福井県の高卒求人倍率 3.99 倍の意味
1999 年統計開始以来最高水準 + 北陸 3 県比較 + 2030 年予測の前提条件付き解説
福井県の令和 6 年 7 月末時点の高卒求人倍率は3.99 倍。全国平均 3.70 倍を上回り、福井労働局による統計が始まった 1999 年以来の最高水準です。求人数 4,503 人に対して求職者数 1,128 人。企業 4 社が求人を出して、高校生は 1 人しかいない計算になります。
本記事は、この 3.99 倍が「中小企業の採用にとって何を意味するか」を、過去 10 年の推移・北陸 3 県比較・全国比較・2030 年予測(前提条件付き)の 4 つの観点から解説します。社内提案・稟議資料に転用してください。
1. 福井県 高卒求人倍率 10 年推移
| 年度(卒業年) | 福井県 | 全国平均 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 2017 | 2.06 倍 | 2.23 倍 | +0.12 |
| 2018 | 2.31 倍 | 2.37 倍 | +0.25 |
| 2019 | 2.69 倍 | 2.78 倍 | +0.38 |
| 2020(コロナ) | 2.39 倍 | 2.52 倍 | -0.30 |
| 2021 | 2.20 倍 | 2.04 倍 | -0.19 |
| 2022 | 2.65 倍 | 2.34 倍 | +0.45 |
| 2023 | 3.27 倍 | 3.01 倍 | +0.62 |
| 2024 | 3.76 倍 | 3.49 倍 | +0.49 |
| 2025 | 3.99 倍 | 3.70 倍 | +0.23 |
前年比:+0.12
前年比:+0.25
前年比:+0.38
前年比:-0.30(コロナ)
前年比:-0.19
前年比:+0.45
前年比:+0.62
前年比:+0.49
前年比:+0.23
推移の読み方
2017 年の 2.06 倍から 2025 年の 3.99 倍へ、5 年間で約 1.9 倍に拡大しました。2020 年のコロナ・2021 年の落ち込みを除けば一貫した上昇トレンドです。少子化(高卒新卒数の減少)と県内製造業の人手不足が並行して進む構造的な変化です。
2. 北陸 3 県比較(令和 6 年 7 月末)
| 県 | 求人倍率 | 県内就職率 | 基幹産業 |
|---|---|---|---|
| 石川県 | 4.39 倍 | 92.3% | 機械(コマツ)・電子・観光 |
| 福井県 | 3.99 倍 | 89.8% | 眼鏡・繊維・化学・原子力 |
| 富山県 | 3.39 倍 | 93.5% | 医薬品・アルミ・YKK |
| 全国平均 | 3.70 倍 | ― | ― |
県内就職率:92.3%
基幹産業:機械(コマツ)・電子・観光
県内就職率:89.8%
基幹産業:眼鏡・繊維・化学・原子力
県内就職率:93.5%
基幹産業:医薬品・アルミ・YKK
県内就職率:―
基幹産業:―
出典: 福井労働局・石川労働局・富山労働局「高校新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」(令和 6 年 7 月末)
3. 2030 年予測(前提条件付き)
現状のトレンドが続いた場合の予測です。あくまで前提条件付きの推計であり、コロナ禍のような外的ショックで一気に変動するため、社内資料に転用する際は前提条件を必ず併記してください。
前提条件
- •少子化トレンドが現状の傾斜で継続(高卒新卒数の年間 2~3% 減少)
- •製造業の人手不足が改善されない(自動化・外国人材で部分緩和)
- •大規模な経済危機・パンデミックが発生しない
- •新幹線敦賀延伸の物流・観光需要が拡大トレンドで継続
これらの前提のもとで、2030 年の福井県高卒求人倍率は4.0~4.5 倍に到達する推計です。求人数は微増(製造業の人手不足が続く)、求職者数は減少(少子化)が同時に進むため、倍率は上昇方向に動く構造です。
ただし、求職者数の絶対数が減るため、「求人倍率が高くてもうちには応募が来ない」状況は今より厳しくなる方向です。倍率の数字より「応募が来るかどうか」のほうが採用担当者にとっては重要な指標です。
4. 採用戦略への示唆
- ①「人材確保が困難」ではなく「人材確保ができない」前提で計画を立てる。求人倍率 4 倍は売り手市場の極限。応募 1 件を確保するために 10 件の動き(学校訪問・OB 報告・職場見学)が必要
- ②同業他県との「給与・待遇の絶対値競争」をやめる。北陸 3 県の中で福井県の給与水準は石川・富山と大きな差がない。転勤の有無、社宅、資格取得、地元密着で差別化する
- ③定着率の向上が「採用力」と直結する。求人倍率 4 倍下では辞めた 1 人の補充に大手と並ぶ採用力が要る。1 人辞めさせない仕組みのほうが、1 人新採するより低コスト
- ④「3 年後・5 年後」の数字を求人票に書く。少子化下では「将来の見え方」が応募意欲を左右する。今の月収より 5 年後のレンジが効きます
5. よくある質問
Q. 求人倍率 3.99 倍は「過去最高」ですか?
A. 福井労働局の統計が始まった 1999 年以来の最高水準です。1999 年以前のデータは現在の統計手法と異なるため、直接比較はできません。
Q. 北陸 3 県で福井県の倍率が中位なのは産業構造の影響?
A. はい。石川県は機械(コマツ・小松工業)+ 観光(金沢)の人手不足が極端で 4.39 倍。富山県は医薬品・アルミ・YKK などの中堅メーカーが多く分散しており 3.39 倍。福井県はその中間で、眼鏡・繊維・化学・原子力の 4 業種に集中する構造が 3.99 倍を生んでいます。
Q. 2030 年 4.0~4.5 倍の予測は確実ですか?
A. 前提条件付きの推計であり、確実ではありません。コロナ禍のような外的ショックで一気に変動した実績もあります。社内資料に転用する場合は「前提条件のもとでの推計値」と明記してください。
Q. 稟議資料で求人倍率以外に伝えるべき数字は?
A. 求人数 4,503 vs 求職者数 1,128(企業 4 社に高校生 1 人)、就職率 99.8%(全国 3 位)、県内就職率 89.8% の 3 つです。倍率の解釈が分かれる場合でも、この絶対数で説得力が出ます。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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