1. 製造業の職種は3カテゴリ26種ある
製造業の求人票で「製造スタッフ」「工場作業員」とだけ書かれていることがあります。しかし実際には、製造業の職種は大きく3カテゴリ・26種に分類できます。職種を具体的に提示することで、求職者は「自分がどんな仕事をするのか」をイメージでき、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
技術職:事務系(8種)
製造業の中でも、デスクワーク中心の職種です。高卒入社後、現場経験を経てこれらの職種に異動するキャリアパスが一般的です。
| 職種名 | 主な業務内容 |
|---|---|
| 営業 | 自社製品の提案・受注活動。製品知識が必要なため、現場経験者が強い |
| 商品企画 | 新製品のコンセプト立案。市場調査・顧客ニーズの分析 |
| マーケティング | 自社製品の市場分析・販促戦略の立案 |
| 研究開発 | 新素材・新技術の研究。品質改善・コスト削減のための技術開発 |
| 生産管理 | 生産計画の立案・進捗管理。納期・コスト・品質のバランス調整 |
| 品質保証 | 製品の品質基準の策定。顧客クレーム対応・品質改善活動 |
| 品質管理 | 検査データの収集・分析。統計的品質管理(SQC)の運用 |
| 購買 | 原材料・部品の調達。仕入先の選定・価格交渉・納期管理 |
技術職:エンジニア(9種)
設計・開発・保全に関わる専門職です。工業高校で学んだ知識を直接活かせる職種が多く含まれます。
| 職種名 | 主な業務内容 |
|---|---|
| 機械設計 | 製品・装置の機構設計。CADを使った図面作成 |
| 電気設計 | 電気回路・配線の設計。制御盤・動力設備の設計 |
| 回路設計 | 電子回路の設計・シミュレーション。基板設計 |
| 組込開発 | 製品に内蔵するソフトウェアの開発。マイコン制御プログラム |
| 制御設計 | PLC・シーケンス制御の設計。自動化ラインの制御プログラム |
| 金型設計 | プレス金型・射出成形金型の設計。CAD/CAMによる加工データ作成 |
| 生産技術 | 製造工程の設計・改善。設備導入・レイアウト変更の計画 |
| 製造技術 | 加工条件の最適化。不良率低減・生産性向上の技術的対策 |
| 設備保全 | 生産設備の点検・修理・予防保全。設備稼働率の維持・向上 |
技能職(9種)
現場で直接ものづくりに携わる職種です。高卒入社の大半がここからスタートし、技能を磨きながらキャリアを積み上げます。
| 職種名 | 主な業務内容 |
|---|---|
| プレス加工 | 金属板を金型で打ち抜き・曲げ加工する。自動車部品等の大量生産 |
| 鋳造 | 溶かした金属を型に流し込み、製品を成形する。素形材産業の基幹技能 |
| 鍛造 | 金属を加熱・打撃して強度の高い部品を成形する。航空機・自動車部品 |
| 旋盤 | 旋盤を使って金属を回転させながら切削加工する。精密部品の製造 |
| 研磨 | 製品表面を砥石等で研削し、精度を出す。仕上げ工程の最終段階 |
| 溶接 | 金属同士を接合する。TIG・MIG・アーク溶接など複数の技法 |
| 塗装 | 製品に塗料を塗布する。防錆・美観・機能付加が目的 |
| 組立 | 部品を組み合わせて製品を完成させる。手作業から自動化ラインまで |
| 検品 | 完成品の品質を目視・計測器で検査する。出荷前の最終チェック |
出典:Achieve「製造業の職種一覧」。上記26職種は代表的なものであり、企業規模や業種(食品・化学・金属・電子等)によって呼称や業務範囲は異なります。自社の職種を整理する際の分類フレームワークとして活用してください。
2. 高卒が入れるオフィスワーク・技術職
「高卒=現場作業だけ」という認識は正確ではありません。製造業には、高卒からでもオフィスワークや管理系の業務に携われる職種が存在します。現場経験を経て異動するケースが多いため、求人票では入社後のキャリアパスとして提示するのが効果的です。
検査検品・品質管理
現場+管理現場寄りの業務ですが、検査データの記録・分析、不良品の傾向把握など管理業務の要素が強い職種です。品質管理検定(QC検定)を取得することで、デスクワーク中心の品質管理部門へのキャリアアップが見込めます。
生産管理
デスクワーク中心生産計画の立案、部材の発注、納期調整など、PCを使ったデスクワークが中心です。現場の工程を理解している人材が求められるため、製造現場で数年の実務経験を積んだ後に異動するルートが一般的です。
設備管理・メンテナンス
デスク+現場生産設備の点検・修理・予防保全を担当します。デスクでの保全計画策定と現場での作業の両方をこなす職種です。電気工事士や機械保全技能士の資格が活きます。
購買・物流
事務スキル活用原材料の発注、仕入先との交渉、在庫管理などの事務作業が中心です。製品知識と現場の理解が必要なため、現場経験者が配置されることが多い職種です。
出典:日総工産「製造業の職種一覧」。高卒でこれらの職種に直接配属されるケースは少なく、まず技能職で現場経験を積み、その後の異動・昇格でオフィスワーク系の職種に就くのが一般的なルートです。求人票にこのキャリアパスを明記することで、「ずっとライン作業なのか」という不安を解消できます。
