愛媛県の高校生数推移と2035年予測

人口減少が高卒採用市場に与える影響と企業の対策

約125万人
県人口
四国最大
11,908人
18歳人口(2023年)
減少傾向
9,945人
18歳人口(2035年推計)
約16%減少
-4,779人
転出超過(2023年)
四国最大の流出
28.4%
大学地元残留率
7割超が県外へ
5割超
高校生の回帰志向
愛媛に戻りたい

愛媛県は四国最大の人口約125万人を擁し、造船・紙パルプ・非鉄金属といった基幹産業が集積する製造県です。しかし、18歳人口は2023年の11,908人から2035年には9,945人へと約16%減少する見通しです。転出超過-4,779人は四国最大であり、大学進学時の県外流出が特に深刻です。本記事では、人口減少の実態と高卒採用市場への影響、そして企業が今から取るべき対策を解説します。

1. 愛媛県の18歳人口の推移と将来推計

愛媛県の18歳人口は継続的な減少傾向にあります。2023年の11,908人から2035年には1万人を割り込み、9,945人になると推計されています。この「1万人割れ」は高卒採用市場に大きなインパクトを与えます。

表1:愛媛県の18歳人口推移と将来推計
18歳人口前回比備考
2020年約12,800人
2021年約12,500人▼約300人
2022年約12,200人▼約300人
2023年11,908人▼約300人確定値
2025年(推計)約11,400人▼約500人推計
2030年(推計)約10,500人推計
2035年(推計)9,945人1万人割れ

※ 2020〜2022年は推計値。2023年は確定値。2025〜2035年は国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」に基づく推計。

18歳人口減少の意味

2023年から2035年にかけて18歳人口は約1,963人(約16%)減少します。仮に就職希望率が変わらなければ、就職市場に出てくる高校生の絶対数が大幅に減ることを意味します。現在の求人倍率3.75倍は、この人口減少が進行するにつれてさらに上昇する可能性が高いといえます。

2. 転出超過-4,779人の分析:四国最大の若者流出

愛媛県は2023年に-4,779人の転出超過を記録し、四国4県で最大の人口流出となっています。特に深刻なのは、若年層の県外流出です。

表2:愛媛県の人口流出構造
指標数値備考
転出超過数(2023年)-4,779人四国最大
大学地元残留率28.4%進学者の7割超が県外へ
県内就職率(高卒)71.2%前年比-4.1pt低下
高校生の回帰志向5割超「愛媛に戻りたい・住み続けたい」

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」、文部科学省「学校基本調査」

愛媛県の構造的課題

大学進学者の7割超が県外流出
一方で高校生の5割超が「愛媛に戻りたい」

この「出ていくが戻りたい」というギャップは、高卒採用において重要な示唆を含んでいます。大学進学前の高校在学中に地元企業の魅力を知ってもらうことで、高卒就職の選択肢を提示できるだけでなく、将来的なUターン採用の種まきにもなります。

3. 大学地元残留率28.4%が意味すること

愛媛県の大学地元残留率28.4%は、大学進学者のうち県内の大学に進学する割合が約3割にとどまることを示しています。残りの7割超は県外大学に進学し、卒業後もそのまま県外で就職するケースが多いのが現実です。

高卒採用との関係

大学進学者が県外に流出するということは、県内で確保できる若手人材の多くが「高卒就職者」に集約されることを意味します。愛媛県の場合、高卒就職者が県内の若年労働力確保において極めて重要な位置を占めているのです。

県内就職率71.2%の低下傾向

さらに懸念されるのは、高卒の県内就職率が71.2%と前年比で-4.1ptも低下していることです。高校生までもが県外企業を選ぶ傾向が強まれば、県内企業の人材確保はさらに困難になります。

企業にとっての意味

  • 大学卒人材の県内確保は構造的に困難 → 高卒採用の戦略的重要性が増大
  • 高卒県内就職率も低下傾向 → 「選ばれる企業」にならなければ採用できない
  • 5割超の高校生は回帰志向あり → 在学中の企業認知が就職先選択に直結

4. 愛媛県の職業系高校の分布

愛媛県内には工業・商業・農業・水産系の職業高校が分布しており、高卒就職者の主要な供給源となっています。自社の採用ターゲットとなる高校を把握しておくことが重要です。

