オヤカク完全マニュアル(徳島県版)
人口67.6万人の口コミ社会で、保護者を「敵」ではなく「味方」にする
「内定を出した高校生から、突然の辞退連絡が入った。理由を聞くと『親に反対された』と言われた」——徳島県の中小企業の人事担当者からよく聞く話です。
マイナビ調査(2024年)では、企業の約6割が「オヤカク」(親への確認)を実施しています。内定辞退理由の約3割が「保護者の反対」。さらに徳島県は人口67.6万人(四国最少)の小さなコミュニティで、保護者の口コミの影響力が他県より大きい構造です。「うちの息子はあそこの会社に内定もらえた」「うちの娘はあの会社の見学に行ってきた」——次年度の応募はこれで決まることがあります。
この記事では、徳島県の中小企業が直面する保護者の5つの典型的な不安と、それぞれへの具体的な解消手順、9月下旬から3月の入社までの保護者コミュニケーション設計を解説します。
徳島県の保護者が抱える 5 つの典型的な不安
不安 1:「会社名を聞いたことがない」
徳島県では日亜化学工業(売上3,970億円)と大塚製薬工場(売上1,307億円)の知名度が圧倒的です。中小企業は「聞いたことがない会社 = 信用できない会社」と見なされるリスクが高い構造です。
解消の手順
- •会社案内パンフレットに「創業年・従業員数・売上規模・主要取引先」を1ページで一覧化
- •取引先の中に地元の有名企業や上場企業があれば必ず明示する(守秘義務に配慮しつつ)
- •「日亜化学工業様の○○部品を15年間供給」「大塚製薬工場様の包装機械の保守」のような関係性は信用の最短ルート
- •地元紙(徳島新聞)・地元テレビでの取材記事があれば全て同封する
不安 2:「LEDや化学の工場は危険ではないか」
徳島県は製造品出荷額2.3兆円のうち、LED・医薬品・化学が大きな比重を占めます。保護者世代の「化学工場」「LED」のイメージは、必ずしも正確ではありません。「光るものを作ってる工場 = 危ないのでは」「化学薬品を扱うのは怖い」という漠然とした不安は確実に存在します。
解消の手順
- •クリーンルームの写真・動画を保護者宛資料に同封する(白衣・防塵服・無人ライン)
- •過去3〜5年の労災発生件数を開示する(ゼロなら最大のアピール)
- •ISO認証・安全衛生表彰・徳島労働局の優良事業所認定があれば明示
- •保護者向け工場見学会で実際の現場を見せる(最も効果的)
- •支給される保護具(耳栓・安全靴・防塵服等)の実物を会場に置く
不安 3:「給与が日亜・大塚と比べて安すぎないか」
徳島県の保護者は日亜化学・大塚製薬の初任給を「徳島の高卒就職の相場」として認識しています。中小企業の初任給が17〜20万円であることは事実で、ここで「うちは安いけど…」と言ってしまうと交渉が不利になります。
解消の手順
- •手取り額で比較(社宅あり = 家賃4万円分が浮く等、実質額に換算)
- •3年後・5年後・10年後の現役社員の年収モデルを提示する
- •資格取得手当・地域手当・住宅手当・残業手当の上乗せ実額を見せる
- •徳島県の最低賃金1,046円(2026年1月適用)と比較した時給換算の優位を明示
- •「日亜さんに勝つ」のではなく「同じ徳島県内の中小企業の中では」と土俵を変えて比較する
不安 4:「将来性は大丈夫か。2050年に徳島は人口が3割減ると聞いた」
徳島経済研究所の「2050年に県人口33.2%減・高卒就職者473人」というニュースは、地元の保護者にも届いています。「地元の中小企業に未来はあるのか」「自分の子どもをここに就職させていいのか」という不安は構造的です。
解消の手順
- •直近5年間の売上推移を開示する(横ばい・成長のどちらでも数字で説明できる)
- •主要取引先の安定性(大手のサプライチェーンに入っていれば最強の安心材料)
- •「人口が減っても、業界全体の需要が増えている領域」を説明する(例:南海トラフ防災 → 建設業、高齢化 → 介護、LED → 電子部品)
- •3〜5年の事業計画書の概要を保護者に渡す
不安 5:「大阪や東京に出た方がいいのでは」
徳島県の県外転出率66.9%。明石海峡大橋で関西圏が近いことを保護者も知っています。「うちの子は徳島に残らせるべきか、大阪に出すべきか」は、徳島県の保護者の本音の問いです。地元就職を選ぶ後押しが必要です。
解消の手順
- •生活コスト比較表を作成:徳島市の1K家賃 4〜5万円 vs 大阪市 7〜8万円(月3万円差 = 年間36万円)
