1. 求人倍率の推移と構造変化 — なぜ4.10倍になったのか
令和7年3月卒の高卒求人倍率4.10倍は、前年(令和6年3月卒)の3.98倍から+0.12ポイント上昇し、過去最高を更新しました。この数字は、1992年のバブル期に記録された3.34倍をも大きく上回っています。
近年の求人倍率推移
| 年度(3月卒) | 求人倍率 | 備考 |
|---|---|---|
| 令和7年(2025年)3月卒 | 4.10倍 | 過去最高。求人約49.9万人・求職約12.1万人(前年比+0.12pt) |
| 令和6年(2024年)3月卒 | 3.98倍 | コロナ後の回復傾向が本格化 |
| 令和6年9月末時点 | 3.91倍 | 年度途中の参考値 |
| 1992年(バブル期) | 3.34倍 | 求人約167万人・求職約50万人 |
出典: 厚生労働省「令和7年3月高等学校卒業者の就職状況」、Alternative Work
倍率上昇の主因は「求職者の減少」
ここで注意すべきは、求人倍率が上がった理由です。1992年のバブル期は求人数が約167万人と大量にあったため倍率が高かったのに対し、現在は求人数が約49万9千人と3分の1以下に減少しています。にもかかわらず倍率がバブル期を上回っているのは、求職者数がそれ以上に減っているからです。
1992年(バブル期)
求人 167万人 / 求職 50万人
求人が圧倒的に多い時代
令和7年(2025年)3月卒
求人 49.9万人 / 求職 12.1万人
求職者が激減した結果、倍率がバブル超え
つまり、「求人が増えて活況」ではなく「人がいなくなって倍率が上がった」のが実態です。少子化による18歳人口の減少と進学率の上昇により、高校を卒業して就職する若者の絶対数が減り続けています。この構造変化は今後も続くため、企業は「選ばれる側」であることを前提に採用戦略を設計する必要があります。
2. 産業別の求人構成 — どの業界が高卒人材を求めているか
高卒求人の産業別構成を見ると、製造業が約4割を占め、圧倒的な割合です。次いで卸売業・小売業、建設業と続きます。自社の産業がどのポジションにあるかを把握することで、競合の多さと採用の難易度が見えてきます。
| 産業 | 高卒求人に占める割合 |
|---|---|
| 製造業 | 39.9% |
| 卸売業・小売業 | 10.6% |
| 建設業 | 8.6% |
| 医療・福祉 | 約8% |
| サービス業 | 約7% |
出典: Alternative Work
製造業は求人の約4割を占めていますが、それだけ競合も多いということです。同業他社との差別化がなければ、49万件の求人に埋もれてしまいます。逆に、医療・福祉やサービス業など求人割合が低い業界では、高校との関係構築次第で優位に立てる可能性があります。
3. 愛知県の市場データ — 製造業の激戦区
全国平均でも厳しい高卒採用市場ですが、愛知県はさらに激しい競争環境にあります。製造業が集積する愛知県ならではのデータを確認します。
愛知県 高卒求人倍率
4.24倍
全国平均4.10倍を上回る過去最高
就職決定者数
11,941人
全国1位・8年連続増加
就職決定率
99.9%
全国トップ水準
県外就職率
4.6%
全国最低 = 地元志向が最も強い
製造業求人の集中
愛知県の製造業求人は15,315人(前年比+10.4%)と、全国でも突出した数字です。自動車関連産業を中心に、高卒人材の需要が年々拡大しています。
出典: 高卒採用Lab、中日BIZナビ、ハイスク
愛知県の特徴は「就職決定率99.9%」と「県外就職率4.6%(全国最低)」です。つまり、愛知県の高校生はほぼ全員が就職を決め、そのほとんどが県内企業に就職しています。「地元で働きたい」という志向が極めて強い地域であり、地元密着型の採用戦略が有効です。
4. 戦略1: 学校との関係構築を最優先にする
高卒採用は「学校推薦」が主流です。大卒採用のように就活サイトで母集団を形成するのではなく、高校の進路指導教諭が生徒に企業を紹介する仕組みです。つまり、先生に「この企業なら生徒を安心して送り出せる」と思ってもらえなければ、応募は来ません。
なぜ学校との関係構築が最優先なのか
求人票だけでは埋もれる
約49万9千件の求人が全国から届きます。1枚の求人票で差別化することは極めて困難です。
先生が「フィルター」の役割を果たす
進路指導教諭は、生徒の適性と企業の特徴を踏まえてマッチングを行います。先生との信頼関係がなければ、そもそも推薦候補に入りません。
指定校求人で優位に立てる
特定の高校に対して優先的に求人を出す「指定校求人」を活用すれば、推薦枠を確保しやすくなります。これは学校との継続的な関係があってこそ成立する仕組みです。
具体的なアクション
求人票提出前に学校を訪問し、進路指導教諭と面談する
自社の事業内容・働き方・キャリアパスを丁寧に説明する資料を持参する
高卒入社の先輩社員がいる場合、その情報を伝える(「御校の卒業生が活躍しています」は最強の信頼材料)
年に1回ではなく、定期的に訪問して関係を維持する
5. 戦略2: 求人票を「選ばれる」設計にする
