宮崎県の高校生数推移と 2030 年予測
卒業者 9,129 人・県内就職者は実質約 1,470 人の現実
宮崎県の人口は約 104 万人。高校卒業者数は約 9,129 人で、そのうち就職者は 2,333 人(25.6%)です。さらに県内就職率は63.1%(全国 45 位)にとどまり、約 860 人が毎年県外に流出しています。「人が減る」「出ていく」というダブルパンチの中で、県内企業が獲得できる人材は実質約 1,470 人です。
本記事では卒業者数・就職者数の推移、県外流出の構造、人口減少シミュレーション、そして 2030 年に向けて企業が今から始めるべき対策を解説します。
卒業者数・就職者数の推移
年々減少傾向。県内就職率は前年からやや低下
| 年度 | 卒業者数 | 就職者数 | 就職比率 | 県内就職率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和3年 (2021) | 約 9,600 人 | 約 2,550 人 | 約 26.6% | 約 62% |
| 令和4年 (2022) | 約 9,500 人 | 約 2,500 人 | 約 26.3% | 約 63% |
| 令和5年 (2023) | 約 9,400 人 | 約 2,450 人 | 約 26.1% | 約 63% |
| 令和6年 (2024) | 約 9,250 人 | 約 2,400 人 | 約 25.9% | 64.5% |
| 令和7年 (2025) | 約 9,129 人 | 2,333 人 | 25.6% | 63.1% |
卒業 約 9,600 人 / 就職 約 2,550 人
卒業 約 9,500 人 / 就職 約 2,500 人
卒業 約 9,400 人 / 就職 約 2,450 人
卒業 約 9,250 人 / 就職 約 2,400 人
卒業 約 9,129 人 / 就職 2,333 人
出典: 宮崎県学校基本調査・宮崎県雇用労働政策課(令和3〜5年の値は推計)
「就職比率 25.6%」の意味
宮崎県は卒業者の約 4 人に 1 人が就職を選択します。大学等進学率は 48.1% で全国平均(約 60%)と比較すると低い水準です。残りは専門学校・各種学校へ進みます。就職市場に出てくる高校生は約 2,300 人で、そのうち約 37% が県外に流出するため、県内企業が獲得できる人材は実質約 1,470 人に限られます。
県外流出 約 37% の構造
宮崎県の県内就職率 63.1% は全国 45 位。47 都道府県の中でワースト 3 に入る低水準です。なぜ宮崎県の若者は県外を目指すのか、原因は複合的です。
大手企業が少ない
宮崎県内で大量採用を行う大手企業は旭化成(延岡)に限られます。「大手で働きたい」生徒は必然的に県外を選択します。福岡・大阪・東京の企業が宮崎県内の高校に直接求人を送付しており、好条件の求人に惹かれて県外を選ぶケースが多くあります。
賃金の額面格差
宮崎県の最低賃金は全国でも低い水準で、都市部との賃金格差が県外流出の大きな要因です。高卒初任給でも県外企業のほうが月 1〜3 万円高い場合があり、保護者が県外就職を後押しするケースも少なくありません。ただし生活コストを含めた可処分所得で比較すると差は縮まります。
「都会への憧れ」と情報格差
高校生にとって、宮崎県内にどんな魅力的な企業があるかを知る機会が限られています。県内企業の情報発信が不足しているため、「宮崎には仕事がない」というイメージが先行しています。
「知ってもらう」ことが第一歩
県外流出を防ぐには「知ってもらう」ことが第一歩です。求人票を送るだけでなく、職場見学・インターンシップ・SNS での情報発信を通じて、高校生と保護者に「宮崎にもこんな良い会社がある」と認知させることが重要です。
人口減少シミュレーション(2025 → 2030 年)
国立社会保障・人口問題研究所の将来推計を基にした推計
| 項目 | 2025 年 | 2030 年(推計) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 県人口 | 約 104 万人 | 約 95 万人 | ▼ 約 8.7% |
| 高校卒業者数 | 約 9,129 人 | 約 7,800 人 | ▼ 約 14.6% |
| 就職者数 | 2,333 人 | 約 1,900 人 | ▼ 約 18.6% |
| 県内就職者数 | 約 1,470 人 | 約 1,150 人 | ▼ 約 21.8% |
2025 年 約 104 万人 → 2030 年 約 95 万人
2025 年 約 9,129 人 → 2030 年 約 7,800 人
2025 年 2,333 人 → 2030 年 約 1,900 人
2025 年 約 1,470 人 → 2030 年 約 1,150 人
推計値(国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」を基に試算)
最も深刻な数字:県内就職者 ▼ 21.8%
2025 年に約 1,470 人だった県内就職者が、2030 年には約 1,150 人にまで減少する見込みです。わずか 5 年で約 320 人の減少。県内企業にとっては、今ある求人枠を維持するだけでも採用難易度が格段に上がることを意味します。
2030 年に向けて企業が今から始める 5 つの対策
1. 工業高校 12 校・商業高校 15 校との関係構築
宮崎工業・延岡工業・都城工業をはじめ、自社の業種・職種に合った学校を選び、年間を通じた訪問計画を立てます。
2. 県外流出を防ぐ「地元の魅力」発信
「宮崎で働く」メリットを具体的に伝える。生活コストの低さ、通勤時間の短さ、自然環境の豊かさ、地域コミュニティの温かさ。賃金だけでは都市部に勝てなくても、「生活の質」では十分に戦えます。
3. 保護者を味方にする「オヤカク」対策
県外就職を後押しする保護者に対して、自社の安定性・成長性・福利厚生を丁寧に説明する機会を設ける。保護者向け会社説明会や、社長名義の手紙が効果的です。
4. 熊本 TSMC 効果への備え
隣県・熊本は TSMC 進出で雇用が爆発的に増加しています。宮崎県からの人材流出が加速する可能性があるため、「宮崎に残る理由」を明確に打ち出せる企業だけが生き残ります。
5. 定着率向上が最大の採用施策
採用した人材が 3 年以内に辞めてしまえば、採用コストは無駄になります。メンター制度・キャリアパスの明示・資格取得支援など、「辞めない仕組み」を整えることが、結果的に次の採用にもつながります。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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