1. なぜ内定後フォローが必要なのか — 離職率データが示す事実
結論から言えば、高卒新卒の約4割が3年以内に離職しており、そのうち最も多いのが1年目です。内定後の空白期間にフォローを行わないことは、入社後の離職リスクを放置していることと同じです。
3年以内離職率の内訳
| 期間 | 高卒の離職率 | 備考 |
|---|---|---|
| 1年目 | 17.9% | 3年間の離職のうち約半数が1年目に集中 |
| 2年目 | 11.5% | |
| 3年目 | 8.5% | |
| 合計 | 37.9% | 出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」令和4年3月卒業者 |
さらに、高卒で3年以内に離職した人のうち45.9%が入社1年以内に辞めているという調査結果もあります(株式会社ジンジブ「高卒早期離職に関するアンケート調査」2021年、n=207)。入社直後のミスマッチが、離職の最大の引き金です。
離職理由の1位は「人間関係」
同調査(n=245、複数回答)によると、高卒で早期離職した人の離職理由は以下の通りです。
圧倒的1位。「どんな人と働くか」を事前に知れるかどうかが鍵
「思っていた仕事と違った」
「入社前の情報量」が定着率を左右する
同調査では、就職活動中に職場見学した企業数と定着率の関係も明らかになっています。
| 職場見学した企業数 | 現在も継続中の人 | 3年以内に離職した人 |
|---|---|---|
| 2社以上 | 45.8% | 31.0% |
| 0社(見学なし) | — | 22.9% |
つまり、入社前に会社のことをより多く知っていた人ほど、定着率が高いのです。内定後フォローは、この「入社前の情報量」を補う手段です。社内報の送付や先輩との交流など、会社の雰囲気や人を知る機会を提供することが、入社後の「こんなはずじゃなかった」を防ぎます。
事業所規模別の離職率も注目すべきデータです。従業員5人未満の事業所では63.2%、5〜29人では54.6%と、中小企業ほど離職率が高くなっています(厚生労働省、同調査)。大企業に比べてフォロー体制が手薄になりがちな中小企業こそ、内定後の対応が定着率を左右します。
2. 高卒採用の内定後ルール — 何が禁止で、何ができるのか
高卒採用には、大卒採用にはない独自のルールがあります。内定後もこのルールは継続します。まず「やってはいけないこと」を正確に把握し、その上で「できること」を知ることが重要です。
禁止されていること
生徒への直接連絡
電話・メール・LINE・SNS等を使った直接的な連絡は全て禁止です。高校生の本分が学業であること、また未成年の保護の観点から、すべての連絡は学校(進路指導教諭)を通じて行います。
卒業前の研修・実習
学校教育に支障をきたす恐れがあるため、研修や教育は入社後に行うこととされています。「研修」という名目でなくても、業務に関わる作業をさせることは禁止です。
書類やレポートの提出要求
就職承諾書を除き、卒業前に書類やレポートの提出を求めることは禁止されています。
内定者の家庭訪問
内定者の自宅を訪問することも禁止事項に含まれます。
ルールの根拠
これらのルールは、「高等学校就職問題検討会議」の申し合わせ事項と、三者間ルール(高校・経済団体・都道府県労働局)に基づいています。法律上の罰則はありませんが、ルールに違反した場合、次年度の求人票の特記事項欄にその旨が記載されることがあります。このペナルティが記載されると、学校の先生が求人票を見た時点で「ルールを守れない企業」と判断され、生徒への紹介を避けられる可能性があります。
18歳成人とルールの関係:2022年4月に成人年齢が18歳に引き下げられましたが、高卒採用における学校経由のルールは変更されていません。高校在学中の生徒については、引き続き学校を通じた対応が必要です。
先生は「フォローしてほしい」と思っている
「ルールが厳しいから何もできない」と思いがちですが、実は先生の76%が内定者フォローに前向きであるという調査結果があります(株式会社ジンジブ調査、関東・関西13校の進路指導教諭対象)。
「入社まで何も連絡がないと、本当に入社できるのか不安に思う生徒もいるので、接点を取って欲しい」
— 高校進路指導教諭の声(高卒採用Lab)
つまり、学校はフォローを拒否しているわけではありません。正しい方法で、学校と連携しながらフォローを行うことが求められているのです。次のセクションで、具体的な方法を解説します。
3. 学校経由でできる7つのフォロー施策
すべて「学校を通じて」行う施策です。実施前に必ず高校の進路指導教諭に連絡し、フォロー内容の可否を確認してください。学校ごとに方針が異なるため、事前確認が不可欠です。
