愛媛県の学校訪問完全マニュアル

先生に信頼される訪問の7ステップ

愛媛県の高卒求人倍率は3.75倍(令和7年3月卒)で、求人数6,270人に対し求職者数は1,674人です。一方で県内就職率は71.2%と四国4県の中でも低く、前年比4.1ポイント低下しています。今治造船(国内建造量約35%)や住友系企業群といった大手が多数の求人を出すなか、中小企業が高卒人材を確保するためには、学校訪問を通じた先生との信頼関係づくりが不可欠です。

本記事では、愛媛県の工業高校・商業高校への訪問戦略、大手企業との差別化方法、県外流出防止を意識した訪問のコミュニケーション術を徹底解説します。

3.75倍
高卒求人倍率
令和7年3月卒
6,270人
求人数
求職者1,674人
71.2%
県内就職率
前年比-4.1pt
7月1日
学校訪問解禁日
求人公開と同時

1. なぜ愛媛県で「学校訪問」が採用の成否を分けるのか

高卒採用において、進路指導の先生は生徒と企業を結ぶ「ゲートキーパー」です。大卒採用のように生徒が自由に企業を探すのではなく、学校の指導下で「一人一社制」に基づいて応募先が決まります。先生に自社を選んでもらうためには、顔が見える関係の構築が不可欠です。

愛媛県特有の課題:県外流出率の高さ

愛媛県の県内就職率は71.2%で、約3割の高卒就職者が県外に流出しています。転出超過は年間4,779人(2023年)と四国最大です。関西圏や首都圏の企業が積極的にリクルート活動を行っており、県内企業にとっては「学校訪問で信頼を築き、地元就職のメリットを伝える」ことが、これまで以上に重要になっています。

愛媛県は今治造船(国内建造量約35%)、大王製紙・丸住製紙(四国中央市は紙製品出荷額日本一)、住友化学・住友金属鉱山(新居浜)など、各エリアに大手・中堅メーカーが集積しています。これらの大手との人材獲得競争を勝ち抜くには、中小企業ならではの「一人ひとりを大切にする姿勢」を学校訪問の場で示す必要があります。

愛媛県の一人一社制と複数応募制

愛媛県では9月5日の応募開始から9月30日まで「一人一社制」が適用されます。10月1日以降は複数応募が可能に切り替わります。一次募集で採用しきれなかった場合でも、10月以降の追加募集にチャンスがあることを覚えておきましょう。

2. 学校訪問の年間スケジュール(月別タイムライン)

学校訪問は「7月に行けばいい」というものではありません。年間を通じた計画的なアプローチが、先生との信頼関係を築く鍵です。

時期訪問の目的具体的なアクション
4月〜5月関係構築・情報収集新年度の挨拶訪問。進路指導主事の異動確認。前年度採用した卒業生の活躍報告。
6月求人票準備・戦略立案求人票の最終確認。ハローワークへの求人申込み(県内8拠点)。訪問先リストの作成と優先順位付け。
7月(最重要)求人公開・学校訪問解禁7月1日の求人公開と同時に学校訪問解禁。最初の1週間で松山工業・新居浜工業・今治工業等の重点校を訪問。
8月職場見学受け入れ夏休み中の職場見学・インターンシップの実施。造船所・工場見学の安全対策も万全に。
9月選考開始9月5日以降に応募書類受付。9月16日以降に選考開始。採否は7日以内に通知。
10月複数応募解禁・追加募集10月1日以降は複数応募可能に移行。充足できなかった場合は追加訪問。
11月〜12月追加募集・内定者フォロー未充足の場合は引き続き募集。内定者への定期的な連絡。
1月〜3月次年度準備・入社準備内定者フォロー。入社前研修の案内。次年度に向けた先生への報告・感謝。

7月1日の重要性

愛媛県では7月1日に求人公開と学校訪問が同時に解禁されます。松山工業高校・新居浜工業高校・今治工業高校といった工業高校には解禁直後から多くの企業が殺到するため、最初の1週間以内に訪問することが重要です。事前にアポイントを取り、解禁日当日〜翌週に訪問できるよう準備しましょう。

3. 訪問先の選定 ― 愛媛県の工業高校・商業高校

愛媛県は東予(新居浜・西条・今治・四国中央)・中予(松山)・南予(八幡浜・宇和島・大洲)の3エリアに分かれ、それぞれ産業構造と高校の特性が異なります。自社の業種・所在地に合った高校を戦略的に選定しましょう。

工業高校(製造業・建設業向け)