- •実家暮らしの場合の貯蓄シミュレーション(年間100万円以上の貯蓄も現実的)
- •大阪市内片道40分の満員電車 vs 徳島市内15分の車通勤の生活時間の差
- •「徳島が大阪より絶対いい」と言わない。「比較材料を渡す」だけで保護者は冷静に判断できる
9月下旬〜入社まで — オヤカクの 3 ステップ
時期ごとに何をするかを決めておく
STEP 1:内定通知時(9月下旬〜)
内定通知書を生徒だけでなく保護者宛にも別途送付する。中身:
- •社長名義の手紙(手書き or 個別文面で「お子様の入社を心からお待ちしています」)
- •会社案内パンフレット(保護者目線・取引先・労災記録・年収モデル)
- •待遇明細書(基本給・各種手当・年間休日・賞与実績)
- •「保護者向け工場見学会のご案内」(次のSTEP 2)
- •保護者からの問い合わせ専用電話番号・メールアドレス
STEP 2:保護者向け工場見学会(10月上旬〜中旬)
内定後1〜2週間以内に開催。土曜日の午前中が参加率が高い。
- •実際の職場・休憩室・食堂・更衣室を見学(LEDのクリーンルームは特に効果的)
- •高卒入社の若手社員との交流時間を 30 分以上設ける
- •安全管理の説明(保護具・安全講習・労災記録の実物提示)
- •社長自身が会場で挨拶・質疑応答に立つ(中小企業の最大の武器)
- •持ち帰り資料:見学会の写真集(後日プリントで送ると効果倍増)
STEP 3:入社までの定期コミュニケーション(10月〜3月)
- •月1回のニュースレター(社内イベント・先輩社員の活躍・新規取引先のニュース)
- •年末の挨拶状(社長名義)
- •1月:入社式の案内 + 持ち物リスト + 初日のスケジュール
- •2月〜3月:質問・不安がないか確認の電話(保護者宛)
保護者向け資料に盛り込むべき情報
必須項目は全社共通。推奨項目は競合の中小企業との差別化要素になる
| カテゴリ | 記載項目 | 必須 |
|---|---|---|
| 会社概要 | 創業年・従業員数・売上高・主要取引先 | 必須 |
| 待遇 | 月給・賞与実績・年間休日数・有給取得率・社宅制度 | 必須 |
| 安全対策 | 労災発生件数(過去3年)・安全設備・保護具支給・安全講習 | 必須 |
| キャリアパス | 3年後・5年後・10年後の昇進と年収モデル | 必須 |
| 教育制度 | 新入社員研修・メンター体制・資格取得支援(費用全額負担の有無) | 必須 |
| 職場環境 | クリーンルーム・休憩室・食堂・更衣室の写真 | 推奨 |
| 先輩の声 | 高卒入社2〜5年目社員のインタビュー | 推奨 |
| 地域貢献 | 地域行事・スポーツチーム協賛・地元雇用比率 | 推奨 |
| 保護者の声 | 既存社員の保護者からのメッセージ | 推奨 |
創業年・従業員数・売上高・主要取引先
月給・賞与実績・年間休日数・有給取得率・社宅制度
労災発生件数(過去3年)・安全設備・保護具支給・安全講習
3年後・5年後・10年後の昇進と年収モデル
新入社員研修・メンター体制・資格取得支援(費用全額負担の有無)
クリーンルーム・休憩室・食堂・更衣室の写真
高卒入社2〜5年目社員のインタビュー
地域行事・スポーツチーム協賛・地元雇用比率
既存社員の保護者からのメッセージ
保護者は敵ではなく「次年度採用を作るパートナー」
徳島県は人口67.6万人の小さなコミュニティです。保護者向け工場見学会で社長と話した母親は、近所のお茶会で「あの会社、すごく丁寧だった」と話します。それが3年後の応募者数に効いてきます。オヤカクは内定辞退を防ぐためだけではなく、次年度の採用力を作る投資です。9月下旬〜10月中旬の数週間に手間をかけることが、5年後の採用ブランドに直結します。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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採用コスト
50%削減
607万円 → 300万円607万円 → 300万円
内定辞退率
ほぼ0%
一人一社(二社)制一人一社制(一人二社制)で確実採用
採用満足度
81.1%
大卒採用より+3.5pt大卒採用より+3.5pt
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