埼玉県の高卒求人倍率推移【2017〜2026年】

東京・千葉・神奈川との首都圏比較分析

4.38倍
最新求人倍率(R7卒)
全国平均4.10倍超
+2.18倍
5年前比(R3卒)
2.20→4.38倍
+0.28倍
全国平均との差
全国4.10倍
19,268人
求人数(R7卒)
前年比5.5%増

埼玉県の高卒求人倍率は、2021年のコロナ禍による落ち込みを経て、その後は毎年上昇を続けています。2026年(令和7年3月卒)には4.38倍に到達し、全国平均4.10倍を上回りました。埼玉県は首都圏に位置しながらも製造品出荷額全国6位の「ものづくり県」であり、食料品・輸送用機械・化学工業を中心に求人需要が旺盛です。一方で、県外就職率32.6%(全国ワースト1位)という課題を抱え、東京に約3割の高卒人材が流出する構造が求人倍率を押し上げる要因にもなっています。

1. 求人倍率推移(2017〜2026年)

埼玉県 新規高卒求人倍率の推移(各年6月30日現在・埼玉労働局)

2017(H29)
2.16倍
2018(H30)
2.46倍
2019(H31)
2.80倍
2020(R2)
2.94倍
2021(R3)
2.20倍 コロナ影響
2022(R4)
2.60倍
2023(R5)
3.16倍
2024(R6)
3.66倍
2025(R7)
4.07倍
2026(R8)
4.38倍
年度(3月卒)求人数求職者数求人倍率前年差
2017(H29)12,5005,8002.16倍
2018(H30)13,8005,6002.46倍+0.30
2019(H31)15,1005,4002.80倍+0.34
2020(R2)15,3005,2002.94倍+0.14
2021(R3)11,2005,1002.20倍-0.74
2022(R4)13,0005,0002.60倍+0.40
2023(R5)15,5004,9003.16倍+0.56
2024(R6)17,2004,7003.66倍+0.50
2025(R7)18,2644,4864.07倍+0.41
2026(R8)19,2684,3994.38倍+0.31

出典:埼玉労働局「新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況」(各年6月30日現在)

2. 首都圏・全国平均との比較

埼玉県は首都圏の中でも独特のポジションにあります。東京都の求人倍率が圧倒的に高い一方で、埼玉・千葉・神奈川は「高卒人材の供給地」としての役割を担っています。埼玉県は県外就職率32.6%と首都圏で最も高く、東京への人材流出が県内企業の採用を困難にしている側面があります。

都道府県高卒求人倍率主要産業特徴
埼玉県4.38倍食料品・輸送用機械・化学県外就職率32.6%で人材流出大
東京都約11〜12倍IT・サービス・金融圧倒的な求人吸引力
千葉県約4.0〜4.5倍石油化学・食品・物流県外就職率32.6%(埼玉と同率)
神奈川県約3.5〜4.0倍自動車・電機・半導体製造業の採用が活発
全国平均4.10倍

注目ポイント:埼玉県の求人倍率4.38倍は全国平均4.10倍を0.28ポイント上回っています。しかし、隣接する東京都の求人倍率は約11〜12倍と桁違いに高く、「東京で働く」という選択肢が常に存在する点が埼玉県固有の課題です。県内企業は「通勤時間・転勤なし・地元の安心感」といった地元就職のメリットを明確に訴求する必要があります。

3. 求人倍率が上昇し続ける理由3つ

1. 製造業の厚い産業基盤が求人を下支え

埼玉県の製造品出荷額は12兆8,630億円で全国第6位、事業所数10,102は全国第3位です(経済センサス)。食料品(16.0%)、輸送用機械器具(15.7%)、化学工業(12.5%)が三大産業であり、これらの分野を中心に高卒人材への需要が安定的に発生しています。加えて、2018〜2022年の企業立地動向では食料品が24.1%を占め、新規の工場進出も続いています。

2. 就職希望者数の構造的な減少

埼玉県の高校卒業者のうち就職を選ぶ割合は9.5%(令和6年3月卒)で、8年連続の低下かつ過去最低を記録しました。大学進学率65.9%は過去最高を更新し続けており、就職市場に出てくる高校生は年々減少しています。求人は増えているのに就職希望者が減る「需給ギャップの拡大」が倍率上昇の根本原因です。

3. 県外就職率32.6%が県内供給を圧迫

埼玉県は県外就職率32.6%で全国ワースト1位(千葉県と同率)です。就職する高校生の約3人に1人が東京を中心とした県外に流出しています。これは県内で就職を希望する高校生の実質的な「パイ」をさらに小さくしており、県内企業にとっては約4,400人の就職希望者のうち約1,400人が県外に出てしまう計算です。結果として県内の求人倍率はさらに押し上げられています。

4. 2030年予測シミュレーション

現状のトレンドが続いた場合、2030年の埼玉県高卒求人倍率は5.0〜6.0倍に達する可能性があります。埼玉県は人口700万人超の大県ですが、少子化と大学進学率の上昇、そして県外流出という三重の圧力により、高卒就職市場はさらに縮小する見通しです。

年度求人数(予測)就職希望者数(予測)倍率(予測)備考
2027(R9)約20,000人約4,200人約4.8倍求人増・進学率上昇継続
2028(R10)約20,500人約4,000人約5.1倍1人2社制の影響が本格化
2030(R12)約21,000人約3,700人約5.5〜6.0倍少子化加速・県外流出継続

※ 予測値は国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」および現状の求人増加率・進学率上昇率に基づく推計です。実績とは異なる場合があります。

採用戦略への示唆:埼玉県では2026年9月から一人一社制が廃止され、1人2社への応募が可能になります。この制度変更により、人気企業への応募集中と中小企業の「応募ゼロ」リスクが高まります。2030年に向けて採用環境がさらに厳しくなる中、今から工業高校・商業高校との関係構築、職場見学の充実、SNSでの企業ブランディングなど、長期的な採用基盤を整備することが不可欠です。

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データ出典:

  • 埼玉労働局「新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況」 (埼玉労働局
  • リュウコーポレーション「令和7年3月末高卒就職状況」 (リュウコーポレーション
  • 厚生労働省「職業安定業務統計」
  • 統計リアル「県外就職者比率ランキング」 (統計リアル
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