高卒採用の求人票はハローワーク統一フォーマットです。書ける内容は限られていますが、限られた中でいかに差別化するかが重要です。
高校生が知りたいのは「社風・雰囲気」
高校生が就職先を選ぶ際に重視するのは、給与や休日だけではありません。「どんな人たちと、どんな雰囲気で働くのか」を知りたがっています。しかし、求人票の「会社の特長」欄はわずか90文字程度。この枠だけで社風を伝えることは不可能です。
差別化のポイント
「会社の特長」欄を最大限活用する
定型文(「アットホームな会社です」等)を避け、具体的な事実を書く。「高卒入社5年目の社員が主任に昇進」「年間休日120日+有給取得率80%」など。
求人票に補足資料を添付する
写真付きの会社案内、社員インタビュー、職場の写真集など、求人票だけでは伝わらない情報を補足資料として学校に提出できます。
動画コンテンツを活用する
職場の1日の流れ、先輩社員のインタビュー動画をQRコードで添付。高校生にとって動画は最も身近な情報取得手段です。
求人票は「応募のきっかけ」であり、それだけで入社意思を決定させるものではありません。求人票で興味を持ってもらい、補足資料や職場見学で「ここで働きたい」と思わせる導線を設計してください。
6. 戦略3: 職場見学で「体験」を提供する
高卒採用において、応募前職場見学は生徒の意思決定における最大の分岐点です。求人票や補足資料で得た情報を「実際に自分の目で確認する」機会であり、ここでの印象が応募の決め手になります。
職場見学で意識すべきこと
実際の仕事を見せる
応接室でのプレゼンテーションだけで終わらせず、実際の作業現場や事務所を見学に含めてください。高校生は「自分がここで毎日働く姿」をイメージしたいのです。
先輩社員と話す機会を作る
特に高卒入社の先輩社員との対話の機会は極めて効果的です。年齢が近い先輩が「自分もここからスタートした」と話すだけで、生徒の不安は大幅に軽減されます。
質問しやすい雰囲気を作る
高校生は緊張しています。「何でも聞いてください」と言うだけでは不十分です。「こういうことが気になる人が多いのですが」と先回りして話題を提供してください。
保護者同伴を歓迎する
保護者が職場を見ることで、家庭内の「この会社で本当に大丈夫?」という不安が解消されます。保護者の安心は、生徒の入社意思を後押しする重要な要素です。
7. 戦略4: 学科別の採用ターゲットを明確にする
「高卒」と一括りにしがちですが、学科によって就職率は大きく異なります。自社が求める人材がどの学科に多いのかを把握し、ターゲットとなる学校を絞り込むことが採用効率を高めます。
学科別の就職率と就職決定率
| 学科 | 就職率 | 就職決定率 |
|---|---|---|
| 工業科 | 63.3% | 99.5% |
| 農業科 | 47.5% | 98.7% |
| 商業科 | 33.6% | 98.9% |
| 普通科 | 6.1% | 95.9% |
出典: 文部科学省「学科別進路状況」
学科選びの考え方
製造業・技術職 → 工業科
就職率63.3%と最も高く、機械・電気・情報系の基礎知識を持つ生徒が多い。ただし競合も最も多い。
事務職・販売職 → 商業科
簿記・PCスキルを持つ生徒が多く、事務系職種との相性が良い。就職率33.6%で候補者のボリュームも確保しやすい。
食品・農業関連 → 農業科
食品加工・園芸・畜産など専門性のある生徒が多く、業界特化型の採用ができる。
業種問わず → 普通科
就職率は6.1%と低いが、就職希望者は確実に存在する。ただし学校推薦枠が限定的なため、関係構築に時間がかかる。
8. 戦略5: キャリアパスを「見える化」する
求人倍率4.10倍の市場では、高校生と先生は複数の企業を比較して選ぶ立場にあります。給与や休日の条件が似通っている場合、最終的な決め手になるのは「この会社に入ったら、5年後・10年後にどうなれるのか」という将来像です。
キャリアパスで差別化する理由
初任給の差は長期で逆転できる
高卒の初任給は大卒と比較して年間約60万円の差がありますが、昇進・昇給によって差は縮まります。重要なのは「入口の給与」ではなく「成長の道筋」を示すことです。
昇進ルートの具体例を示す
「入社3年目でリーダー → 5年目で主任 → 10年目で課長」のように、実際の昇進事例をタイムラインで見せることで、自分の将来をイメージしやすくなります。
資格取得支援をアピールする
取得可能な資格、費用補助の有無、取得者の割合を具体的に提示。「高卒入社でもスキルアップできる」ことの証明になります。
キャリアパス資料に含めるべき内容
入社からの年次別ポジションと役割
各ポジションでの年収レンジ(可能であれば)
業務に関連する資格と取得支援制度の内容
実際に昇進した社員のキャリアストーリー
入社後の研修プログラムとOJTの仕組み
「高卒だから」ではなく「高卒でも」でもなく、「高卒で入ったからこそ」のキャリアパスを提示してください。早くから実務経験を積むことで得られる強み、現場を知っているからこそ就ける管理職ポジションなど、高卒入社ならではのメリットを正面から語ることが、他社との差別化につながります。
9. よくある質問(FAQ)
Q1. 高卒の求人倍率4.10倍は高いのですか?
