長崎県の若者流出とUターン採用
県内就職率71.8%を支える長崎独自の仕組みと企業対策
長崎県は全国でも人口減少が著しい県の1つです。しかし、高卒の県内就職率は71.8%(令和7年3月卒・過去2番目の高水準)。1989年の50.3%から大きく改善しています。
この改善を牽引したのが、2012年に導入されたキャリアサポートスタッフ配置事業(公私立高49校)です。生徒一人ひとりに専属の就職支援担当が付くことで、「とりあえず本土」「とりあえず福岡」という流出ではなく、生徒の適性に合った地元企業へのマッチングが進みました。
一方で、波佐見町91.4% vs 壱岐市44.7%という地域差は依然として大きい。地理・産業基盤の違いが、若者の流出パターンを決定づけています。
この記事では、長崎県の若者流出の現状と、企業が地元定着を後押しするためにできる具体策を解説します。
県内就職率の長期推移 — 50.3% → 71.8% への改善
36年で20ポイント以上の改善
1989年に50.3%だった長崎県の高卒県内就職率は、2010年代以降に大きく改善。令和4年3月卒で72.1%(過去最高)、令和7年3月卒で71.8%(過去2番目)と高水準を維持しています。全国平均(地元就職率の全国データはないが、都市部志向が強い構造)と比較しても、長崎県は「地元残留型」の県として位置づけられます。
改善の主因はキャリアサポートスタッフ配置事業
2012年導入の同事業は、公私立高49校に元教員等を配置し、生徒一人ひとりの就職活動を個別支援する制度です。本事業導入後、県内就職率は明確な上昇基調に転じました。
特に重要なのは、CSSが「生徒の適性と地元企業のマッチング」を担うことです。本人が漠然と「福岡で働きたい」と思っていても、CSSが「あなたなら長崎の○○社で活躍できる」と地元企業を提示できる。この個別支援が、流出を食い止める仕組みになっています。
企業の側から見ると、CSSに自社を覚えてもらわなければ、この推薦の対象にすら入れないということです。具体的な接し方は学校訪問完全マニュアルを参照してください。
行政の追加支援
- •産業人材育成奨学金返済アシスト:対象業種の県内企業に就業した場合、奨学金返済額の1/2(最大150万円)を支援。大卒Uターン者に有効
- •ながさきUIJターン就活費用補助金:県外在住学生の長崎県内での就活交通費等を補助
- •Nなび:長崎県公式の就職応援サイト。企業情報の無料掲載が可能
詳細は支援制度・補助金ガイドで解説しています。
県内就職率の地域差 — 91.4% vs 44.7%
同じ長崎県内でも、地理・産業基盤で大きな差が生まれます
| 地域 | 県内就職率 | 背景 |
|---|---|---|
| 波佐見町 | 91.4% | 波佐見焼の地場産業が地元雇用を吸収 |
| 県平均 | 71.8% | 令和7年3月卒・過去2番目の高水準 |
| 壱岐市 | 44.7% | 離島ゆえの求人不足と本土志向 |
波佐見焼の地場産業が地元雇用を吸収
令和7年3月卒・過去2番目の高水準
離島ゆえの求人不足と本土志向
波佐見町91.4% — 「地場産業がある地域は若者が残る」
波佐見焼を中心とした窯業が地元雇用を吸収しています。400年以上の歴史ある産業がモダンなデザインで全国的に人気を回復し、若い世代にとって「地元で誇れる仕事」になっていることが要因です。
壱岐市44.7% — 「離島は本土志向が消えない」
離島ゆえの求人不足と、本土への憧れ・進学志向の強さが影響しています。県内就職率44.7%は裏返すと「半数以上が本土の企業に就職している」ということ。本土の企業が壱岐の高校生を採用するなら、社宅・帰省支援・保護者向け資料が前提条件です。
企業ができる対策
対策1:社宅・寮の整備(離島・半島出身者には必須)
離島や半島部からの就職者にとって「住む場所がある」安心感は決定的です。社宅・寮の有無が、求人票を見た段階で「この会社は離島出身者を本気で採るつもりだ」というメッセージになります。
対策2:年2回の帰省交通費補助
盆・正月の帰省交通費補助は、離島出身者の定着に直結する最も効果的な制度の1つです。求人票に「帰省交通費年2回補助」と明記してください。詳しくは早期離職防止ガイドで解説しています。
対策3:地域の魅力発信
求人票に「長崎で暮らすメリット」を具体的に記載します。家賃の安さ、通勤時間の短さ、海の近さ、食の豊かさなど、都市部にはない生活の質を訴求します。「東京で消耗するより、長崎で豊かに暮らす」というメッセージに共感する若者は確実にいます。
対策4:CSSとの継続的な関係構築
キャリアサポートスタッフは数年で異動・交代します。新しいCSSとも関係を作り直す前提で、毎年訪問してください。CSSが「あなたの会社のことは前任者から引き継いでいます」と言える状態が理想です。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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