香川県のインターンシップ活用完全ガイド
高卒採用につなげる職場体験プログラムの設計
造船(丸亀市・坂出市)・手袋製造(東かがわ市・国内シェア90%超)・食品加工(うどん・醤油・冷凍食品)など特色ある産業が集積する香川県は、高卒人材の争奪戦が激しいエリアの一つです。求人倍率3.72倍という数字が示すとおり、1人の高校生を約3.7社が奪い合う状況が続いています。
この激戦区で採用を成功させるために注目されているのが「インターンシップ(職場体験)」です。香川県では「発見探検!わたしたちの地域の仕事」(中2・高2向け企業紹介事業)や「ワクサポかがわ」のインターンシップマッチングなど、行政の支援制度も充実しています。本ガイドでは、これらの制度を活用しながら高卒採用につなげる実践的なプログラム設計方法を徹底解説します。
1. なぜインターンシップが高卒採用に効くのか
香川県の高卒採用市場では、求人倍率3.72倍という売り手市場が続いています。この状況下で企業が採用を成功させるには、「求人票を出すだけ」の受け身の姿勢では不十分です。インターンシップは、企業の魅力を能動的に伝えるための最も効果的な手段の一つです。
内定承諾率・定着率への影響
インターンシップに参加した生徒は、仕事内容や社風を肌で感じているため、入社後のギャップが少なくなります。結果として内定承諾率が高まり、「思っていた仕事と違う」という理由での早期離職を防ぐ効果も実証されています。
データで見る効果
インターンシップ参加者の内定承諾率 85%超
(対して非参加者の承諾率は約60%)
香川県特有の事情:多様な産業とインターンの相性
香川県は造船・手袋・食品加工・機械金属など多様な産業が集積しており、各産業でインターンシップの需要が高まっています。多度津工業高校・坂出工業高校・高松工芸高校・志度高校をはじめとする工業・商業高校に多くの企業が求人を出しています。インターンシップで「実際に体験できる」機会を提供することが、他社との差別化に直結します。
学校・先生との信頼関係構築
高卒採用では進路指導の先生の推薦が極めて重要です。インターンシップを通じて学校との継続的なパイプを作ることで、先生からの信頼を獲得し、翌年以降の安定した応募にもつながります。特にBtoB企業や中小企業にとっては、社名や事業内容を知ってもらう絶好のチャンスです。
2. 香川県の行政支援制度を活用する
香川県にはインターンシップや職場体験に関する行政支援制度が充実しています。これらを積極的に活用することで、企業側の負担を軽減しながら効果的なプログラムを実施できます。
「発見探検!わたしたちの地域の仕事」
香川県が実施している中学2年生・高校2年生向けの企業紹介事業です。地域の企業と若者をつなぐ取り組みで、参加企業は企業紹介動画の制作支援や、学校への出前授業の機会を得ることができます。将来の採用候補となる中高生との早期接点を作ることができ、「知らない企業」から「知っている企業」への認知向上に効果的です。
出典:kagawa-oshigoto-hakken.com
ワクサポかがわ(若者就職サポートセンターかがわ)
香川県が運営する若者の就職支援拠点です。インターンシップのマッチング支援を行っており、受け入れ企業と参加を希望する高校生・大学生のコーディネートをサポートしてくれます。企業側は受け入れ希望を登録するだけで、ワクサポかがわが学校側との調整を代行してくれるため、初めてインターンシップを実施する企業にも適しています。
香川県教育委員会の職場体験学習
香川県教育委員会では、県立高校のキャリア教育の一環としてインターンシップを推進しています。各高校の進路指導部と連携し、受け入れ企業のリスト作成・生徒の割り振りなどを行っています。特に工業高校・商業高校では、カリキュラムに組み込まれた実習として実施されるケースが多く、企業側の受け入れがスムーズです。
活用のポイント:「発見探検!わたしたちの地域の仕事」は中2・高2が対象のため、直接的な採用活動ではなく、企業認知度の向上と将来の応募者との接点づくりに活用しましょう。一方、ワクサポかがわのインターンシップマッチングは、より採用に近い段階(高2の夏〜高3)の生徒とのマッチングに効果的です。
3. インターンシップの種類と期間(1日型・3日型・5日型)
高校生向けインターンシップには主に3つの形式があります。自社の採用目的やリソースに合わせて最適な形式を選びましょう。
