高卒採用の法的ルール完全解説【2026年版】

高卒採用には、大卒採用とは異なる独自の法的ルールが存在します。知らずに違反すれば罰則の対象となるだけでなく、学校からの信頼を失い、翌年以降の採用活動に重大な影響を及ぼします。この記事では、企業が守るべき法的ルールを厚生労働省・文部科学省の通達に基づき解説します。

1. 高卒採用に関する法的枠組み

高卒採用に関する法的枠組みは、複数の法律と行政機関の通達によって構成されています。大卒採用のように企業が自由に募集・選考できる仕組みとは根本的に異なり、学校・ハローワーク・行政が連携する独自の制度が確立されています。

主要な法律

職業安定法第26条

「公共職業安定所は学校教育法第一条に規定する学校の学生若しくは生徒又は学校を卒業し、又は退学した者の職業紹介については、学校と協力して行う」と規定されています。

この条文が、ハローワークと学校が連携して高卒採用を実施する法的根拠となっています。

労働基準法

年少者(18歳未満)の保護に関する規定があり、労働時間や深夜労働の制限が定められています。高卒新入社員の中には入社時点で18歳未満の者もおり、企業はこれらの規定を遵守する義務があります。詳細は第3章で解説します。

学校教育法

学校の進路指導に関する規定があり、高等学校が生徒の就職支援を行う法的根拠となっています。

全国高等学校就職問題検討会議の役割

文部科学省、厚生労働省、全国高等学校校長協会、主要経済団体が参画する「全国高等学校就職問題検討会議」において、選考スケジュールや応募ルールなど、全国統一的なルールが定められています。

この会議での決定事項は、各都道府県の高等学校就職問題検討会において具体的な運用の申し合わせが行われます。

一人一社制について

高卒採用の特徴的なルールである「一人一社制」については、別記事で詳しく解説しています。法的根拠、都道府県別の運用、一人二社制への移行状況など、最新情報をまとめています。

出典: 厚生労働省「高卒求人のルール」、文部科学省通達、リクルートワークス研究所「高校就職・採用に関する法令を整理する」

2. 選考スケジュールの法的規制

高卒採用のスケジュールは、全国高等学校就職問題検討会議において全国統一的に定められています。

日付内容対象
6月1日ハローワークが求人申込書の受付を開始企業
7月1日採用活動解禁(求人票送付・学校訪問・職場見学開始)企業・高校生
9月5日応募受付開始(学校から企業への推薦開始)学校・企業
9月16日選考開始・内定開始企業

「申し合わせ」であり法律ではない

このスケジュールは、法律で定められたものではなく、関係者間の「申し合わせ」です。しかし、これを無視して早期に選考活動を行った企業は、学校からの信頼を失い、求人票の受付を拒否されるなど、実質的に高卒採用からの排除という重大なペナルティを受けます。

採否通知の期限

選考後の採否通知は、原則として選考日から3日以内に学校へ通知することが求められています。遅くとも7日以内には通知すべきとされています。

採否通知が遅れると、不採用だった場合の生徒の次の就職活動に支障をきたし、学校からの信頼を損なう原因となります。

出典: 厚生労働省「令和6年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考期日等を取りまとめました」

3. 労働基準法による年少者保護規定

年少者の定義

労働基準法における「年少者」とは、18歳未満の労働者を指します。これは学校在籍の有無ではなく、年齢によって判断されます。

高等学校を卒業する生徒の多くは18歳ですが、3月時点でまだ18歳になっていない生徒については、18歳の誕生日まで年少者保護規定が適用されます。

深夜業の禁止(労働基準法第61条)

規定内容: 労働基準法第61条において、18歳未満の労働者を深夜業に従事させることは原則禁止されています。

深夜業の定義: 午後10時から午前5時までの時間帯

この規定により、18歳未満の高卒新入社員を午後10時以降に働かせることはできません。飲食業や製造業で交替制勤務を導入している企業は、18歳未満の従業員のシフト編成に注意が必要です。

時間外労働・休日労働の制限

18歳未満の労働者については、時間外労働や休日労働が原則として認められていません。36協定を締結していても、18歳未満の労働者にはこれを適用することができません。