過去最高の数値です。大卒の求人倍率1.75倍(2025年卒、リクルートワークス研究所)と比較すると2倍以上の水準にあります。ただし、倍率上昇の主因は求人数の増加ではなく、少子化と進学率上昇による求職者数の減少です。1992年のバブル期には求人約167万人・求職約50万人で倍率3.34倍でしたが、令和7年3月卒は求人約49万9千人・求職約12万1千人で4.10倍となっています(厚生労働省)。
Q2. 愛知県の高卒採用は特に厳しいのですか?
愛知県の高卒求人倍率は4.24倍で全国平均の4.10倍を上回り、過去最高を更新しています。製造業の求人数が15,315人(前年比+10.4%)と圧倒的に多く、就職決定者数11,941人は全国1位(8年連続増加)です。一方で県外就職率は4.6%と全国最低水準で、地元志向が極めて強い地域です(高卒採用Lab、中日BIZナビ、ハイスク)。
Q3. 求人倍率が高いと採用は難しくなりますか?
求人倍率が高い=求職者1人に対する求人数が多い状態のため、企業間の競争は激しくなります。ただし、高卒採用は学校推薦が主流であり、進路指導教諭との関係構築次第で指定校求人として優先的に推薦を受けることが可能です。求人票を出すだけでは約50万件の中に埋もれるため、学校訪問と信頼関係の構築が採用成功の鍵となります。
Q4. 普通科の高校生も採用できますか?
普通科の就職率は6.1%と低いですが、就職を希望する生徒は存在します。ただし、工業科(就職率63.3%)や商業科(33.6%)と比較すると就職希望者の絶対数が少なく、学校推薦枠も限定的です。普通科からの採用を狙う場合は、より多くの高校との関係構築が必要になります(文部科学省「学科別進路状況」)。
Q5. 来年以降も求人倍率は上がり続けますか?
少子化による18歳人口の減少は構造的な問題であり、高校卒業後に就職を選択する生徒数の減少傾向は今後も続く見込みです。厚生労働省のデータでは、令和6年3月卒の3.98倍から令和7年3月卒の4.10倍へと上昇が続いています。求職者数が減り続ける限り、企業間の採用競争は激化する方向にあります。
関連記事
出典・参考資料
- ・ 厚生労働省「令和7年3月高等学校卒業者の就職状況(令和7年3月末現在)」— 求人倍率4.10倍、求人数約49万9千人、求職者数約12万1千人
- ・ Alternative Work「高卒の有効求人倍率」— 求人倍率推移、産業別求人構成(製造業39.9%等)、1992年との比較データ
- ・ リクルートワークス研究所「大卒求人倍率調査(2025年卒)」— 大卒求人倍率1.75倍
- ・ 高卒採用Lab — 愛知県の求人倍率4.24倍、就職決定者数11,941人(全国1位)、8年連続増加
- ・ 中日BIZナビ — 愛知県製造業求人15,315人(前年比+10.4%)
- ・ ハイスク — 愛知県就職決定率99.9%、県外就職率4.6%
- ・ 文部科学省「学科別進路状況」— 工業科就職率63.3%、商業科33.6%、農業科47.5%、普通科6.1%
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
For Companies
こんなお悩みはありませんか?
採用に毎年400万円以上…
本当に回収できてる?
3人に2人が内定辞退。
また振り出しに…
求人票を出しても
応募が来ない…
採用しても3年で辞める…
育成コストが無駄に
採用活動に手が回らない…
何から始めれば?


ゆめスタなら、解決できます
採用コスト
50%削減
607万円 → 300万円607万円 → 300万円
内定辞退率
ほぼ0%
一人一社(二社)制一人一社制(一人二社制)で確実採用
採用満足度
81.1%
大卒採用より+3.5pt大卒採用より+3.5pt
ゆめスタが解決します
高校生採用に特化した3つのサービスで、採用課題をトータルサポート



