群馬県のインターンシップ活用ガイド

SUBARU関連企業・食品メーカーの受入モデルと工業高校10校への提案方法

群馬県の高卒求人倍率は4.20倍(12月末時点・過去最高)。9,186人分の求人に対して求職者はわずか2,188人です。この超売り手市場で、求人票だけで高校生の心をつかむのは困難です。インターンシップ(職場体験)は、生徒に「この会社で働くイメージ」を持ってもらう最も効果的な手段です。群馬県は輸送用機械が製造品出荷額の31.6%を占め、SUBARU群馬製作所を頂点とするサプライチェーンが東毛エリアに広がっています。食品産業ではサンヨー食品(前橋市)、相模屋食料(前橋市)、味の素冷凍食品(大泉町)など全国ブランドの製造拠点も集積しています。本記事では、これらの群馬県の産業特性を活かしたインターンシッププログラムの設計方法を解説します。

1. 群馬県でインターンシップが採用に有効な理由

求人票だけでは伝わらない

高卒採用では企業HPを見ない生徒も多く、求人票の文字情報だけで会社の雰囲気を伝えるのは限界があります。実際に職場を見て、先輩社員と話すことで初めて「ここで働きたい」という気持ちが生まれます。

県内就職志向率86.3%を味方にする

群馬県の高校生は地元志向が強く、就職希望率も15.6%と全国平均を上回ります。インターンシップで地元企業の魅力を体感してもらえれば、県外流出を防ぎつつ自社への応募確率が高まります。

先生からの評価が変わる

インターンシップを受け入れている企業は「教育に理解がある」と先生から評価されます。進路指導の場面で「あの会社はインターンで生徒を受け入れてくれた」という実績は、推薦の判断材料になります。

早期退職の予防

入社前に職場を体験しておくことで「思っていたのと違う」というミスマッチを防げます。全国の高卒3年以内離職率は37.9%(R4卒・厚生労働省)ですが、インターンシップ経験者の離職率は低い傾向にあります。

2. インターンシップ受入の5ステップ

STEP 1

受入方針の決定(4〜5月)

  • 受入人数の上限を決める(安全管理の観点から1回3〜5名が目安)
  • 担当者(メンター)を選定する。入社3〜5年目の若手社員が適任
  • 受入可能な期間を設定(夏休み中の2〜3日間が一般的)
  • 製造ラインの見学コースを安全管理部門と事前協議
STEP 2

学校への打診(5〜6月)

  • ターゲット校の進路指導部に電話で連絡し、受入意向を伝える
  • 工業高校(前橋工業・太田工業・高崎工業等)は学校側がインターンシップ先を探していることが多い
  • ジョブカフェぐんまに企業登録し、インターンシップ受入可能企業としてリストに載せる
  • Start!Web群馬への掲載も検討する
STEP 3

プログラム設計(6〜7月)

  • 「見学だけ」で終わらせない。手を動かす体験を必ず組み込む
  • 先輩社員との座談会(できれば同じ高校の卒業生)を設定
  • 昼食は社員食堂で社員と一緒にとる(職場の雰囲気が最も伝わる場面)
  • 安全教育(ヘルメット・安全靴の着用ルール等)を初日冒頭に実施
STEP 4

実施(7〜8月)

  • 初日:会社概要説明 → 安全教育 → 職場見学 → 簡易作業体験
  • 2日目:本格的な作業体験 → 先輩社員との座談会
  • 3日目:振り返りワークショップ → 質疑応答 → 修了証授与
  • 毎日の終了時にフィードバックシートを記入してもらう
STEP 5

フォローアップ(8〜9月)

  • 実施報告書を学校の進路指導部に送付
  • 参加した生徒へのお礼状を学校経由で送る
  • インターンシップの様子を写真付きで社内報・HPに掲載(生徒の許可を得て)
  • 応募前職場見学と連動させ、9月の応募につなげる

3. 業種別インターンシッププログラム例

群馬県の主要産業に合わせたプログラム設計例を紹介します。自社の業種に合わせてカスタマイズしてください。

自動車部品製造業(SUBARU関連サプライヤー等)

  • 安全装備の着用体験とKY(危険予知)トレーニング
  • プレス加工・溶接・塗装等の基本工程を見学し、簡易部品の組立を体験
  • 品質検査の計測器を使った測定体験
  • 生産管理システムの画面を見ながら「ものが流れる仕組み」を解説
  • 入社3年目の若手社員による「高校を卒業してから今まで」の体験談

食品製造業(サンヨー食品・相模屋食料・正田醤油等)