内定通知に歓迎メッセージを添える
内定通知書と労働条件通知書を学校に送付する際、代表者や配属先の上司からの歓迎メッセージを一筆添えます。「あなたと一緒に働けることを楽しみにしています」という一言が、内定者の不安を和らげる最初のきっかけになります。
時期:内定通知時(9〜10月)
方法:書面で学校に郵送。先生分と生徒分を別封筒で用意
社内報・会社情報を定期的に送付する
社内報や社内イベントの報告を学校経由で内定者に届けます。社員旅行の写真、忘年会の様子、新商品の紹介など、会社の「日常」が伝わる情報が効果的です。離職理由の1位が「人間関係」である以上、「どんな人たちが働いているか」を事前に伝えることは、入社後のギャップを防ぐ最も直接的な手段です。
時期:11月〜3月(月1回程度)
方法:紙の社内報またはPDFを印刷して学校に郵送。先生にも1部お渡しする
ポイント:社内報がない場合は、A4用紙1枚の簡単なニュースレターでも十分です
年賀状・季節の挨拶を送る
年賀状は、内定者との接点を自然に作れる機会です。代表者名や配属先の上司名で出すことで、「自分を覚えてくれている」という安心感を与えます。内容は簡潔で構いません。
時期:1月(年賀状)
方法:学校経由で送付。または学校に確認のうえ、自宅宛てに送付できる場合も
注意:自宅宛ての送付は必ず学校に事前確認してください
先輩社員からの手紙・寄せ書き
配属先の先輩社員から手書きの手紙や寄せ書きを送ります。特に高卒入社の先輩がいる場合は「自分と同じ立場で入社した人がいる」と知るだけで大きな安心材料になります。入社前の不安や、入社後に乗り越えた経験などを率直に書いてもらうと効果的です。
時期:12月〜2月
方法:学校に郵送し、先生から生徒に渡してもらう
内定者懇親会の開催(任意参加)
同期の内定者や先輩社員との顔合わせの機会を設けます。参加は必ず任意とし、「参加しなくてもまったく問題ない」ことを学校を通じて明確に伝えてください。
時期:2月以降(単位取得後、授業が落ち着いた時期)
方法:学校の進路指導教諭に事前確認 → 了承を得てから案内を送付
費用:企業負担が基本。交通費の補助も検討
内容例:会社見学、先輩社員との食事会、同期顔合わせ。「研修」名目は避ける
入社式の詳細案内
入社式の案内は、入社準備のために最も重要な連絡事項です。「当日何を持っていけばいいか」「どんな服装で行けばいいか」がわからないだけで、高校生にとっては大きな不安の種になります。できるだけ具体的に伝えてください。
時期:2月上旬
方法:学校経由で送付。先生用の書面も別途用意
記載すべき内容:
- - 日時・集合場所・集合時間
- - 服装(スーツ指定か、作業着支給か等)
- - 持ち物(筆記用具、印鑑、通帳コピー等)
- - 入社式当日の流れ(所要時間も含む)
- - 必要書類(住民票、卒業証明書、年金手帳等)
- - 緊急連絡先(入社式当日に連絡する場合の番号)
保護者向け情報の提供
内定者本人だけでなく、保護者の安心も入社後の定着に影響します。特に高校生の就職では、保護者が「本当にこの会社で大丈夫なのか」と不安を感じているケースが少なくありません。学校を通じて、保護者向けの情報を届けることで、家庭からのサポートを得やすくなります。
時期:内定通知時〜入社前
方法:学校経由で保護者向け書面を送付
内容例:会社概要パンフレット、入社後の研修体制の説明、福利厚生の案内、先輩社員の声
重要:上記7つの施策はすべて、実施前に学校への確認が必要です。学校ごとにフォローに対する方針は異なります。「御社として、このようなフォローを検討しているのですが、実施してよいでしょうか」と先生に相談するところから始めてください。
4. 月別フォロースケジュール(10月〜4月)
内定から入社までの約半年間で、いつ・何をすべきかの目安です。無理に全てを実施する必要はありません。自社の体制に合わせて、できることから始めてください。
内定通知
内定通知書 + 労働条件通知書を学校に送付。歓迎メッセージを添える。先生にフォロー計画を相談し、了承を得る
情報提供開始
社内報や会社ニュースレターの第1便を学校経由で送付。保護者向け会社案内パンフレットも同封
先輩からの手紙
配属先の先輩社員からの手紙・寄せ書きを学校経由で送付。年末の挨拶も兼ねる
年賀状
代表者名または配属先上司名で年賀状を送付(学校経由または学校確認のうえ自宅宛て)
入社式案内 + 懇親会
入社式の詳細案内を学校経由で送付(服装・持ち物・当日の流れ・必要書類)。学校の了承が得られれば、内定者懇親会を開催(任意参加)
卒業祝い + 最終確認
卒業祝いメッセージを学校経由で送付。入社日・集合時間等の最終確認。必要書類の提出依頼
入社