学校名所在地主な学科訪問のポイント
松山工業高等学校松山市機械科/電気科/工業化学科/建築科/土木科/繊維科県内最大規模。東レ・帝人等の化学繊維企業との結びつきが深い。大手との競合必至で早期訪問が必須。
新居浜工業高等学校新居浜市機械科/電気科/情報電子科/環境化学科住友系企業(住友化学・住友金属鉱山等)への就職実績が豊富。東予エリアの重化学人材供給源。
今治工業高等学校今治市機械科/電気科/情報技術科/環境化学科今治造船をはじめ造船・海運関連企業への就職に強い。今治タオル関連への就職も。
東予高等学校丹原町機械科/電気システム科/建設工学科東予エリアの建設・製造業就職に実績。建設工学科は土木・建築業界に人材を輩出。
八幡浜工業高等学校八幡浜市機械科/電気科南予エリアの工業人材供給源。地元密着型で地域企業との連携が強い。
吉田高等学校宇和島市機械建築工学科/電気電子科南予エリアの工業系人材を輩出。水産加工・養殖関連企業との接点もあり。

商業高校・普通科高校

事務職・販売職・サービス業・金融業で採用したい企業は、商業高校への訪問を検討しましょう。簿記やパソコンスキル、ビジネスマナーを身に付けた生徒が多いのが特徴です。普通科高校にも就職希望者は一定数おり、特に中堅校は「穴場」になることがあります。

訪問先選定のコツ(愛媛県版)

愛媛県は東予・中予・南予でエリアが広範囲に分かれます。まずは自社の事業所から通勤圏内(車で30分以内)の高校をリストアップし、過去に採用実績のある高校を最優先で訪問しましょう。特に東予地区は新居浜・西条・今治・四国中央に工業高校が集中しているため、1日で複数校を回る効率的な訪問計画を立てることも可能です。

4. 訪問時の持ち物・準備物チェックリスト

学校訪問は「準備が8割」です。以下のチェックリストを活用して、万全の状態で訪問に臨みましょう。

必須持参物

  • 求人票のコピーハローワークで受理済みのもの。余分に数部用意。
  • 会社案内パンフレット写真が多く、職場の雰囲気が伝わるもの。
  • 名刺先生用・受付用を含め多めに用意(10枚以上推奨)。
  • OB・OGリストその高校の卒業生の在籍状況・活躍ぶりをまとめた資料。
  • 職場見学会の案内チラシ日程・内容・申込方法を記載。

あると差がつく準備物

  • 若手社員の紹介シート入社1〜3年目の高卒社員の写真付きインタビュー。
  • 研修カリキュラム資料入社後の教育体制を示す資料。
  • 資格取得支援制度の一覧取得可能な資格と支援内容(手当・費用負担等)。
  • 奨学金返還支援の案内登録企業なら最大7年間・年16.8万円の支援を記載。
  • 訪問記録ノート前回の訪問内容・先生の名前・話題をメモ。

愛媛県ならではの注意点

愛媛県は県内就職率71.2%と県外流出が進んでおり、先生方は「県外に出ても大丈夫か」だけでなく「なぜ地元で働くことが良いのか」も知りたがっています。転勤の有無、マイカー通勤の可否、寮や社宅の有無といった「通いやすさ」情報に加え、生活コスト比較(松山vs東京・大阪の家賃差)や奨学金返還支援制度の情報を資料に盛り込みましょう。

5. 先生に信頼される訪問の7ステップ

学校訪問の本質は「先生との信頼関係を築くこと」です。ただ求人票を渡すだけでは、6,270件の求人に埋もれてしまいます。以下の7つのステップを押さえましょう。

1

ステップ1:事前アポイントを徹底する

電話は授業時間を避け、放課後(16:00〜17:00頃)にかけるのがマナーです。「高卒採用の件で進路指導のご担当の先生はいらっしゃいますか」と丁寧に伝えましょう。松山工業や新居浜工業など大規模工業高校には求人が集中するため、アポなし訪問は門前払いされることもあります。

2

ステップ2:OB・OGの活躍報告から始める

過去にその高校から採用した社員がいれば、写真付きで近況を報告することから会話を始めます。「○○さんが今年から班長を任されています」という具体的な話は、先生にとって教え子の成長を確認できる何よりの喜びです。

3

ステップ3:「生徒のメリット」を中心に話す

「人手不足で困っている」ではなく、「当社なら生徒さんにこんな技術を身につけさせられます」「溶接やフォークリフトなど資格取得を全面支援します」と、生徒目線のメリットを伝えましょう。先生は常に「生徒の幸せ」を第一に考えています。

4

ステップ4:県外流出への対案を示す

愛媛県の県内就職率が低下傾向にある今、先生も「県外に行った方が良いのでは」と迷うケースがあります。奨学金返還支援、生活コスト比較、地元で得られるキャリアパスなど、具体的なデータで「地元就職のメリット」を提示しましょう。

5

ステップ5:具体的な数字で労働条件を伝える

「残業は月平均○時間」「年間休日○日」「初任給○万円」など、数字で明確に伝えます。特に保護者が気にする福利厚生(社会保険・退職金・寮の有無)も具体的に説明しましょう。

6

ステップ6:職場見学会・先生向け企業見学に招待する

生徒向けの職場見学会だけでなく、先生を企業見学に招待するのも効果的です。造船所や製紙工場など、スケールの大きい現場は先生の印象にも残りやすく、自信を持って生徒に勧めてもらえるようになります。

