香川県の高卒採用 学校訪問完全マニュアル

工業高校6校の特徴と訪問戦略を徹底解説

香川県の高卒求人倍率は3.72倍(全国平均3.70倍)と高水準で、工業科の内定率は12月末時点で98.0%に達しています。工業系人材の獲得競争は極めて激しく、学校訪問なしに優秀な人材を確保することは困難です。

高卒採用において、進路指導の先生は生徒と企業を結ぶ「ゲートキーパー」です。この記事では、香川県の工業高校6校・商業高校・香川高専の特徴を踏まえた訪問戦略と、先生に「この会社なら生徒を任せられる」と信頼される企業になるための具体的な手順を解説します。

3.72倍
高卒求人倍率
全国平均3.70倍
98.0%
工業科内定率
12月末時点
11月1日
複数応募解禁
全国的に遅め
7月1日
学校訪問解禁日
求人公開と同時

1. なぜ「学校訪問」が高卒採用の成否を分けるのか

大卒採用と高卒採用の決定的な違いは、「学校(先生)」の介在度合いにあります。大学生がスマートフォンで自由に企業を探すのに対し、高校生の就職活動は学校の指導下で行われる「一人一社制」が基本です。

データで見る「先生の影響力」

高卒就職者の約80%が、先生からの紹介や学校に届いた求人票の中から応募先を決定しています。香川県では一人一社制が11月1日まで継続するため、先生が「この企業を推薦する」と決めた1社に生徒が応募する構図が、他県より長く続きます。先生との信頼関係が、採用の成否を直接左右します。

香川県の特徴:11月1日まで一人一社制が継続

香川県では9月5日の応募開始から10月31日まで一人一社制が適用されます。全国的に見て10月1日解禁が主流の中、香川県は1ヶ月遅い設定です。つまり、先生が推薦した1社で9月〜10月の2ヶ月間を勝負することになります。この期間に「選ばれる企業」になるためには、7〜8月の学校訪問で先生との関係を築いておくことが不可欠です。

2. 香川県の工業高校6校 ― 特徴と訪問戦略

香川県には特色ある工業高校が6校あります。それぞれの学科構成・地域特性・産業連携を理解した上で訪問することが、先生からの信頼を得る第一歩です。

高松工芸高等学校(高松市)

学科:機械科 / 電気科 / 工業化学科 / 建築科 / デザイン科 / 美術科

県内最大規模の工業高校で、6学科を擁する総合的な工業教育の拠点です。製造業・建設業を中心に毎年多数の求人が集まるため、競合企業との差別化が求められます。

訪問戦略

  • ✓ 7月1日の解禁直後1週間以内に訪問(大手企業と同タイミングで動く)
  • ✓ 採用したい学科を明確にして訪問(「工芸全体」ではなく「機械科3名」のように具体的に)
  • ✓ OB・OGがいる場合は活躍報告が最強の武器

坂出工業高等学校(坂出市)

学科:機械科 / 電気科 / 化学工学科 / 建築科

番の州工業団地に近接する工業高校です。化学工学科を持つ県内唯一の工業高校であり、化学メーカーやプラント関連企業にとって重要な訪問先です。地域産業との結びつきが強く、坂出・丸亀エリアの企業は特に優先すべき学校です。

訪問戦略

  • ✓ 化学工学科狙いなら「番の州工業団地での勤務」を具体的にアピール
  • ✓ 通勤の利便性(自宅から通える距離)を資料に明記
  • ✓ 地元密着型の関係構築で大手との差別化を図る

多度津高等学校(多度津町)

学科:機械科 / 電気科 / 土木科 / 海洋技術科 / 海洋生産科

海洋系学科を持つユニークな工業高校です。造船業・海事産業への就職に実績があり、土木科は建設業・インフラ系企業への就職に強みを持ちます。瀬戸内海に面した立地を活かした実践的な教育が特徴です。

訪問戦略

  • ✓ 造船・海運・港湾関連企業は海洋技術科・海洋生産科を重点的に
  • ✓ 土木科は建設業・公共事業系企業にとって重要な人材供給源
  • ✓ 実習船での訓練経験を活かせるポジションを提示する

志度高等学校(さぬき市)

