溶接工という仕事
火花の向こうに、ものづくりの未来
金属と金属を溶かして繋ぐ。単純に聞こえるかもしれないけれど、溶接なしには自動車も橋もビルも存在しない。溶接工は「ものづくりの接着剤」。技術を極めれば「現代の名工」として認められ、海外でも通用する一生モノのスキルが手に入る。


この仕事って何?
溶接工とは、金属の材料同士を熱で溶かして接合する専門職です。建設現場の鉄骨、工場の製品、船の船体、自動車のボディ——あらゆる「金属でできたもの」に溶接工の技術が使われています。
アーク溶接 — 最も一般的な溶接技術
電気のアーク放電で金属を溶かして接合する方法。建設現場から工場まで幅広く使われ、溶接工の基本技術です。
ガス溶接 — 炎で金属を加工する
酸素とアセチレンの炎で金属を溶かす。溶接だけでなく、金属の切断や曲げ加工にも使います。
TIG溶接・MIG溶接 — 高品質な特殊溶接
ステンレスやアルミなど特殊な金属を扱う高度な技術。食品機械や医療機器など、精度が求められる分野で活躍。
こんな人に向いてる
- ものづくりが好きな人。材料がひとつの製品になっていく過程に関われる
- 手先が器用で集中力がある人。ミリ単位の精度が求められる繊細な作業
- 職人的に技術を極めたい人。溶接の世界は奥が深く、一生かけて磨ける
- 安定した仕事がほしい人。溶接技術はどの業界でも需要がある
- 海外で働くことに興味がある人。溶接技術は国際的に通用する
実際に覗いてみよう!

