秘書という仕事
経営の最前線を、裏から支えるプロフェッショナル
社長のスケジュールを管理し、来客を迎え、会議の準備を整え、出張を手配する。経営者の「右腕」として、組織の中枢を支える。秘書は、企業のトップの動きを最も近くで見ることができる仕事。


この仕事って何?
秘書は、企業の経営者や役員の業務がスムーズに進むよう、あらゆる面からサポートする仕事です。スケジュール管理、来客対応、書類作成、出張手配、情報管理——上司が「本業」に集中できるように、それ以外のすべてを引き受けます。
役員秘書 — 経営トップを直接サポート
社長や役員のスケジュール管理、来客対応、会議設定、出張手配など。経営判断の場に同席することも。企業の意思決定プロセスを間近で学べるポジションです。
グループ秘書 — 部門全体をサポート
複数の管理職を同時にサポート。部門全体の会議調整、資料作成、経費精算など。マルチタスク力が求められますが、より多くの人と関われる。
医療秘書・法律秘書 — 専門分野の秘書
病院や法律事務所で、医師や弁護士のサポートを行います。専門知識が必要になりますが、その分キャリアの専門性が高まります。
こんな人に向いてる
- 気配りが自然にできる人。「言われる前に動ける」のが理想
- スケジュール管理が得意な人。自分の予定だけでなく、人の予定も把握する
- 口が堅い人。経営の機密情報に触れることが多い
- 臨機応変に対応できる人。予定変更は日常茶飯事
- 丁寧な言葉遣いやマナーを身につけたい人。ビジネスマナーの最前線
実際に覗いてみよう!

高卒で、なれるの?
なれます。秘書検定は年齢・学歴不問。高卒で一般事務からスタートし、秘書へステップアップする人も多くいます。
秘書の平均年収は 555万円(令和6年度賃金構造基本統計調査、平均年齢44.9歳)。事務職の中でも高めの水準です。
秘書検定3級の合格率は約 72%、2級は約 53%。在学中に取得できる資格で、就職活動でアピールできます。
最初から「秘書」として採用されることは少なく、一般事務や受付 からスタートして、ビジネスマナーや社内の流れを覚えてから秘書部門に異動するパターンが一般的です。
555万円
秘書の平均年収
令和6年賃金構造基本統計調査
72%
秘書検定3級の合格率
平均値
一般事務から
最初から秘書採用は少ない
事務や受付からステップアップ
なるためのルート
商業高校 → 企業の一般事務 → 秘書部門
ビジネスマナーやPC操作を学校で学び、まず事務職として就職。社内で信頼を築いてから秘書に抜擢されるパターン。
普通科 → 受付・総務 → 秘書
来客対応や電話応対で磨かれたマナーと、周囲への気配りが評価されて秘書へ。秘書検定の取得で意欲を示す。
秘書検定取得 → 派遣秘書として経験を積む
派遣で複数の企業の秘書を経験し、スキルを短期間で磨く。正社員登用の道もある。
ある1日の流れ
メーカーの役員秘書として働く、3年目のある1日を紹介します。
出社・上司のスケジュール確認
上司(専務)より30分早く出社。今日の予定を最終確認し、会議室の予約や資料の準備を済ませる
上司出社・予定の報告
「おはようございます。本日の予定をご報告します」——今日の会議、来客、外出の予定を簡潔に伝える
メール・電話対応
上司宛の電話を取り次ぎ、緊急度を判断して優先順位をつける。社外からの面会依頼のスケジュール調整も
会議資料の準備
午後の経営会議に使う資料を印刷・製本。プロジェクターの動作確認、お茶の手配も忘れずに
昼休憩
上司が昼食会に出かけている間にランチ。午後の来客用の手土産を調達しに行くことも
来客対応
取引先の部長が来社。応接室にご案内し、お茶を出す。名刺交換の補助や、打ち合わせ後の議事メモも担当
出張手配
来週の大阪出張の新幹線とホテルを予約。上司の好みの席(窓側・前方)も把握している
経費精算・事務処理
今月の交際費の精算、慶弔関連の手配。上司の代わりにお礼状を下書きすることも
上司退社・明日の準備
上司を見送った後、明日の予定を確認。「明日は朝イチで役員会議——資料は今日中に仕上げておこう」
退社
今日もスムーズに回せた。上司が「助かるよ」と言ってくれた一言が、明日のモチベーションになる
※ 上司の予定に合わせるため、残業や早朝出社が必要な日もあります
身につくスキル
秘書で身につくスキルは、どんな仕事にも通用するビジネスの基礎力です。
- ビジネスマナー — 言葉遣い、名刺交換、席順、手土産。ビジネスの「お作法」が身体に染み込む
- スケジュール管理 — 複数の予定を調整し、優先順位をつける力。タイムマネジメントの達人になれる
- 情報管理力 — 機密情報を扱う責任感と、必要な情報を必要な人に届ける判断力
- コミュニケーション力 — 社内外のあらゆる立場の人と関わる。「誰とでもうまくやれる人」になれる
- 文書作成力 — ビジネスレター、議事録、お礼状。正確で丁寧な文章を書く力
- 先読み力 — 「言われる前に動く」。上司が次に何を必要とするか予測して準備する力
キャリアステップ
秘書のキャリアは「秘書のスペシャリスト」として極める道と、秘書で培ったスキルを活かして他の職種へ転身する道の2つがあります。
経営トップの近くで働く経験は、ビジネスの全体像を理解する上で他に代えがたい学びになります。将来、管理職や経営企画に進む人も少なくありません。
一般事務・受付
まずは事務の基礎を身につける。電話対応、来客対応、ビジネスマナーを徹底的に叩き込まれる。秘書検定2級以上の取得を目指す。
月収18〜22万円
秘書(アシスタント)
秘書部門に配属。先輩秘書のもとでスケジュール管理、出張手配、会議準備などを学ぶ。
月収22〜28万円
役員秘書
一人で役員をサポートできるレベルに。経営会議への同席、海外出張の手配、VIP対応なども。
月収28〜38万円
秘書室長 or キャリアチェンジ
秘書部門を統括する立場。または経営企画、広報、人事など、秘書の経験を活かせる部門への転身も。
月収38〜50万円以上
この仕事のリアル
秘書の仕事は 上司の予定に合わせる必要がある ため、自分のペースで仕事を進めにくい面があります。急な予定変更は日常的に起こります。
マイナビ転職「秘書とは?仕事内容、やりがい、向いている人の特徴」
秘書の正直な課題は 「自分の仕事」が見えにくい こと。営業のように数字で成果が見えるわけではなく、「上司がスムーズに動けた」ことが成果。それを物足りなく感じる人もいます。
また、上司との相性 が仕事の満足度に直結します。相性が良ければ最高のパートナーシップになりますが、合わない場合はストレスが大きい。ただし大企業では配置転換も可能です。
一方で、経営の意思決定を間近で見られる のは秘書だけの特権。ビジネスの全体像を理解でき、そのスキルはどんな職種に転身しても活きます。年収水準も事務系の中では高い部類です。
会社を選ぶときの見極めポイント
誰の秘書になるのか確認する(社長秘書とグループ秘書では仕事内容がかなり違う)
秘書の人数と体制を確認する(一人秘書は負担が大きい。チーム秘書なら相談できる)
残業の実態と、上司の退社時間を確認する(上司より先に帰りにくい雰囲気がないか)
秘書検定の取得支援や、スキルアップの研修制度があるか
じゃあ、どうすればいい?
求人票だけでは、その会社の本当の雰囲気はわかりません。
だからこそ、自分の目で確かめることが大切です。