| 形式 | 期間 | 実施時期 | 内容・目的 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|---|
| 1日型(職場見学) | 1日 | 6〜8月 | 会社説明・工場見学・若手社員との座談会。応募前職場見学を兼ねることが多い。企業の雰囲気を短時間で伝える。 | 初めて受け入れる企業、人手が限られる中小企業 |
| 3日型(短期体験) | 2〜3日 | 7〜8月 | 座学+実務体験のバランス型。1日目は会社説明と見学、2日目は実務体験、3日目は振り返りと発表。 | 造船・手袋・食品加工など体験要素が豊富な企業 |
| 5日型(実習型) | 5日〜2週間 | 夏休み・2学期 | 本格的な実務体験。工業高校の実習授業と連携するケースも多い。生徒の適性を深く見極められる。 | 工業高校と連携したい製造業、技術職採用企業 |
香川県の高校スケジュールとの調整ポイント:香川県の県立高校では、夏休み期間(7月下旬〜8月末)にインターンシップを実施するのが一般的です。工業高校では2学期中に数日間の実習期間を設けているケースもあります。多度津工業高校や坂出工業高校など、規模の大きい学校は受け入れ先の確保に苦労することもあるため、早めのアプローチが有効です。
4. プログラム設計のポイント(造船・手袋・食品産業別)
香川県の産業構造に合わせた、業種別のプログラム設計例を紹介します。「見せるだけ」で終わらず、生徒に「ここで働きたい」と思わせるプログラムを設計しましょう。
造船業向けプログラム例(丸亀市・坂出市エリア)
香川県の造船業は丸亀市・坂出市を中心に集積しており、今治造船グループをはじめ多くの造船所が立地しています。巨大な船が形になっていくスケール感を体感させることが、高校生の心を動かすポイントです。
| 日程 | 午前 | 午後 |
|---|---|---|
| 1日目 | 会社説明・安全教育・造船所全体見学ツアー | 建造中の船内見学・若手社員との座談会 |
| 2日目 | 実習:簡単な溶接体験・鉄板加工デモ | 3D-CAD設計のデモ体験・品質管理のワークショップ |
| 3日目 | 塗装・艤装工程の見学・クレーン操作見学 | 振り返りワーク・成果発表・修了式 |
ポイント:造船業ならではの「巨大なものを作る」スケール感を活かしましょう。ドック内での記念撮影や、自分が溶接した小さな鉄板プレートを持ち帰らせるなど、思い出に残る体験をデザインすることが重要です。
手袋・繊維産業向けプログラム例(東かがわ市エリア)
東かがわ市は手袋製造の国内シェア90%超を誇る一大産地です。繊細な縫製技術や素材選びの面白さを体験させ、「手袋づくり」がクリエイティブな仕事であることを伝えましょう。
- 素材の違い体験:革・ニット・合成皮革など素材ごとの手触り・特性の違いを比較体験
- 型取り・裁断体験:手のサイズを測り、実際に型紙を使った裁断作業を体験
- 縫製ミシン体験:工業用ミシンを使った簡単な縫製作業(指導員がマンツーマンで付く)
- 自分だけの手袋づくり:簡易版の手袋を作り、持ち帰れるようにする
- デザイン企画ワーク:新しい手袋のデザインをチームで企画し、プレゼン
食品産業向けプログラム例
香川県はさぬきうどん関連産業をはじめ、醤油・冷凍食品・水産加工など食品産業が盛んです。「食のプロ」としてのやりがいと、衛生管理・品質管理の重要性を体感させるプログラムが効果的です。
- 衛生管理入門:手洗い・白衣着用・エアシャワーなど食品工場の衛生管理を実体験
- 製造ライン見学:原材料の入荷から製品の出荷までの流れを一貫して見学
- 品質検査体験:温度管理・異物混入チェック・官能検査(味・匂い)のワークショップ
- 新商品企画ワーク:チームで新しい商品アイデアを考案し、プレゼン発表
全業種共通のポイント:プログラムの比率は「説明3:体験7」を意識しましょう。座学ばかりでは生徒は退屈し、放置は不安を感じさせます。常に「手を動かす」「人と話す」時間を確保することが、満足度向上の鍵です。
5. 受入準備チェックリスト
インターンシップの成功は、事前準備の質で8割が決まります。以下のチェックリストを活用して、漏れのない受け入れ体制を整えましょう。
実施2〜3か月前
- 受け入れ目的・ゴールの明確化(採用直結型 or 認知度向上型)
