広島県の高校生数と将来見通し
270万人割れ時代に、企業が今から取り組むべきこと
2025年6月、広島県の人口が約269万9,796人となり、48年ぶりに270万人を割り込みました(中国新聞報道)。広島県の少子高齢化が新たな段階に入ったことを象徴する数字です。
高卒採用市場では、就職を希望する高校生が令和7年3月卒で2,292人。求人10,650件に対して圧倒的に少なく、求人倍率は4.65倍(過去最高)。「求人を出しても応募が来ない」企業が増えています。本記事では、人口・高校生数の動きを確認し、企業が今から取り組むべき対策を解説します。
「270万人割れ」が採用に意味すること
広島県の人口は1977年(昭和52年)に270万人を超えて以来、約半世紀にわたり270万人台を維持してきました。しかし2025年6月時点で約269万9,796人となり、この節目を割り込みました。若年層の県外流出と少子高齢化が背景にあります。
採用市場への影響は明確です。就職を希望する高校生は、令和6年3月卒の2,356人から令和7年3月卒の2,292人へと減少しました。就職希望者が減るのに、製造業を中心とした求人は減らない。だから求人倍率は4.65倍まで上がり、求人の約8割が充足できない状態になっています。
広島県の現実
人口270万人割れ × 求人倍率4.65倍
「求人を出せば来る」時代は終わった
少子化が広島県の高卒採用に与える3つの影響
影響1:求人倍率の高止まり
自動車・鉄鋼・造船を中心とする製造業の求人需要は底堅く、求職者は減り続けています。求人の分子が高止まりし、求職者の分母が減るかぎり、求人倍率は高い水準が続くと見込まれます。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計でも、広島県の人口減少は今後も続く見通しです。
影響2:製造現場の人材確保がより難しくなる
広島県の製造品出荷額等は11兆4,765億円(全国11位)。輸送用機械37.4%・鉄鋼12.8%・生産用機械9.6%の現場は高卒の技能人材が不可欠です。マツダやJFEスチールの関連企業を含む広大なサプライチェーン全体で、現場人材の確保競争が激しくなります。知名度で劣る中小ほど、早めの手当てが必要です。
影響3:採用と定着は表裏一体
厚生労働省によると、高卒就職者の3年以内離職率は全国平均で37.9%(令和4年3月卒)です。広島県単独の離職率は公表されていませんが、採用が難しい時代に離職が重なれば、人員不足は加速します。「採る」と同じだけ「辞めさせない」ことに力を入れる必要があります(早期離職防止ガイド)。
企業が今から取り組むべき5つの対策
求職者が減り続ける前提で、できることから着手する
工業高校・商業高校との早期関係構築
求人票を出すのは全企業がやること。差がつくのは高校1・2年生の段階でのインターンシップ受入れ、出前授業、工場見学会です。広島県は工業高校の卒業生が製造業の主力。早期の関係構築が受け入れ枠の確保につながります。
初任給・処遇の見直し
初任給が競合企業を下回ると、そもそも候補に入りません。広島県の高卒初任給は全国平均を上回る水準にあり(広島労働局・賃金構造基本統計調査)、処遇改善競争が進んでいます。手当込みの総支給額と昇給モデルを定期的に見直しましょう。
定着率の可視化
3年以内離職率37.9%(全国平均)を下回る実績があるなら、それは最大の採用PR材料です。「先輩が辞めずに働いている会社」は、高校の進路指導教諭から信頼されます。メンター制度やキャリアパスの明示で、定着率を数字として示せる体制を整えましょう。
エリア戦略の見直し
広島市で競合と正面衝突するだけでなく、呉・東広島(マイクロン波及)、県北(競合が少ない穴場)など複数エリアの高校にアプローチすることで応募母数を増やせます。通勤手当や社宅制度の整備もエリア戦略と連動させましょう。
採用チャネルの多角化
高卒新卒だけに頼るリスクが高まっています。第二新卒(高卒後の早期離職者の受け皿)、女性の技術職採用、Uターン人材など、採用ポートフォリオの分散がリスクヘッジになります。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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