宿泊・観光で働くということ
旅行に行ったとき、ホテルのフロントで笑顔で迎えてくれた人。旅館で美味しいご飯を出してくれた人。あの人たちが、この業界の人。「誰かの特別な日を、もっと特別にする」——それが宿泊・観光の仕事。


こんなイメージ、持ってない?
休みが少ない? ずっと立ちっぱなし?
給料が安くてやっていけない?
コロナで仕事がなくなった業界でしょ?
この仕事、実際に覗いてみよう!

高卒で、入れるの?
入れます。ホテルや旅館は未経験から育てる文化が根づいている業界です。
高卒就職者の 5.2% がこの業界を選んでいる。全国で毎年約6,600人の高校生が宿泊・飲食サービスに就職している。
高卒初任給は 197,800円。さらにホテルや旅館では社員寮や食事補助があるところが多く、実質的な手取りは数字以上。
2024年の訪日外国人は 3,687万人 で過去最高を更新。三重県の伊勢志摩や愛知県のホテル需要も急増中。
5.2%
高卒就職者に占める割合
全国約6,600人
197,800円
高卒初任給
+社員寮・食事補助の場合も
3,687万人
2024年 訪日外国人数
過去最高(JNTO)
高卒から入りやすい職種
ホテルフロント
チェックイン・チェックアウト対応。お客さんと最初に会う「顔」。英語ができると強い
客室・清掃スタッフ
部屋を完璧な状態に整える。細かい気配りが求められる裏方のプロ
レストラン・宴会サービス
料理を運び、お客さんをもてなす。結婚式や宴会の華やかな場で働くことも
旅館の仲居・接客係
着物を着てお客さんをお迎え。和の文化を学びながら働ける
どんな仕事がある?
宿泊・観光の仕事は「おもてなし」だけじゃない。裏方も、企画も、いろんな仕事がある。
フロント・コンシェルジュ
ホテルの顔。チェックインから観光案内まで。「この人がいたから旅が楽しかった」と言ってもらえる仕事。
レストラン・宴会サービス
料理を通じてお客さんを喜ばせる仕事。ソムリエやバーテンダーなど、専門性を磨く道もある。
ホテル・旅館の運営管理
予約管理、売上分析、SNS発信。お客さんに直接会わないけど、裏側で宿を支える仕事。
観光案内・ツアー企画
地域の魅力を伝える仕事。旅行会社、観光協会、DMOなど。地元が好きな人に向いている。
ある1日の流れ
ビジネスホテルのフロントで働く新入社員の、とある1日。
出勤・引き継ぎ
夜勤スタッフから引き継ぎ。昨夜のトラブルや今日の予約状況を確認する
チェックアウト対応
お客さんの精算と鍵の回収。「ありがとうございました、またお待ちしています」
ロビー清掃・備品チェック
フロント周りを整える。パンフレットの補充、館内案内の更新
チェックイン準備
今日の予約リストを確認。VIPや特別リクエストのある部屋を先にチェック
昼休憩
スタッフルームで食事。先輩から「あのお客さん、常連さんだから覚えておいてね」とアドバイス
電話対応・予約受付
宿泊予約の電話やメール対応。外国人ゲストからの英語の問い合わせも
チェックイン開始
お客さんが続々と到着。笑顔で迎えながら、館内の説明や観光案内もする
退勤
夜勤スタッフに引き継ぎ。「今日は海外のお客さんに道案内できた」——日々成長を実感
※ 職場や配属先により異なります
身につくスキル
宿泊・観光で働くと、こんな力が身につく。
- コミュニケーション力 — 毎日いろんな人と話す。初対面の人と自然に会話できるようになる
- 語学力 — 外国人のお客さんが増えている。英語は使えば使うほど上達する
- 気配り — お客さんが言わなくても気づく力。「次に何が必要か」を先読みする習慣
- 臨機応変な対応力 — 予約ミス、クレーム、急な変更。トラブルを冷静に解決する力
- 資格 — ホテルビジネス実務検定、レストランサービス技能検定、TOEIC等。全て学歴不問
キャリアステップ
現場のサービスを覚える
フロントやレストランで接客の基本を習得。先輩のやり方を見て、お客さんとの距離感を学ぶ。
一人前として任される
VIP対応やクレーム対応も自分で判断できるように。後輩の指導も始まる。
チーフ・主任クラス
フロントチーフやレストランマネージャー。シフト管理、売上管理、スタッフ教育を担当。
支配人 or 本部
ホテル支配人、旅館の番頭。あるいは本社の営業企画、マーケティングに進む人も。
この仕事のリアル
宿泊・飲食サービス業の高卒3年以内離職率は64.7%。全産業で最も高い。約3人に2人が3年以内に辞めている。
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
正直に言う。この数字は高い。飲食サービスを含む数字なので、ホテル単体はもう少し低いが、それでも決して低くはない。
辞める理由で多いのは「労働時間が長い」「休みが取りにくい」「給料が仕事に見合わない」。土日祝日が稼ぎ時なので、友達と休みが合いにくいのも現実。
ただし、会社選びで大きく変わる。大手ホテルチェーンは労働環境の改善が進んでおり、週休2日制、残業規制、キャリアパス制度が整っている。「宿泊業界=ブラック」ではなく、「どの会社を選ぶか」がすべて。
会社を選ぶときの見極めポイント
年間休日数と有給消化率を具体的に聞く(「シフト制で月8日休み」は年間96日。週休2日より少ない)
社員寮や食事補助の有無。これがあると実質手取りが大幅に変わる
先輩社員のキャリアパスが明確か(「3年でこうなった」という実例があるか)
インバウンド対応の体制があるか(英語研修など、成長できる環境か)
先輩たちの「やっててよかった」
離職率は高い。それは事実。でも、この業界を愛して続ける人たちには、強い理由がある。
「お客さんが"あなたがいたから楽しかった"と言ってくれたとき——自分が誰かの思い出の一部になれる仕事は他にない」。接客の最高の瞬間。
旅館で働き始めて3年。外国人のお客さんに英語で観光案内ができるようになった。入社時はまったく話せなかったのに。成長が目に見える。
伊勢志摩の旅館で働いている。地元の文化を仕事にできること、地元に人を呼べることが誇り。東京の大企業よりやりがいを感じている。
宿泊・観光で活躍する先輩たち
この記事のデータ出典
文部科学省「学校基本調査 令和6年度」
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
日本政府観光局(JNTO)「2024年訪日外客数」
観光庁「宿泊旅行統計調査」
ジンジブ「高卒採用の市場」