7

ステップ7:訪問後24時間以内に御礼を送る

訪問したその日のうちに御礼のメールまたは手紙を送ります。「本日お聞きした○○の件、社内で対応を検討します」など、会話の内容を盛り込むと印象に残ります。手書きの手紙は特に効果的です。

やってはいけないNG行動

  • アポなし突撃訪問 ― 先生の時間を奪う行為は信頼を一瞬で失います。
  • 「誰かいい子いませんか」という漠然とした依頼 ― 求める人物像を明確にしましょう。
  • 求人条件を即答できない ― 給与・休日・勤務時間は暗記しておくこと。
  • 採用した生徒が辞めても連絡しない ― 早期離職の報告と改善策を伝えないと、二度と紹介されません。
  • 求人時期だけの「年1回訪問」 ― 年間を通じた関係構築が重要です。

6. 今治造船・住友系企業との差別化戦略

愛媛県は今治造船(国内建造量約35%)、住友化学・住友金属鉱山(新居浜)、大王製紙(四国中央市)、東レ・帝人(松山)など、大手メーカーが各エリアに集積しています。大手が知名度と安定性で求人を集めるなか、中小企業はどう戦えばよいのでしょうか。

「面倒見の良さ」を可視化する

大手企業では配属後に大人数の中の一人になりがちです。中小企業では社長や先輩が直接指導する体制を写真・動画で示し、「一人ひとりに目が届く環境」を具体的にアピールしましょう。

早期にキャリアアップできる環境を示す

大手では係長になるまで10年以上かかることも。中小企業なら「入社3年で現場リーダー」「5年で国家資格取得」など、早い成長ストーリーを具体例で提示しましょう。

「転勤なし」という中小企業の強み

大手企業の多くは全国転勤があります。「地元で一生暮らしたい」という生徒・保護者には、転勤なしの地元企業という選択肢が大きな魅力です。

訪問の「頻度」と「質」で勝つ

大手企業は人事部が複数校を効率的に回りますが、中小企業の社長や採用責任者が年に3〜4回訪問すれば、先生の記憶に深く残ります。大手にはない「熱量」で差をつけましょう。

7. よくある質問

Q. 愛媛県の高卒採用で学校訪問はいつから始めるべきですか?

A. 4月の新年度開始直後から関係構築を始めるのが理想です。進路指導主事が異動で交代している場合があるため、4月〜5月に挨拶訪問を行い、7月1日の求人公開・学校訪問解禁日に合わせて本格的な訪問を開始しましょう。

Q. 今治造船などの大手企業と中小企業が差別化するにはどうすればいいですか?

A. OB・OGの活躍報告が最も効果的です。その高校の卒業生が自社でどのように成長しているかを写真付きで報告することで、先生は安心して生徒を推薦できます。また、「転勤なし」「社長直下で成長できる」など中小企業ならではの強みを具体的に伝えましょう。

Q. 県内就職率が71.2%と低い愛媛県で、どう県内就職を勧めればいいですか?

A. 奨学金返還支援制度(最大7年間・年16.8万円)や松山と東京の生活コスト比較など、経済的なメリットを具体的な数字で提示しましょう。Uターン支援窓口の存在も伝えることで「一度出ても戻れる」安心感を与えられます。

Q. 学校訪問でアポイントは必須ですか?

A. はい、必須です。愛媛県は求人倍率3.75倍と高水準であり、工業高校には多数の企業が求人を出しています。電話は授業時間を避け、放課後(16:00〜17:00頃)にかけるのがマナーです。

Q. 東予・中予・南予、どのエリアを重点的に訪問すべきですか?

A. 自社の事業所の所在地から通勤圏内の高校を最優先にしましょう。東予(新居浜・西条・今治・四国中央)は工業高校が集中しており、製造業なら重点的に訪問する価値があります。南予エリアは八幡浜工業・吉田高校など訪問先が限られますが、その分ライバル企業も少なく、関係構築がしやすいメリットがあります。

まとめ:学校訪問は「営業」ではなく「パートナーシップ」

求人倍率3.75倍、県内就職率71.2%という愛媛県の高卒採用市場において、学校訪問は単なる人材獲得手段ではありません。県外流出が加速するなかで、地域社会と共に若者を育てるというパートナーシップの表明です。

  • 先生は「生徒の幸せ」を第一に考えていることを理解する。
  • 年間を通じた計画的な訪問で、「求人時期だけの企業」から脱却する。
  • OB・OGの活躍報告こそが、今治造船や住友系企業に勝る最大の武器になる。
  • 県外流出への対案(奨学金返還支援・生活コスト比較)を具体的に示す。

誠実な学校訪問を積み重ねることで、貴社は「先生が生徒に一番に勧めたい会社」になれるはずです。

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データ出典:

  • 愛媛労働局「令和7年3月新規高等学校卒業者の求人・求職・就職内定状況」
  • 愛媛県教育委員会
  • 愛媛県「奨学金返還支援制度」
  • 厚労省・文科省「新規高等学校卒業者の就職に係る推薦及び選考開始期日等について」
  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」
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