はじめに:内定から入社までの6ヶ月で中小企業が整えるべき5領域
高卒採用は「9月求人公開 → 9月中旬選考開始 → 10月内定通知 → 翌年4月入社」という約半年の空白期間を持つ、他の採用形態にない時系列構造を持っています。愛知労働局が2026年3月新規高等学校卒業者対象求人の事業所向け案内で明示しているとおり、選考開始は9月16日以降、推薦開始は9月5日以降、10月末までは一人一社制が適用され、11月1日以降に一人二社までの応募・推薦が可能になります。就業開始は卒業後です。
この6ヶ月のあいだに、中小企業が躓きやすい実務は5領域に集約されます。(1)労働条件通知書の形式、(2)内定承諾から入社までのスケジュール、(3)必要書類の整備、(4)入社前研修の法的位置づけと賃金の扱い、(5)内定取消・労働条件変更の要件。本記事はこの5領域を、厚生労働省・文部科学省・e-Gov 法令検索・都道府県労働局の一次ソースに基づき整理します。
あわせて、本記事が扱う範囲と扱わない範囲を先に明確にします。本記事は「内定から入社までの制度・手続・スケジュール」に焦点を当てます。内定者への手紙・イベント・保護者対応といった具体的フォロー施策は関連記事「内定後フォロー施策の具体アクション」を、入社後の研修・OJT 設計は「高卒新入社員の研修・OJT 設計ガイド」を、内定辞退・ブランク期の連絡途絶を構造的に解く設計は「内定辞退・ブランク期の連絡途絶を解決する」をそれぞれご覧ください。
本記事の前提:対象は従業員20〜300名程度の中小企業(製造業・建設業・物流業・小売業等)の採用担当者・人事マネージャ・経営者です。大企業の人事企画室向けではなく、社内に採用専任部署を持たない中小企業を前提に組み立てています。高校生本人・ご家族・進路指導の先生の3者の関係性を尊重しながら、100年続く会社をつくるための採用・入社準備の基礎として整理しています。
1. 内定通知の正式手続 — 労働条件通知書と一人一社制の後の流れ
選考で採用を決めたあとに中小企業がまず行うのは、採用内定通知書の交付と、労働条件通知書の交付です。高卒採用は学校推薦制度(一人一社制)を経由するため、交付先は本人・学校・ご家族の3者を視野に入れる運用が実務上求められます。
1-1. 採用内定通知書の交付
採用内定通知書は、選考結果を文書として本人と学校へ伝える文書です。交付時期は選考開始(9月16日以降)から内定決定まで数日〜2週間が実務の目安で、学校への通知は進路指導の先生経由で行うのが通例です。通知書の記載事項は、会社名・内定日・入社予定日(翌年4月1日等)・配属予定部署の大枠・入社後の研修概要、および労働条件通知書と入社誓約書の送付予定に関する記載です。
1-2. 労働条件通知書(労働基準法第15条・施行規則第5条)
労働条件通知書は、労働基準法第15条および労働基準法施行規則第5条に基づく明示義務文書です。労働契約の締結に際し、使用者は書面の交付(本人が希望した場合は電子的方法も可)により以下を明示しなければなりません。
労働条件通知書の主な明示事項(書面明示必須)
- ・ 労働契約の期間に関する事項
- ・ 就業の場所および従事すべき業務に関する事項
- ・ 始業および終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務の場合は就業時転換に関する事項
- ・ 賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切および支払の時期、昇給に関する事項
- ・ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
- ・ 有期労働契約に関する更新の有無・判断基準(該当時)
- ・ 2024年4月施行の改正で追加された明示事項:就業場所・業務の変更の範囲、更新上限の有無等
条文本体は e-Gov 法令検索「労働基準法」 でご確認ください。2024年4月施行の改正により、就業場所・業務の変更の範囲などが新たに明示事項に加わっています。高卒採用では、本人と保護者が共に読んで理解できる語彙と書式で整えることが、入社後のミスマッチ防止の観点から重要です。
