京都府の高卒求人倍率推移
近畿圏(滋賀・大阪・兵庫・奈良・和歌山)との比較分析
京都府の高卒求人倍率は令和3年3月卒の3.13倍から令和7年3月卒の5.38倍へと、わずか5年で2.25ポイント上昇しました。この急上昇は全国的な人手不足だけでは説明できません。京都府固有の構造的要因として、進学率が全国トップクラス(73.0%)で就職を希望する高校生が極めて少ないことが挙げられます。京セラ・村田製作所・任天堂など世界的な企業が本社を構える京都では、限られた高卒人材を巡る競争が年々激化しています。
求人倍率推移(令和3〜7年3月卒)
京都府 新規高卒求人倍率の推移(各年3月末現在・京都労働局)
| 年度 | 求人数 | 求職者数 | 求人倍率 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| 令和3年3月卒 | 4,801人 | 1,534人 | 3.13倍 | — |
| 令和4年3月卒 | 5,166人 | 1,411人 | 3.66倍 | +0.53 |
| 令和5年3月卒 | 5,817人 | 1,347人 | 4.32倍 | +0.66 |
| 令和6年3月卒 | 6,237人 | 1,316人 | 4.74倍 | +0.42 |
| 令和7年3月卒 | 6,752人 | 1,255人 | 5.38倍 | +0.64 |
求人 4,801人 / 求職 1,534人(前年差 —)
求人 5,166人 / 求職 1,411人(前年差 +0.53)
求人 5,817人 / 求職 1,347人(前年差 +0.66)
求人 6,237人 / 求職 1,316人(前年差 +0.42)
求人 6,752人 / 求職 1,255人(前年差 +0.64)
近畿圏6府県・全国平均との比較
京都府の求人倍率を近畿圏の府県および全国平均と比較すると、京都が高い水準にあることが分かります。これは進学率の高さにより求職者数が相対的に少ないことが主因です。
| 府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 京都府 | 5.38倍 | 電子部品・精密機器・伝統工芸・観光 | 進学率の高さで求職者数が少なく高倍率 |
| 大阪府 | 約5〜6倍 | 商業・サービス・製造業 | 商都として求人数が圧倒的に多い |
| 滋賀県 | 約3.5〜4倍 | 化学・医薬品・自動車部品 | 製造業比率が全国トップクラス |
| 兵庫県 | 約3〜4倍 | 鉄鋼・造船・食品・ゴム | 神戸・姫路を中心にものづくり産業が集積 |
| 奈良県 | 約3〜3.5倍 | 靴下・プラスチック・住宅 | 大阪への通勤圏として住宅地の性格が強い |
| 和歌山県 | 約2.5〜3倍 | 化学・鉄鋼・農林水産 | 石油化学コンビナートと農業が二本柱 |
| 全国平均 | 約4.10倍 | — | 京都は全国平均の約1.3倍 |
進学率の高さで求職者数が少なく高倍率
商都として求人数が圧倒的に多い
製造業比率が全国トップクラス
神戸・姫路を中心にものづくり産業が集積
大阪への通勤圏として住宅地の性格が強い
石油化学コンビナートと農業が二本柱
京都は全国平均の約1.3倍
注目ポイント:京都府の5.38倍は全国平均(約4.10倍)を上回りますが、隣の大阪府も同等以上の高倍率です。京都の高校生は大阪の企業にも応募できるため、実質的な競争は近畿圏全体に広がっています。府内就職率56.7%という数字が、京都から大阪への人材流出を示しています。
京都府の求人倍率が高い3つの構造的要因
1. 進学率73.0%(全国トップクラス)が生む「少数精鋭」の就職市場
京都府の大学・短大等への進学率は73.0%です(統計京都2024年2月号特集・全国60.8%)。高校卒業者のうち就職を希望する生徒は極めて少なく、令和7年3月末時点の求職者数はわずか1,255人にとどまります。一方で企業からの求人は6,752人あり、1人の高校生を5社以上が求める構造になっています。この「求職者の少なさ」こそが、京都の高卒求人倍率を押し上げる最大の要因です。
2. 世界企業の本社集積が求人数を底上げ
京都には京セラ・村田製作所・ニデック・オムロン・任天堂・島津製作所・ローム・堀場製作所など、世界トップクラスの電子部品・精密機器メーカーが本社を構えています。これらの企業が高卒採用枠を維持・拡大する動きが続いており、求人数は令和3年3月卒の4,801人から令和7年3月卒の6,752人へと5年間で約4割増加しました。大手企業の採用意欲が市場全体の倍率を引き上げています。
3. 府内就職率56.7%が示す「大阪流出問題」
京都府の高卒府内就職率は56.7%で、全国平均(約63.2%)を下回ります。交通の利便性から大阪への就職が多く、府内企業にとっては「高校生が大阪に流れてしまう」という課題を常に抱えています。求職者1,255人のうち府内で就職するのは約711人にとどまり、府内企業の求人を実際に充足できる母数はさらに絞り込まれます。
今後の見通し — 構造は変わらない
京都府の高卒求人倍率を押し上げてきた2つの力——「進学率の高さ」と「少子化による高校生数の減少」——は、今後も働き続けます。求職者の供給が細り続ける限り、求人倍率が下がる構造的な理由はありません。求人を出すだけでは応募が集まらない時代は、これからさらに進みます。
採用戦略への示唆:京都では進学率の高さが求人倍率を構造的に押し上げており、少子化の進行でこの傾向はさらに強まります。中小企業が京セラ・村田製作所と正面から競争しても勝ち目は薄く、「学校との早期関係構築」「大阪に流れない仕掛けづくり」「職場の魅力を可視化する情報発信」の3つを柱とした差別化戦略が不可欠です。詳しくは中小企業の差別化戦略7選をご覧ください。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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