オヤカク(保護者対策)完全マニュアル(佐賀県版)

「福岡に行かせたい」保護者をどう味方につけるか

「内定を出したのに、保護者から『やっぱり福岡の会社にしなさい』と言われて辞退された」。佐賀県の高卒採用現場では、こうしたケースが少なくありません。博多まで新幹線12分という立地が、保護者に「どうせなら福岡で」という選択肢を意識させるのです。

マイナビ調査(2024年)によると、企業の約6割が「オヤカク」を実施しており、内定辞退理由の約3割が「保護者の反対」です。佐賀県では県内就職率が66.3%にとどまり、約1/3が県外に流出しています。この流出の背景には、保護者の福岡志向が大きく影響しています。

しかし裏を返せば、保護者を味方につけられれば「佐賀に残す力」になります。佐賀県では保護者向け企業訪問バスツアー(無料・昼食付き)が実施されるなど、保護者と企業の接点づくりを県が支援しています。本記事では、佐賀県特有の「福岡隣接」という課題を踏まえた保護者対策を解説します。

約6割
オヤカク実施企業
マイナビ調査(2024)
約3割
内定辞退理由:保護者反対
各種調査より
66.3%
県内就職率
約1/3が県外流出
12分
鳥栖→博多
福岡志向の保護者が多い

1. オヤカクとは何か?

「オヤカク(親確)」とは、「親への確認」の略語で、内定を出す際や入社前に、学生の保護者から入社の承諾を得る活動を指します。大学生の就活で注目され始めた概念ですが、高卒採用では以前から事実上行われてきた重要なプロセスです。

高卒採用は「学校斡旋」という独自ルートで進行しますが、最終的な就職先の決定には保護者の意向が極めて大きく影響します。特に未成年の場合、労働契約の締結にあたって保護者の同意が法的にも必要となるケースがあります。

佐賀県の高卒採用における現実

内定辞退理由の約3割が「保護者の反対」

企業の約6割がオヤカクを実施(マイナビ調査 2024年)

オヤカクは「余裕があればやる」のではなく、「やらなければ採用計画が崩壊するリスクがある」必須の活動です。佐賀県では福岡都市圏が隣接しているため、「うちの子は福岡で」と考える保護者が一定数おり、その分だけオヤカクの重要性は高まります。

2. なぜ佐賀県でオヤカクが特に重要なのか

福岡都市圏との競合

佐賀県の最大の特徴は「福岡が近すぎる」ことです。鳥栖市から博多まで新幹線12分、車でも約40分。保護者の中には「同じ九州なら福岡の方が給料も高いし、将来性もある」と考える人が少なくありません。久光製薬やトヨタ紡織九州のような大手が佐賀県内にあっても、「知名度の高い福岡の企業の方が安心」と感じる保護者は多いのが実情です。

「地元に残ってほしい」保護者と「福岡に出たい」生徒

一方で、「近くにいてほしい」「佐賀で安定した会社に入ってほしい」と考える保護者も多くいます。県内就職率66.3%は、約2/3の高校生が地元就職を選んでいることを意味します。こうした「地元志向」の保護者を味方につけることで、中小企業の採用はぐっと楽になります。

【表1】高卒採用における内定辞退の主な理由
順位辞退理由割合佐賀県特有の背景
1位保護者の反対約30%「福岡の方が給料も将来性もある」という意見
2位他社からの内定約25%福岡の大手企業の知名度に保護者が惹かれる
3位進学への切り替え約16%「やっぱり大学に行ってほしい」という保護者の希望
4位条件面の不一致約12%福岡企業との給与・福利厚生の比較

県の保護者向け施策を活用する

佐賀県は「プロジェクト65+」の一環として、保護者向け県内企業訪問バスツアー(無料・昼食付き)を実施しています。企業側がこのバスツアーの受入先として名乗りを上げれば、県の公的な枠組みの中で保護者に直接自社をアピールできます。SAGAアリーナの合同企業説明会(155社参加)にも保護者の同伴が可能です。

ポイント:佐賀県の中小企業にとって、オヤカクの本質は「福岡ではなく佐賀を選ぶ合理的な理由」を保護者に提示することです。感情論ではなく、生活コスト・通勤時間・職場環境の具体的な数字で「佐賀の方が豊かに暮らせる」ことを証明しましょう。

3. 保護者が不安に思うポイント5選

佐賀県の保護者が子どもの就職先に対して抱く不安には、福岡都市圏との比較が常に背景にあります。以下の5つのポイントを必ず解消しましょう。

1. 会社の知名度・安定性

「聞いたことのない会社だけど大丈夫?」。SUMCO・久光製薬・ダイレックスなど知名度の高い企業がある佐賀県では、中小企業に対する知名度の不安は避けられません。

【解消法】創業年数、売上推移、主要取引先を数字で示します。「SUMCOの協力企業として10年以上の取引実績」「トヨタグループへの部品供給実績あり」など、大手との関係性を明示することで信頼感が生まれます。

2. 給与・福利厚生(福岡との比較)

「福岡の企業の方が給料が高いのでは?」。これは佐賀県特有の不安です。額面だけの比較では確かに福岡が上回るケースがありますが、可処分所得では逆転する可能性があります。

【解消法】「福岡で手取り20万円-家賃7万円-交通費1万円=12万円」vs「佐賀で手取り18万円-家賃4万円-マイカー維持費2万円=12万円」のように可処分所得で比較。さらに「駐車場無料・社員食堂・社宅あり」などの福利厚生を加味すれば、実質的には佐賀が有利になるケースを示せます。