- プログラム内容・タイムスケジュールの策定
- 指導担当者(メンター)の選定(年齢の近い若手社員が理想)
- 学校への受け入れ申し出・進路指導担当の先生と打ち合わせ
- 保険加入の確認(傷害保険・賠償責任保険)
- ワクサポかがわ・「発見探検!」への参加登録
実施1か月前
- 安全管理マニュアルの整備・危険箇所の洗い出し
- 受け入れ部署への周知・協力依頼
- 名札・作業着・安全装備の準備
- 生徒向け事前資料(会社概要・当日の持ち物・服装等)の作成
- 昼食の手配方法の決定(社員食堂・弁当・各自持参)
実施前日〜当日
- 受け入れスペース・会議室のセッティング
- 体験で使う材料・工具・備品の最終確認
- 全社員への「本日インターン生が来ます」の周知
- アンケート用紙・修了証の準備
- 緊急連絡先リスト(学校・保護者)の確認
注意:NG行動
- - 雑用ばかりさせる:コピー取りや掃除だけでは職業体験になりません
- - 放置・ほったらかし:「見ておいて」と放置するのは厳禁です
- - 過度な業務負荷:高校生に長時間労働や危険な作業は絶対に避けてください
- - 実質的な労働をさせる:教育目的を逸脱した場合、労働基準法上の「労働者」とみなされます
6. インターンシップから採用につなげるフォロー術
インターンシップは「やりっぱなし」では効果が半減します。終了後のフォローアップが、実際の応募・内定承諾につながる決め手です。
終了時アンケートで生徒の声を収集
満足度・印象に残ったプログラム・改善点を聞き取り、次回の改善に活用します。生徒の率直な感想は、プログラム改善の最も貴重な情報源です。
お礼状・修了証の送付
参加してくれた生徒には後日、お礼の手紙と修了証を学校経由で送付します。手書きのメッセージを添えると、企業の誠実さが伝わります。
学校への報告・フィードバック
進路指導の先生に、生徒の様子や取り組み姿勢を報告します。ポジティブなフィードバックを伝えることで、先生からの信頼が厚くなり、翌年の推薦にもつながります。
社内報・SNSでの発信
インターンシップの様子を社内報やSNS(Instagram等)で発信します。「高校生を大切に受け入れている企業」というイメージは、次年度以降の応募にもプラスに働きます。
応募前職場見学への再招待
インターンシップに参加した3年生には、正式な応募前職場見学への参加を案内します。すでに関係性ができているため、スムーズに選考プロセスへ移行できます。
香川県ならではのフォロー術:香川県はコンパクトな県であり、高校間・企業間のネットワークが密接です。インターンシップ後に先生との定期的な情報交換の場(学校訪問・企業見学会への招待)を設けることで、「あの企業は面倒見がいい」という評判が県内で広がり、毎年安定した応募を確保できるようになります。「発見探検!」で接点を持った中学生が高校進学後に応募してくれるケースも期待できます。
7. 香川県の主要工業・商業高校とインターンシップ連携
造船・手袋・食品加工などの産業では、工業高校・商業高校との連携が不可欠です。香川県内の主要高校を把握し、積極的にアプローチしましょう。
| 高校名 | 所在地 | 主要学科 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 多度津工業高等学校 | 仲多度郡多度津町 | 機械科/電気科/建設科/土木科 | 県内屈指の工業高校。造船・建設業への就職に強い |
| 坂出工業高等学校 | 坂出市 | 機械科/電気科/化学工学科/建築科 | 坂出・丸亀エリアの工業人材供給源。製造業就職に実績 |
| 高松工芸高等学校 | 高松市 | 機械科/電気科/工芸科/建築科/デザイン科 | 高松市内の伝統校。工芸・デザイン系の人材も輩出 |
| 志度高等学校 | さぬき市 | 電子機械科/情報科学科/商業科 | 東讃エリアの複合校。IT・電子系の就職にも対応 |
| 高松商業高等学校 | 高松市 | 商業科/情報数理科/英語実務科 | 県内トップの商業高校。事務職・営業職への就職が多い |
アプローチのタイミング:インターンシップの受け入れ打診は、4〜5月が適切です。学校側は年度初めにインターンシップ先のリストを作成するため、早めの連絡が採用につながります。ワクサポかがわ経由のほか、直接学校の進路指導部に電話する方法も有効です。