学科:電子機械科 / 商業科 / 情報科学科

工業と商業の複合校で、東讃エリア(さぬき市・東かがわ市)の就職拠点です。電子機械科は製造業・設備メンテナンス系企業に、商業科・情報科学科は事務職・IT関連企業に人材を輩出しています。

訪問戦略

  • ✓ 東讃エリアの企業は「通勤の近さ」が最大のアピールポイント
  • ✓ 電子機械科はFA(工場自動化)・メカトロニクス系の求人と相性が良い
  • ✓ 商業科との併設を活かし、技術職・事務職の両面で求人提案も可能

観音寺総合高等学校(観音寺市)

学科:機械科 / 電気科 / 電子科 / 総合学科

西讃エリアの工業人材供給源です。機械・電気・電子の3学科に加えて総合学科を持ち、幅広い進路に対応しています。西讃地域(観音寺市・三豊市)の製造業・建設業にとって最重要の訪問先です。

訪問戦略

  • ✓ 西讃エリアの企業は「地元で安定して長く働ける」ことをアピール
  • ✓ 総合学科の生徒にはキャリアパスの多様性を示す
  • ✓ 機械・電気・電子の3学科があるため、職種ごとに分けた求人提案が効果的

見落としがちな「デザイン科・美術科」

高松工芸にはデザイン科・美術科もあります。広告・印刷・Web制作・看板製作など、クリエイティブ系の企業にとっては貴重な人材供給源です。工業高校というイメージから訪問対象外にしがちですが、クリエイティブ職の求人がある企業は検討の価値があります。

3. 商業高校・香川高専への訪問戦略

高松商業高等学校(高松市)

商業科の名門です。商業科・情報数理科・英語実務科を持ち、簿記・会計・情報処理・ビジネスマナーを身に付けた即戦力人材を輩出しています。金融機関・商社・小売業・事務職での採用を考えている企業にとって最重要の訪問先です。

  • 簿記2級・情報処理検定を取得済みの生徒が多く、事務職の即戦力
  • 英語実務科は貿易事務・国際物流など英語を使う職種にも対応
  • 部活動(野球部など)が盛んで、体力・チームワークを重視する企業にも適合

香川高等専門学校(高松・詫間キャンパス)

香川高専は5年制の高等教育機関であり、高卒採用の一人一社制は適用されません。ただし、高度な専門技術を持つ人材を採用するチャンネルとして重要です。

キャンパス学科適する企業・職種
高松キャンパス機械工学科/電気情報工学科/機械電子工学科/建設環境工学科製造業の設計・開発職、電気・情報系エンジニア、建設コンサルタント
詫間キャンパス通信ネットワーク工学科/電子システム工学科/情報工学科IT企業のシステムエンジニア、通信インフラ、組込みソフト開発

高専訪問のポイント

高専生は大卒に近い専門知識を持ちながら、年齢は20歳で社会に出ます。給与体系は大卒とは異なる「高専卒」の位置づけが一般的ですが、技術力は高いため、適切な処遇を提示できれば中小企業にとっても有力な採用チャンネルです。就職担当教員へのアポイントは必須で、訪問時期は5年生の就職活動が始まる前(4〜5月)が理想です。

4. 学校訪問の7ステップ

学校訪問は「行けば何とかなる」ものではありません。以下の7ステップを順に実行することで、先生からの信頼を着実に積み上げていきます。

1

Step 1:訪問先リストの作成(4〜5月)

自社の事業所から通勤圏内(車で30分以内)の高校をリストアップします。過去に採用実績がある高校を最優先とし、次に同業他社が採用している高校、そして新規開拓校の順に優先度を決めます。香川県は面積が小さいため、高松市を拠点にすれば県内全域をカバーできます。

2

Step 2:電話でアポイント取得(6月下旬〜)

電話は授業時間を避け、放課後(16:00〜17:00頃)にかけるのがマナーです。「高卒採用の件で進路指導のご担当の先生はいらっしゃいますか」と丁寧に伝えましょう。7月1日の解禁直後に訪問するためには、6月中にアポイントを確保しておく必要があります。

3

Step 3:訪問資料の準備

求人票のコピー、会社案内パンフレット、名刺(10枚以上)、OB・OGリスト、職場見学会の案内チラシを用意します。特にOB・OGの活躍報告(写真付き)は先生の心を動かす最強のツールです。