企業は、18歳未満の新入社員に対して残業や休日出勤を命じることができないため、勤務シフトや業務計画を作成する際に注意が必要です。

年齢証明書類の備え付け義務

年少者を使用する場合、使用者は、その年齢を証明する書類(氏名および出生年月日についての住民票記載事項証明書)を事業場に備え付けなければなりません。

企業が準備すべき書類

  • ・住民票記載事項証明書(氏名・生年月日記載)
  • ・年齢確認のための公的書類

違反した場合の罰則

労働基準法の年少者保護規定に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。罰則だけでなく、労働基準監督署の調査対象となり、企業の社会的信用にも影響を与えます。

出典: 労働基準法第61条、厚生労働省「年少者労働基準規則」、静岡労働局「高校生等を使用する事業主の皆さんへ」

4. 職業安定法による労働条件明示義務(2024年4月改正)

2024年4月の法改正で何が変わったか

2024年4月1日より、職業安定法施行規則の改正により、労働条件明示のルールが変更されました。厚生労働省は、「労働者が求人に応募する際に、将来的な配置転換や契約更新の可能性について予測できるようにする」ことを改正の目的としています。

新たに明示が必要になった3項目

  1. 1. 就業場所の変更範囲 - 将来的に転勤の可能性がある場合、その範囲を明示
  2. 2. 業務の変更範囲 - 将来的に業務内容が変わる可能性がある場合、その範囲を明示
  3. 3. 有期労働契約の更新基準 - 契約期間の上限または更新回数の上限を含む

従来から必須の明示事項

企業は求人票において、以下の労働条件を明示する義務があります。

  • ・業務内容
  • ・契約期間
  • ・就業場所
  • ・就業時間
  • ・休憩時間
  • ・休日・休暇
  • ・賃金
  • ・加入保険
  • ・募集者の氏名または名称

記載例

項目記載例
就業場所の変更範囲「本社(愛知県)および全国の支店・営業所」
業務の変更範囲「製造業務全般(組立・検査・梱包等)」
契約更新基準「原則として正社員登用。契約期間は最長3年、更新回数の上限なし」

特に高卒採用においては、生徒と保護者が将来のキャリアパスを理解した上で応募できるよう、変更範囲の明示が重要とされています。

出典: 厚生労働省「職業安定法施行規則改正|労働条件明示等」(令和6年4月施行)

5. 面接で聞いてはいけない質問(公正採用選考)

厚生労働省は「公正な採用選考の基本」において、応募者の適性・能力に関係のない事項を採用選考の判断基準にしないよう指導しています。特に高卒採用の面接では、以下の質問が禁止されています。

NG質問リスト

本人に責任のない事項

  • ・本籍・出生地に関すること
  • ・家族の職業・続柄・収入・資産に関すること
  • ・住居環境・生活環境に関すること

思想・信条にかかわる事項

  • ・宗教に関すること
  • ・支持政党に関すること
  • ・思想・信条に関すること
  • ・尊敬する人物に関すること
  • ・愛読書に関すること
  • ・労働組合・社会運動に関すること

なぜNGなのか

これらの質問は、本人の適性・能力とは無関係であり、就職差別につながる恐れがあるためです。「尊敬する人物」や「愛読書」は一見無害に思えますが、これらの質問から思想・信条を推測される可能性があるため、厚生労働省の指針ではNG質問に分類されています。

代替質問の例

NG質問代替質問(OK)
「お父さんはどんな仕事をしていますか?」「あなたが興味を持っている仕事は何ですか?」
「どこの出身ですか?」「学校生活で力を入れたことは何ですか?」
「尊敬する人は誰ですか?」「将来どんな社会人になりたいですか?」
「愛読書は何ですか?」「最近関心を持ったニュースはありますか?」

違反した場合のリスク

面接でNG質問をした場合、直ちに法的罰則が科されるわけではありません。しかし、以下のリスクがあります。

  • ・ハローワークからの指導・是正勧告
  • ・学校からの信頼喪失(次年度以降の求人受付拒否の可能性)
  • ・生徒や保護者からの不信感
  • ・企業の社会的評判への悪影響

高卒採用において学校との信頼関係は最も重要な資産です。NG質問をしたという情報は学校内で共有され、その企業への推薦が止まる可能性があります。

出典: 厚生労働省「公正な採用選考の基本」

6. 学校推薦制度のルール

企業と生徒の直接連絡は禁止

高卒採用は、学校を通じた推薦制度が基本です。これは、職業安定法第26条の「学校とハローワークの協力体制」に基づく運用です。企業と生徒が直接やりとりすることは禁止されており、すべての連絡は学校(進路指導教員)を経由して行われます。

