佐賀県の若者流出とUターン採用戦略
県内就職率66.3% -- 約1/3が県外流出する構造にどう立ち向かうか
佐賀県の高卒県内就職率は66.3%。就職希望者1,880人のうち約634人が県外に流出しています。佐賀県が直面する最大の構造的課題は、博多まで新幹線12分(鳥栖市)という福岡都市圏への近さです。「佐賀に住みながら福岡で働く」選択肢が身近にある以上、佐賀県内企業は「わざわざ佐賀で働く理由」を高校生と保護者に提示しなければ、流出は止まりません。
一方で、佐賀県は「プロジェクト65+」として県内就職率65%以上の維持を目標に掲げ、合同企業説明会(SAGAアリーナ・155社参加)や保護者向け企業訪問バスツアーなど、県を挙げた取り組みを展開しています。求人倍率2.37倍・求人数4,453人という需要の強さを追い風に、企業がどのように若者の流出を食い止め、Uターン人材を呼び戻せるかを解説します。
1. 佐賀県の若者流出の実態データ
佐賀県は製造業(31.7%)・建設業(22.0%)・医療福祉(14.4%)を中心に多様な求人が存在しますが、隣接する福岡県の求人数・給与水準・生活の利便性が、佐賀県の高校生を引きつけています。特に鳥栖・神埼エリアは福岡都市圏の経済圏に実質的に組み込まれており、「佐賀県内企業 vs 福岡県内企業」の人材獲得競争が恒常的に発生しています。
県内就職率の推移
佐賀県の県内就職率は過去5年間、65〜67%の狭いレンジで推移しています。県が掲げる「プロジェクト65+」の目標は達成しているものの、裏を返せば毎年約1/3の高卒就職者が県外に流出し続けている状況です。
| 年度 | R2 | R3 | R4 | R5 | R6 |
|---|---|---|---|---|---|
| 県内就職率 | 65.4% | 66.6% | 66.5% | 67.0% | 66.3% |
産業別の求人構造
佐賀県の産業別求人数を見ると、製造業が1,398人(31.7%)と最大シェアを占め、建設業が973人(22.0%)、医療・福祉が634人(14.4%)と続きます。SUMCOやトヨタ紡織九州など大手製造業の存在感が大きい一方、中小の建設業・サービス業は人材確保に苦戦しています。
| 産業 | 求人数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 製造業 | 1,398人 | 31.7% |
| 建設業 | 973人 | 22.0% |
| 医療・福祉 | 634人 | 14.4% |
| 卸売・小売業 | 448人 | 10.2% |
| サービス業 | 207人 | 4.7% |
| 宿泊・飲食サービス業 | 175人 | 4.0% |
ポイント:佐賀県の「福岡隣接」問題を正しく理解する
佐賀県の流出構造は、地方一般の「都市部への憧れ」とは性質が異なります。鳥栖市から博多まで新幹線12分、車でも40分という「通勤圏」にあるため、「県内に住みながら県外で働く」選択肢が現実的に存在します。これは「引っ越しを伴う流出」とは異なり、佐賀県の住民としては残りつつも雇用は県外に奪われるという、より対策が難しい構造です。
2. エリア別の流出パターンと対策
佐賀県内でも地域によって流出の構造が異なります。東部は福岡都市圏への通勤流出、西部・北西部は佐賀市・鳥栖方面への県内移動が主な課題です。
| エリア | 主な流出先 | 流出の背景 | 主要産業 |
|---|---|---|---|
| 東部(鳥栖・神埼) | 福岡県(通勤・転職) | 博多12分、久留米隣接、福岡の求人・給与 | 久光製薬、トヨタ紡織九州 |
| 中部(佐賀・小城) | 福岡県・関東 | 県庁所在地だが福岡への選択肢も | JSRマイクロ九州、小糸九州 |
| 北西部(唐津・玄海) | 佐賀市・福岡県 | 求人の多様性不足、商業施設 | 唐津焼、水産業、佐賀牛 |
| 西部(伊万里・有田) | 佐賀市・福岡県 | 求人数の限界、都市機能 | SUMCO、有田焼400年 |
