「大企業にしなさい」を覆す — 東京都のオヤカク完全マニュアル
保護者の不安を解消して、内定承諾を得る
「内定を出した高校生から、突然の辞退連絡。理由を聞くと『親に、東京は生活費が高いから大企業にしなさいと反対された』」——東京の高卒採用現場で珍しくない光景です。
高卒採用では、就職先の最終判断に保護者が大きく影響します。だから、内定を出して終わりではなく、保護者の不安を先回りして解消する「オヤカク(親への確認)」が欠かせません。マイナビの調査でも企業の約6割がオヤカクを実施しており、もはや標準的な採用活動です。
そして東京には、保護者の説得を特に難しくする4つの事情があります。家賃の高さ、大企業の集中、通勤ラッシュ、そして「大学に行かなくて大丈夫か」という進学への未練。この4つを理解し、的確に応えるのが東京のオヤカク戦略です。
東京の保護者が不安に思う4つのこと、それぞれの解消策
1. 家賃が高い → 社宅・住宅補助を「数字」で示す
東京の家賃相場は全国最高水準です。「高校を出たばかりの子が東京で一人暮らしできるのか」は、地方出身者の保護者だけでなく都内の保護者も気にします。
解消法:社宅の自己負担額、住宅手当の金額、引越し費用の補助額を具体的に示す。「手取り○万円 − 社宅○万円 = 毎月○万円が手元に残る」というシミュレーションを保護者向け資料に入れると非常に効果的です。
2. 通勤ラッシュ → 通勤時間と時差出勤を具体的に
「満員電車で毎日通うのは体力的に大丈夫か」という不安に対しては、勤務先の最寄り駅と所要時間、時差出勤制度の有無、社宅から職場までの距離を明示します。「社宅から自転車15分」「9:30始業」など、具体的であるほど安心につながります。
3. 「なぜ中小企業なのか」 → 取引先・実績で信頼を示す
大企業の本社が多い東京では「せっかくなら名の知れた会社に」という心理が強く働きます。取引先や納品先(言える範囲で)、創業年数、業界での位置づけを具体的に示しましょう。あわせて「大手では10年かかるポジションに数年で就ける」など、中小企業ならではの成長スピードを伝えます。
4. 進学への未練 → 高卒キャリアの実績を数字で示す
大学進学率が高い東京では「高卒で働くのはもったいない」という意見が根強くあります。高卒入社社員のキャリアパス(昇進・昇給の実績)を具体的に示し、働きながら学べる制度(資格取得費用補助、通信制大学支援など)があれば伝えましょう。「高卒は18歳から、大卒より4年早くキャリアを積める」という事実を、数字で示すことが効果的です。
最優先は「生活コスト」。保護者が最も気にするのは「本当に生活できるのか」です。社宅・住宅手当の有無を真っ先に伝え、手取りと生活費のシミュレーションを見せるだけで、多くの不安が一気に解消します。
保護者説明会 準備チェックリスト
オヤカクで最も効果が高いのが保護者説明会。オンライン併用で地方の保護者も参加できるようにする
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 招待状の郵送 | 生徒経由でなく保護者宛に直接郵送する |
| 日程設定 | 土日開催+オンライン併用(地方の保護者対応) |
| 社宅の見学 | 実際の社宅の写真・間取り・周辺環境を見せる |
| 生活費シミュレーション | 手取り−社宅家賃−生活費=貯蓄額の資料 |
| 先輩社員の同席 | 同じ高校出身の社員がいれば効果大 |
| 社長・工場長の挨拶 | トップが直接語ると信頼感が大きく上がる |
| 質疑応答の時間 | 最低30分。どんな質問にも丁寧に答える |
| 御礼状の発送 | 参加翌日に発送できるよう事前準備 |
招待状の郵送
生徒経由でなく保護者宛に直接郵送する
日程設定
土日開催+オンライン併用(地方の保護者対応)
社宅の見学
実際の社宅の写真・間取り・周辺環境を見せる
生活費シミュレーション
手取り−社宅家賃−生活費=貯蓄額の資料
先輩社員の同席
同じ高校出身の社員がいれば効果大
社長・工場長の挨拶
トップが直接語ると信頼感が大きく上がる
質疑応答の時間
最低30分。どんな質問にも丁寧に答える
御礼状の発送
参加翌日に発送できるよう事前準備
内定後フォロー — 入社までの半年でやること
内定(9〜10月)から入社(翌4月)までの空白期間に、気持ちが揺らがないよう継続フォローする
| 時期 | 施策 | 保護者への効果 |
|---|---|---|
| 内定直後 | 保護者宛手紙+生活費シミュレーション送付 | 「きちんとした会社で、生活もできる」安心感 |
| 10月 | 保護者説明会・職場見学会(オンライン併用) | 職場と社宅の実態を見て安心する |
| 11〜12月 | 社内報・年末の挨拶状 | 「忘れられていない」関心の維持 |
| 1月 | 入社準備案内(社宅手続き・引越し日程) | 具体的スケジュールで期待感を醸成 |
| 2〜3月 | 先輩との座談会・入社前オリエン・生活準備サポート | 万全の受入体制を実感 |
内定直後
保護者宛手紙+生活費シミュレーション送付
「きちんとした会社で、生活もできる」安心感
10月
保護者説明会・職場見学会(オンライン併用)
職場と社宅の実態を見て安心する
11〜12月
社内報・年末の挨拶状
「忘れられていない」関心の維持
1月
入社準備案内(社宅手続き・引越し日程)
具体的スケジュールで期待感を醸成
2〜3月
先輩との座談会・入社前オリエン・生活準備サポート
万全の受入体制を実感
やってはいけないNG対応
NG1:生活費の不安を放置する
東京では「本当に生活できるのか」が最大の心配事。社宅・手取りシミュレーションを積極的に出さないと、不安がそのまま辞退に直結します。
NG2:給与・待遇を曖昧に説明する
「頑張れば上がります」では不信感の元。生活コストが高い東京だからこそ、具体的な数字が求められます。
NG3:地方の保護者へのフォロー不足
地方出身者の保護者は説明会に来られないことが多い。オンライン説明会や動画資料の送付で必ずフォローしましょう。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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