3. キャリアパスの見える化が定着の鍵
高卒人材の離職理由の上位には「将来が見えない」「キャリアアップの道筋がわからない」があります。製造業では勤続年数に応じた明確な昇進ルートが存在するにもかかわらず、それが求人票や面接で伝えられていないケースが多いのが実態です。
製造業の一般的な昇進ルート
一般従業員
約300万円班長
約400万円主任
約500万円係長
550〜600万円課長
650〜750万円工場長
800〜1,000万円以上出典: ベルジャパン「工場勤務の年収」(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を引用)
このデータが示すのは、高卒18歳で入社した場合、22歳で班長、26歳で主任、30代で係長になれる可能性があるということです。大卒が22歳で入社することを考えると、高卒は4年分の現場経験でリードできます。
求人票への活用方法:「入社後のキャリアパス」欄に、上記のような昇進ルートと役職別年収を具体的に記載してください。「頑張れば昇進できます」という曖昧な表現ではなく、「班長まで平均4〜7年、年収は約400万円」と数字で示すことが重要です。
4. 年齢別年収データ
製造業における年収は、年齢・経験とともに着実に上昇します。高校生や保護者にとって「この業界に入ったら将来どのくらい稼げるのか」は最大の関心事の一つです。
19歳以下
約247万円
20〜24歳
約339万円
全体平均
約507万円
| 年齢層 | 平均年収 | 備考 |
|---|---|---|
| 19歳以下 | 約247万円 | 入社1年目。基本給+残業代が中心 |
| 20〜24歳 | 約339万円 | 入社2〜6年目。技能習得に伴い昇給 |
| 25〜29歳 | 約397万円 | 班長クラスへの昇進時期 |
| 30〜34歳 | 約448万円 | 主任クラス。中堅として後輩指導も担当 |
| 35〜39歳 | 約490万円 | 係長クラスへの昇進時期 |
| 40〜44歳 | 約530万円 | 管理職としてのキャリアが本格化 |
| 45〜49歳 | 約566万円 | |
| 50〜54歳 | 約603万円 | 課長クラス。年収のピーク圏 |
| 55〜59歳 | 約628万円 | 最も高い年収水準 |
出典: 日総工産「製造業の平均年収」(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を引用)
補足データ:国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査」によると、製造業の全体平均年収は約513万円です(※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の約507万円とは調査母体・集計方法が異なるため差異があります)。全産業平均の約436万円を大きく上回っており、製造業は給与水準の高い業界であることがデータで裏付けられています。
5. 定着率を高める推奨資格
資格取得支援制度は、高卒人材の定着率を高める有効な手段です。「入社したら取れる資格がある」「資格を取ればキャリアアップできる」という見通しは、若手社員のモチベーション維持に直結します。以下は、製造業で特に需要の高い資格です。
危険物取扱者(乙種第4類)
ガソリン・灯油などの引火性液体を扱う工場で必須。化学系・石油系の製造業では入社後すぐに取得を推奨される。受験資格に学歴制限なし。
製造現場の安全管理・危険物管理者へのステップ
電気工事士(第二種)
600V以下の電気工事に必要な国家資格。設備保全・メンテナンス職で重宝される。工業高校の電気科では在学中に取得する生徒も多い。
設備管理・保全エンジニアへのキャリアパス
機械保全技能士
機械設備の保全(予防保全・事後保全)に関する国家技能検定。3級は実務経験不問で受験可能。
設備保全のスペシャリスト・保全リーダー
品質管理検定(QC検定)
品質管理に関する知識を認定する検定。4級・3級は実務経験不問。製造現場からデスクワーク系(品質管理・品質保証部門)へのキャリアチェンジに有効。
品質管理部門・品質保証部門への異動に有利
フォークリフト運転技能講習
最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転するために必要。製造業・物流倉庫で需要が高く、取得日数も短い(最短2日〜)。
物流・倉庫管理・購買部門への異動に活用
クレーン運転免許・玉掛け技能講習
重量物を扱う製造現場で必須。5トン未満のクレーンは技能講習、5トン以上は免許が必要。
重工業・建設機械・造船等の現場リーダー
安全管理者・衛生管理者
一定規模以上の事業所で選任が義務づけられている。衛生管理者は第一種・第二種があり、製造業では第一種が必要。
安全衛生部門・管理職への昇進に有利
出典: 日総工産「工場で役立つ資格」、ハタラクティブ「製造業の資格」
求人票への活用方法:「資格取得支援制度あり」だけでなく、具体的にどの資格が取れるのか、取得にかかる費用は会社が負担するのか、取得後にどんなキャリアパスが開けるのかを明記してください。「入社3年目でQC検定3級を取得し、品質管理部門に異動した社員がいます」のような実例があれば最も説得力があります。
