少ない」という逆転構造にあります。この構造を理解しないと、「求人票を出せば応募が来る」という地方の感覚のまま、応募ゼロに悩むことになります。
全国平均と比べてどうか
令和7年3月末・厚生労働省の公表値をもとに
| 項目 | 内容 | 数値 |
|---|---|---|
| 東京都 | 求人数 全国最多。大学進学率が高く就職希望者が極端に少ない | 全国トップ水準 |
| 全国平均 | 令和7年3月末・過去最高を更新 | 4.10倍 |
| 全国 求人数 | 令和7年3月末・前年比+3.5% | 約49.9万人 |
| 全国 求職者数 | 令和7年3月末 | 約12.1万人 |
求人数 全国最多。大学進学率が高く就職希望者が極端に少ない
令和7年3月末・過去最高を更新
令和7年3月末・前年比+3.5%
令和7年3月末
つまり:全国でも求人1件に対して求職者が足りない売り手市場ですが、東京はその全国平均をさらに大きく超えます。求人票を出すだけでは全く応募が集まらない環境であり、学校との直接的な関係構築が不可欠です。
東京の倍率が突出して高い3つの理由
1. 大学進学率が高く、就職希望者が極端に少ない
東京都の大学進学率は約6割と全国トップ水準です。高校卒業者のうち就職を選ぶのは約1割(年間およそ4,000人規模)。この「分母の小ささ」が倍率を押し上げる最大の構造的要因です。地方では就職者割合が2〜4割に達する地域もあり、東京の約1割がいかに特異かが分かります。
2. 日本最大の経済圏が生む圧倒的な求人量
東京都の都内総生産は約120兆円、民営事業所数628,239、従業者数959万人といずれも全国最大です。サービス・IT・小売・建設とあらゆる業種で高卒人材への需要があり、求人数は全国最多。東京労働局の集計(令和6年9月末)でも前年同期比+10.7%と増え続けています。
3. 他県からの流入でも需給ギャップは埋まらない
東京は地方からの高卒就職者が最も多く集まる受け皿ですが、それでも求人数には届きません。家賃をはじめとする生活コストの高さが上京のハードルになり、流入だけで需給を埋めることは構造的に困難です。だからこそ、住居支援で「上京のハードルを下げる」企業が地方人材を確保できます(地方人材の受け入れ参照)。
採用戦略への示唆
東京では「求人票を出せば応募が来る」は通用しません。この構造が変わる兆しは当面なく、企業側の工夫がますます問われます。工科高校・商業高校との関係構築、職場見学・インターンの受け入れ、地方からの採用を視野に入れた寮・住居支援の整備——「学校に選ばれる企業」になる仕組みづくりが、採用の成否を分けます。具体策は中小企業の差別化戦略で解説しています。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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