8. よくある質問
Q. 香川県で高校生のインターンシップを受け入れるにはどうすればいい?
A. ハローワークや香川県教育委員会を通じて受け入れ企業として登録します。また「ワクサポかがわ」のインターンシップマッチング支援を活用する方法もあります。各高校の進路指導担当の先生に直接連絡し、受け入れ可能な時期やプログラム内容を伝えましょう。
Q. 「発見探検!わたしたちの地域の仕事」に企業として参加するには?
A. 「発見探検!わたしたちの地域の仕事」は香川県が実施する中2・高2向けの企業紹介事業です。参加企業の募集は毎年度行われており、詳細はkagawa-oshigoto-hakken.comで確認できます。企業紹介動画の制作支援や出前授業の機会が得られ、将来の採用候補との早期接点づくりに効果的です。
Q. インターンシップの実施時期はいつが最適?
A. 香川県の高校では夏休み期間(7月下旬〜8月末)に実施するケースが最も多いです。工業高校では2学期中に実習期間を設けている場合もあります。採用に直結させたい場合は、3年生の応募前職場見学(6〜8月)を兼ねた形式が効果的です。
Q. インターンシップの受け入れにかかる費用は?
A. 基本的にインターンシップは教育目的のため賃金は発生しません。企業側の費用としては、材料費・保険料・昼食代・指導者の人件費などが主な項目です。人材開発支援助成金など公的支援制度の活用も検討しましょう。
Q. 求人倍率3.72倍の香川県でインターンシップは本当に差別化になる?
A. はい、大きな差別化になります。1人の高校生を約3.7社が奪い合う状況では、求人票だけで企業の魅力を伝えるのは困難です。実際に職場を体験してもらうインターンシップは、生徒の志望度を高める最も効果的な手段の一つであり、参加者の内定承諾率は非参加者より大幅に高い傾向があります。
まとめ|香川県でインターンシップを採用成功につなげる3つの鍵
求人倍率3.72倍の香川県において、インターンシップは高卒採用の成否を分ける重要な施策です。成功のために押さえるべき3つのポイントを再確認しましょう。
- 地場産業に合ったプログラムで「体験価値」を最大化する
造船業なら「巨大なものを作るスケール感」、手袋産業なら「クリエイティブな手仕事」、食品産業なら「食のプロとしてのやりがい」。香川県の産業特性に合わせた体験を設計し、求人票では伝わらない魅力を届けましょう。 - 行政支援制度をフル活用する
「発見探検!わたしたちの地域の仕事」で中高生との早期接点を作り、ワクサポかがわのマッチング支援でインターンシップの実施をスムーズに進める。行政の力を借りることで、中小企業でも効果的なプログラムを実現できます。 - 終了後のフォローアップを徹底する
お礼状の送付・学校への報告・SNSでの発信。やりっぱなしにせず、継続的にコミュニケーションを取ることで、志望度を高め、内定承諾率を向上させましょう。
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データ出典:
- 香川労働局「令和8年3月新規高等学校卒業者の求人・求職・内定状況」
- 香川県「発見探検!わたしたちの地域の仕事」(kagawa-oshigoto-hakken.com)
- ワクサポかがわ(若者就職サポートセンターかがわ)
- 香川県教育委員会
- 厚生労働省「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」



