三重県の高卒求人倍率推移【2021〜2025年度】
愛知4.94倍との格差と採用への影響
三重県の高卒求人倍率は3.12倍(令和7年度=令和8年3月卒・令和8年3月末確定値)。5年連続で上昇しています。求人数9,421人に対して求職者は3,018人——企業3社に対して高校生が1人しかいない計算です。
この記事では、推移データと愛知県との比較を通じて、三重県の採用担当者が知っておくべき市場の構造を解説します。
1. 三重県 高卒求人倍率の推移(令和3〜令和7年度)
いずれも各年度3月末時点の確定値です。コロナ禍からの回復を経て、右肩上がりの上昇が続いています。
| 年度 | 求人倍率 | 求人数 | 求職者数 | 内定率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和3年度(2022年3月卒) | 2.22倍 | 7,753人 | 3,499人 | 99.4% |
| 令和4年度(2023年3月卒) | 2.72倍 | 8,898人 | 3,272人 | 99.7% |
| 令和5年度(2024年3月卒) | 3.00倍 | 9,227人 | 3,078人 | 99.6% |
| 令和6年度(2025年3月卒) | 3.06倍 | 9,439人 | 3,088人 | 99.5% |
| 令和7年度(2026年3月卒) | 3.12倍 | 9,421人 | 3,018人 | 99.4% |
三重県 高卒求人倍率の上昇トレンド(3月末確定値)
3.12倍が意味すること
求人倍率3.12倍とは、高校生1人に対して約3社が求人を出している状態です。単純計算で3社に1社は応募すら来ない。しかも内定率は99.4%——ほぼ全員が内定を得るため、高校生が「企業を選ぶ側」にいます。求人票を出してハローワークに持って行くだけでは、もう採用できません。
出典: 厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」第3表(各年度3月末現在。令和7年度は令和8年3月末現在)
2. 愛知4.94倍 vs 三重3.12倍 — 格差の構造
三重県の採用担当者にとって最も重要な比較対象は愛知県です。同じ令和8年3月末確定値(令和8年3月卒)で並べてみましょう。
| 県名 | 求人倍率 | 求人数 | 求職者数 | 内定率 |
|---|---|---|---|---|
| 愛知県 | 4.94倍 | 41,286人 | 8,352人 | 99.8% |
| 三重県 | 3.12倍 | 9,421人 | 3,018人 | 99.4% |
格差が生まれる3つの構造的理由
1. 産業集積の差
愛知はトヨタ自動車を中心に自動車産業が極端に集中し、1社で数百人規模の求人を出します。三重は輸送用機械(23%)・電子部品(16%)・化学工業(12%)とバランス型で、求人の爆発的な積み上がりが起きにくい構造です。
2. 企業規模の差
愛知には大手メーカー本社・主力工場が多数。三重は事業所の99.8%が中小企業で、1社あたりの求人数が小さい。求人数の総量で4倍以上の差があります(愛知41,286人 vs 三重9,421人。令和8年3月末)。
3. 人口規模の差
愛知の人口は三重の約4倍。高校数・卒業生数もそれに比例します。母数が大きい市場では需給バランスの崩れ幅も大きくなるため、倍率が高く出ます。
三重の企業にとっての「意味」
愛知ほどの異常な高倍率ではないということは、「まだ戦える余地がある」ということです。ただし、愛知の求人市場は三重の高校生を吸い寄せる引力を持っています(県外就職率14.1%)。「愛知に勝つ」のではなく「三重で働くメリットを伝える」ことが採用戦略の核心です。
具体策は 差別化戦略 / 若者流出とUターン採用 で詳しく解説しています。
3. 求人倍率上昇が採用に与える3つの影響
1. 採用コストの増加
応募を待つだけでは人が来ません。求人票の見直し・パンフレット制作・職場見学の受け入れ体制整備・SNS発信——以前は不要だった投資が必須になっています。
2. 選考基準の維持が困難
応募者が少ないため妥協して採用するケースが増えています。しかしミスマッチ採用は早期離職のリスクを高めます。「誰でもいいから」ではなく、「この仕事に合う人」を見極める選考力がより重要になっています。
3. 「早く動いた企業」だけが採れる
一人一社制のもと、9月の応募解禁時点で「この会社に行きたい」と思わせるには、4月からの学校訪問・7月の求人票公開・8月の職場見学を確実に実行する必要があります。解禁日を待っていては手遅れです。
4. 今後の見通し — 倍率はさらに上がる
三重県の高卒求人倍率は今後さらに上昇する構造にあります。最大の要因は少子化による求職者(分母)の減少です。
文部科学省の学校基本調査によると、三重県の高校卒業生数は年々減少傾向にあります。企業の求人意欲が減退しない限り、分母が減れば倍率は上がり続けます。
「そのうち人が戻ってくるだろう」という楽観論は通用しません。今のうちに学校との関係構築・採用ブランディング・定着支援への投資を行わなければ、数年後には採用活動自体が成り立たなくなるリスクがあります。
高校生数の詳しい推移は 高校生数推移と採用市場への影響 で解説しています。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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