1-3. 一人一社制の後の流れ — 学校・先生・ご家族との関係整理
高卒採用の学校推薦制度は、1人の生徒が同時に複数社に応募しない「一人一社制」を原則としています。愛知労働局の案内では、10月末まで一人一社制、11月1日以降に一人二社までの応募・推薦が可能と明示されています。内定通知後の関係整理では、学校(進路指導の先生)への報告、内定者本人への承諾確認、ご家族への共有の3点を時系列で設計します。
制度の法的枠組みとしては、職業安定法(昭和22年法律第141号)が高卒求人を公共職業安定所(ハローワーク)が受理する法的根拠を提供し、若年労働者保護の観点からは青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)が青少年雇用情報の提供義務などを定めています。毎年の採用選考期日は、厚生労働省「若者への就職支援」ページで高等学校就職問題検討会議の申合せとして公表されます。
2. 内定承諾から入社までの標準スケジュール(10月〜翌4月)
内定通知から入社日までの約6ヶ月を、月次の企業側アクションと生徒・学校側アクションで並列に整理します。愛知労働局が事業所向けに明示している「内定式」「入社前説明会」などは平日実施を控えるよう案内されている点が、高卒採用スケジュール設計の大前提です。
| 月 | 企業側アクション | 生徒・学校側アクション |
|---|---|---|
| 6月 | 求人者マイページからの求人申込開始(6月1日以降) | 学校側は求人情報の収集準備 |
| 7月 | 学校への求人申込(7月1日以降)・求人票送付 | 学校での求人票開示・校内選考準備 |
| 9月 | 推薦受付(9月5日以降)・選考開始(9月16日以降)・内定通知書交付 | 応募書類提出・選考参加・内定承諾 |
| 10月 | 労働条件通知書の交付・入社誓約書案内・一人一社制運用 | 内定承諾書提出・学校への報告 |
| 11月 | 一人二社応募の受付(11月1日以降)・保護者向け説明資料送付 | 保護者との合意形成・二次応募の整理 |
| 12月 | 近況報告・会社便りの送付(授業・クラブ活動への配慮を踏まえた接点設計) | 学業・卒業単位の確保 |
| 1月 | 入社前健康診断の案内・提出書類リスト送付 | 進路関連整理・卒業単位確認 |
| 2月 | 入社前研修の日程調整(任意参加の原則明示)・欠席者への不利益取扱い禁止の明示 | 卒業試験・登校日程調整 |
| 3月 | 卒業式後の最終接点・書類完了確認・引越手配の案内 | 卒業式・住民票移動・通勤経路整備 |
| 4月 | 入社日・雇入時健康診断の確認・雇入時安全衛生教育の実施 | 入社 |
スケジュールの起点となる6月以降の日付は、愛知労働局 2026年3月新規中学校・高等学校卒業者対象求人(事業所向)の公表内容です。年度ごとに日付は改定されますので、実際の運用時は最新年度の都道府県労働局ページで必ずご確認ください。内定後の接点設計では、学業・クラブ活動・卒業要件・ご家族との時間を尊重し、入社前研修・外出行為が学校生活に影響しないよう任意性を literal 担保することが重要です。
棲み分け注記:本章は入社日「前」の設計です。入社日以降の研修・OJT・メンター制度・配属設計は、関連記事「高卒新入社員の研修・OJT 設計ガイド」で扱っています。入社前接点のうち「手紙」「保護者対応」「イベント」といった具体的なフォロー施策は、関連記事「内定後フォロー施策の具体アクション」をあわせてご覧ください。
3. 必要書類・手続チェックリスト(健康診断・身元保証・住民票等)
内定承諾から入社日までに整えるべき書類は、会社様式のものと法令で様式・実施が定められているものが混在します。以下では書類種別ごとに、誰が・いつまでに・どこへ提出するかを法的根拠とあわせて整理します。具体的な書式は会社ごとに異なるため、各書類の要点は法令根拠に基づく「書くべき事項」「実施すべき事項」で記述しています。
