神奈川県の高校生の進路と求職者数の構造
なぜ神奈川県の高卒採用は難しいのか — 求職者3,978人・内定率99.0%の意味
神奈川県は人口全国2位の大都市圏です。しかし、高校を出て就職する高校生は全国でも最も少ない水準にあります。令和8年3月卒でハローワークに求職票を出した生徒は3,978人(7月末)。求人15,483件がこの少ない母数を奪い合うのが、神奈川県の高卒採用市場です。一方で、就職を選んだ生徒の最終内定率は99.0%。「決まらない」のではなく「そもそも就職する生徒が少ない」——この構造を理解することが、採用戦略の出発点です。
神奈川県は「就職する高校生」が全国最少水準
神奈川県は大学等への進学率が高く、高校卒業者に占める就職者の割合は全国でも最も低い水準です(文部科学省・学校基本調査)。高校を卒業する生徒の多くが大学・短大・専門学校へ進学し、就職市場に出てくる生徒は少数派です。
具体的には、ハローワークに高卒求職票を出した生徒は令和8年3月卒で3,978人(7月末)。人口920万人を超える大都市圏でありながら、これは全国の中でも人口規模に対して極端に小さな母数です。求人15,483件がこの3,978人を奪い合うため、求人倍率は3.89倍まで上昇します。
採用担当者が理解すべきこと
神奈川県で「高校生を採用する」とは、大学に行けるのに就職を選んだ生徒——明確な意思を持つ人材にアプローチするということです。この層は「成績が足りなかった」のではなく、「手に職をつけたい」「早く自立したい」という積極的な理由で就職を選んでいます。こうした生徒に響くのは「大手に近い待遇」ではなく、「入社後にどう成長できるか」という具体的なキャリアパスの提示です。
出典: 文部科学省「学校基本調査」 / 神奈川労働局(7月末)
内定率99.0% — 就職を選んだ生徒はほぼ全員決まる
令和8年3月卒の最終内定率は99.0%(神奈川労働局)。求職者3,656人(最終)のうち、就職内定に至ったのは3,621人。就職を希望した生徒は、ほぼ全員がどこかの企業に決まっています。これは企業側から見れば「採用したい高校生は、放っておくと他社に決まる」ことを意味します。
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 求職者数(7月末) | 3,978人 | 求人公開直後 |
| 求職者数(最終・3月末) | 3,656人 | 内定者が抜けて減少 |
| 就職内定者数(最終) | 3,621人 | 前年比+0.5% |
| 最終内定率 | 99.0% | 前年比-0.4pt |
求人公開直後
内定者が抜けて減少
前年比+0.5%
前年比-0.4pt
大学進学率が高い首都圏ならではの3つの壁
神奈川県の高卒採用が地方と決定的に異なるのは、「そもそも高卒で就職するという選択が少数派」だという点です。この構造的な特殊性を理解しない限り、効果的な採用戦略は立てられません。
壁1:そもそも就職を考える生徒に出会えない
進学率が高い環境では、高校の先生も進学指導がメインになりがちです。就職指導の先生との接点を作る段階から始める必要があります。工業高校・商業高校だけでなく、普通科の「就職組」にもリーチする戦略が求められます。
壁2:保護者の「大学に行ってほしい」を超える
首都圏の保護者は「高卒就職」に抵抗感を持つケースが多くあります。企業が保護者向けの情報発信(キャリアパス・研修制度・将来の年収モデル)を行い、「この企業なら安心」という信頼を得ることが不可欠です。
壁3:東京の企業との競合
神奈川県の高校生は東京都内の企業にも応募できます。ブランド力のある東京企業と地元の中小が同じ土俵で勝負します。「通勤の近さ」「地元密着」「転勤なし」は神奈川企業の強みとしてアピールできるポイントです。
採用基盤の構築 — 今から着手すべきこと
少子化により18歳人口は緩やかに減少傾向にあり、就職する高校生の母数は今後も限られた状態が続きます。早くから採用基盤を整えた企業だけが、限られた人材を確保できます。
短期(1年以内)
- •近隣工業高校・商業高校への訪問開始
- •職場見学の受入体制整備
- •求人票の記載内容を見直し
- •採用専用ページの開設
中期(1〜3年)
- •インターンシップの定期開催
- •保護者向け情報発信の充実
- •先輩社員の声を活用した採用ブランディング
- •普通科への採用アプローチ強化
長期(3年以上)
- •学校との継続的なパイプライン構築
- •定着率向上による口コミ効果の創出
- •地域密着型の活動で企業認知度向上
- •高卒社員のキャリアモデルの確立と発信
やってはいけないこと
- •求人票を出すだけで「待ち」の姿勢
- •大卒と同じ採用メッセージの使い回し
- •学校への挨拶なしでの求人活動
- •「とりあえず数を集める」発想
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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