  • 衛生管理のルール説明とクリーンルーム入室体験
  • 製造ラインの見学(ガラス越しまたはクリーン状態で入室)
  • 原材料の検品・計量の補助作業
  • 商品開発室で「なぜこの味になったか」のプレゼンを聞く
  • 自社製品を使った試食会で社員と交流

建設業

  • 建設現場の安全管理体験(ヘルメット・安全帯の着用)
  • ドローンを使った現場測量のデモンストレーション
  • CADソフトを使った簡易図面作成体験
  • 施工管理の仕事とは何かを現場監督から直接聞く
  • 完成物件の見学ツアー(「自分が建てた」を想像できる体験)

事務・商業系(卸売・小売・サービス)

  • 電話応対の基本マナーをロールプレイで体験
  • Excel・会計ソフトを使った簡易データ入力
  • 在庫管理・発注の仕組みを実際の画面で見学
  • 接客シミュレーション(商業高校の生徒には即戦力を感じてもらう)
  • 先輩社員へのインタビュー(質問を事前に準備させる)

4. インターンシップと応募前職場見学の違い

両者は混同されがちですが、目的と位置づけが異なります。それぞれの特徴を理解し、使い分けましょう。

項目インターンシップ応募前職場見学
時期夏休み期間(7〜8月)が中心7月〜9月上旬
期間2〜5日間半日〜1日
対象学年1〜3年生3年生(就職希望者)
目的職業理解・キャリア教育志望企業の具体的な確認
選考との関係直接的な選考材料にはしない応募の判断材料にする生徒が多い
学校の関与学校がコーディネートすることが多い学校経由で申し込むのが原則
費用負担企業側(交通費・昼食等の支給は任意)企業側(無料が原則)

効果的な連携:インターンシップで自社に好印象を持った生徒に、応募前職場見学(3年生向け)への参加を促すことで、応募につなげる導線が作れます。工業高校2年生向けにインターンを実施し、3年生になった段階で応募前職場見学に再度来てもらう「2段階方式」が効果的です。

5. インターンシップ受入時の注意事項

労災保険の適用確認インターンシップ中の事故は労災の対象外となる場合があります。学校側が「インターンシップ保険」に加入しているか事前に確認し、企業側でも傷害保険の上乗せを検討してください。

労働基準法の遵守高校生は18歳未満の可能性があります。深夜労働(22時〜5時)・危険有害業務は法律で禁止されています。製造業では使用する機械にも年齢制限があるため、必ず事前に確認してください。

個人情報の取り扱い参加生徒の名前・住所・連絡先は最小限の管理者のみがアクセスできるようにし、終了後は速やかに適切な方法で廃棄してください。

ハラスメント防止受入担当者に対して、高校生への言葉遣い・接し方について事前研修を行ってください。「社会の厳しさを教える」と称した過度な指導は厳禁です。

選考との分離インターンシップの評価を直接的に採用選考に使ってはいけません。ただし、生徒が自発的に「インターンシップを通じて御社を志望した」と語ることは問題ありません。

6. 群馬県の行政支援を活用する

群馬県にはインターンシップの受入を支援する行政機関が複数あります。特に初めてインターンシップを実施する企業は、以下の窓口を活用しましょう。

機関名サービス内容活用のポイント
ジョブカフェぐんま企業と学校のマッチング支援・インターンシップ相談企業登録すると学校へのPR情報が配信される
ぐんま新卒応援ハローワーク新卒採用の相談全般・インターンシップ受入支援受入企業としてリストアップされる
Start!Web群馬県内企業の情報発信プラットフォームインターンシップ受入可能と掲載すると学校からの問い合わせが増える
群馬県奨学金返還支援制度入社後3年間・年6万円上限の奨学金返還支援インターンシップの場で「この制度が使える」と伝えると生徒の関心が高まる

7. まとめ

群馬県の高卒採用は求人倍率4.20倍の超売り手市場であり、求人票を出すだけでは人材の確保が困難です。インターンシップは「百聞は一見にしかず」を実現する最も効果的な手段であり、特に製造業が県経済の柱である群馬県では、実際にものづくりの現場を体験してもらうことで応募意欲が大きく向上します。5ステップの流れに沿って計画を立て、学校との連携を深めながら、自社の魅力を体感してもらいましょう。

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データ出典:

  • 東京新聞「群馬県内の高卒求人倍率4.20倍 過去最高を更新」
  • みんなの学校新聞「群馬県の高校生の就職動向」
  • 厚生労働省「高卒3年以内離職率(R4卒)」
  • 群馬県「製造品出荷額等の概要」
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