6. 求人票の職種設計3つのポイント
ここまでのデータを踏まえ、高卒向けの求人票をどう設計すれば定着率を高められるか、3つのポイントに整理します。
「製造」ではなく具体的な職種名で求人を出す
「製造スタッフ」「工場作業員」という職種名では、高校生は自分が何をするのかイメージできません。このセクション1で紹介した26職種の中から、自社の募集ポジションに最も近い職種名を使ってください。
「製造スタッフ」「工場作業員」「製造業務全般」
「プレス加工オペレーター」「溶接技能者」「検査・品質管理スタッフ」
キャリアパスを求人票に明記する
セクション3で示した昇進ルートと役職別年収を、求人票の「補足事項」欄や会社説明の資料に記載します。具体的な年数と金額を示すことがポイントです。
記載例:
「入社後は組立工程に配属。4〜7年で班長に昇格(年収約400万円)。その後、適性に応じて生産管理や品質管理への異動も可能です。当社では高卒入社から課長になった社員が3名在籍しています。」
入社後の資格取得支援制度を訴求する
セクション5で紹介した資格のうち、自社で取得支援を行っているものを具体的に列挙します。「資格取得支援あり」だけでは不十分です。どの資格が取れて、費用は誰が負担し、取得後にどうなるのかを明記してください。
記載例:
「入社1年目にフォークリフト運転技能講習(費用全額会社負担)。2年目以降、危険物取扱者・QC検定の取得を推奨(受験料・講習費用は会社負担、合格祝い金あり)。」
3つのポイントの共通点は「具体性」です。高校生は社会人経験がないため、曖昧な表現では仕事のイメージが湧きません。職種名・キャリアパス・資格制度のいずれも、数字と実例で示すことが、応募と定着の両方に効きます。
7. よくある質問(FAQ)
Q1. 製造業の高卒と大卒で年収差はどのくらいですか?
初任給の差は約60万円程度です。ただし製造業は現場経験・技能を重視する業界であり、高卒で早くから現場に入った人材が先に昇進するケースもあります。班長・主任といった役職には、勤続年数と技能が評価されるため、高卒でも着実にキャリアアップが可能です。
Q2. 工業高校卒以外でも製造業に採用できますか?
可能です。普通科卒でも技能職からスタートし、現場で経験を積むことができます。実際、製造業の全就職先に占める割合は39.9%と最大であり(出典: Alternative Work)、工業高校卒に限らず多くの高校生が製造業に就職しています。
Q3. 製造業の離職率はどのくらいですか?
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」によると、製造業の高卒3年以内離職率は19〜28%で、全産業の中でも低い水準です。全産業平均の37.9%と比較すると、製造業は比較的定着率が高い業界といえます。
Q4. 女子の製造業採用はどうですか?
品質管理・検査・CADオペレーター等の職種で女性が活躍しています。特に工業高校の女子は就職に有利とされ、機械設計や品質管理など幅広い職種で採用されています。求人票に「男女問わず」と明記することで、応募の間口を広げることができます。
Q5. 中小企業でも工業高校卒を採用できますか?
学校との関係構築が鍵です。地域密着の中小企業は工業高校との距離が近く、職場見学や先生との定期的な接点を通じて採用実績を積み上げることができます。求人票に具体的な職種名・キャリアパス・資格取得支援制度を明記することで、先生からの紹介を得やすくなります。
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出典・参考資料
- ・ Achieve「製造業の職種一覧|技術職(事務系)・技術職(エンジニア)・技能職の3カテゴリ26種」— 製造業の職種分類フレームワーク
- ・ Alternative Work「高卒の就職先ランキング」— 製造業が全就職先の39.9%を占めるデータ
- ・ 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」— 製造業の高卒3年以内離職率19〜28%、全産業平均37.9%
- ・ 日総工産「製造業の職種一覧」「製造業の平均年収」— 高卒が就ける職種、年齢別年収データ(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を引用)
- ・ ベルジャパン「工場勤務の年収」— 役職別年収・昇進ルートデータ(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を引用)
- ・ 国税庁「令和元年分 民間給与実態統計調査」— 製造業平均年収513万円
- ・ 日総工産「工場で役立つ資格」— 製造業の推奨資格一覧
- ・ ハタラクティブ「製造業の資格」— 製造業でキャリアアップに有効な資格
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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