表3:愛媛県の職業系高校一覧
学科系統校数主な高校主な就職先産業
工業高校8校松山工業、新居浜工業、今治工業、東予、八幡浜工業、吉田 等造船・非鉄金属・機械・化学
商業高校9校松山商業 等小売・サービス・事務
農業高校3校農業・食品加工
水産高校1校宇和島水産水産加工・養殖・海運

出典:愛媛県教育委員会

【注目】工業高校8校からの人材確保が製造業の生命線

愛媛県には工業高校が8校あり、造船・非鉄金属・機械・化学といった基幹産業への就職者を送り出しています。特に松山工業(松山エリア)、新居浜工業(新居浜エリア)、今治工業(今治エリア)は地域の製造業にとって最重要の人材供給源です。これらの高校との早期関係構築が、2035年に向けた採用戦略の要となります。

5. 2035年に向けた企業の対策

18歳人口の減少は不可逆です。企業が今から取り組むべき対策を5つ提案します。

※ 以下の対策は、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計および愛媛県の産業構造を踏まえた提案です。

1

工業高校・商業高校との早期パイプライン構築

松山工業・新居浜工業・今治工業・東予高校など工業高校8校との関係構築が最優先です。求人票を送るだけでなく、インターンシップ・出前授業・工場見学を通じて高校1・2年生から接点を持ちましょう。

2

職場見学・インターンシップの質の向上

高校生に「ここで働きたい」と思わせる体験設計が重要です。造船所や製紙工場のスケール感、タオル製造の繊細さなど、愛媛ならではの「ものづくりの現場」を見せることが最大の武器です。

3

県内就職率低下への対抗策

県内就職率71.2%(前年比-4.1pt)の低下傾向を食い止めるためには、県外企業にはない「地元で暮らす魅力」「転勤なし」「通勤のしやすさ」を明確に伝えることが必要です。

4

定着率向上による口コミ効果

高卒入社の先輩が長く活躍していれば、後輩の高校生への最大のPRになります。メンター制度・キャリアパス明示・資格取得支援など、定着率向上が最強の採用施策です。

5

回帰志向を活かしたUターン採用の種まき

5割超の高校生が「愛媛に戻りたい」と回答しています。在学中に企業の存在を認知してもらうことで、大学卒業後のUターン就職にもつながります。高卒採用活動は将来の中途採用の種まきでもあります。

6. よくある質問

Q. 愛媛県の18歳人口は何人ですか?

A. 2023年時点で11,908人です。2035年には9,945人まで約16%減少する見通しです(国立社会保障・人口問題研究所推計)。

Q. 愛媛県の転出超過はどのくらいですか?

A. 2023年に-4,779人で、四国4県で最大の流出数です。大学進学時の県外流出が特に顕著です。

Q. 愛媛県の大学地元残留率はどのくらいですか?

A. 28.4%です。大学進学者の7割超が県外の大学に進学し、卒業後も県外で就職するケースが多くなっています。

Q. 高校生の地元志向はどの程度ですか?

A. 5割超の高校生が「愛媛に戻りたい・住み続けたい」と回答しています。在学中の企業認知が就職先選択に直結します。

7. まとめ|愛媛県の高卒採用市場を勝ち抜くために

愛媛県は造船・紙パルプ・非鉄金属を柱とする四国最大の製造県ですが、18歳人口の減少と若者の県外流出という二重の課題を抱えています。

  • 18歳人口は2035年に9,945人へ:現在の11,908人から約16%減少。1万人割れは高卒採用市場に大きなインパクトを与えます。
  • 転出超過-4,779人は四国最大:大学地元残留率28.4%と合わせ、県内の若手人材確保は高卒就職者に大きく依存しています。
  • 回帰志向5割超を活かす:高校生の半数以上が「愛媛に残りたい」と思っている今こそ、地元企業の魅力を伝えるチャンスです。

2035年に向けて採用市場は確実に厳しくなります。今から工業高校との関係構築・採用ブランディング・定着率向上に取り組んだ企業だけが、少子化時代の愛媛県で安定した人材確保を実現できます。

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データ出典:

  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」
  • 総務省「住民基本台帳人口移動報告」
  • 文部科学省「学校基本調査」
  • 愛媛県教育委員会
  • 厚生労働省「令和7年3月高校新卒者の求人・求職・就職内定状況」第3表
  • 愛媛労働局プレスリリース(令和8年3月3日)
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