3. 安全性(製造業・建設業)

佐賀県は製造業(31.7%)と建設業(22.0%)で高卒求人の過半数を占めます。「工場で怪我をしないか」「建設現場は危なくないか」という保護者の不安は根強いものがあります。

【解消法】労災ゼロ記録の年数、安全設備の写真、新入社員の安全教育プログラムを具体的に示します。保護者向け職場見学会で実際の安全対策を見せることが最も効果的です。

4. キャリアアップ・将来性

「高卒で入社して、10年後はどうなるの?」。特に「福岡なら転職先も多い」と考える保護者にとって、佐賀県の中小企業でのキャリアの将来性は大きな関心事です。

【解消法】高卒入社の先輩社員の具体的な昇進事例(「入社5年で主任、10年で課長」)と年収モデルを提示します。資格取得支援制度の充実を伝え、「この会社で成長できる」イメージを持ってもらいましょう。

5. 通勤・転勤の有無

「自宅から通えるか」「県外転勤はないか」。佐賀県は車社会であり、マイカー通勤が基本です。保護者にとって通勤手段と転勤リスクは重要な判断材料です。

【解消法】「佐賀市内のみ勤務・県外転勤なし」と明確にしましょう。マイカー通勤可・駐車場完備(無料)・通勤手当支給も重要な情報です。社用車貸与がある場合はさらにアピールポイントになります。

佐賀県ならではのヒント:「佐賀に住んで、週末は博多・天神に遊びに行く」というライフスタイルの提案が効果的です。福岡に近いことをネガティブに捉えず、「両方の良いとこ取りができる」というポジティブなメッセージに変換しましょう。

4. 保護者向け情報発信の具体策

4-1. 保護者宛の手紙(内定通知に同封)

内定通知書を送る際、必ず「保護者宛の手紙」を同封します。企業の誠意と、お子様を大切に育てるという姿勢を伝えましょう。

文面例:

「拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。厳正なる選考の結果、ご子息(ご令嬢)〇〇 様の採用を内定いたしました。弊社は佐賀の地で創業○○年、地域産業の発展と共に歩んでまいりました。〇〇 様が社会人として着実に成長できるよう、全社を挙げてサポートすることをお約束いたします。ご質問やご不安な点がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。」

4-2. 保護者説明会・職場見学会の開催

オヤカク対策で最も効果が高いのが「保護者説明会」です。佐賀県は車社会で移動しやすいため、対面での説明会は参加率が高い傾向にあります。県の保護者向けバスツアーとは別に、自社独自の保護者見学会を開催するとさらに効果的です。

【表2】保護者説明会 準備チェックリスト
項目ポイント
招待状の郵送学生経由ではなく保護者宛に直接郵送する
日程設定土日開催で保護者が参加しやすい日程にする
工場・職場の清掃トイレ・休憩室・食堂の清潔さは特に見られる
安全対策の説明資料労災件数・安全設備・保護具を写真付きで説明
先輩社員の同席同じ高校出身のOB・OGがいれば特に効果大
社長・工場長の挨拶トップが直接語ることで信頼感が飛躍的に向上
福岡との比較資料可処分所得・通勤時間・生活環境の比較データ
質疑応答の時間確保最低30分以上確保しどんな質問にも丁寧に回答
アンケートの実施残存する不安を把握し個別フォローに活かす

4-3. 保護者向け会社案内の作成

学生向けのパンフレットとは別に、保護者が知りたい情報に特化した資料を作成します。佐賀市の中小企業人材確保支援事業費補助金(補助率1/2、上限30万円)を活用すれば、パンフレット制作費を半額に抑えられます。

保護者向け会社案内に含めるべき項目:

  • 会社の沿革・業績推移(創業年数・売上高・従業員数の推移)
  • 給与・賞与・昇給の具体的なモデル(1年目・3年目・5年目)
  • 福利厚生一覧(社宅・社食・資格支援・健康診断・レクリエーション)
  • 年間休日数・有給取得率・残業時間の実績
  • 安全対策の詳細(特に製造業・建設業)
  • 先輩社員(高卒入社)のキャリアパスと声
  • 佐賀vs福岡の生活コスト比較データ

4-4. 内定後フォローのタイムライン

時期対応内容保護者向けアクション
9月下旬内定通知保護者宛の手紙を同封・社長から電話
10月保護者説明会・職場見学会土曜日開催で参加しやすく
11月内定者懇親会保護者にも報告書を送付
12月社内報・年末挨拶状保護者に会社の近況を共有
1〜2月入社前研修研修内容を保護者に事前に通知
3月入社準備案内入社日・持ち物・服装等の詳細を保護者にも送付
4月入社式保護者にも入社式の写真と社長メッセージを送付

5. 佐賀県のオヤカクまとめ:保護者は最強の味方になる

  1. 「福岡 vs 佐賀」の比較を自社から仕掛ける:保護者が勝手に比較する前に、可処分所得・通勤・生活環境の具体的なデータを提示しましょう。
  2. 県の保護者向け施策を活用する:保護者バスツアーの受入企業登録、SAGAアリーナ合同説明会への保護者同伴促進など、県の施策を最大限に利用しましょう。
  3. 社長の「顔が見える」対応:中小企業の最大の強みは、社長が直接保護者と話せること。大手にはできない距離感の近さを武器にしましょう。
  4. 内定から入社まで、継続的に接点を持つ:保護者の不安は時間とともに膨らみます。定期的な情報提供で「放置されている」感を払拭しましょう。

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