埼玉県の高卒求人倍率推移【2016〜2026年】
東京・千葉・神奈川との首都圏比較分析
埼玉県の高卒求人倍率は、令和3年3月卒のコロナ禍でいったん下がった後、毎年上昇を続けています。令和7年3月卒は3月末で4.36倍となり、全国平均4.10倍を上回りました。令和8年3月卒は3月末で4.59倍とさらに上がっています(厚生労働省)。埼玉県は首都圏に位置しながらも製造品出荷額全国6位の「ものづくり県」であり、食料品・輸送用機械・化学工業を中心に求人需要が旺盛です。一方で、県外就職率32.4%(関東で最も高い)という課題を抱え、東京に約3割の高卒人材が流出する構造が求人倍率を押し上げる要因にもなっています。
1. 求人倍率推移(2016〜2026年3月卒)
埼玉県 新規高卒者の求人倍率の推移(各年6月末現在の最終値。2026年3月卒のみ3月末現在)。出典:厚生労働省「職業安定業務統計」付属統計表・厚生労働省 取りまとめ(令和8年3月末現在)
| 年度(3月卒) | 求人数 | 求職者数 | 求人倍率 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| 2016(H28) | 13,515人 | 7,252人 | 1.86倍 | — |
| 2017(H29) | 14,630人 | 7,185人 | 2.04倍 | +0.18 |
| 2018(H30) | 16,339人 | 7,041人 | 2.32倍 | +0.28 |
| 2019(H31) | 18,057人 | 7,091人 | 2.55倍 | +0.23 |
| 2020(R2) | 17,931人 | 6,804人 | 2.64倍 | +0.09 |
| 2021(R3) | 15,109人 | 5,799人 | 2.61倍 | -0.03 |
| 2022(R4) | 14,709人 | 5,386人 | 2.73倍 | +0.12 |
| 2023(R5) | 16,518人 | 5,019人 | 3.29倍 | +0.56 |
| 2024(R6) | 18,296人 | 4,473人 | 4.09倍 | +0.80 |
| 2025(R7) | 19,380人 | 4,414人 | 4.39倍 | +0.30 |
| 2026(R8) | 19,610人 | 4,275人 | 4.59倍 | +0.23(3月末どうし) |
求人 13,515人/求職 7,252人(前年差 —)
求人 14,630人/求職 7,185人(前年差 +0.18)
求人 16,339人/求職 7,041人(前年差 +0.28)
求人 18,057人/求職 7,091人(前年差 +0.23)
求人 17,931人/求職 6,804人(前年差 +0.09)
求人 15,109人/求職 5,799人(前年差 -0.03)
求人 14,709人/求職 5,386人(前年差 +0.12)
求人 16,518人/求職 5,019人(前年差 +0.56)
求人 18,296人/求職 4,473人(前年差 +0.80)
求人 19,380人/求職 4,414人(前年差 +0.30)
求人 19,610人/求職 4,275人(前年差 +0.23(3月末どうし))
出典:埼玉労働局「新規高等学校卒業予定者の求人・求職状況」/数値は厚生労働省「職業安定業務統計」付属統計表(各年6月末の最終値)と取りまとめ(令和8年3月末)
2. 首都圏・全国平均との比較(令和7年3月卒・3月末)
埼玉県は首都圏の中でも独特のポジションにあります。東京都の求人倍率が圧倒的に高い一方で、埼玉・千葉・神奈川は「高卒人材の供給地」としての役割を担っています。埼玉県は県外就職率32.4%と首都圏で最も高く、東京への人材流出が県内企業の採用を困難にしている側面があります。
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 埼玉県 | 4.36倍 | 食料品・輸送用機械・化学 | 県外就職率32.4%で人材流出大 |
| 東京都 | 15.71倍 | IT・サービス・金融 | 圧倒的な求人吸引力 |
| 千葉県 | 3.80倍 | 石油化学・食品・物流 | 県外就職率19.8%(令和7年3月卒) |
| 神奈川県 | 4.62倍 | 自動車・電機・半導体 | 製造業の採用が活発 |
| 全国平均 | 4.10倍 | — | — |
食料品・輸送用機械・化学
県外就職率32.4%で人材流出大
IT・サービス・金融
圧倒的な求人吸引力
石油化学・食品・物流
県外就職率19.8%(令和7年3月卒)
自動車・電機・半導体
製造業の採用が活発
—
—
注目ポイント:埼玉県の求人倍率4.36倍(令和7年3月卒・3月末)は全国平均4.10倍を0.26ポイント上回っています。しかし、隣接する東京都の求人倍率は同じ時点で15.71倍と桁違いに高く、「東京で働く」という選択肢が常に存在する点が埼玉県固有の課題です。県内企業は「通勤時間・転勤なし・地元の安心感」といった地元就職のメリットを明確に訴求する必要があります。
3. 求人倍率が上昇し続ける理由3つ
1. 製造業の厚い産業基盤が求人を下支え
埼玉県の製造品出荷額は12兆8,630億円で全国第6位、事業所数10,102は全国第3位です(経済センサス)。食料品(16.0%)、輸送用機械器具(15.7%)、化学工業(12.5%)が三大産業であり、これらの分野を中心に高卒人材への需要が安定的に発生しています。加えて、2018〜2022年の企業立地動向では食料品が24.1%を占め、新規の工場進出も続いています。
2. 就職希望者数の構造的な減少
埼玉県の高校卒業者のうち就職を選ぶ割合は9.4%(令和7年3月卒)で、9年連続の低下かつ過去最低を記録しました。大学等進学率66.9%は過去最高を更新し続けており、就職市場に出てくる高校生は年々減少しています。求人は増えているのに就職希望者が減る「需給ギャップの拡大」が倍率上昇の根本原因です。
3. 県外就職率32.4%が県内供給を圧迫
埼玉県は県外就職率32.4%と関東で最も高い水準です(令和7年3月卒・全国で6番目)。就職する高校生の約3人に1人が東京を中心とした県外に流出しています。これは県内企業がアプローチできる高校生の実質的な「パイ」をさらに小さくしています(令和7年3月卒では就職者4,794人のうち1,551人が県外に就職。文部科学省「学校基本調査」)。
4. 今後の見通しと採用戦略
埼玉県は人口700万人超の大県ですが、少子化と大学進学率の上昇、そして県外流出という三重の圧力により、高卒就職市場はさらに縮小する見通しです。
採用戦略への示唆:埼玉県では2026年9月から一人一社制が廃止され、1人2社への応募が可能になります。この制度変更により、人気企業への応募集中と中小企業の「応募ゼロ」リスクが高まります。採用環境がさらに厳しくなる中、今から工業高校・商業高校との関係構築、職場見学の充実、SNSでの企業ブランディングなど、長期的な採用基盤を整備することが不可欠です。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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