4

Step 4:学校訪問の実施(7月1日〜)

到着後、受付で名刺を渡し、用件を伝えます。進路指導室に通されたら、まずOB・OGの近況報告から入り、次に今年度の求人内容を説明します。一方的に話さず、先生の話に耳を傾けることが重要です。滞在時間は15〜20分が目安です。

5

Step 5:職場見学会の実施(7〜8月)

訪問時に職場見学会への参加を案内します。見学会では作業現場だけでなく、食堂・休憩室・ロッカーなど「働く環境」を見せることが大切です。先輩社員との交流タイムを設けると、生徒の志望度が大きく上がります。

6

Step 6:訪問後の御礼・フォロー

訪問したその日のうちに御礼のメールまたは手紙を送ります。「本日お聞きした○○の件、社内で対応を検討します」など、会話の内容を盛り込むと印象に残ります。手書きの手紙は特に効果的です。

7

Step 7:年間を通じた関係維持

9月の選考終了後も、内定者の近況報告や入社後の活躍報告を定期的に行います。「求人時期だけの訪問」では信頼関係は築けません。年2〜3回の訪問(7月・10月・2月など)を計画に組み込みましょう。

5. 訪問時の持ち物・準備物チェックリスト

学校訪問は「準備が8割」です。以下のチェックリストを活用して、万全の状態で訪問に臨みましょう。

必須持参物

  • 求人票のコピー ― ハローワークで受理済みのもの。余分に数部用意。
  • 会社案内パンフレット ― 写真が多く、職場の雰囲気が伝わるもの。
  • 名刺 ― 先生用・受付用を含め多めに用意(10枚以上推奨)。
  • OB・OGリスト ― その高校の卒業生の在籍状況・活躍ぶりをまとめた資料。
  • 職場見学会の案内チラシ ― 日程・内容・申込方法を記載。

あると差がつく準備物

  • 若手社員の紹介シート ― 入社1〜3年目の社員の写真付きインタビュー。
  • 研修カリキュラム資料 ― 入社後の教育体制を示す資料。
  • 資格取得支援制度の一覧 ― 取得可能な資格と支援内容。
  • 先輩社員の動画QRコード ― 職場紹介動画へのリンク。
  • 訪問記録ノート ― 前回の訪問内容・先生の名前・話題をメモ。

香川県ならではの注意点

香川県は面積が全国最小のため、「通勤圏」の感覚が他県とは異なります。高松市から観音寺市まで車で約1時間、さぬき市まで約30分です。「県内どこからでも通勤可能」であることを資料に明記すると、先生は安心して推薦できます。また、マイカー通勤の可否、駐車場の有無は必ず記載しましょう。

6. やってはいけないNG事例

学校訪問で一度失った信頼を取り戻すのは非常に困難です。以下のNG事例を熟知し、絶対に避けてください。

致命的

アポなし突撃訪問

先生の時間を奪う行為は信頼を一瞬で失います。必ず事前に電話でアポイントを取りましょう。

致命的

「誰かいい子いませんか」という漠然とした依頼

求める人物像を明確にしましょう。「機械科で溶接に興味がある生徒を1名」のように具体的に伝えます。

重大

求人条件を即答できない

給与・休日・勤務時間・残業時間は暗記しておくこと。曖昧な回答は不信感を招きます。

致命的

採用した生徒が辞めても連絡しない

早期離職の報告と改善策を伝えないと、二度と紹介されません。誠実に報告し、改善策を示しましょう。

重大

求人時期だけの「年1回訪問」

年間を通じた関係構築が重要です。内定後・入社後の報告も含めて年2〜3回の訪問を計画しましょう。

重大

他社の悪口や比較

「A社よりうちの方が待遇がいい」などの発言は厳禁。先生はA社にも生徒を推薦している可能性があります。

致命的

面接で禁止質問をする

本籍・家族の職業・宗教・支持政党などの質問は法律で禁止されています。発覚すると学校から全面的に取引停止されます。

7. 学校訪問の年間スケジュール(月別タイムライン)