入社誓約書(会社様式)
会社が定める入社に関する誓約事項(就業規則の遵守、秘密保持義務等)について、本人が署名・押印する文書です。様式は会社ごとに異なりますが、辞退を一律に禁止する条項や、退職時の違約金を定める条項は、公序良俗違反(民法第90条)により無効となる可能性が高い点に注意してください。提出先は会社、期限は会社指定(概ね入社日までに)です。
身元保証書
身元保証ニ関スル法律(昭和8年法律第42号)が一般法として存在し、保証期間の上限(定めがない場合は3年、定めのある場合でも5年を超えられない)が規定されています。加えて2020年4月施行の改正民法により、身元保証契約を含む個人根保証契約には極度額(保証人が負担する上限額)の書面明示が必要です(民法第465条の2)。極度額を定めない個人根保証契約は無効となります。提出先は会社、期限は会社指定です。
雇入時健康診断書(労働安全衛生規則第43条)
労働安全衛生規則第43条に基づき、事業者は常時使用する労働者を雇い入れるときに医師による健康診断を実施しなければなりません。実施項目は既往歴・業務歴の調査、自覚症状および他覚症状の有無の検査、身長・体重・腹囲・視力および聴力の検査、胸部エックス線検査、血圧の測定、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査、心電図検査等です。実施時期は雇入れ時、費用は事業者負担が原則です。
住民票記載事項証明書
本籍地を含まない住民票記載事項の証明書で、本人の住所・氏名・生年月日を雇用管理のため会社が確認する用途で使用します。本籍地・続柄を含む全部記載の住民票の写しを会社が徴収することは、就職差別につながるおそれがあるため厚生労働省が避けるよう指導しています。住民票の取得は市区町村役所で、提出先は会社、期限は会社指定です。
年金手帳・雇用保険被保険者証(該当者のみ)
過去に年金・雇用保険に加入していた該当者のみ必要です。新規学卒者は通常、入社により初めて基礎年金番号通知書(年金手帳)・雇用保険被保険者証が発行されるため、本人手元にまだない場合は入社後に会社経由で発行手続を行います。
給与振込口座の登録
賃金は通貨で直接労働者に全額支払うのが原則ですが(労働基準法第24条)、本人の同意があれば預金口座への振込が可能です。会社指定の給与振込先口座届出書に、金融機関名・支店名・預金種別・口座番号・口座名義人を記入して提出します。提出先は会社、期限は初回給与支給の前月まで(会社指定)です。
マイナンバー(個人番号)関連書類
事業者は、源泉徴収票・雇用保険被保険者資格取得届・健康保険被保険者資格取得届などに従業員のマイナンバーを記載する必要があります。本人確認書類(マイナンバーカードまたは通知書+身元確認書類)の提示を受け、事業者は特定個人情報として厳格に管理します。提出先は会社、期限は入社後早期(会社指定)です。
通勤経路届・通勤手当申請書
本人の自宅から勤務地までの通勤経路・通勤手段・通勤手当支給額を確定させるための書類です。労働者災害補償保険の通勤災害認定の観点からも、登録経路と実際の通勤経路が一致していることが重要です。提出先は会社、期限は入社日または会社指定日です。
扶養控除等(異動)申告書
所得税法に基づく扶養控除の適用を受けるための申告書で、給与所得者が毎年最初の給与支給日の前日までに会社へ提出します。新規入社者は入社時に提出し、以後毎年年末調整の時期に更新します。提出先は会社(経由して税務署)、期限は最初の給与支給日の前日までです。
実務ヒント:チェックリストは「誰が・いつまでに・どこへ」の3点で運用すると漏れが起きにくくなります。書類の様式は会社ごとに異なりますが、労働安全衛生規則第43条の雇入時健康診断、改正民法第465条の2の身元保証の極度額、労働基準法第15条の労働条件明示義務は、全国一律の法令要件として外せません。年度改正によって様式や要件が変わる場合があるため、最新の様式は厚生労働省公式および最寄りの都道府県労働局でご確認ください。
4. 入社前研修・事前接点の設計 — 法的位置づけと賃金の扱い
