静岡県の高卒求人倍率推移【2017〜2026年】
愛知・全国平均との比較分析|出典:静岡労働局 令和8年1月末
静岡県の高卒求人倍率(各年1月末)は、2021年のコロナ禍での落ち込みを経て2023〜2024年に大きく上昇し、2025年にいったん横ばいとなったあと、2026年(令和8年)1月末時点で3.62倍に到達し、1月末時点として過去最高を記録しました。製造品出荷額約19兆円(全国3位)を誇る工業県として、自動車・二輪車(スズキ・ヤマハ)、製紙・パルプ(全国生産量1位)、食品加工など多様な製造業が高卒人材を求める一方、求職者は2019年の6,966人から5,088人まで減少。「求人増加 + 求職者減少」の構造的人手不足が倍率を押し上げています。
1. 求人倍率推移(2017〜2026年)
静岡県 新規高卒求人倍率の推移(各年1月末現在・その年の3月卒業予定者。静岡労働局)
| 年度 | 求人数 | 求職者数 | 求人倍率 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| 2017(H29) | 13,132人 | 6,732人 | 1.95倍 | +0.22 |
| 2018(H30) | 15,199人 | 6,655人 | 2.28倍 | +0.33 |
| 2019(H31) | 16,921人 | 6,966人 | 2.43倍 | +0.15 |
| 2020(R2) | 17,453人 | 6,871人 | 2.54倍 | +0.11 |
| 2021(R3) | 13,546人 | 6,219人 | 2.18倍 | -0.36 |
| 2022(R4) | 14,253人 | 5,664人 | 2.52倍 | +0.34 |
| 2023(R5) | 16,717人 | 5,219人 | 3.20倍 | +0.68 |
| 2024(R6) | 17,868人 | 5,033人 | 3.55倍 | +0.35 |
| 2025(R7) | 17,755人 | 5,053人 | 3.51倍 | -0.04 |
| 2026(R8) | 18,435人 | 5,088人 | 3.62倍 | +0.11 |
出典:静岡労働局「令和8年3月高校・中学新規卒業者の職業紹介状況」表3 高校卒業者職業紹介状況の推移(令和8年1月末現在)
2. 東海エリア・全国平均との比較
令和8年3月卒の最終(令和8年3月末)の高卒求人倍率で、静岡県を東海エリアの隣接県および全国平均と比較すると、市場の構造的な特徴が浮かび上がります。愛知県のトヨタ系製造業との人材争奪戦が東海全域に影響を与えています。
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 静岡県 | 3.68倍 | 自動車・製紙・食品・楽器 | 製造品出荷額全国3位 |
| 愛知県 | 4.94倍 | トヨタ系自動車・航空宇宙・セラミック | 東海エリア最高水準 |
| 岐阜県 | 4.31倍 | 自動車部品・刃物・陶磁器 | 愛知への通勤圏としての流出あり |
| 三重県 | 3.12倍 | 石油化学・電子部品・食品 | 四日市コンビナートが牽引 |
| 全国平均 | 4.12倍 | — | — |
出典:厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」第3表(令和8年3月末現在)
つまり:同じ時点(令和8年3月末)で比べると、静岡県の3.68倍は全国平均4.12倍を下回り、東海4県では愛知県(4.94倍)・岐阜県(4.31倍)に次ぐ3番目です。それでも県内就職率89.0%(令和7年3月卒)の地元定着型市場のなかで、1人の高校生を3社以上が争う売り手市場であることに変わりはありません。
3. 求人倍率が高い理由3つ
1. 製造品出荷額全国3位の産業基盤が生む旺盛な採用需要
静岡県の製造品出荷額は約19兆円(全国3位)。西部のスズキ・ヤマハ発動機を中心とする輸送用機械、富士エリアの製紙・パルプ(全国生産量1位)、焼津・清水の水産食品加工など、多様な製造業が集積しています。産業別求人では製造業だけで8,294人(全体の45%)を占めており、この厚い産業基盤が高卒人材への需要を底支えしています。
2. 求職者の継続的な減少
2019年(平成31年)に6,966人いた求職者は、2026年には5,088人まで減少しました。7年間で約27%の減少です。少子化に加え、大学・専門学校への進学率上昇が重なり、高卒就職市場に出てくる高校生の絶対数は長期的に縮小しています(直近2年は前年比+0.4%・+0.7%とほぼ横ばい)。
3. 県内就職率89.0%が生む「静岡県内完結型」の激しい争奪戦
静岡県の高卒県内就職率は89.0%(令和7年3月卒・文部科学省「学校基本調査」)と全国平均81.1%を上回ります。隣接する愛知県の企業がスズキ・ヤマハのサプライチェーンを通じて人材獲得に動くものの、大半の高校生は県内就職を志向します。限られた5,088人の求職者を県内18,435件の求人が奪い合う構造が、倍率を押し上げています。
4. 人口減少とこれからの採用環境
採用戦略への示唆:国立社会保障・人口問題研究所の推計(令和5年推計)では、静岡県の総人口は2020年(国勢調査)の約363万人から2030年には約339万人に減る見込みです。自動車産業のEVシフト、製紙・パルプ産業の設備更新、建設業の担い手不足が同時に進行し、高卒人材への需要はさらに拡大します。「求人票を出せば応募が来る」時代は終わりつつあります。職場見学の充実・工業高校との関係構築・SNSでの情報発信など、選ばれる企業になるための準備を今から始めることが不可欠です。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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データ出典:
- 静岡労働局「新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況」(令和8年1月末現在) (静岡労働局)
- 静岡労働局「令和8年3月高校・中学新規卒業者の職業紹介状況」(令和8年1月末現在・表3 推移) (PDF)
- 厚生労働省「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」第3表(令和8年3月末現在) (厚生労働省)
- 文部科学省「学校基本調査」令和7年度(県内就職率) (e-Stat)
- 厚生労働省「職業安定業務統計」
- 経済産業省「工業統計調査」
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)