応募前職場見学に行こう。
実際の職場の空気、働いている人の表情は、行かないとわからない。
会社のホームページを見てみよう。
高校生の目線に立った採用ページがあるか?動画や社員の声で雰囲気を伝えようとしているか?
求人票以外の情報を探そう。
SNS、ブログ、就活情報誌——求人票に載っていない情報を出している会社ほど、あなたに届けたい想いがある。
職場見学はまず先生に相談してみてください。
行きたい会社の見学ができなかった場合は、
先生を通じてゆめスタにご相談ください。
「ゆめマガで紹介してほしい」などのご相談も大歓迎です。できる限り力になります!
先輩たちの「やっててよかった」
「あなたがいてくれるから安心して仕事に集中できる」——その言葉が最大の報酬。
上司から「君のおかげで今日の会議はうまくいった」と言われたとき。裏方の自分がいなければ回らなかった——その実感が何よりのやりがい。
(マイナビ転職「秘書のやりがい」)
経営層の考え方や意思決定のプロセスを間近で学べること。ビジネスの「上流」を見ることで、自分の視野が一気に広がる。
(パソナ「秘書とは?仕事内容や1日の流れ」)
来客に「いつも丁寧に対応してくれますね」と言っていただけたとき。自分のマナーや気配りが会社の印象をつくっていると感じられる。
(テンプスタッフ「秘書の仕事内容」)
この仕事がある業界
秘書が活躍できる業界を見てみよう。
この記事のデータ出典
厚生労働省「令和6年度 賃金構造基本統計調査」
実務技能検定協会「秘書検定 受験者状況」(第134回 2024年11月)
キャリアガーデン「秘書の年収はいくら?」
マイナビ転職「秘書とは?仕事内容、やりがい、向いている人の特徴」
スタディサプリ進路「秘書の1日のスケジュール」
パソナ「秘書とは?仕事内容や1日の流れ」






