新潟県の高卒求人倍率推移【H28〜R8年】
4.78倍到達の背景と全国平均・甲信越比較
新潟県の高卒求人倍率は、平成28年の2.07倍から令和8年3月卒(速報・1月末時点)には4.78倍に達しました。10年間で倍率が2.3倍以上に膨らんだ背景には、燕三条の金属加工・新潟市の食品産業・長岡の機械製造といった多様な製造業の求人意欲と、年間3,500人超いた求職者が2,100人台まで減少した少子化の二重構造があります。全国平均3.69倍を1ポイント以上上回り、企業にとって「応募が来ない」時代が現実化しています。
1. 求人倍率推移(H28〜R8年・10年間)
新潟県 新規高卒者の求人倍率推移(各年3月末確定値 / R8のみ1月末速報値)
| 年度(3月卒) | 県内求人数 | 求職者数 | 求人倍率 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| H28(2016) | 7,325人 | 3,539人 | 2.07倍 | — |
| H29(2017) | 7,753人 | 3,575人 | 2.17倍 | +0.10 |
| H30(2018) | 8,788人 | 3,390人 | 2.59倍 | +0.42 |
| H31(2019) | 9,349人 | 3,297人 | 2.84倍 | +0.25 |
| R2(2020) | 9,640人 | 3,220人 | 2.99倍 | +0.15 |
| R3(2021) | 7,768人 | 2,596人 | 2.99倍 | ±0.00 |
| R4(2022) | 8,100人 | 2,483人 | 3.26倍 | +0.27 |
| R5(2023) | 9,207人 | 2,197人 | 4.19倍 | +0.93 |
| R6(2024) | 10,023人 | 2,255人 | 4.44倍 | +0.25 |
| R7(2025) | 10,159人 | 2,321人 | 4.38倍 | -0.06 |
| R8(2026)速報 | 10,188人 | 2,131人 | 4.78倍 | +0.40 |
出典:新潟労働局「新規学校卒業者の求人・求職状況」(H28〜R7は各年3月末確定値 / R8は1月末速報値)
2. 全国平均・甲信越・北陸との比較
新潟県の求人倍率を全国平均や周辺県と比較すると、新潟県の高卒採用市場がどれだけ厳しいかが浮き彫りになります。新潟県は甲信越3県のなかでも突出した水準にあります。
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 新潟県 | 4.78倍(R8速報) | 金属加工・食品・機械・化学 | 10年間で2.07→4.78倍に急騰 |
| 長野県 | 約3.5〜4.0倍 | 電子部品・精密機械・食品 | 精密機械産業が牽引 |
| 山梨県 | 約2.5〜3.0倍 | 電子部品・宝飾・ワイン | 甲信越では比較的低い水準 |
| 富山県 | 約3.39倍 | 化学(医薬品)・機械・金属 | 北陸屈指の製造業県 |
| 福井県 | 約3.99倍 | 眼鏡フレーム・繊維・化学 | 眼鏡産業が求人を牽引 |
| 全国平均 | 3.69倍(R7.7月末) | — | 新潟県は全国平均の約1.3倍 |
出典:厚生労働省「令和7年度取りまとめ」・各県労働局データ
つまり:新潟県の高卒求人倍率4.78倍は全国平均3.69倍の約1.3倍。1人の高校生に対して約5社が採用を競い合っている状況です。甲信越3県のなかでも最も高い水準にあり、企業間の人材獲得競争は全国有数の厳しさです。
3. 求人倍率が急騰した3つの構造要因
1. 多様な製造業が求人を維持・拡大
新潟県は燕三条の金属加工・洋食器、新潟市の米菓(亀田製菓・三幸製菓等)、長岡市の機械製造(日本精機等)、柏崎のブルボンなど、県内各地に特色ある製造業が分散しています。製造業の県内求人数は3,306人(R7.3卒確定)で全産業の約33%を占め、求人の基盤を形成しています。製造業に加え、建設業2,708人、卸売・小売業1,260人と幅広い産業で求人が出ているため、全体の倍率を高く押し上げています。
2. 求職者数が10年間で約40%減少
平成28年に3,539人いた求職者は、令和8年3月卒(1月末速報)では2,131人に減少しました。10年間で約40%の激減です。少子化に加えて大学進学率の上昇も重なり、就職市場に出てくる高校生が年々少なくなっています。求人数が10,000人を超えて推移する一方、分母である求職者が半減に近づいているため、倍率は構造的に上がり続けています。
3. 県内就職率90.6%が生む閉鎖的な競争環境
新潟県の高卒県内就職率は90.6%(令和5年度・進路情報研究センター調べ)と全国でもトップクラスです。県外からの人材流入が限られるなか、約2,000人の就職希望者を県内10,000件超の求人が奪い合う構造が固定化しています。この「閉じた市場」こそが、新潟県の倍率を全国平均以上に押し上げる最大の要因です。
4. コロナ禍のインパクトとその後の急回復
令和2〜3年のコロナ禍では求人数が9,640人から7,768人へ約20%減少しました。しかし倍率は2.99倍を維持。求職者数も同時に減少したためです。注目すべきは令和4年以降の回復速度で、R4の3.26倍からR5には4.19倍へと一気に0.93ポイント上昇しました。求人数が9,207人に回復した一方で求職者数は2,197人まで減少したことが、この急騰の原因です。
ポイント:コロナ後の回復は単なる「元に戻った」のではなく、「少子化が加速した状態で求人が復活した」ことを意味します。R4→R5の+0.93ポイントという年間上昇幅は、10年間で最大です。コロナ禍がマスクしていた人手不足が、2023年以降に一気に顕在化した形です。
5. 2033年予測シミュレーション
新潟県の18歳人口は2024年度から2033年度にかけて-13.7%の減少が予測されています(進路情報研究センター調べ)。現状の求人水準が維持された場合、求人倍率はどこまで上がるのかシミュレーションしました。
| 年度 | 求人数(予測) | 求職者数(予測) | 倍率(予測) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| R8(2026) | 10,188人 | 2,131人 | 4.78倍 | 速報値(1月末時点) |
| R10(2028) | 約10,000人 | 約1,950人 | 約5.1倍 | 18歳人口減少が本格化 |
| R12(2030) | 約10,000人 | 約1,800人 | 約5.6倍 | 求職者2,000人割れの可能性 |
| R15(2033) | 約9,800人 | 約1,650人 | 約5.9倍 | 18歳人口-13.7%の影響が全面化 |
※ 2028年以降は18歳人口減少率-13.7%(2024→2033年予測)と現在の求人水準に基づく推計です。
採用戦略への示唆:新潟県は「18歳人口減少率が高い × 地元残留率が高い」に分類されるエリアです。高校生マーケット自体が縮小するなか、県内企業同士の競争はさらに激化します。求人票を出して待つだけの採用では、もはや人材を確保できません。学校との関係構築、職場見学の充実、SNSでの情報発信など、高校生から「選ばれる企業」になるための長期的な採用ブランディングが不可欠です。
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