| 南部(武雄・鹿島・嬉野) | 佐賀市・福岡県 | 新幹線開業で流動性が向上 | 海苔日本一、祐徳薬品、温泉観光 |
企業への影響:求人倍率2.37倍時代の人材確保
求人数4,453人に対し就職希望者は1,880人。求人を出しても応募が来ない企業が増えています。特に建設業・サービス業では充足率の低さが深刻です。「福岡の企業と佐賀の企業、どちらを選ぶか」を高校生が迷ったとき、佐賀で働く具体的なメリットを提示できるかどうかが勝負を分けます。
3. 佐賀県の流出防止施策を企業が活用する方法
佐賀県は「プロジェクト65+」を軸に、高校生と県内企業を結ぶ多彩な施策を展開しています。これらの県の取り組みを企業がどう活用すべきかを整理します。
SAGAアリーナ合同企業説明会(155社参加)
高校生・保護者のための県内企業合同説明会。155社が参加する大規模イベントで、高校生に直接自社の魅力をアピールできます。ブースの設営に工夫を凝らし、先輩高卒社員を配置して同世代の声を届けましょう。
保護者向け県内企業訪問バスツアー(無料・昼食付き)
保護者を無料で県内企業に案内するバスツアー。受入企業に手を挙げれば、保護者に直接自社の職場環境を見てもらえます。「百聞は一見にしかず」で、保護者の不安を一気に解消できるチャンスです。
SAGAミライシルプロジェクト
県内企業と普通科高校を結ぶプロジェクト。工業高校だけでなく普通科の生徒にも県内企業を知ってもらう取り組みで、これまでリーチできなかった層への接点を作れます。
さがジョブナビ高校生向けサイト
hs.saga-job.jp で高校生向けに企業情報を発信できるプラットフォーム。無料で自社情報を掲載できるため、必ず登録しておきましょう。
インターンシップ受入事業所への登録
県のインターンシップ受入事業所一覧に登録することで、高校からの紹介を受けやすくなります。夏休み期間中の1〜3日間の職場体験を受け入れることで、応募前に自社の雰囲気を体感してもらえます。
4. Uターン採用戦略:佐賀に帰りたい若者を呼び戻す
毎年約634人が県外に流出する佐賀県では、一度県外に出た若者を呼び戻す「Uターン採用」も重要な採用チャネルです。佐賀県は福岡に近いぶん「帰省しやすい」ため、Uターンのハードルは他県より低いという利点があります。
ステップ1:Uターン希望者の発掘
佐賀県出身の大学生・社会人の多くは福岡県内にいます。ジョブカフェSAGAが開催するUターン就職イベントや、さがジョブナビへの求人掲載を活用し、「佐賀に戻って働きたい」層にアプローチしましょう。帰省シーズン(お盆・年末年始)に合わせた採用イベントの開催も効果的です。
ステップ2:オンライン選考フローの整備
県外在住の求職者にとって、面接のたびに佐賀まで戻るのは負担です。一次面接はオンライン、最終面接のみ対面とするなど柔軟な選考フローを整備しましょう。UJIターン就職活動交通費支援制度の案内も忘れずに伝えましょう。
ステップ3:佐賀で暮らすメリットを具体的に提示
佐賀県は福岡と比較して家賃が大幅に安く、通勤ストレスも少ない。この「生活の豊かさ」を数字で見せましょう。
| 比較項目 | 佐賀県 | 福岡市 | 東京23区 |
|---|---|---|---|
| 家賃(1LDK平均) | 約4〜5万円 | 約6〜7万円 | 約10〜12万円 |
| 通勤時間 | 車で15〜30分 | 電車で30〜50分 | 電車で40〜70分 |
| 通勤手段 | マイカー(駐車場無料) | 電車・バス | 電車 |
| 食費 | 自炊しやすい環境 | 外食中心で高め | 外食中心でさらに高い |
ステップ4:Uターン支援制度の活用
| 支援制度 | 内容 | 出典 |
|---|---|---|
| UJIターン就職活動交通費支援 | 県外からの就職活動にかかる交通費を支援 | https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00368170/index.html |