入社式。ここからは直接のコミュニケーションが可能になる。入社後のフォロー体制(メンター・定期面談等)に接続
5. 入社後の定着につなげるために
内定後フォローはゴールではなく、入社後の定着に向けた準備段階です。厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査」によると、若年正社員の定着のための対策を実施している事業所は73.7%。一方で、過去1年間に自己都合で退職した若年労働者がいた事業所は40.9%にのぼります。
同調査で特に注目すべきは、3か月未満で離職した若年者の52.3%が「人間関係がよくなかった」を理由に挙げていることです(全期間平均の26.4%を大きく上回る)。つまり、入社直後の人間関係構築がうまくいかないと、あっという間に離職につながります。
内定後フォローから入社後フォローへの接続
内定後フォローで築いた関係をリセットしない
内定後に手紙やメッセージをくれた先輩社員が、入社後もフォロー役(メンター等)を担うことで、関係の連続性が生まれます。
入社初日から「放置」しない
配属先の紹介、業務の説明、最初の1週間のスケジュール等を事前に準備しておくことで、「入社したけど何をすればいいかわからない」状態を防ぎます。
定期的な面談の仕組みを作る
入社後1か月・3か月・6か月のタイミングで上司との面談を設定しておくと、問題が深刻化する前に対処できます。
内定後フォローと入社後のフォローは別の施策ではなく、「入社前→入社直後→定着」の一連の流れとして設計してください。内定後に伝えた会社の雰囲気が、入社後の現実と一致していることが、定着の最大の要因です。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 内定者に直接LINEやメールで連絡してもよいですか?
高卒採用では、内定後であっても生徒への直接連絡(電話・メール・LINE等)は禁止されています。すべての連絡は学校の進路指導教諭を通じて行う必要があります。ルールに違反した場合、次年度の求人票の特記事項欄にその旨が記載されるペナルティがあります。
Q2. 卒業前に内定者研修を実施してもよいですか?
卒業前の研修・実習は禁止されています。学校教育に支障をきたす恐れがあるため、教育や研修は入社後に事業主の指揮命令のもとで実施することとされています。書類やレポートの提出を求めることも、就職承諾書を除き禁止です。
Q3. 内定者懇親会を開催してもよいですか?
懇親会の開催は可能ですが、必ず事前に高校の進路指導教諭に実施の可否を確認し、了承を得る必要があります。また、参加は任意であることを明示し、強制にならないよう配慮してください。開催する場合の費用は企業が負担するのが基本です。
Q4. 18歳成人になったことで内定後のルールは変わりましたか?
2022年4月の成人年齢引き下げ(18歳成人)後も、高卒採用における学校経由の連絡ルールは変更されていません。高校在学中の生徒は引き続き学校を通じた対応が必要です。これは法律上の成人年齢とは別に、学校教育への配慮と生徒保護の観点から維持されている申し合わせです。
Q5. 内定取消はどのような場合に認められますか?
採用内定により労働契約が成立するため、内定取消は法的には解雇に当たります。認められるのは、卒業できなかった場合、履歴書に重大な虚偽があった場合、健康状態が著しく悪化した場合など、客観的に合理的な理由がある場合に限られます。やむを得ず取り消す場合は、ハローワークおよび学校への事前通知が義務づけられています(職業安定法施行規則第35条第2項)。
関連記事
出典・参考資料
- ・ 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」令和7年10月公表 — 3年以内離職率37.9%、年次別・規模別・産業別データ
- ・ 厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査の概況」— 離職理由(労働時間28.5%、人間関係26.4%)、定着対策実施率73.7%
- ・ 株式会社ジンジブ「高卒早期離職に関するアンケート調査」2021年12月(n=472)— 離職理由(人間関係54.3%)、離職時期、職場見学と定着の関係
- ・ 株式会社ジンジブ「高卒採用Lab」— 内定後フォローの注意点、先生のフォロー意向(76%が前向き、13校調査)
- ・ マンパワーグループ「高卒採用の流れとは?スケジュールと守るべきルールを解説」— 三者間ルール、学校経由の原則
- ・ 秋田採用サポートナビ「高卒採用内定後のやっていいこと・ダメなこと」— 卒業前研修禁止、NG事例
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