都内だけで足りないなら、地方の高校から採る
東京都の中小企業が地方出身の高卒人材を採用し、定着させるには
東京は、地方から最も多くの高卒人材が集まる「受け皿」です。地方県が若者の流出に悩む一方で、東京には全国から就職希望者が集まってきます。一見、東京の企業は人材に恵まれているように見えます。
ところが、その流入人材の多くは大企業が吸収します。中小企業の悩みは「人材がいない」ではなく「大手に取られて、自社まで回ってこない」こと。都内の工科高校だけで毎年の採用枠を埋めきれず、欠員が出続けている会社は少なくありません。
打ち手の一つが、競合の少ない地方の高校に求人票を出すことです。地方の高校には都内企業の求人が届きにくく、丁寧に対応すれば優先的に紹介してもらえる「ブルーオーシャン」になり得ます。ただし、地方の高校生とその保護者にとって、上京の最大の壁は「住む場所」と「生活費」。ここを企業が支えられるかどうかで、すべてが決まります。
東京の「本当の課題」は人材不足ではなく、選ばれないこと
東京都の高卒求人数は全国最多です(東京労働局・令和6年9月末で約57,014人、前年同期比+10.7%)。一方で、大学進学率が約6割と高く、就職を選ぶ高校生は卒業者の約1割にとどまります。求人は山ほどあるのに応募できる高校生が少ない——だから全国平均4.10倍を大きく上回る売り手市場になっています。
中小企業がまず認識すべきこと
東京には人は集まる。だが集まった人材は大手が先に確保していく。だからこそ中小企業は、(1)都内で「選ばれる」工夫をすると同時に、(2)競合の少ない地方の高校という「もう一つの入口」を持つことが、安定採用の条件になります。
地方の高校から採る — 4つのステップ
「上京のハードルを企業が下げる」が全体の設計思想
ステップ1:地方の高校に求人票を送る
東京都のハローワークで受理された求人票は、全国どの高校にも送付できます。北関東・東北・甲信越など、都内企業の求人が比較的少ないエリアの高校は狙い目です。「なぜその地域の生徒を採用したいのか(学科、人柄、地元志向)」を明確に伝えると、先生も関心を持ってくれます。
ステップ2:住居支援を整える(最重要)
地方出身の高校生と保護者にとって、東京の住居費は最大の不安です。社宅・住宅手当の有無が、応募するかどうかの分かれ目になります。求人票には必ず具体的な金額を明記してください。
| 支援の種類 | 内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 社宅(自社保有・借り上げ) | 自己負担を月1〜3万円に抑える | 最も効果が高い。初期費用ゼロにもできる |
| 住宅手当 | 月2〜5万円の家賃補助 | 社宅がなくても導入しやすい |
| 引越し費用補助 | 上京時の引越し代を会社負担 | 保護者が最も気にする初期コストを解消 |
| 家具・家電付き | 入居時に生活をすぐ始められる | 「何もない部屋から」の不安をなくす |
自己負担を月1〜3万円に抑える
最も効果が高い。初期費用ゼロにもできる
月2〜5万円の家賃補助
社宅がなくても導入しやすい
上京時の引越し代を会社負担
保護者が最も気にする初期コストを解消
入居時に生活をすぐ始められる
「何もない部屋から」の不安をなくす
ステップ3:オンライン選考+交通費補助
地方の高校生にとって、面接のたびに上京するのは大きな負担です。一次面接はオンライン、最終のみ対面とするなど柔軟に。応募前職場見学の交通費を補助する制度を求人票に明記すれば、応募のハードルが大きく下がります。
ステップ4:入社後の生活サポート
地方から上京した18歳が、東京で一人暮らしを始めるのは大きな挑戦です。仕事のストレスに「生活の不安」が重なると、離職に直結します。
- •入社前の生活オリエンテーション(区役所の手続き・近くの病院やスーパーの案内)
- •家具・家電付き社宅で初期費用を最小化する
- •同じ地域の出身者や同期が近くに住めるよう配置する
都内出身者には「通いやすさ」と「将来」で訴える
就職先が豊富な都内出身者には、選ぶ理由を明確に示す
通勤しやすさを具体的な数字で
東京の高校生と保護者にとって「通勤時間」は就職先選びの重要な基準です。自宅から通勤圏内の工科高校に集中的にアプローチし、「最寄り駅から徒歩○分」「乗り換え○回」を具体的に伝えましょう。
「辞めない理由」を入社時から見せる
東京は転職先が豊富なため、「ここにいても成長できない」と感じたら簡単に辞めてしまいます。入社時点でキャリアマップ(何年で何ができるようになり、年収はどう上がるか)と資格取得支援を見せることが、定着率に直結します。詳しくは早期離職防止ガイドへ。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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