| ジョブカフェSAGA | 45歳未満向けの無料就職支援(カウンセリング・セミナー) | https://www.jobcafe-saga.info/ |
| さがジョブナビ | 佐賀県の求人情報ポータル(高校生向けサイトあり) | https://hs.saga-job.jp/ |
佐賀県の強み:「帰りやすさ」を活かす
佐賀県は福岡に近いため、県外に出た若者が「帰りやすい」という他県にはない利点があります。週末に実家に帰れる距離感は、Uターンの心理的ハードルを大きく下げます。企業は「佐賀なら福岡にも遊びに行ける。でも生活コストは格段に安い」というメッセージを発信しましょう。
5. 地元定着のための企業施策5選
高卒で地元就職した若者を長期的に定着させることは、Uターン採用以上に重要です。佐賀県では離職した若者が福岡に流れてしまうリスクが特に高く、「辞めさせない」ことが「採用する」こと以上に価値を持ちます。
入社後の待遇改善ロードマップを明示する
初任給だけでなく、3年後・5年後・10年後の昇給モデルを具体的に示しましょう。「手取り月収が3年で3万円上がる」という見通しがあれば、福岡への転職意欲を抑制できます。佐賀県の生活コストの低さと組み合わせれば「実質的な豊かさ」で福岡に勝てます。
先輩社員との距離を縮めるメンター制度
中小企業では同期入社がゼロという状況が珍しくありません。入社3〜5年目の年齢の近い先輩をメンターに配置し、業務以外の悩みも相談できる環境を作りましょう。「人間関係」は離職理由の常に上位です。
福岡都市圏の便利さを「オフの楽しみ」に変える
佐賀から福岡は近い。この近さを逆手に取り、「平日は佐賀で落ち着いて働き、週末は博多・天神で遊ぶ」というライフスタイルを提案しましょう。社内で福岡へのレクリエーション企画を実施するのも効果的です。
資格取得支援でキャリアの成長実感を与える
高卒入社の若者が「このまま佐賀にいて大丈夫だろうか」と不安を感じるのは自然なことです。資格取得支援(費用全額負担+合格報奨金)を整備し、「この会社にいれば成長できる」という実感を持たせることが定着の鍵です。
保護者を「定着の味方」にする継続的なコミュニケーション
入社後も年に1〜2回、保護者に「お子様の活躍報告」を送付しましょう。保護者が「あの会社で良かった」と思ってくれれば、本人が悩んだときに「もう少し頑張ってみなさい」と背中を押してくれる可能性が高まります。
まとめ:佐賀県の若者流出対策は「福岡に勝つ」ことではなく「佐賀ならではの魅力で棲み分ける」ことがポイントです。生活コストの安さ、通勤ストレスの少なさ、地域の温かさ、そして福岡に近い利便性。この組み合わせは佐賀県にしかない武器です。プロジェクト65+の各種支援を最大限に活用し、「佐賀で働いて良かった」と思える環境をつくりましょう。
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データ出典:
- 佐賀県「プロジェクト65+」(https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003112816/index.html)
- 佐賀新聞「高卒求人倍率2.37倍」(https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1666283)
- 佐賀新聞「産業別求人数」(https://www.saga-s.co.jp/articles/-/1609196)
- 佐賀労働局「高校新卒者の求人・求職・内定状況」(https://jsite.mhlw.go.jp/saga-roudoukyoku/newpage_01526.html)
- 佐賀県「UJIターン就職活動交通費支援」(https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00368170/index.html)