学校訪問は「7月に行けばいい」というものではありません。年間を通じた計画的なアプローチが、先生との信頼関係を築く鍵です。

時期訪問の目的具体的なアクション
4月〜5月関係構築・情報収集新年度の挨拶訪問。進路指導主事の異動確認。前年度採用した卒業生の活躍報告。
6月求人票準備・戦略立案求人票の最終確認。ハローワークへの求人申込み。訪問先リストの作成と優先順位付け。アポイント取得。
7月(最重要)求人公開・学校訪問解禁7月1日に学校訪問解禁。最初の1週間で高松工芸・坂出工業など優先校を訪問。求人票・会社案内・OB/OGリストを持参。
8月職場見学受け入れ夏休み中の職場見学・会社説明会の実施。生徒への丁寧な対応。
9月選考開始9月5日以降に応募書類受付。9月16日以降に選考開始。速やかな内定通知。
10月一人一社制継続香川県は10月も一人一社制が継続。未充足の場合は学校との連携強化。
11月複数応募解禁・追加募集11月1日以降は複数応募可能。未充足企業は追加募集。追加の学校訪問。
12月〜3月内定者フォロー・次年度準備内定者への定期連絡。入社前研修。次年度に向けた先生への報告・感謝。

7月1日の重要性

香川県では7月1日に求人公開と学校訪問が同時に解禁されます。工業高校(特に高松工芸・坂出工業)には解禁直後から多くの企業が殺到するため、最初の1週間以内に訪問することが重要です。6月中にアポイントを取り、解禁日当日〜翌週に訪問できるよう準備しましょう。

8. よくある質問

Q. 香川県の高卒採用で学校訪問はいつから始めるべきですか?

A. 4月の新年度開始直後から関係構築を始めるのが理想です。進路指導主事が異動で交代している場合があるため、4月〜5月に挨拶訪問を行い、7月1日の求人公開・学校訪問解禁日に合わせて本格的な訪問を開始しましょう。

Q. 香川県の一人一社制はいつまでですか?

A. 香川県では9月5日から10月31日まで一人一社制です。11月1日以降は複数応募が可能に切り替わります。全国的に10月1日解禁が多い中、香川県は1ヶ月遅い設定のため、9月の一次選考で確実に採用を決めることが重要です。

Q. 香川県で最優先で訪問すべき工業高校はどこですか?

A. 高松工芸高等学校が県内最大規模の工業高校で、6学科を擁しています。製造業・建設業なら最優先です。坂出工業は化学工学科を持つ唯一の工業高校、多度津は海洋系学科で造船業に強いなど、自社の業種に合わせて優先度を決めましょう。

Q. 学校訪問でアポイントは必須ですか?

A. はい、必須です。香川県は求人倍率3.72倍と高水準であり、工業高校には求人が殺到します。アポなし訪問は先生の時間を奪う行為として敬遠されます。電話は授業時間を避け、放課後(16:00〜17:00頃)にかけるのがマナーです。

Q. 香川高専への訪問は高卒採用と同じ手順ですか?

A. 香川高専は5年制の高等教育機関であり、高卒採用の一人一社制は適用されません。ただし就職担当教員へのアポイント取得は同様に必須です。高専生は高度な専門技術を持つため、技術職・研究開発職での採用に適しています。

9. まとめ:学校訪問は「営業」ではなく「パートナーシップ」

求人倍率3.72倍、工業科内定率98.0%という香川県の高卒採用市場において、学校訪問は単なる人材獲得手段ではありません。地域社会と共に若者を育てるというパートナーシップの表明です。

  • 先生は「生徒の幸せ」を第一に考えていることを理解する。
  • 香川県の工業高校6校の特徴を把握し、自社に合った学校を戦略的に訪問する。
  • 年間を通じた計画的な訪問で、「求人時期だけの企業」から脱却する。
  • OB・OGの活躍報告こそが、大手に勝る最大の武器になる。
  • 11月1日の複数応募解禁を待たず、9月の一次選考で採用を決めきる。

誠実な学校訪問を積み重ねることで、貴社は「先生が生徒に一番に勧めたい会社」になれるはずです。

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データ出典:

  • KSBニュース「香川県の高卒内定率・求人倍率」各報道
  • ジンジブ「一人一社制についてわかりやすく解説」(https://lab.jinjib.co.jp/archives/2926/)
  • かがわ採用ナビ(https://kagawa-saiyou-navi.com/columns/810/)
  • 各校公式サイト
  • 香川労働局
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