高卒で、なれるの?
なれます。溶接工は高卒未経験から入職する人がほとんどです。
溶接工の平均年収は 452万円(令和6年賃金構造基本統計調査)。技術を極めた55〜59歳では 520万円 に達します。
初任給は約 20.6万円。アーク溶接の特別教育は18歳から受講でき、数日間の講習で取得できます。
溶接技術は建設業・製造業・造船業・プラント業界など 幅広い業界 で必要とされ、転職にも強い技術です。
452万円
溶接工の平均年収
令和6年
520万円
55-59歳のピーク
技術が年収に
20.6万円
初任給の目安
jobtag
なるためのルート
工業高校(機械科・溶接科)→ 鉄工所・製造会社
在学中にアーク溶接やガス溶接の資格を取得できる学校もある。最も有利なルート。
普通科 → 建設会社・鉄工所(未経験歓迎)
入社後に会社負担でアーク溶接の特別教育を受講。やる気があれば学歴は問われない。
工業高校 → 造船所・プラントメンテナンス会社
大型構造物の溶接に携われる。スケールの大きな仕事がしたい人向け。
ある1日の流れ
鉄工所で働く溶接工、2年目のある1日を紹介します。
出社・朝礼
安全確認とラジオ体操。溶接作業は火を扱うので、安全ルールの確認は毎日必須
ミーティング・準備
今日の作業内容と工程を確認。図面を読み、使う材料と溶接方法を確認する
溶接作業開始
防護面をかぶり、溶接開始。パイプの突き合わせ溶接。火花の奥にできるビードの仕上がりに集中
午前休憩
集中力と体力を使う仕事。適度な休憩が品質を保つ秘訣
作業再開
溶接箇所の検査。クラック(ひび割れ)やブローホール(気泡)がないか確認
昼食休憩
作業着のまま休憩室でお弁当。同僚と技術の話をすることも
午後の作業
午前とは別の部品の溶接。素材によって溶接機の設定を変える。経験がものを言う
午後休憩
午後の集中力が切れやすい時間。無理をせず休む
仕上げ作業
溶接部のグラインダー仕上げと最終検査。今日の進捗を確認
片付け・退社
溶接機の電源を落とし、作業場を清掃。道具を整理して退社
※ 工場勤務の場合は定時が守られやすい。建設現場の場合は天候の影響を受けることも
身につくスキル
溶接工で身につく技術は、製造業・建設業・造船業など幅広い業界で通用する「国際的なスキル」です。
- 溶接技術 — アーク溶接、ガス溶接、TIG溶接、MIG溶接。扱える種類が増えるほど仕事の幅が広がる
- 図面読解力 — 設計図から溶接箇所・方法・順序を読み取る力
- 金属の知識 — 鉄、ステンレス、アルミ。素材ごとの特性を理解し、最適な溶接条件を選ぶ
- 品質検査 — 溶接部の目視検査やX線検査の知識。不良品を出さない品質管理の目
- 資格 — アーク溶接特別教育、ガス溶接技能講習、JIS溶接技能者評価試験。上位資格ほど高度な仕事ができる
キャリアステップ
溶接工のキャリアは「扱える金属の種類」と「溶接技術のレベル」で段階的に上がっていきます。鉄の基本溶接から始まり、ステンレスやアルミの特殊溶接へ。
溶接は 熟練度がそのまま価値になる 世界。長く続けるほど技術が磨かれ、収入も上がります。「現代の名工」として表彰される溶接工もいます。
見習い・基本溶接
アーク溶接の基本を覚え、鉄の板材・パイプの溶接を練習。先輩の作業を見て技術を盗む。
月収18〜22万円
一人前の溶接工
一人で製品を溶接できるレベルに。JIS溶接技能者の基本級に合格。
月収23〜28万円
特殊溶接・技術者
TIG溶接やステンレス・アルミの溶接も担当。JIS溶接技能者の専門級に挑戦。
月収28〜38万円
溶接管理技術者・独立
品質管理や後輩の指導を担当。溶接管理技術者の資格で管理職へ。独立する人も。
月収35〜50万円
この仕事のリアル
建設業の高卒3年以内離職率は 42.4%、製造業は 27.6%。溶接工は工場勤務の場合、建設現場より労働環境が安定している傾向があります。
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」令和3年3月卒
溶接工の大変さは 身体への負担です。溶接時の強い光(アーク光)は目を傷めるため、防護面の着用が絶対。溶接ヒューム(煙)を吸い込まないよう換気と防じんマスクも必須です。
姿勢がきついことも。狭い場所や高所で、無理な体勢のまま溶接することもあります。腰痛や肩こりとは長い付き合いになる人も。
一方で、技術の蓄積が直接評価される 世界です。JIS溶接技能者の上位資格を取れば、転職でも引く手あまた。技術は一生モノの財産になります。
会社を選ぶときの見極めポイント
工場勤務か建設現場か(労働環境と安定性が大きく違う)
扱う金属の種類(鉄だけか、ステンレスやアルミもあるか)
資格取得支援制度の内容(JIS溶接技能者試験の受験費用など)
換気設備や安全対策の体制(溶接ヒューム対策は健康に直結)
じゃあ、どうすればいい?
求人票だけでは、その会社の本当の雰囲気はわかりません。
だからこそ、自分の目で確かめることが大切です。

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先輩たちの「やっててよかった」
材料が繋がり、製品になり、誰かの暮らしを支える。ものづくりの根源的な喜び。
最初は材料でしかなかったものが、繋ぎ合わさってひとつの部品になり、やがて自動車や橋や建物として人々のもとに届けられる。その過程に関われる誇り。
(キャリアガーデン「溶接工のやりがい」)
技術を磨いていけば「現代の名工」に選ばれるチャンスもある。溶接は熟練度が重要視される世界だからこそ、長く続けるほど自分の価値が上がっていく。
(キャリアガーデン「溶接工のやりがい」)
きれいなビード(溶接跡)が引けたとき。これは溶接工にしかわからない快感。技術が上がるほどビードは美しくなり、それが品質の証になる。
(ジョブ図鑑「溶接工のやりがい・魅力」)
この仕事がある業界
溶接工が活躍できる業界を見てみよう。
この記事のデータ出典
厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」
厚生労働省 職業情報提供サイト jobtag「溶接工」
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
キャリアガーデン「溶接工の1日のスケジュール」
キャリアガーデン「溶接工のやりがい・楽しさ・魅力」
キャリアガーデン「溶接工の年収・給料」






