山口県の高校生数推移と2030年予測
人口128万人時代に、限られた高卒人材をどう確保するか
山口県は瀬戸内海沿岸の石油化学コンビナートや自動車部品製造業を擁する「ものづくり県」で、高卒就職率約28%は全国平均14%の2倍、全国1位という独自の就職文化を持っています。しかし県人口は約128万人で減少傾向にあり、主要6都市(下関・山口・宇部・周南・岩国・防府)いずれも人口減少が進行しています。高卒人材の絶対数が減り続ける中で、企業が今から取るべき採用戦略を解説します。
主要都市の人口
人口は瀬戸内海沿岸の都市に集中。内陸部・日本海側は過疎化が進んでいます
| 都市名 | 人口 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 下関市 | 約24万人 | 水産加工・造船・物流 | 県最大都市。関門海峡の交通要衝 |
| 山口市 | 約19万人 | 公務・サービス・商業 | 県都。官公庁と山口大学が立地 |
| 宇部市 | 約15万人 | 化学・セメント・医療 | UBEの企業城下町 |
| 周南市 | 約13万人 | 石油化学・鉄鋼・電子部品 | 石油化学コンビナートが集積 |
| 岩国市 | 約12万人 | 石油化学・先端素材 | 広島県と隣接。米軍基地あり |
| 防府市 | 約11万人 | 自動車部品・機械・食品 | マツダ防府工場の製造拠点 |
水産加工・造船・物流
県最大都市。関門海峡の交通要衝
公務・サービス・商業
県都。官公庁と山口大学が立地
化学・セメント・医療
UBEの企業城下町
石油化学・鉄鋼・電子部品
石油化学コンビナートが集積
石油化学・先端素材
広島県と隣接。米軍基地あり
自動車部品・機械・食品
マツダ防府工場の製造拠点
出典: 山口県統計分析課
山口県の高卒就職の際立った特徴
高卒就職率 全国1位
約28%
全国平均14%の2倍。約4人に1人が高卒で就職
特徴1:高卒就職率約28%が意味すること
山口県では高校卒業者の約4人に1人が就職を選択しています。これは全国平均14%の2倍以上で全国1位の水準です。瀬戸内工業地帯の製造業が高卒人材に良好な待遇を提供しており、大学進学せずとも安定した就職先が見つかる環境が背景にあります。企業にとっては「高卒採用のパイ」が大きい一方で、競合も多いことを意味します。
特徴2:就職率99.7% — 11年連続99%台
就職を希望した高校生の99.7%が就職を決定しています。11年連続で99%台を維持しており、山口県の就職支援体制と企業の採用意欲の高さを示しています。内定率は10月末時点で90.1%と、選考解禁からわずか1ヶ月半で9割の高校生が内定を得ている計算です。
特徴3:製造業就職率53%の産業集中
高卒就職者の53%が製造業に就職するという、全国でも際立った製造業集中構造を持っています。石油化学・自動車部品・鉄鋼・造船と、瀬戸内工業地帯の多様な製造業が高卒人材を吸収しています。製造業以外の企業にとっては、この53%を超えるだけの魅力訴求が必要です。
主要就職関連指標
県内就職率は高いものの、そもそもの母数(就職希望者)が縮小しています
| 項目 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 県内就職希望者数 | 約2,000人 | 前年比-2.5%(減少傾向) |
| 就職率 | 99.7% | 11年連続99%台 |
| 内定率(10月末) | 90.1% | 選考解禁後約1.5ヶ月で9割が内定 |
| 県内就職率 | 約83% | 地元志向が強い |
| 高卒就職率 | 約28% | 全国平均14%の2倍・全国1位 |
| 製造業就職率 | 53% | 高卒就職者の過半数 |
| 求人数(令和7年度7月末) | 6,150人 | 製造業が牽引 |
| 求職者数(令和7年度7月末) | 2,402人 | 減少傾向 |
前年比-2.5%(減少傾向)
11年連続99%台
選考解禁後約1.5ヶ月で9割が内定
地元志向が強い
全国平均14%の2倍・全国1位
高卒就職者の過半数
製造業が牽引
減少傾向
出典: 山口労働局「高校新卒者の求人・求職状況」、文部科学省「令和7年3月高等学校卒業者の就職状況」
2030年に向けた見通しと企業の対策
以下の2030年の値は、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」等に基づく推計であり、確定値ではありません
| 項目 | 2025年 | 2030年(推計) | 増減(推計) |
|---|---|---|---|
| 県人口 | 約128万人 | 約118万人 | ▼約7.8% |
| 県内就職希望者数 | 約2,000人 | 約1,750人 | ▼約12% |
| 高卒求人倍率 | 2.80倍(3月末) | 約3.0〜3.3倍 | 上昇見込み |
2025:約128万人 → 2030(推計):約118万人(▼約7.8%)
2025:約2,000人 → 2030(推計):約1,750人(▼約12%)
2025:2.80倍(3月末) → 2030(推計):約3.0〜3.3倍(上昇見込み)
工業高校・商業高校との早期関係構築
山口県は高卒就職率全国1位。就職校との関係が採用の生命線です。求人票の送付だけでなく、インターンシップ・出前授業・工場見学を通じて高校1・2年生の段階から企業認知を高めましょう。
製造業以外の業種は「働きがい」で差別化
高卒就職者の53%が製造業に流れる山口県で、サービス業・小売業・建設業が高卒人材を確保するには「製造業にはない魅力」の訴求が不可欠です。人との関わり、地域への貢献、キャリアの多様性をアピールしましょう。
県外流出を防ぐ「地元メリット」の可視化
約17%が県外に流出しています。通勤時間の短さ、生活コストの低さ、地元の人間関係など、県内就職の具体的なメリットを数値で示すことが有効です。保護者向けの情報発信も重要です。
定着率向上が最強の採用施策
先輩社員が長く活躍していれば、後輩への最大のPRになります。メンター制度、キャリアパスの明示、資格取得支援など、「辞めない組織づくり」が次の採用につながります。
多様な採用チャネルの開拓
高卒新卒だけでなく、第二新卒・UIターン・女性・外国人材など採用チャネルを多角化。少子化時代の採用は「一本足打法」では成り立ちません。
まとめ:山口県は高卒就職率全国1位・製造業就職率53%・就職率99.7%と高卒採用が活発な県ですが、人口減少で就職希望者は確実に減っています。「今年は応募が少なかった」ではなく、毎年減り続ける前提で計画を立てること。求人倍率2.80倍は「出せば来る」ではなく「選ばれないと来ない」ことを意味します。今から準備を始めた企業だけが、少子化時代を勝ち抜けます。
出典: 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」、山口労働局、山口県統計分析課
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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