禁止されている行為

  • ・企業が生徒に直接電話・メール・SNSで連絡すること
  • ・生徒が企業に直接問い合わせること
  • ・学校を経由せずに応募書類を送ること
  • ・企業が生徒の個人連絡先を取得すること

指定校求人の仕組み

企業が特定の高校を「指定校」として求人を出す制度も存在します。これは、過去に採用実績があり良好な関係を築いている高校に対して、優先的に求人を出す方法です。指定校制度は法律で規定されたものではなく、企業と学校の信頼関係に基づく運用です。

推薦の流れ(5ステップ)

  1. 1. 生徒の希望確認
    進路指導教員が生徒の希望職種・業界・地域等を確認
  2. 2. 企業とのマッチング
    教員が生徒の適性と企業の要件を照合し、推薦先を決定
  3. 3. 校内選考
    複数の生徒が同じ企業を希望する場合、校内で選考を実施
  4. 4. 学校推薦
    学校が企業に対して正式に推薦(9月5日以降)
  5. 5. 企業による選考
    企業が推薦された生徒を選考(9月16日以降)

出典: 厚生労働省・文部科学省「高卒求人のルール」、リクルートワークス研究所資料

7. よくある質問

Q1. 18歳の新入社員に残業を命じられますか?

A. 18歳未満の労働者には、労働基準法により時間外労働が原則として認められていません。高卒新入社員の多くは入社時18歳ですが、3月時点でまだ18歳になっていない場合は、18歳の誕生日まで残業を命じることができません。18歳以上であれば、36協定の範囲内で残業を命じることが可能です。

Q2. 求人票に書くべき新しい項目は?

A. 2024年4月の職業安定法施行規則改正により、「就業場所の変更範囲」「業務の変更範囲」「有期労働契約の更新基準(契約期間の上限・更新回数の上限を含む)」の3項目の明示が新たに義務化されました。従来から必須の業務内容・契約期間・賃金等に加えて、これらを求人票に記載する必要があります。

Q3. 面接で家族構成を聞いてしまったらどうなる?

A. 直ちに法的罰則が科されるわけではありませんが、ハローワークから指導が入る可能性があります。また、学校側に報告された場合、次年度以降の求人受付を拒否されるなど、学校との信頼関係が損なわれるリスクがあります。面接官向けの研修を実施し、NG質問をしないよう社内体制を整えることが重要です。

Q4. 高校生と直接連絡を取ることはできますか?

A. いいえ、高卒採用では企業と生徒の直接連絡は禁止されています。すべての連絡は学校(進路指導教員)を経由して行う必要があります。これは学校推薦制度の根幹をなすルールであり、違反した場合は学校からの信頼を失い、今後の採用活動に重大な支障をきたします。

Q5. 採否通知はいつまでに出すべき?

A. 採否通知は、選考後原則として3日以内に学校へ通知することが求められています。遅くとも7日以内には通知すべきとされています。通知が遅れると、不採用だった場合の生徒の次の就職活動に支障をきたし、学校からの信頼を損なう原因となります。

データ出典

  • ・厚生労働省「高卒求人のルール」
  • ・労働基準法第61条(年少者の深夜業禁止)
  • ・職業安定法第26条(学校とハローワークの協力)
  • ・厚生労働省「職業安定法施行規則改正|労働条件明示等」(令和6年4月施行)
  • ・厚生労働省「公正な採用選考の基本」
  • ・リクルートワークス研究所「高校就職・採用に関する法令を整理する」
  • ・厚生労働省「令和6年3月新規高等学校卒業者の就職に係る採用選考期日等を取りまとめました」
  • ・静岡労働局「高校生等を使用する事業主の皆さんへ」

For Companies

こんなお悩みはありませんか?

採用に毎年400万円以上
本当に回収できてる?

3人に2人が内定辞退
また振り出しに…

求人票を出しても
応募が来ない

採用しても3年で辞める
育成コストが無駄に

採用活動に手が回らない
何から始めれば?

悩むビジネスマン
ガッツポーズの高校生

ゆめスタなら、解決できます

採用コスト

50%削減

607万円 → 300万円

内定辞退率

ほぼ0%

一人一社(二社)制

採用満足度

81.1%

大卒採用より+3.5pt

ゆめスタが解決します

高校生採用に特化した3つのサービスで、採用課題をトータルサポート

ゆめマガ採用HP制作アニリク
採用について相談する