福井県の高卒求人倍率 3.99 倍の意味
卒業年別の推移 + 北陸 3 県比較 + 今後の見通し(前提条件付き)
福井県の令和 6 年 7 月末時点の高卒求人倍率は3.99 倍。同じ時点の全国平均 3.70 倍を上回ります。求人数 4,503 人に対して求職者数 1,128 人。企業 4 社が求人を出して、高校生は 1 人しかいない計算になります。
本記事は、この 3.99 倍が「中小企業の採用にとって何を意味するか」を、過去 9 年の推移・北陸 3 県比較・全国比較・今後の見通し(前提条件付き)の 4 つの観点から解説します。社内提案・稟議資料に転用してください。
1. 福井県 高卒求人倍率の推移(卒業年別の最終値)
冒頭の 3.99 倍は「卒業前年の 7 月末」時点の値です。年ごとに比べるため、ここでは卒業年の 6 月末時点でまとめた最終の求人倍率を並べます。
| 卒業年(3 月卒) | 福井県 | 全国 | 福井県の前年差 |
|---|---|---|---|
| 2017(H29) | 2.15 倍 | 2.23 倍 | +0.11 |
| 2018(H30) | 2.64 倍 | 2.53 倍 | +0.49 |
| 2019(H31) | 3.05 倍 | 2.79 倍 | +0.41 |
| 2020(R2) | 2.98 倍 | 2.90 倍 | -0.07 |
| 2021(R3・コロナ) | 2.83 倍 | 2.64 倍 | -0.15 |
| 2022(R4) | 3.31 倍 | 2.89 倍 | +0.48 |
| 2023(R5) | 4.09 倍 | 3.49 倍 | +0.78 |
| 2024(R6) | 3.96 倍 | 3.99 倍 | -0.13 |
| 2025(R7) | 4.20 倍 | 4.10 倍 | +0.24 |
全国:2.23 倍
前年差:+0.11
全国:2.53 倍
前年差:+0.49
全国:2.79 倍
前年差:+0.41
全国:2.90 倍
前年差:-0.07
全国:2.64 倍
前年差:-0.15
全国:2.89 倍
前年差:+0.48
全国:3.49 倍
前年差:+0.78
全国:3.99 倍
前年差:-0.13
全国:4.10 倍
前年差:+0.24
推移の読み方
2017 年 3 月卒の 2.15 倍から 2025 年 3 月卒の 4.20 倍へ、8 年で約 2 倍になりました。2020~2021 年卒と 2024 年卒に一時下がったものの、上昇傾向が続いています。令和 8 年 3 月卒は 3 月末時点で 4.03 倍(全国 4.12 倍)でした。少子化(求職者数の減少)と県内製造業の人手不足が並行して進む構造的な変化です。
出典: 福井県=福井労働局「令和6年度 職業安定行政業務統計」新規学校卒業者職業紹介状況の推移(令和 7 年 6 月末現在・卒業年別の最終値)/全国=厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」第6表(最終状況=卒業年の 6 月末)。令和 8 年 3 月卒は厚生労働省 第3表(令和 8 年 3 月末)
2. 北陸 3 県比較(令和 6 年 7 月末)
| 県 | 求人倍率 | 県内就職率 | 基幹産業 |
|---|---|---|---|
| 石川県 | 3.90 倍 | 89.9% | 機械(コマツ)・電子・観光 |
| 福井県 | 3.99 倍 | 89.4% | 眼鏡・繊維・化学・原子力 |
| 富山県 | 3.68 倍 | 94.3% | 医薬品・アルミ・YKK |
| 全国平均 | 3.70 倍 | ― | ― |
県内就職率:89.9%
基幹産業:機械(コマツ)・電子・観光
県内就職率:89.4%
基幹産業:眼鏡・繊維・化学・原子力
県内就職率:94.3%
基幹産業:医薬品・アルミ・YKK
県内就職率:―
基幹産業:―
出典: 厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」第3表(令和 6 年 7 月末・令和 7 年 3 月卒・求人倍率)。県内就職率は文部科学省「学校基本調査」令和7年度 表294(令和7年3月卒業者・割合は人数から算出)
3. 今後の見通し(前提条件付き)
現状のトレンドが続いた場合の見通しです。あくまで前提条件付きであり、コロナ禍のような外的ショックで一気に変動するため、社内資料に転用する際は前提条件を必ず併記してください。
前提条件
- •少子化で就職を希望する高校生(求職者数)の減少が続く
- •製造業の人手不足が改善されない(自動化・外国人材で部分緩和)
- •大規模な経済危機・パンデミックが発生しない
- •新幹線敦賀延伸の物流・観光需要が拡大トレンドで継続
最終の求人倍率はすでに令和 7 年 3 月卒で 4.20 倍、令和 8 年 3 月卒で 4.03 倍と 4 倍台にあります。これらの前提のもとでは、求人数は大きく減らず(製造業の人手不足が続く)、求職者数は減る(少子化)ため、倍率は高い水準が続く構造です。
ただし、求職者数の絶対数が減るため、「求人倍率が高くてもうちには応募が来ない」状況は今より厳しくなる方向です。倍率の数字より「応募が来るかどうか」のほうが採用担当者にとっては重要な指標です。
4. 採用戦略への示唆
- ①「人材確保が困難」ではなく「人材確保ができない」前提で計画を立てる。求人倍率 4 倍は売り手市場の極限。応募 1 件を確保するために 10 件の動き(学校訪問・OB 報告・職場見学)が必要
- ②同業他県との「給与・待遇の絶対値競争」をやめる。北陸 3 県の中で福井県の給与水準は石川・富山と大きな差がない。転勤の有無、社宅、資格取得、地元密着で差別化する
- ③定着率の向上が「採用力」と直結する。求人倍率 4 倍下では辞めた 1 人の補充に大手と並ぶ採用力が要る。1 人辞めさせない仕組みのほうが、1 人新採するより低コスト
- ④「3 年後・5 年後」の数字を求人票に書く。少子化下では「将来の見え方」が応募意欲を左右する。今の月収より 5 年後のレンジが効きます
5. よくある質問
Q. 求人倍率 3.99 倍と 4.20 倍はどう違う?
A. どちらも令和 7 年 3 月卒の求人倍率です。3.99 倍は前年の 7 月末時点(求人受付が始まった直後)、4.20 倍は卒業後の最終値です。年ごとに比べるときは、同じ時点どうしで比べてください。
Q. 北陸 3 県の中で福井県の倍率はどの位置?
A. 令和 6 年 7 月末では福井県 3.99 倍・石川県 3.90 倍・富山県 3.68 倍で、福井県が最も高い水準でした。卒業時点の令和 7 年 3 月末では石川県 4.39 倍・福井県 4.20 倍・富山県 4.06 倍と並びが入れ替わります(厚生労働省 第3表)。時点によって順位が変わるため、比べるときは時点をそろえてください。
Q. 今後も倍率は高いままですか?
A. 前提条件付きの見通しであり、確実ではありません。コロナ禍の令和 3 年 3 月卒では前年より 0.15 ポイント下がった実績もあります。社内資料に転用する場合は「前提条件のもとでの見通し」と明記してください。
Q. 稟議資料で求人倍率以外に伝えるべき数字は?
A. 求人数 4,503 vs 求職者数 1,128(令和 6 年 7 月末・企業 4 社に高校生 1 人)、就職率 99.8%(全国 3 位)、県内就職率 89.4% の 3 つです。倍率の解釈が分かれる場合でも、この絶対数で説得力が出ます。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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