入社前の接点設計は、中小企業が「内定者の関係維持」と「法令遵守」の両立を求められる領域です。とりわけ入社前研修の法的位置づけを誤ると、労働基準法違反や内定者からの不信感に直結するため、賃金の扱いと任意性の原則を最初に整理しておくことが実務の前提です。
4-1. 入社前研修の法的位置づけ
使用者の指揮命令下に置かれる時間は、労働基準法第32条上の労働時間として扱われます。したがって、強制参加の入社前研修は労働契約上の労働時間となり、賃金支払い義務が生じます。最低賃金法に基づく最低賃金額以上の賃金を支払い、労働時間として適切に記録することが必要です。
一方で任意参加の研修は、本人の自由意思による参加である限り労働時間には該当しません。ただし「任意」と称していても、欠席者に不利益取扱いをする(配属希望が通らない、入社後の評価に影響するなど)と実質的に強制参加と判断される可能性があります。任意性を担保するには、欠席による不利益取扱いの禁止を内定者全員に文書で明示し、運用上も欠席者と参加者で差が出ない体制を整えることが重要です。
4-2. 事前接点の設計 — 学業・卒業要件とご家族との両立
高校生にとって、内定後の時期は卒業までの学業・クラブ活動・卒業要件の確保・ご家族との時間・進路準備が重なる期間です。中小企業の事前接点設計は、この時期の高校生の生活を尊重したうえで、入社への心構えを段階的に形成する場として設計します。月1回程度の会社便りの送付、任意の工場見学日、任意のオンライン先輩社員交流会などが、中小企業で実施しやすい接点の例です。
ご家族(保護者)との接点も、同じく任意性と情報提供の姿勢で設計します。保護者説明会の開催、入社案内書の保護者宛送付、地域の企業イベントへのご家族招待などは、中小企業がご家族の安心感を得るために有効な場面です。特に高卒採用では、ご家族の不安が辞退圧力として還流する構造があるため、ご家族が「この会社で大丈夫」と感じられる情報提供が、内定から入社までの関係維持の核になります。辞退・ブランク期の連絡途絶を構造的に防ぐ関係維持設計については、関連記事「内定辞退・ブランク期の連絡途絶を解決する」で詳しく扱っています。
4-3. 学校(進路指導の先生)との連携
進路指導の先生は、内定者・ご家族・企業の3者をつなぐ実質的なハブです。事前接点の予定を先生に共有し、学校行事・期末試験・卒業判定の時期と衝突しないよう調整します。先生からは、内定者が学業・クラブ活動で今どのような状況にあるかの情報を得られるため、企業側の接点設計の粒度が上がります。先生との関係は、翌年度以降の継続採用の基盤でもあるため、入社までの半年を通じて丁寧なコミュニケーションを維持することが実務上重要です。
実務ヒント:愛知労働局は事業所向け案内で、内定式・入社前説明会などの平日実施を控えるよう明示しています。入社前研修を実施する場合も、学校の授業・卒業式・期末試験と重ならない土日祝日を基本とし、学校との事前調整を必ず行うことが実務の前提です。自社の接点設計は、中小企業が単独で整えるには負荷が高い領域ですが、地域の中小企業を束ねた伴走サービスを活用すれば、月次の会社便り・動画配信・採用専用 Web サイトの運用を自社主体で継続できる水準に設計できます。
5. 法的注意点 — 労働条件の明示義務・内定取消の要件
最後に、内定から入社までの期間で中小企業が特に注意すべき法的事項を整理します。労働条件の明示義務、内定取消の要件、内定辞退への法的対応の3点は、実務と法令のあいだに大きなギャップが生じやすい領域です。
5-1. 労働条件の明示義務(労働基準法第15条・施行規則第5条)
労働基準法第15条は、使用者が労働契約の締結に際し、賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。明示事項の具体は労働基準法施行規則第5条で、書面交付が必要な事項と口頭明示でよい事項が区分されています。2024年4月施行の改正では、就業場所・業務の変更の範囲、更新上限の有無などが新たに明示事項として追加されました。
