宮崎県の高卒求人倍率推移【2019〜2026年】
1.87倍が「採れる数字」ではない理由と九州各県比較
宮崎県の高卒求人倍率は 2026 年卒で1.87 倍(令和 7 年 7 月末・宮崎労働局)。全国平均 3.69 倍の約半分です。数字だけ見れば「企業にとって採用しやすい県」に見えます。しかし実態は異なります。
宮崎県の県内就職率は62.4%・全国 45 位。就職者 2,255 人のうち847 人が県外に就職しています(令和7年3月卒・宮崎県「学校基本調査確報」)。求人倍率が低い理由は「需要が少ない」のではなく「県内に残った高校生だけで需給を計算したから」です。
本記事では、宮崎県の求人倍率の推移、九州各県との比較、そして低い理由の構造的分析を解説します。
求人倍率推移(2019〜2026 年)
各年 7 月末現在の新規高卒求人倍率(宮崎労働局・厚生労働省。年は卒業年)
| 年度(3月卒) | 求人数 | 就職希望者 | 求人倍率 | 前年差 |
|---|---|---|---|---|
| 2019(H31) | 3,901人 | 2,666人 | 1.46倍 | +0.09 |
| 2020(R2) | 4,039人 | 2,563人 | 1.58倍 | +0.12 |
| 2021(R3) | 3,161人 | 2,438人 | 1.30倍 | -0.28(コロナ) |
| 2022(R4) | 3,323人 | 2,144人 | 1.55倍 | +0.25 |
| 2023(R5) | 3,788人 | 1,809人 | 2.09倍 | +0.54 |
| 2024(R6) | 4,124人 | 1,942人 | 2.12倍 | +0.03 |
| 2025(R7) | 3,956人 | 1,954人 | 2.02倍 | -0.10 |
| 2026(R8) | 3,968人 | 2,121人 | 1.87倍 | -0.15 |
求人 3,901 人 / 希望 2,666 人 / 前年差 +0.09
求人 4,039 人 / 希望 2,563 人 / 前年差 +0.12
求人 3,161 人 / 希望 2,438 人 / 前年差 -0.28(コロナ)
求人 3,323 人 / 希望 2,144 人 / 前年差 +0.25
求人 3,788 人 / 希望 1,809 人 / 前年差 +0.54
求人 4,124 人 / 希望 1,942 人 / 前年差 +0.03
求人 3,956 人 / 希望 1,954 人 / 前年差 -0.10
求人 3,968 人 / 希望 2,121 人 / 前年差 -0.15
出典: 宮崎労働局
九州各県・全国平均との比較
宮崎は九州でも低水準。熊本 TSMC 効果が要警戒
| 都道府県 | 高卒求人倍率 | 主要産業 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 福岡県 | 3.24倍 | 自動車・半導体・IT | 九州最大の経済圏 |
| 大分県 | 2.30倍 | 石油化学・半導体・鉄鋼 | 大分コンビナート |
| 熊本県 | 2.20倍 | 半導体(TSMC)・農業 | TSMC進出で半導体関連の求人が増加 |
| 鹿児島県 | 1.85倍 | 食品加工・農業・観光 | 農業県・宮崎と類似構造 |
| 宮崎県 | 1.87倍 | 食料品製造・農業・建設 | 農業県・県外流出が課題 |
| 全国平均 | 3.69倍 | — | 宮崎は全国平均の約半分 |
九州最大の経済圏(自動車・半導体・IT)
石油化学・半導体・鉄鋼の大分コンビナート
TSMC 進出で半導体関連の求人が増加
宮崎と類似する農業県構造
農業県・県外流出が課題
宮崎は全国平均の約半分
熊本 TSMC 効果が県北の流出を加速させる
隣県・熊本では TSMC 進出によって半導体関連の雇用が急増しています。県北の延岡・日向エリアからは通勤圏ではないものの、若手の転職先として熊本が新しい選択肢に加わりました。「採用しやすい」と油断していると、気づいた時には人材が熊本に流れていた、という事態になりかねません。
求人倍率が全国平均より低い理由
理由 1:県外就職率の高さ(約 38%)
宮崎県の県内就職率は62.4%(令和 7 年 3 月卒)・全国 45 位。就職者 2,255 人のうち847 人が県外に就職しています。福岡・東京・愛知などの県外企業が宮崎県内の高校に直接求人を出しており、特に好条件の求人ほど県外企業が獲得しています。県内の求人倍率が低く見えるのは、県外就職者が「分母」から抜けているためでもあります。
理由 2:大手企業が限られる雇用構造
宮崎県内の大手企業は旭化成(延岡市・約 5,000 人)が突出しており、それ以外は中小規模の企業が大半です。大量採用を行う大手が少ないため求人数の総量が伸びにくく、結果として求人倍率が低く抑えられています。裏を返せば、中小企業にとっては大手との激烈な競争が少ない環境ともいえます。
理由 3:農業県ゆえの産業構造
宮崎県は食料品製造業が製造品出荷額で県内 1 位の「農業・食品加工県」です。農業関連の雇用は季節変動が大きく、通年での正規求人が相対的に少ない傾向にあります。一方で福岡・熊本のような自動車・半導体産業の大規模工場が少なく、大量の高卒求人を生み出す製造業基盤がやや弱いのが特徴です。
Written & Edited by
漆畑 智哉
株式会社ゆめスタ CCO / 教育コーディネーター
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