本人が希望した場合は、書面の代わりにファクシミリ送信や電子メール・SNS 等の電磁的方法による明示も可能です(施行規則第5条第4項)。ただし電磁的方法は、本人が印刷等により書面として出力可能なものに限定されるため、口頭やチャット上の短文で済ませることはできません。高卒採用では、本人だけでなくご家族が内容を確認できるよう、書面での交付を基本とすることが実務上推奨されます。
5-2. 内定取消の法的要件と実務
採用内定は、最高裁判例で「始期付解約権留保付労働契約」と整理されています。つまり、入社日を始期とし、一定の事由が発生した場合に使用者が解約できる権利を留保した労働契約が、内定通知により既に成立しているという位置づけです。したがって内定取消は、契約の解除ではなく、留保された解約権の行使として厳格な要件のもとでのみ認められます。
取消が認められるのは「内定時点で予見できず、取消に客観的合理性と社会的相当性がある事由」のみです。具体例としては、学校を卒業できなかった、犯罪行為により有罪判決を受けた、健康状態の重大な悪化などが挙げられます。業績悪化による整理解雇型の内定取消は、整理解雇の4要件(人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続の相当性)を満たす必要があり、ハードルが高いのが実情です。
加えて、新規学校卒業者の内定取消を行う場合は、職業安定法・青少年の雇用の促進等に関する法律および厚生労働省「新規学校卒業者の採用に関する指針」に基づき、公共職業安定所(ハローワーク)および学校への通知が求められます。安易な取消は、翌年度以降の学校推薦採用そのものに影響するため、整理解雇型の取消を検討する場合は、事前に労働局・弁護士への相談を実施することが実務の前提です。
5-3. 内定辞退への法的対応
内定者側からの辞退は、民法上の解約の自由により原則として認められます。高卒の場合は学校推薦制度の趣旨から、本人から学校(進路指導の先生)経由で会社へ連絡する運用が基本です。辞退そのものを禁止する誓約書は、民法第90条の公序良俗違反により無効となる可能性が高く、辞退を理由とする損害賠償請求も実務上ほぼ認められません。
そのため、辞退への対応は「防ぐ」方向の関係維持設計に焦点を移すのが中小企業の実務です。辞退・内定ブランク期の連絡途絶を、接点の質と量、ご家族の巻き込み、採用媒体の一貫性の3点から構造的に解く設計については、姉妹記事「内定辞退・ブランク期の連絡途絶を解決する」をあわせてご覧ください。
年度改正注記:労働基準法・労働基準法施行規則・民法・青少年雇用促進法・職業安定法等の条文は改正される場合があります。本記事記載の明示事項・取消要件・辞退対応は記事公開時点の整理です。実務適用の際は、e-Gov 法令検索および厚生労働省公式、最寄りの都道府県労働局で最新条文と運用通達を必ずご確認ください。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 高卒採用の労働条件通知書は、大卒と同じ様式で問題ありませんか?
労働基準法第15条・労働基準法施行規則第5条の明示事項は共通です。ただし高卒採用特有の「入社日が翌年4月1日であること」「学校推薦(一人一社制)を経由していること」「保護者への共有を前提とすること」を踏まえ、本人と保護者の双方が読んで理解できる平易な表現に整えることが実務上の要点です。2024年4月施行の改正で就業場所・業務の変更範囲等が追加明示事項となっているため、最新様式は厚生労働省公式ページで必ずご確認ください。
Q2. 内定通知後から入社までの6ヶ月間、企業は生徒に会ってよいのですか?
会うこと自体は禁止されていませんが、学校推薦制度の趣旨から「学業・卒業要件に影響しない範囲」「任意参加」「学校への事前連絡」が実務上の原則です。入社前研修を強制参加にすると使用者の指揮命令下に置かれる時間として賃金支払い義務が生じる可能性があります。愛知労働局も内定式・入社前説明会などの平日実施を控えるよう事業所向けに明示しています。
Q3. 入社前研修を実施する場合、賃金は必要ですか?
使用者の指揮命令下に置かれる時間は労働時間として扱われるため、強制参加の研修には賃金支払い義務が生じます(労働基準法第32条)。任意参加であれば賃金支払い義務はありませんが、実質的に参加が強制されている(欠席による不利益取扱いがある等)と判断されると、労働基準法違反になる可能性があります。任意性を担保する運用設計と、欠席者への不利益取扱い禁止の明示が必要です。
Q4. 内定辞退された場合、会社から法的に対応できますか?
高卒の内定辞退は学校経由での連絡が基本で、辞退そのものを禁止する誓約書は公序良俗(民法第90条)に反し無効となる可能性が高いです。辞退による損害賠償請求も実務上ほぼ認められません。辞退を防ぐための構造設計(関係維持の仕組み)は、姉妹記事「内定辞退・ブランク期の連絡途絶を解決する」で扱っています。
Q5. 身元保証書に「極度額」を記載する必要はありますか?
2020年4月の改正民法施行により、身元保証契約を含む個人根保証契約には極度額(保証人が負担する上限額)の書面明示が必要です(民法第465条の2)。極度額を定めない個人根保証契約は無効となります。身元保証そのものに関する一般法として身元保証ニ関スル法律(昭和8年法律第42号)が存在し、保証期間の上限等が定められています。最新条文は e-Gov 法令検索でご確認ください。
Q6. 内定取消を行う場合、どのような要件が必要ですか?
採用内定は最高裁判例で「始期付解約権留保付労働契約」と整理されており、取消が認められるのは「内定時点で予見できず、取消に客観的合理性と社会的相当性がある事由」のみです。さらに新規学校卒業者の場合は厚生労働省・公共職業安定所(ハローワーク)への通知が求められ、学校・生徒・保護者への説明責任も生じます。安易な取消は労働契約違反の問題にとどまらず、翌年以降の学校推薦採用そのものに影響します。
関連記事
出典・参考資料
- ・ 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」— 高卒3年以内離職率37.9%、令和7年10月24日発表
- ・ 厚生労働省「新規学卒者の離職状況」— 年次の離職状況統計の入口
- ・ 厚生労働省「若者への就職支援」— 新卒応援ハローワーク・高等学校就職問題検討会議・採用選考期日等の公表ページ
- ・ e-Gov 法令検索「労働基準法(昭和22年法律第49号)」— 第15条 労働条件の明示、第32条 労働時間ほか
- ・ e-Gov 法令検索「職業安定法(昭和22年法律第141号)」— 第5条の3 労働条件等の明示義務ほか
- ・ e-Gov 法令検索「青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)」— 青少年雇用情報の提供義務等
- ・ e-Gov 法令検索「身元保証ニ関スル法律(昭和8年法律第42号)」— 保証期間の上限等
- ・ 愛知労働局「2026年3月新規中学校・高等学校卒業者対象求人(事業所向)」— 求人申込6月1日以降・学校申込7月1日以降・選考9月16日以降・推薦9月5日以降・一人一社制10月末まで・一人二社11月1日以降・内定式等の平日実施を控える旨の明示
- ・ 愛知労働局(高卒採用の申請・相談窓口・愛知県)
- ・ 岐阜労働局(高卒採用の申請・相談窓口・岐阜県)
- ・ 三重労働局(高卒採用の申請・相談窓口・三重県)
- ・ 文部科学省「学校基本調査」— 高等学校卒業後進路の年次統計
※労働基準法・職業安定法・青少年雇用促進法・民法・身元保証ニ関スル法律・労働安全衛生規則等の条文、および高卒採用の年度別選考期日・募集要項は年度ごとに改正・更新されます。実務適用の際は、必ず e-Gov 法令検索・厚生労働省公式サイト・最寄りの都道府県労働局の最新情報をご確認ください。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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